当ページでは、Core i9-11980HKの性能レビュー及び搭載ゲーミングノートPCの紹介をしている。Intel第11世代H45シリーズのフラグシップモデルだ。主にゲーミングノートやワークステーションに採用されることが多い。8コア16スレッドとマルチスレッド性能が高く性能面で妥協したくないという方におすすめだ。
搭載モデルの価格は高く税込み30万円オーバーの予算を見ておく必要がある。その他注意すべき点としては、本体重量の重さだ。中には3kg近くになっているモデルもあって持ち運ぶ機会が多い方は注意しておこう。搭載モデルは、「Core i9-11980HK搭載のゲーミングノートPC一覧」でまとめている。MSI・Dell・ALIENWAREなどの海外メーカーが中心だ。
後継モデルはAlder Lake世代の「Core i9-12900HK」だ。14コア20スレッドと大幅にスペックが強化されている。Core i7-12700Hと比べてクロック周波数が高くより高いパフォーマンスを期待できる。今後Core i9-11980HK搭載モデルが消えてCore i9-12900HK搭載モデルへと変わっていくはずだ。
当ページの目次
よくわかる!!Core i9-11980HKの特徴まとめ
コードネーム | Comet Lake |
---|---|
プロセス | 10nm SuperFin |
コア/スレッド数 | 8コア/16スレッド |
定格/最大クロック | 2.6 GHz/ 5.0 Ghz |
L3キャッシュ | 24MB |
TDP | 45W-65W |
発売日 | 2021年05月17日 |
価格 | $583 |
コメント | (+)Tiger Lake世代Hシリーズのフラグシップモデル (+)ターボクロック周波数が5.0GHzに到達している (-)Core i7シリーズから価格が跳ね上がりコスパはイマイチ (-)搭載ゲーミングノートPCのラインナップは少ない |
評価 | ・総合評価 7.0 ・ゲーム評価 8.5 |
Core i9-11980HKのCinebench R23スコア
Tiger Lake世代になりCPUコアが変わったことでパフォーマンスが向上している。クロック周波数が引き下げられてもパフォーマンスはしっかりと高くなった。競合であるRyzen 9 5900HXと比べるとマルチスレッド性能は9%劣るが、シングルスレッド性能は4%上回っている。マルチスレッド性能は下位モデルのRyzen 7 5800Hに近いと言える。
Core i9-11980HKの基本スペック
Core i9-11980HK | Core i7-11800H | Core i9-10980HK | |
---|---|---|---|
メーカー | Intel | Intel | Intel |
プロセス | 10mm | 10mm | 14nm++ |
コードネーム | Tiger Lake | Tiger Lake | Comet Lake |
CPUコア数 | 8コア | 8コア | 8コア |
スレッド数 | 16スレッド | 16スレッド | 16スレッド |
定格クロック | 2.60 GHz | 2.30 GHz | 2.40 GHz |
最大クロック | 5.00 GHz | 4.60 GHz | 5.30 GHz |
L3キャッシュ | 24MB | 24MB | 16MB |
対応メモリ | DDR4-3200 | DDR4-3200 | DDR4-2933 |
内蔵グラフィックス | UHD Graphics | UHD Graphics | UHD Graphics |
TDP | 45W-65W | 35W-45W | 45W-65W |
価格 | $583 | $395 | $583 |
発売日 | Q2'21 | Q2'21 | Q2'20 |
従来モデルよりクロック周波数はダウン
従来モデルであるCore i9-10980HKと比べると定格クロックは9%高くなっているが、最大クロック周波数が13%と大きく引き下げられていることがわかる。これだけだとパフォーマンスは下がっていそうだ。プロセスが10nmへと微細化されて、CPUコアがSkylake CoreからWillow Cove Coreへと変わった。コードネームはComet LakeからTiger Lakeへと変わっている。このようなアーキテクチャの変更によってクロック周波数を引き下げてもより高い性能を出せるのだ。
その他異なるところで言うとL3キャッシュ容量が16MBから24MBへと50%増えている。性能のボトルネック軽減につながる。対応メモリがDDR2933からDDR-3200へとアップグレードされたのもハイライトだ。クロック周波数以外の箇所については一新されたと考えてよいだろう。内蔵グラフィックスも僅かながら強化されているが、UHD Graphicsというのは変わっていない。
Core i7との違いは定格クロックとTDPのみ
