Ryzen Threadripper 1900X
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当ページでは、Ryzen Threadripper 1900Xの性能スペックについて検証している。2017年8月10日に発売されたデスクトップ向けハイエンドPCだ。RyzenのメインストリームであるRyzen 7 1800Xと同等の8コア16スレッドを搭載したCPUだ。基本的にメインストリームを抜けたハイエンドモデルはゲームプレイに適していないことが多いが、当該CPUにはゲームモードが搭載されているのがポイントとなる。

上位モデルにThreadripper 1920XやThreadripper 1950Xも存在している。Threadripper 1900Xは、Ryzen 7 1800Xとコア/スレッドは同等だが、アーキテクチャやメモリで差別化が行われていてIntel Core i7-7820Xを意識したものだと言える。このハイエンドモデルであるRyzen Threadripper 1900Xはゲームプレイにおいて優位に立てるのかが気になるところだ。ベンチマークを踏まえて検証していこう。

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Threadripper 1900Xの概要

基本スペック

Threadripper 1900XThreadripper 1920XRyzen 7 1800X
コードネームZenZenZen
プロセス14nm14nm14nm
トランジスタ数96億96億48億
ダイサイズ213 mm²213 mm²192 mm²
CPUコア数8128
スレッド数162416
定格クロック3.8GHz3.5GHz3.6GHz
最大クロック4.0GHz4.2GHz4.0GHz
オーバークロック
L3キャッシュ16MB32MB16MB
メモリコントローラーQuad ChannelQuad ChannelDual Cannel
対応メモリDDR4-2666DDR4-2666DDR4-2666
PCIe LanesGen 3.0×64Gen 3.0×64Gen 3.0×16
CPUクーラー非搭載非搭載Wraith Max
TDP180W180W95W
価格$549$799$499
発売日2017/08/312017/08/312017/03/02
Threadripper 1900Xの基本スペックを見ていこう。コードネームはZenでプロセスは14nmだ。これはメインストリームのRyzen 7 1800Xと同じということになる。トランジスタ数はRyzen 7 1800Xの倍の96億でトランジスタ数が増えた分だけダイサイズも大きくなり213 m㎡だ。CPUコア及びスレッド数は同じ8コア16となっている。

Threadripper 1900Xでは、2つのダイがありそれぞれのダイに2つのCPU Complex(CCX)ある。つまり合計4つのCCXがあるということだ。このCCXには1つ当たり4つのコアがある。ダイ同士の接続にはInfinity Fabricが使用されている。全部で4つあるCCXの内2つのCCXが無効化されている。つまり、全部で8コア(4+4)ということだ。フルスペックなら16コア(4×4)Ryzen 7 1800XではThreadripper 1900Xとは異なりCCXが2つ(4+4)で全てが有効されている。

これだけだとほとんど同じCPUのように思えるかもしれないが、当然差別化が行われている。1つには、Threadripper 1900Xではクアッドコアチャネルのメモリコントローラーを搭載しメモリバンド幅が広くなっている。これはRyzen 7 1800Xがデュアルチャネルであることと比べて優位性を持っていると言えるだろう。また、PCIe 3.0について64レーンをサポートしているのも特徴だ。SLIを考えている方やNVMe対応SSDの搭載を考えている方には魅力的だろう。価格差は$50だ。

上位モデルのThreadripper 1920XになるとCPUコアが12、スレッド数が24と50%引き上げられる。Threadripper 1900XではCCXごとに4つのコアがあったが、Threadripper 1920Xでは3つのコアがある。つまり、2つのダイにそれぞれ3つのコアを持つCCXが2つあるということだ。Threadripper 1920Xの方が定格クロックは8%低く、最大クロックは5%高い。L3キャッシュが32MBと大容量なのもポイントだ。より効率的にデータのやり取りを行うことができる。消費電力は180Wに留められている。価格差は$250とやや大きい。

