NEXTGEAR J6-A5G60GN-A
Ryzen 5 7535HSのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証していく。Ryzen 5 7535HSは、Zen 3+アーキテクチャを採用したCPUで従来モデルのRyzen 5 6600Hと変わらない。Ryzen 5 6600Hのクロック周波数を高くしたモデルだと考えるとよい。スペックは6コア12スレッドと最近のCPU市場的には控え目だ。ゲーム実況や動画のエンコードなどのクリエイター作業も快適に行いたいと考えている方は避けた方がよい。これらの用途ではZen 4アーキテクチャ採用のRyzen 5 7540HSやIntel第13世代のCore i5-13500Hの方がおすすめだ。

ゲームプレイだけならRyzen 5 7535HSでも問題ない。性能的にはミドルクラスのGeForce RTX 4060 MobileやエントリークラスのGeForce RTX 4050 Mobileとの組み合わせが一般的となる。フルHD環境で100fpsを目指したい方向けだ。国内BTOメーカーではマウスコンピューターから搭載モデルが販売されている。価格が抑えられていて初心者の方でも選びやすいのではないかと思う。

Ryzen 5 7535HSの概要

コードネームZen 3+(Rembrandt)
プロセス6nm
コア/スレッド数6コア / 12スレッド
Pコア定格/最大クロック3.3 GHz/ 4.55 GHz
L2キャッシュ3MB
L3キャッシュ16MB
内蔵GPURadeon 660M
PBP35W
MTP54W
発売日2023年01月04日
価格
特徴 (+)価格が安く低価格ゲーミングノートが実現
(+)TDPが35Wで省電力性が高い
(-)Zen 3+アーキテクチャ採用で旧世代となる
(-)Ryzen 5 6600Hと性能は変わらない
評価 ・総合評価
6.5

・ゲーム評価
6.5

総合評価は6.5、ゲーム評価も6.5だ。現行のゲーミングCPUとしては最低クラスだが、ミドルクラスまでのグラフィックボードとならCPU性能が問題になる可能性は低い。当該モデルは性能よりも価格を重視したいユーザー向けだ。税込15万円以下でも購入できるのは嬉しい。

Ryzen 5 7535HSの基本スペック

他のRyzen 5シリーズと比較

Ryzen 5 7535HSRyzen 5 7640HSRyzen 5 6600H
コードネームZen 3+
(Rembrandt)
Zen 4
(Phoenix)
Zen 3+
(Rembrandt)
プロセス6nm4nm6nm
ダイサイズ208 mm²178 mm²208 mm²
コア666
スレッド数121212
定格クロック3.3 GHz4.3 GHz3.3 GHz
最大クロック4.55 GHz5.0 GHz4.5 GHz
L2キャッシュ3MB6MB3MB
L3キャッシュ16MB16MB16MB
対応メモリDDR5-4800
LPDDR5-6400
DDR5-5600
LPDDR5-7500
DDR5-4800
LPDDR5-6400
内蔵グラフィックスRadeon 660MRadeon 760MRadeon 660M
PBP(TDP)35W35W45W
MTP54W54W-
価格---
発売日2023/01/042023/012022/01

Ryzen 5 7535HSは、従来モデルに当たるRyzen 5 6600Hと同じZen 3+アーキテクチャを採用したCPUだ。ちょうど一年ぶりに登場した新しいモデルだが、スペック的に共通点が多い。プロセスは6nmで、ダイサイズは208m㎡だ。コア・スレッドも6コア12スレッドとなる。定格クロックも3.3GHzと共通だ。異なるのは最大クロックが0.05GHz(50MHz)高いこととTDPが45W→35Wへと10W抑えられているところのみとなる。省電力性が高くなったのはプラスだが、実際の運用においてその恩恵を得られるかどうかと言われると難しい。

同じRyzen 7000シリーズでもRyzen 5 7640HSはZen 4アーキテクチャを採用したモデルとなる。Ryzen 5 7640HSの「4」がZen 4を、Ryzen 5 7535HSの「3」はZen 3+アーキテクチャを意味する。35HSの5はもしかしたら3.5を意味するのかもしれない。これは少しややこしいところだ。Ryzen 5 7640HSになると全く別物のモデルと言える。プロセスは4nmとさらに微細化が進みダイサイズも1178m㎡とRyzen 5 7535HSよりも14%程度コンパクトだ。

6コア12スレッドとスペックは共通となる。定格クロックはRyzen 5 7640HSの方が30%高く、最大クロックもRyzen 5 7640HSの方が10%程度高い。プロセスが微細化されたことでDDR5-5600・LPDDR5-7500と高クロックなメモリをサポートしているのもポイントだ。内蔵グラフィックスもRadeon 760Mへと強化される。TDPは35W・MTP(PL2)は54Wとここは共通だ。