下位モデルであるCore i7-11800Hとの違いは定格クロックとTDPのみだ。コア/スレッド数・L3キャッシュ容量・メモリ周りに違いはない。定格クロックがCore i7-11800Hよりも10%ダウンの2.6GHzとなっている。最大クロックは5.0GHzでCore i7-11800Hよりも9%高い。さらに、Core i9-11980HKの場合オーバークロックができることも忘れてはいけない。
価格差は$188となっている。当然性能ではCore i9-11980HKが上回るが、コストパフォーマンスの観点からは見劣りしてしまうだろう。ベンチマークを見るとわかる通り、用途によってはCore i7-11800Hとの性能差がほとんどないこともある。
AMD製CPUと比較
Core i9-11980HK | Ryzen 9 5900HX | |
---|---|---|
メーカー | Intel | AMD |
プロセス | 10mm | 7nm |
コードネーム | Tiger Lake | Zen 3 |
CPUコア数 | 8コア | 8コア |
スレッド数 | 16スレッド | 16スレッド |
定格クロック | 2.60 GHz | 3.30 GHz |
最大クロック | 5.00 GHz | 4.60 GHz |
L3キャッシュ | 24MB | 16MB |
対応メモリ | DDR4-3200 | DDR4-3200 |
内蔵グラフィックス | UHD Graphics | Radeon Graphics |
TDP | 45W-65W | 35W-54W |
価格 | $583 | - |
発売日 | Q2'21 | Q1'21 |
定格クロックはRyzen 9 5900HXの方が27%高く3.30 GHzとなっている。最大クロック周波数は5.0GHzとRyzen 9 5900HXよりも9%高い。L3キャッシュ容量はCore i9-11980HKの方が50%多く24MBとなっている。対応メモリはDDR4-3200で変わらない。内蔵グラフィックスはそれぞれ異なるが性能的に大きな差があるわけではない。TDPはRyzen 9 5900HXの方が抑えられていて35W-54Wとなっている。
Core i9-11980HK搭載ゲーミングノートの特徴
現行最強クラスのゲーミング性能を持っている
Core i9-11980HKは、2021年時点で最強のゲーミング性能を持つCPUだ。8コア16スレッドとマルチスレッド性能が高くゲーム適正も優れている。最大クロック周波数は5.0GHzに到達している。10nmプロセス採用やCPUコアの改良もあって従来モデルよりもパフォーマンスは高い。
下位モデルにCore i9-11900Hもある。オーバークロック非対応かつ最大クロック周波数も少し低いがCore i9-11980HK搭載モデルよりも価格が安い分選びやすいだろう。Core i7-11800H寄りのモデルだと考えてよい。海外メーカーを中心に搭載モデルがリリースされているので、合わせてチェックしておくことを推奨する。
搭載モデルの価格は税込み30万円オーバー
Core i9-11980HK搭載のゲーミングノートPCの購入を考えているなら予算を30万円以上用意しておく必要がありそうだ。競合であるRyzen 9 5900HX搭載のゲーミングノートPCと同等で高価だ。フラグシップモデルとして見れば仕方がないところだろう。RTX 3060搭載モデルでも30万円を超えてくる。RTX 3080を選択すれば40万円前後となってしまう。コストパフォーマンス重視ならCore i7-11800H搭載モデルを検討したい。
Core i9-11980HK搭載モデルの価格が上がるのは何も高性能なグラフィックボードを搭載しているからだけではない。発熱量が上がるとゲーミングノートPC本体の排熱性能を上げるためにコストが掛かるのだ。本体を大きくしたり、より高性能な冷却システムを搭載したりといったことが挙げられる。
また、こういったことを行う結果本体重量が重くなるということは理解しておこう。本体重量2kg超えは普通で中には3kgを超えているものもある。さすがに2kgを超えてくると持ち運びが大変だ。高性能がゆえにバッテリー駆動時間も短くなりがちで外出先でゲームを楽しみたいと考えているならあえて性能を落とすことを考えてもよいかもしれない。
Core i9-11980HKのベンチマーク一覧
Handbrake
Blender 2.91
7-Zip
一方で、圧縮速度ではCore i9-11980HKがトップに躍り出た。Ryzen 9 5900HXよりも15%も速い。Ryzen 7 5800Hとの性能差も同等でしっかりと突き放している。Core i9-10980HKと比べると17%も向上していて世代が変わったことがわかる。Core i7-11800Hと比べても同様に17%も高い。
Core i9-11980HKのゲーミング性能
Borderlands 3
i5-10600K×RTX 3080 | |
9 5900HX×RX 6800M | |
i9-11980HK×RTX 3080 | |
9 5900HX×RTX 3070 | |
i9-10980HK×RTX 3080 | |
