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当ページでは、Radeon R9 390Xの性能比較&ベンチマーク検証を行っている。Hawaiiアーキテクチャを採用したフラグシップのグラフィックボードだ。現在このモデルを所有している方やどのような性能を持っているのか気になっている方向けの内容となっている。

これから購入したいと考えている場合、ほとんど市場に流通していないこともあって中古での購入は非現実的なので他のモデルを選択した方がよいだろう。後継モデルは「Radeon RX 480」となる。アーキテクチャが変わってより省電力性の高いモデルとなったが、性能的にはRadeon R9 390Xの方が上だ。

Radeon R9 390Xの概要

スペック

R9 390X R9 Fury X R9 290X
アーキテクチャ Grenada Fiji Hawaii
製造プロセス 28nm 28nm 28nm
コンピューターユニット 44 64 44
シェーダーコア 2816基 4096基 2816基
コアクロック 1050MHz 1050MHz 1000MHz
GPUメモリ 8GB GDDR5 4GB HBM 8GB GDDR5
メモリクロック 6Gbps 1Gbps 5Gbps
メモリバス 512 bit 4096 bit 512 bit
メモリバス帯域幅 384.0 GB/s 512.0 GB/s 320.0 GB/s
TDP 275W 275W 290W
MSRP $429 $649 $549
発売日 2015/06/19 2015/06/24 2013/11/05
Radeon R9 390Xは、2015年にリリースされたAMDのハイエンドカードだ。従来のアーキテクチャのリネームモデルとなっている。Radeon R9 290Xよりも価格が大幅に引き下げられているのは評価できる。コアのマイナーチェンジによってパフォーマンスの向上に成功した。また、冷却性能及びパワー効率が引き上げられている。結果的にクロック周波数を5%アップして1050MHzとなった。それでいて消費電力が275Wへと5%抑えられ省電力化が進んだ。

Radeon R9 290Xと比較した上でメモリ周りの変更は大きなポイントだ。GPUメモリが8GBへと倍増している。メモリバス帯域幅は、Radeon R9 290Xの320GB/secよりも20%アップした384GB/secとなっている。R9 Fury Xでデビューした革新的な高いメモリバス帯域幅を持つHBMは採用されていないのは差別化のためだろうか。

R9 Fury Xではコンピューターユニットが64でCUDAコア数は4096基となる。Ryzen 9 390Xよりも5%も増えた。コアクロックはどちらも1050MHzだ。GPUメモリ容量は半分の4GBとなる。R9 Fury Xではより高性能なHBMメモリを採用している。メモリバスは4096 bitでメモリバス帯域幅は512.0 GB/sと広くなっている。TDPは同じ275Wだ。価格差は$220となっている。

NVIDIA製モデルと比較

Radeon R9 390X GeForce GTX 980
メーカー AMD NVIDIA
製造プロセス 28nm 28nm
アーキテクチャ GCN 2.0 Maxwell 2.0
GPU Grenada XT GM204
コンピューターユニット 44 16
CUDAコア数 2816基 2048基
コアクロック 1050MHz 1126MHz
GPUメモリ 8GB 4GB
メモリタイプ GDDR5 GDDR5
メモリクロック 6Gbps 7Gbps
メモリバス 512 bit 256 bit
メモリバス帯域幅 384.0 GB/s 224.4 GB/s
TDP 275W 165W
価格 $429 $549
発売日 2015/06/19 2015/06/01
Radeon R9 390Xの競合はNVIDIAのGTX 980だろう。$120安く購入できるのは嬉しいポイントだ。GTX 980は、2048基のコア数となっているもののクロック周波数が1126MHzと高く設定されている。GPUメモリも半分でメモリバス帯域幅も控えめだ。GTX 980の224.4 GB/secよりも50%近くアップしているのはさすがだ。しかし、これらは消費電力に大きく影響している。GTX 980のMaxwellの方がAMDよりも圧倒的に省電力でわずか165Wとなっている。

総合性能を見るとGTX 980の方が圧倒的に性能が高い。タイトルによって数値が異なるもののこれだけの差があればGTX 980の方が好ましいと言える。最新APIのDirectX 12だとAMDが優勢となる。一方で、従来のDirectX 11などだとNVIDIAが優勢だ。Radeon R9 390Xについては、各パーツショップでも取扱数が少なく中古でも入手することが困難なため新しく購入するというのは難しいかもしれない。

性能

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GTX Radeon R9 390XよりもGTX 980の方が23%程度性能が高い。すでに記載しているとおりタイトルによってパフォーマンスは異なるものの明らかな差があることは間違いない。Radeon Fury Xとの性能差も2%-5%程度だ。価格差を考えるとRadeon R9 390Xの方が購入しやすいと思う。

次世代モデルでいうとGTX 1650 SUPERなどのエントリークラス相当の性能だ。フルHD環境でも妥協が必要なことは押さえておこう。現時点でR9 390Xを所有している場合は買い替えを推奨する。これから中古で購入するなら次世代モデルのRTX 3050RX 6500 XTを購入した方が満足度が高いだろう。