Intel製CPUと比較

Ryzen 5 7535HSCore i5-12500H
コードネームZen 3+
(Rembrandt)
Alder Lake
プロセス6nm10nm
ダイサイズ208 mm²-
トータルコア612
トータルスレッド1216
コア(P)64
スレッド(P)128
コア(E)-8
スレッド(E)-8
定格クロック(P)3.3 GHz2.5 GHz
最大クロック(P)4.55 GHz4.5 GHz
定格クロック(E)-1.8 GHz
最大クロック(E)-3.3 GHz
L2キャッシュ3MB12MB
L3キャッシュ16MB18MB
対応メモリDDR5-4800
LPDDR5-6400
DDR5-4800
LPDDR5-5200
DDR4-3200
内蔵グラフィックスRadeon 660MIris Xe Graphics
PBP(TDP)35W45W
MTP54W95W
価格-$311
発売日2023/01/042023/01

同性能帯のモデルであるIntel第12世代のCore i5-12500Hと比較していく。Core i5-12500HはAlder Lake世代のモデルでプロセスは10nmだ。Ryzen 5 7535HSの方が微細化が進んでいる。Core i5-12500Hはハイブリッドコアアーキテクチャを採用していて12コア16スレッドと高いスペックを誇る。内訳としては4つのPコアと8つのEコアを搭載している。物理コアはRyzen 5 7535HSの倍だ。

Pコアの定格クロックはRyzen 5 7535HSの方が32%高く、最大クロックも1%だけ高い。Core i5-12500HのEコアの定格クロックは1.8GHzで、最大クロックは3.3GHzだ。Pコアに比べるとクロック周波数は抑えられている。L2キャッシュはCore i5-12500Hの方が多く12MBだ。L3キャッシュについてもCore i5-12500Hの方が13%多い。

メモリについてはRyzen 5 7535HSがDDR5-4800とLPDDR5-6400をサポートしているのに対して、Core i5-12500HはDDR5-4800・LPDDR5-5200だけではなくDDR4もサポートしている。価格を抑えるという意味でメリットがある。Core i5-12500Hの内蔵グラフィックスはIris Xe Graphicsだ。TDPはCore i5-12500Hの方が27%高く45Wで、MTPは76%高く95Wだ。Ryzen 5 7535HSは省電力の高さが魅力のモデルと言える。

Ryzen 5 7535HS搭載モデルの特徴

CPU性能は控え目で競合モデルに劣る

<img src="https://gamingpcs.jp/wp-content/uploads/2023/12/ryzen57535hscpuscore.png" alt="ryzen57535hscpuscore" width="1000" height="1000" class="aligncenter size-full wp-image-138090" />
Ryzen 5 7535HSのCPUスコアは15,957となる。ハイエンドモデルの半分以下の数値だ。現代におけるCPUのラインナップを見る限り性能はそれほど高くない。今新品で購入できるモデルの中では最低クラスだが、ゲーミングCPUとしてはある程度通用する水準にある。旧世代のRyzen 5 6600Hとの性能差は10%程度となる。競合モデルのCore i5-12500Hよりも6%程度劣る結果となった。

Zen 4アーキテクチャ採用のRyzen 5 7640HSとの性能差は17%とやや大きい。同じRyzen 5シリーズでもこれだけの差がある。ユーザーからすると型番がややこしいように思う。アーキテクチャが異なることがわかりやすいように明示するべきだろう。Ryzenシリーズのモデルを購入検討中の方は注意した方がよいだろう。この点はIntel製CPUの方が素直でわかりやすい。

デスクトップ向けモデルで言えばIntel第11世代のCore i5-11400が近い。Ryzen 5 7535HSは動画編集や画像編集などCPU負荷の高い作業が得意ではない。単純にアーキテクチャが古く6コア12スレッドというスペックが不利になる。この場合ハイブリッドコアアーキテクチャを採用したCore i5-12500Hが優勢だ。

搭載BTOパソコンのラインナップは少ない

Ryzen 5 7535HSを搭載したBTOパソコンのラインナップは多くない。執筆時点でHPとマウスコンピューターから少しモデルが発売されているぐらいだ。モバイル向けモデルの製品を見ると、Ryzen 7000シリーズ/Ryzen 6000シリーズに加えてIntel第13世代/Intel第12世代Core iシリーズがある。現状かなり分散されている形だ。ユーザーからすると各CPUの性能を把握することが難しいのはデメリットだ。購入前にしっかりと性能を確認しておこう。

Ryzen 5 7535HSはそれほど性能の高いCPUではなく、組み合わせは60番台までのグラフィックボードに限定される。もっともGeForce RTX 4060 Mobileは従来モデルのGeForce RTX 2070 Mobileと同等以上の性能を持っている。CPUがボトルネックなってしまう可能性もある。Ada Lovelace世代ならGeForce RTX 4050 Mobileとの組み合わせがベストだろう。Ampere世代のGeForce RTX 3060 Mobileならまずまずバランスを取れる。

Ryzen 5 7535HSのベンチマーク一覧

Cinebench R23

cinebenchr15ryzen57635hs-cinebenchr23

Cinebench R23でCPUのレンダリング性能を計測していく。マルチコア性能は10,689で、シングルコア性能は1,432だ。スコア的には旧世代のRyzen 5 6600Hとほとんど変わらない。アーキテクチャはそのままにクロック周波数が少し高くなったぐらいなら妥当な数値だ。Core i5-12500Hと比べるとマルチコア性能が3%低く、シングルコア性能も17%低い。現行モデルの中では下位グループに属するCPUとなる。

