GE76 Raider 11U GE76-11UG-596JP

当ページでは、Core i9-11980HKの性能レビュー及び搭載ゲーミングノートPCの紹介をしている。Intel第11世代H45シリーズのフラグシップモデルだ。主にゲーミングノートやワークステーションに採用されることが多い。8コア16スレッドとマルチスレッド性能が高く性能面で妥協したくないという方におすすめだ。

搭載モデルの価格は高く税込み30万円オーバーの予算を見ておく必要がある。その他注意すべき点としては、本体重量の重さだ。中には3kg近くになっているモデルもあって持ち運ぶ機会が多い方は注意しておこう。搭載モデルは、「Core i9-11980HK搭載のゲーミングノートPC一覧」でまとめている。MSI・Dell・ALIENWAREなどの海外メーカーが中心だ。

後継モデルはAlder Lake世代の「Core i9-12900HK」だ。14コア20スレッドと大幅にスペックが強化されている。Core i7-12700Hと比べてクロック周波数が高くより高いパフォーマンスを期待できる。今後Core i9-11980HK搭載モデルが消えてCore i9-12900HK搭載モデルへと変わっていくはずだ。

よくわかる!!Core i9-11980HKの特徴まとめ

cpu

コードネームComet Lake
プロセス10nm SuperFin
コア/スレッド数8コア/16スレッド
定格/最大クロック2.6 GHz/ 5.0 Ghz
L3キャッシュ24MB
TDP45W-65W
発売日2021年05月17日
価格$583
コメント(+)Tiger Lake世代Hシリーズのフラグシップモデル
(+)ターボクロック周波数が5.0GHzに到達している
(-)Core i7シリーズから価格が跳ね上がりコスパはイマイチ
(-)搭載ゲーミングノートPCのラインナップは少ない
評価・総合評価
7.0

・ゲーム評価
8.5

Core i9-11980HKのCinebench R23スコア

corei9-11980hk-cinebenchr23

CPU性能を測る上で定番のベンチマークソフトであるCinebench R23のスコアを見ていこう。あくまでもベンチマークソフトなので実際の環境におけるパフォーマンスを100%表しているわけではないが、おおよその立ち位置を知る上で有益だ。前世代のCore i9-10980HKと比べるとマルチスレッド性能が28%高く、シングルスレッド性能が8%高い。

Tiger Lake世代になりCPUコアが変わったことでパフォーマンスが向上している。クロック周波数が引き下げられてもパフォーマンスはしっかりと高くなった。競合であるRyzen 9 5900HXと比べるとマルチスレッド性能は9%劣るが、シングルスレッド性能は4%上回っている。マルチスレッド性能は下位モデルのRyzen 7 5800Hに近いと言える。

Core i9-11980HKの基本スペック

Core i9-11980HKCore i7-11800HCore i9-10980HK
メーカーIntelIntelIntel
プロセス10mm10mm14nm++
コードネームTiger LakeTiger LakeComet Lake
CPUコア数8コア8コア8コア
スレッド数16スレッド16スレッド16スレッド
定格クロック2.60 GHz2.30 GHz2.40 GHz
最大クロック5.00 GHz4.60 GHz5.30 GHz
L3キャッシュ24MB24MB16MB
対応メモリDDR4-3200DDR4-3200DDR4-2933
内蔵グラフィックスUHD GraphicsUHD GraphicsUHD Graphics
TDP45W-65W35W-45W45W-65W
価格$583$395$583
発売日Q2'21Q2'21Q2'20
従来モデルであるCore i9-10980HK及び現行の下位モデルであるCore i7-11800Hと比較していく。いずれも8コア16スレッドというスペックとなっているのがポイントだ。Core i9-10980HKのスペックと異なるのはプロセス・クロック周波数・L3キャッシュ・対応メモリとなる。コア/スレッド以外の部分で大幅に改良されている。

従来モデルよりクロック周波数はダウン

従来モデルであるCore i9-10980HKと比べると定格クロックは9%高くなっているが、最大クロック周波数が13%と大きく引き下げられていることがわかる。これだけだとパフォーマンスは下がっていそうだ。プロセスが10nmへと微細化されて、CPUコアがSkylake CoreからWillow Cove Coreへと変わった。コードネームはComet LakeからTiger Lakeへと変わっている。このようなアーキテクチャの変更によってクロック周波数を引き下げてもより高い性能を出せるのだ。