Radeon R9 390Xの特徴まとめ【2025年】

Radeon R9 390Xは、性能的にやや厳しい立場に置かれている。性能的にはフルHD環境で設定を下げることを前提とすればかろうじてゲームプレイが行える程度だ。最新のタイトルを最高設定で行いたい場合には不向きだ。そうは言っても7年前のモデルがある程度通用しているのは評価に値するだろう。GPUメモリ容量が8GBと現行モデルと比べても見劣りしないのは心強い。

AMD製GPUの新しい世代に対するアプローチは世代ごとに異なっている。Radeon R9 200シリーズはコードネーム”Hawaii”という一つのアーキテクチャを採用した。そして前世代のフラグシップモデルであるRadeon R9 290/Radeon R9 290Xが登場した。一方で、他のラインナップは前世代のリネームアーキテクチャを採用している。AMDの前世代のフラグシップモデルであるHD7900シリーズがミドルクラスであるR9 280シリーズになったのだ。そしてミドルクラスのTongaが後に追加された。

この流れは今世代のモデルにもそのまま当てはめることができる。この世代では”Fiji”がリリースされAMDから5つの製品が発売された。前世代のフラグシップモデルで採用された”Hawaii”は、AMDのミドルクラスセグメントの製品になり、Radeon R9 390Xに引き継がれている。Radeon R9 390XはHawaiiベースの製品だ。”Grenada”と呼ばれているが、シリコンに大きな変化はなく中身的にはHawaiiで間違いない。

Radeon R9 390Xは、AMDの前世代のフラグシップモデルになるはずだった。しかし、すぐにRadeon R9 Fury Xが登場したことでこの世代のトップのグラフィックボードというわけではない。Radeon R9 390Xは2011年からAMDのグラフィックボードで採用されているGPUコアを採用している。R9 290Xで採用されたHawaiiコアは、マイナーチェンジされGrenadaにリネームされR9 390Xが誕生したのだ。

Radeon R9 390X発売当時の評価

Radeon R9 390Xは、GTX 980が対抗製品となるハイエンドモデルだ。GPUメモリ8GB搭載と大容量なのが魅力だと言える。性能面はかなり不安定で、GTX 980を追い越す性能を見せる一方で、GTX 970にも劣る場面があるなど場面によって異なる。全体的な性能はGTX 980とGTX 970の間ぐらいでややGTX 980寄りと言ったところだろうか。期待はずれ感が大きい。

価格はGTX 980と同価格帯ながら、GPUメモリを活かした高解像度にはGTX 980よりも優れた対応ができる。ただし、メーカー発表スペックと実際の性能が異なることが多くそこまでの期待はできない。消費電力がGTX 980に比べて100Wほど高くなっていてワット効率が悪い。電源ユニットなどには注意しなければいけない。

一長一短あり、GTX 980のほうが優れているというわけではなくGTX 980と比べて特徴的というか独特というか・・・。簡単に言ってしまうとGPUメモリが倍になったR9 290Xのリネームに近い。コストパフォーマンスは悪くはないが、GTX 980と比べると若干落ちる。

高解像度に対応できるモデルとしては最下位モデルで、対応力はGTX 980とほぼ変わらない。Radeon製品のショップでの取り扱い数はそこまで多くない。このモデルに関しては使い勝手がよいので今後充実してくるのを期待している。Radeonシリーズのよさがわかるというコア層の方におすすめだ。

Radeon R9 390Xのベンチマーク

WQHD及び4K環境での平均フレームレートを計測している。すべて最高設定となっている。2023年時点ではフルHD環境が基本だ。

Battlefield 4

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Radeon R9 390Xは、FULL HD環境で57fpsとそこそこのフレームレートを計測している。ライバルのGTX 980が60fpsで5%上回る形だ。WQHD環境では僅かに上回っているもののGTX 980の方が一枚上手だ。この差はNVIDIAへの最適化の度合いと考えても良いかもしれない。Radeon R9 Fury Xは20%も高く性能差がしっかりと表れている。

Grand Theft Auto V

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このタイトルでもGTX 980の方が上回っている。その差は7%だ。R9 290Xと比べると僅かに伸びているものの物足りなさが残る。やはりリフレッシュモデルと考えるのがよさそうだ。4K解像度になるとGTX 980と同等になるのはやはりGPUメモリに余裕があるからだろう。

Hitman

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HitmanはDirectX 12を採用していてAMDが得意とする分野だ。実際GTX 980より2%-10%ほど高いフレームレートを計測した。GPUメモリ容量の大きさもあって将来性は高いと言える。R9 Fury Xとの差は2%-23%程度だ。4K解像度になるとその差が広がることになる。従来モデルのR9 290Xと比べると4%程度パフォーマンスが向上している。

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ベンチマークテスト環境

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参照元:AMD Radeon R9 Fury X Review (TECHSPOT)