Intel製CPUと比較

Threadripper 1900XCore i7-7820XCore i7-8700K
コードネームZenSky LakeCoffe Lake
プロセス14nm14nm14nm
トランジスタ数96億--
ダイサイズ213 mm²-154 mm²
CPUコア数886
スレッド数161612
定格クロック3.8GHz3.6GHz3.7GHz
最大クロック4.0GHz4.5GHz4.7GHz
L3キャッシュ16MB11MB12MB
メモリコントローラーQuad ChannelQuad ChannelDual Channel
対応メモリDDR4-2666DDR4-2666DDR4-2666
PCIe Lanes642816
CPUクーラー×××
TDP180W140W95W
価格$549$599$359
発売日2017/08/102017/06/262017/10/05
Threadripper 1900Xは、2017年7月にIntelが発売されたCore i7-7820XにぶつけたCPUだ。比較すると非常に似たスペックということがわかる。CPUコア及びスレッド数は同じ8コア16スレッドだ。Threadripper 1900Xの方が定格クロックが6%高く、最大クロックは10%低い。L3キャッシュは16MBとCore i7-7820Xよりも45%多い。

対応メモリDDR4-2666と共通だ。PCle Lanesの数もThreadripper 1900Xが64と130%多くなっている。CPUクーラーはいずれのモデルも非同梱だ。消費電力はCore i7-7820Xと比べて30%程度大きく180Wだ。価格差は$50でThreadripper 1900Xの方が少しだけ安い。

これまでAMDの主な長所は低価格で多くのコアを手に入れることができて、さらに高性能なマザーボードを活用できるということだった。Threadripper 1900Xもこのフィロソフィーを持っていると言える。ただし、今回はIntelのCore i7-7820Xも似たようなスペックを持っているため独壇場というわけではない。

メインストリームのCore i7-8700Kになるとワンランクスペックが落ちる。6コア12スレッドと33%少ない。定格クロックは3.7GHzで最大クロックは4.7GHzと高い。最大クロックが高いことはゲームプレイにおいてはプラスに働くだろう。L3キャッシュは12MBとなっている。消費電力は95Wとハイエンドモデルと比べるとかなり省電力性が高いことがわかる。

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Ryzen Threadripper 1900Xの特徴

2021年時点でもCPUの総合性能はまずまず

Threadripper 1900XseinouThreadripper 1900Xの総合性能をまとめている。現行モデルで言うとCore i5-10400と同等だ。$182のミドルクラスのCPUと同等になるとは驚くばかりだ。それだけ時代の進化が驚くべきものだということだろう。AMD製CPUで言うとRyzen 5 3600Xより少し高い程度に留まる。

メインストリームのRyzen 7 1800Xより僅かに高いだけでCore i7-8700Kに劣っていることがわかる。ハイエンドモデルとは言ってもRyzen 7 1800Xとそれほどパフォーマンスに違いがないのが悩ましい。やはりCCXが増えたことによる弊害があるのではないかと思う。コスパの面から選択肢に入らない方が多いのではないだろうか。Ryzen Threadripper 1900Xは、Quad ChannelやPCIe Lanesに魅力を感じる方向けだと言える。

ゲームモード搭載もゲーミング性能は平凡

Threadripper 1900Xではゲームモードを搭載しているのが特徴だ。ゲームモードではCPUの設定をデータプロセスをローカルダイに限定して、メモリコントローラーをNUMAにすることでゲームに最適化するというわけだ。さらに、ダイ間のレイテンシを除去するためにソフトウェアを通じて一つのダイを無効化する。

つまり、AMDのゲームモードを設定するとThreadripper 1900Xのスペックは4コア/8スレッドにするということだ。これはRyzen 5 1500Xや1400と同等だ。これだけ聞くとあまり期待できように感じてしまうが、メモリ周りが強化されていることやクロック周波数が高いことはプラスになる。残念ながら実際はそれほどゲーミング性能が向上するわけではく今後の課題となる。もっとも初めからゲームを想定したメインストリームのRyzen 7 1800Xを選択すれば解決する。