その他異なるところで言うとL3キャッシュ容量が16MBから24MBへと50%増えている。性能のボトルネック軽減につながる。対応メモリがDDR2933からDDR-3200へとアップグレードされたのもハイライトだ。クロック周波数以外の箇所については一新されたと考えてよいだろう。内蔵グラフィックスも僅かながら強化されているが、UHD Graphicsというのは変わっていない。

Core i7との違いは定格クロックとTDPのみ

下位モデルであるCore i7-11800Hとの違いは定格クロックとTDPのみだ。コア/スレッド数・L3キャッシュ容量・メモリ周りに違いはない。定格クロックがCore i7-11800Hよりも10%ダウンの2.6GHzとなっている。最大クロックは5.0GHzでCore i7-11800Hよりも9%高い。さらに、Core i9-11980HKの場合オーバークロックができることも忘れてはいけない。

価格差は$188となっている。当然性能ではCore i9-11980HKが上回るが、コストパフォーマンスの観点からは見劣りしてしまうだろう。ベンチマークを見るとわかる通り、用途によってはCore i7-11800Hとの性能差がほとんどないこともある。

AMD製CPUと比較

Core i9-11980HKRyzen 9 5900HX
メーカーIntelAMD
プロセス10mm7nm
コードネームTiger LakeZen 3
CPUコア数8コア8コア
スレッド数16スレッド16スレッド
定格クロック2.60 GHz3.30 GHz
最大クロック5.00 GHz4.60 GHz
L3キャッシュ24MB16MB
対応メモリDDR4-3200DDR4-3200
内蔵グラフィックスUHD GraphicsRadeon Graphics
TDP45W-65W35W-54W
価格$583-
発売日Q2'21Q1'21
競合モデルであるAMD Ryzen 5000モバイルシリーズのフラグシップモデルであるRyzen 9 5900HXを比較していく。Zen 3アーキテクチャを採用したRyzen 9 5900HXは強力なライバルだ。7nmプロセスを採用していてIntelの10nmプロセスよりも一歩先を進んでいる。CPUコアは8コア、スレッド数は16スレッドといずれも共通だ。モバイル向けハイパフォーマンスモデルでは最高峰となる。

定格クロックはRyzen 9 5900HXの方が27%高く3.30 GHzとなっている。最大クロック周波数は5.0GHzとRyzen 9 5900HXよりも9%高い。L3キャッシュ容量はCore i9-11980HKの方が50%多く24MBとなっている。対応メモリはDDR4-3200で変わらない。内蔵グラフィックスはそれぞれ異なるが性能的に大きな差があるわけではない。TDPはRyzen 9 5900HXの方が抑えられていて35W-54Wとなっている。

Core i9-11980HK搭載ゲーミングノートの特徴

現行最強クラスのゲーミング性能を持っている

Core i9-11980HKは、2021年時点で最強のゲーミング性能を持つCPUだ。8コア16スレッドとマルチスレッド性能が高くゲーム適正も優れている。最大クロック周波数は5.0GHzに到達している。10nmプロセス採用やCPUコアの改良もあって従来モデルよりもパフォーマンスは高い。

下位モデルにCore i9-11900Hもある。オーバークロック非対応かつ最大クロック周波数も少し低いがCore i9-11980HK搭載モデルよりも価格が安い分選びやすいだろう。Core i7-11800H寄りのモデルだと考えてよい。海外メーカーを中心に搭載モデルがリリースされているので、合わせてチェックしておくことを推奨する。

搭載モデルの価格は税込み30万円オーバー

Core i9-11980HK搭載のゲーミングノートPCの購入を考えているなら予算を30万円以上用意しておく必要がありそうだ。競合であるRyzen 9 5900HX搭載のゲーミングノートPCと同等で高価だ。フラグシップモデルとして見れば仕方がないところだろう。RTX 3060搭載モデルでも30万円を超えてくる。RTX 3080を選択すれば40万円前後となってしまう。コストパフォーマンス重視ならCore i7-11800H搭載モデルを検討したい。

Core i9-11980HK搭載モデルの価格が上がるのは何も高性能なグラフィックボードを搭載しているからだけではない。発熱量が上がるとゲーミングノートPC本体の排熱性能を上げるためにコストが掛かるのだ。本体を大きくしたり、より高性能な冷却システムを搭載したりといったことが挙げられる。