7 5800H×RTX 3060 | |
i7-11800H×RTX 3070 | |
i7-10870H×RTX 3070 |
Hitman 3
i5-10600K×RTX 3080 | |
9 5900HX×RX 6800M | |
i9-11980HK×RTX 3080 | |
i7-11800H×RTX 3070 | |
i9-10980HK×RTX 3080 | |
9 5900HX×RTX 3070 | |
7 5800H×RTX 3060 | |
i7-10870H×RTX 3070 |
Death Stranding
i5-10600K×RTX 3080 | |
9 5900HX×RX 6800M | |
i9-11980HK×RTX 3080 | |
i7-11800H×RTX 3070 | |
9 5900HX×RTX 3070 | |
i9-10980HK×RTX 3080 | |
i7-10870H×RTX 3070 | |
7 5800H×RTX 3060 |
Control
i5-10600K×RTX 3080 | |
i9-11980HK×RTX 3080 | |
i9-10980HK×RTX 3080 | |
9 5900HX×RX 6800M | |
9 5900HX×RTX 3070 | |
i7-11800H×RTX 3070 | |
i7-10870H×RTX 3070 | |
7 5800H×RTX 3060 |
Core i9-11980HKが、Ryzen 9 5900HXのパフォーマンスを上回っている。フレームレートの差は8%だ。1%Lowでは18%の差を付けている。一方で従来モデルであるCore i9-10980HKとの差はほとんどなく誤差の範囲と言えるだろう。
Core i9-11980HK搭載のゲーミングノートPC一覧
GE76 Raider 11U GE76-11UG-596JP(MSI)
価格:341,800円(税込)
液晶:17.3インチ 360Hz
CPU:Core i9-11980HK
GPU:GeForce RTX 3070
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:非搭載
RTX 3070×Core i9-11980HK搭載のゲーミングノートPCだ。17.3インチと大型モニターを搭載している。さらに、360Hzと超高リフレッシュレートに対応していてより高いレベルでのゲームプレイが可能だ。ハイクラスのRTX 3070を搭載していてればこの構成モニターも活かしやすい。メモリ32GB、SASD 1TBと構成もずば抜けている。本体重量約2.9kgとかなり重いのは弱点だ。正直持ち運びを考えている方は避けた方がよいだろう。車での移動であれば問題はないと思うが電車や徒歩だとかなり厳しい。
NEW ALIENWARE X17 スプレマシー(ALIENWARE)
522,980円(税込) 392,235円(税込)
液晶:17.3インチ 165Hz
CPU:Core i9-11980HK
GPU:GeForce RTX 3080
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:非搭載
RTX 3080×Core i9-11980HK搭載のゲーミングノートPCだ。現行最強クラスのモデルと言っても過言ではない。17.3インチ165Hz対応モニターを存分に活かせるはずだ。メモリ32GB、SSD 512GBと構成も充実している。ゲーミングノートでも環境には妥協したくないという方に最適だ。周りも羨む最高のゲーミングノートPCだと言える。本体重量3kgオーバーはご愛嬌。このクラスのモデルを支えるには土台も大きくなってしまう。
New XPS 17 スプレマシー(Dell)
410,280円(税込) 328,224円(税込)
液晶:17.0インチ
CPU:Core i9-11980HK
GPU:GeForce RTX 3060
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:非搭載
現在在庫切れだ。後継モデルへの移行が進んでいる。DellブランドのゲーミングノートPCとなっている。17.0インチFHDモニター搭載だ。フレームレスモニターでデザイン性が高い。オプションで4K Ultra HDを選択できる。グラフィックスにはミドルクラスのRTX 3060を搭載している。フルHD環境でのゲームプレイに最適だ。メモリ16GB、SSD 512GBと価格を考えると構成は控え目だと言える。本体重量は約2.21kgとやや重く持ち運びを頻繁に行う予定の方は注意が必要だ。
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ベンチマークテスト環境
モデル | MSI GE76 Raider |
---|---|
GPU | Nvidia GeForce RTX 3080 |
メモリ | 16GB DDR4-3200 |
ストレージ | – |