コストが掛かりすぎてコスパが悪い

Threadripper 1900Xの機能を活用するために高価格のX399規格のマザーボードを選択する必要がある。5万円以上する代物で、2万円程度で購入できるX370とは異なる。Threadripper 1900Xの国内価格が税込み75,060円(AKIBA PC Hotline, 2017)で、メインストリームのRyzen 7 1800Xが64,584円(価格.com, 2017)だった。本体価格では10,000円の差に留まるが、マザーボードまでコストに入れるとかなり厳しい。

いくらThreadripper 1900Xが、Threadripperシリーズの中では安価だと言ってもこれでは選択肢に入らない。パフォーマンスが高くかつ安い代替品(Ryzen 7 1800XやCore i7-8700 etc.)があるからだ。非常に立ち位置の難しいCPUだと言える。そういう背景もあってしばらくして中古価格が暴落した。マザーボード代を含めた価格設定にしないと売れないからだ。

Ryzen Threadripper 1900Xのベンチマーク

Cinebench R15

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レンダリングをさせてそのスコアを計測している。マルチスレッド及びシングルスレッド性能を計ることが可能だ。Threadripper 1900Xもおおよそスペック通りの性能が出ている。Core i7-7820Xのブースト性能が上回った形だ。それでもCore i7-8700XやRyzen 7 1800Xを圧倒する性能を発揮している。一方、シングルスレッドについては、Core i7-8700Kが優勢となっている。ゲームではシングル性能が重要と言われているので、Core i7が選択肢に入るというわけだ。

Handbrake

handbrakeTR1900handbrake

動画のエンコードに掛かる時間を計測している。数値が少ないほど高性能ということになる。x264ではRyzenが健闘している。しかし、x265になるとCore i7-8700Kが優勢でさらに、Core i7-7820Xと比べても大きく差をつけられている。それでも高い性能であることに変わりはないが…

7-zip

TR19007zip

Zipファイルの圧縮及び解凍速度を計測。解凍スピードはRyzenが圧倒。Threadripper 1900Xはi7-7820Xよりも6%高い速度を出している。一方、圧縮速度についてはIntel製が優勢だ。

Ryzen Threadripper 1900Xのベンチマーク(ゲーム)

Civilization Ⅵ

civ6TD1900x-Civilization Ⅵ

Threadripper 1900Xはゲームモードで計測している。Threadripper 1900Xは高いパフォーマンスを出している。ただ、Core i7-8700Kが82.8fpsとそれ以上に高いパフォーマンスを発揮。やはりゲームプレイについてはCore i7-8700Kが強い。Core i7-7820Xはあまり性能を生かしきれていない。Ryzen 7 1800Xとの差は5%となっている。Civ 6では通常モードよりゲームモードの方が優勢なようだ。

Hitman

hitmanTD1900x-hitman

Threadripper 1900Xが苦戦する結果となった。DirectX12には弱いのかもしれない。Civ6とは異なりCore i7-7820Xがトップとなった。Threadripper 1900Xとの差は30%以上だ。これは最適化の問題かもしれない。コア数が多いとタイトルによっては安定しないことがある。その点Core i7-8700Kは高いスコアを出している。Ryzen 7 1800Xとの差は4%と劣る結果となってしまった。今後ドライバーの更新があれば何か変わる可能性がある。

Grand Theft Auto V

gta5TD1900x-gta5

GTA 5ではCore i7-8700Kがトップになった。Threadripper 1900Xは下から二番目だ。Creatorモードだと少しだけパフォーマンスが向上している。ゲームモード時ではRyzen 7 1800Xよりも1%高い程度に留まる。Core i7-7820Xとの差は10%と大きい。

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参照外部サイト

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参照元:AMD Ryzen Threadripper 1900X CPU Review (tom’s HARDWARE)