また、こういったことを行う結果本体重量が重くなるということは理解しておこう。本体重量2kg超えは普通で中には3kgを超えているものもある。さすがに2kgを超えてくると持ち運びが大変だ。高性能がゆえにバッテリー駆動時間も短くなりがちで外出先でゲームを楽しみたいと考えているならあえて性能を落とすことを考えてもよいかもしれない。

Core i9-11980HKのベンチマーク一覧

Handbrake

handbrakecorei9-11980hk-handbrake

動画のエンコードを行うHandbrakeでのパフォーマンスをまとめている。従来モデルであるCore i9-10980HKと比べると14%高くなっている。クロック周波数が下がってもしっかりと性能が引き上げられている。同じ第11世代のCore i7-11800Hと比べるとそれほど性能差は大きくなく4%の伸びに留まる。Ryzen 9 5900HXと比べると11%程度の性能差がある。Ryzen 7 5800HやRyzen 9 5980HSにも及ばない。Intel製CPUの性能も高いが、Ryzenシリーズが上回る形だ。

Blender 2.91

blenderclassroomcorei9-11980hk-blender

Blenderでは従来モデルのCore i9-10980HKよりも15%向上している。順当な進化だと言える。下位モデルであるCore i7-11800Hとの性能差は7%程度だ。一方で、Ryzen 9 5900HXとの差は13%と大きい。Ryzen 7 5800Hとの差は6%となっている。Ryzenシリーズのマルチスレッド性能の高さは素晴らしい。Zen 3アーキテクチャの完成度はかなり高くTiger Lake世代でもなかなか厳しい状況となっている。

7-Zip

zipcorei9-11980hk-7zip

Zipファイルの解凍及び圧縮速度を計測している。解凍速度ではRyzenシリーズが圧倒的なパフォーマンスを見せつける。Ryzen 9 5900HXとの差は22%とかなり大きい。Ryzen 7 5800Hと比べても12%程度劣っている。従来モデルであるCore i9-10980HKと比べると12%パフォーマンスが向上している。下位モデルであるCore i7-11800Hとの差がわずか3%なのは気がかりだ。

一方で、圧縮速度ではCore i9-11980HKがトップに躍り出た。Ryzen 9 5900HXよりも15%も速い。Ryzen 7 5800Hとの性能差も同等でしっかりと突き放している。Core i9-10980HKと比べると17%も向上していて世代が変わったことがわかる。Core i7-11800Hと比べても同様に17%も高い。

Core i9-11980HKのゲーミング性能

ゲーミングノートPCではグラフィックスを揃えることが難しいので、一般的なベンチマークとは異なりCPU負荷の高いタイトルをピックアップしている。フレームレートの数値的には参考になるはずだ。

Borderlands 3

boarderland3

i5-10600K×RTX 3080108
77
9 5900HX×RX 6800M95
69
i9-11980HK×RTX 308091
69
9 5900HX×RTX 307091
69
i9-10980HK×RTX 308088
60
7 5800H×RTX 306082
61
i7-11800H×RTX 307081
60
i7-10870H×RTX 307078
58
平均fps1%Low
Borderlands 3ではRyzen 9 5900HXの方が5%程度高い結果となっている。従来モデルのCore i9-10980HKと比べると平均フレームレートが4%程度向上している。1%Lowに関しては15%向上していて期待通りだ。よりゲーム適性が向上していることが間違いない。RTX 3070×Ryzen 9 5900HXでCore i9-11980HKと同等のスコアが出ていることからCPUがボトルネックになっていることは間違いない。ゲーミングノートPC搭載のCPUとして見れば及第点だろう。

Hitman 3

hitman3

i5-10600K×RTX 3080106
56
9 5900HX×RX 6800M102
55
i9-11980HK×RTX 308091
47
i7-11800H×RTX 307089
49
i9-10980HK×RTX 308087
43
9 5900HX×RTX 307086
45
7 5800H×RTX 306082
45
i7-10870H×RTX 307078
39
平均fps1%Low
Hitman 3でもRyzen 9 5900HXに完敗だ。平均フレームレートでは12%、1%Lowでは17%の差がある。Ryzen 9 5900HKはデスクトップ向けモデルであるCore i5-10600Kに近いパフォーマンスを発揮している。従来モデルであるCore i9-10980HKと比べると5%-6%パフォーマンスが高い。これだけの差であれば買い換えるほどではないだろう。下位モデルであるCore i7-11800Hとの差も小さい。1%Lowに関してはCore i7-11800Hに負けてしまっている。コストパフォーマンス重視で考えるならCore i7-11800Hでも十分なのではないかと思う。

Death Stranding

death stranding

i5-10600K×RTX 3080152
127
9 5900HX×RX 6800M138
110
i9-11980HK×RTX 3080127
100
i7-11800H×RTX 3070121
99
9 5900HX×RTX 3070121
98
i9-10980HK×RTX 3080115
94
i7-10870H×RTX 3070111
85
7 5800H×RTX 3060107
85
平均fps1%Low
Death Strandingでもモバイル向けモデルとしてはRyzen 9 5900HXがトップだ。Core i9-11980HKとの差は9%-10%となっている。従来モデルのCore i9-10980HKと比べると10%前後パフォーマンスが向上している。新世代のCPUとしては十分な結果だと言える。下位モデルであるCore i7-11800Hとの差は5%とそれほど大きくない。

Control

control

i5-10600K×RTX 3080154
111
i9-11980HK×RTX 3080101
75
i9-10980HK×RTX 3080101
73
9 5900HX×RX 6800M94
64
9 5900HX×RTX 307082
61
i7-11800H×RTX 307078
57
i7-10870H×RTX 307072
54
7 5800H×RTX 306071
54
平均fps1%Low
ControlはGPUがボトルネックになるタイトルの一つだ。このようなタイトルではCore i7シリーズやRyzen 7シリーズでも十分なフレームレートが出るためグラフィックボードに投資をした方がよい。

Core i9-11980HKが、Ryzen 9 5900HXのパフォーマンスを上回っている。フレームレートの差は8%だ。1%Lowでは18%の差を付けている。一方で従来モデルであるCore i9-10980HKとの差はほとんどなく誤差の範囲と言えるだろう。

Core i9-11980HK搭載のゲーミングノートPC一覧

GE76 Raider 11U GE76-11UG-596JP(MSI)

GE76 Raider 11U GE76-11UG-596JP価格:341,800円(税込)
液晶:17.3インチ 360Hz
CPU:Core i9-11980HK
GPU:GeForce RTX 3070
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:非搭載

公式サイト

RTX 3070×Core i9-11980HK搭載のゲーミングノートPCだ。17.3インチと大型モニターを搭載している。さらに、360Hzと超高リフレッシュレートに対応していてより高いレベルでのゲームプレイが可能だ。ハイクラスのRTX 3070を搭載していてればこの構成モニターも活かしやすい。メモリ32GB、SASD 1TBと構成もずば抜けている。本体重量約2.9kgとかなり重いのは弱点だ。正直持ち運びを考えている方は避けた方がよいだろう。車での移動であれば問題はないと思うが電車や徒歩だとかなり厳しい。

NEW ALIENWARE X17 スプレマシー(ALIENWARE)

NEW ALIENWARE X17価格:522,980円(税込) 392,235円(税込)
液晶:17.3インチ 165Hz
CPU:Core i9-11980HK
GPU:GeForce RTX 3080
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:非搭載

公式サイト

RTX 3080×Core i9-11980HK搭載のゲーミングノートPCだ。現行最強クラスのモデルと言っても過言ではない。17.3インチ165Hz対応モニターを存分に活かせるはずだ。メモリ32GB、SSD 512GBと構成も充実している。ゲーミングノートでも環境には妥協したくないという方に最適だ。周りも羨む最高のゲーミングノートPCだと言える。本体重量3kgオーバーはご愛嬌。このクラスのモデルを支えるには土台も大きくなってしまう。

New XPS 17 スプレマシー(Dell)

New XPS 17価格:410,280円(税込) 328,224円(税込)
液晶:17.0インチ
CPU:Core i9-11980HK
GPU:GeForce RTX 3060
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:非搭載

現在在庫切れだ。後継モデルへの移行が進んでいる。DellブランドのゲーミングノートPCとなっている。17.0インチFHDモニター搭載だ。フレームレスモニターでデザイン性が高い。オプションで4K Ultra HDを選択できる。グラフィックスにはミドルクラスのRTX 3060を搭載している。フルHD環境でのゲームプレイに最適だ。メモリ16GB、SSD 512GBと価格を考えると構成は控え目だと言える。本体重量は約2.21kgとやや重く持ち運びを頻繁に行う予定の方は注意が必要だ。

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ベンチマークテスト環境

notepc

モデルMSI GE76 Raider
GPUNvidia GeForce RTX 3080
メモリ16GB DDR4-3200
ストレージ