Handbrake

handbrakeryzen57535hs-handbrake

動画のエンコードソフトHandbrakeでのパフォーマンスを見ていこう。上記テーブルはフルHD動画のエンコードに掛かる時間をまとめている。Ryzen 5 7535HSは34.0秒とCore i5-12500Hと同水準となった。Intel第11世代のCore i7-11800Hと同等だ。6コア12スレッドのCPUとしては健闘しているように思える。従来モデルのRyzen 5 6600Hと比べて4%程度パフォーマンスが改善されている。

7-Zip(圧縮)

zipryzen57535hs-assyuku

Zipファイルの圧縮速度をまとめている。Core i5-12500Hと同等の速度だ。Ryzen 5 6600Hと比べると12%程度速度が速くなった。一方で、Core i7-11800Hと比べると10%程度劣っている。Ryzen 5 7640HSとの性能差は30%以上と大きく、同じRyzen 5シリーズとは思えない。

7-Zip(解凍)

zipryzen57535hs-kaitou

解凍速度を見ると、Ryzen 5 6600Hとほとんど変わっていないことがわかる。Core i5-12500Hと比べても2%程度パフォーマンスが低い。Ryzen 5 7640HSになると30%近くもパフォーマンスで上回る。Ryzen 9 6900HS以上のモデルとCore i7-11800H以下のモデルで大きな壁がある。

Adobe Photoshop

photoshopryzen57535hs-photoshop

画像編集ソフトであるPhotoshop(PugetBench)でのパフォーマンスを見ていこう。従来モデルであるRyzen 5 6600Hよりも4%-5%程度スコアが高い。Intel第11世代のCore i7-11800Hに匹敵する性能を持っている。競合モデルであるCore i5-12500Hと比べると16%程度低い。シングルコア性能の差が出た形ではないかと思う。

Ryzen 5 7535HS搭載ゲーミングノートPC一覧

Victus 15(AMD)モデレートモデルG2(HP)

Victus 15amd価格:165,000円(税込) 104,545円(税込)
液晶:15.6インチFHD 144Hz
CPU:Ryzen 5 7535HS
GPU:GeForce RTX 2050 Mobile
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 512GB NVMe
コスパ:調査中

公式サイト

Ryzen 5 7535HS搭載モデルの中で最も安価な一台となる。15.6インチフルHDディスプレイを搭載している。本体重量は約2.29kgとやや重いが、持ち運びもできなくはない。グラフィックスにはGeForce RTX 2050 Mobileを搭載している。Ampere世代のグラフィックボードでマイナーな存在だ。ゲーミング性能的にはGTX 1650 Mobileと同程度でそれほど高くない。144Hzモニターを活かすのは難しいと考えておこう。メモリDDR5-4800 16GB・SSD 512GB NVMeと構成は平均的だ。

NEXTGEAR J6-A5G50GN-A (NEXTGEAR)

NEXTGEAR J6-A5G50GN-A価格:124,800円(税込)
液晶:16.0インチWUXGA 165Hz
CPU:Ryzen 5 7535HS
GPU:GeForce RTX 4050 Mobile
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 256GB NVMe
コスパ:8.3

公式サイトレビュー

マウスコンピューターのEC限定ブランドNEXTGEARの高コストパフォーマンスモデルだ。Ryzen 5 7535HS×RTX 4050 Mobile搭載で税込12万円台を実現している。送料無料+基本保証3年間であることを考えると割安だ。フルHDで60fpsを基準に考えるとよいだろう。設定次第では100fps以上を目指すこともできる。メモリDDR5-4800 16GB・SSD 256GB NVMeという構成だ。ストレージに関してはカスタマイズが必須だ。さすがに256GBでは複数のタイトルを保存することが難しくなる。最低でも500GBへアップグレードしておこう。もちろん外付けのストレージで対応してもよい。

NEXTGEAR J6-A5G60GN-A (NEXTGEAR)

NEXTGEAR J6-A5G50GN-A価格:149,800円(税込)
液晶:16.0インチWUXGA 165Hz
CPU:Ryzen 5 7535HS
GPU:GeForce RTX 4060 Mobile
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 500GB Gen4 NVMe
コスパ:調査中

公式サイト

グラフィックスにAda Lovelace世代のミドルクラスであるGeForce RTX 4060 Mobileを搭載した一台だ。16.0インチWUXGA 165Hz対応ディスプレイを搭載していてモニターのパフォーマンスを引き出すにはこれぐらいの性能が欲しい。本体重量は約2.29kgと16.0インチモデルとしては軽い。バッテリー駆動時間は約8.0時間だ。メモリDDR5-4800 16GB・SSD 500GB Gen4 NVMeと平均的だ。メモリ32GBへ増設してもよいかもしれない。より安定したPC作業が可能となる。初期構成での価格が抑えられていてカスタマイズもしやすいはずだ。

ベンチマーク検証機材

NEXTGEAR J6-A5G50GN-Asyoumen

モデルNEXTGEAR J6-A5G50GN-A
ディスプレイ16.0インチWUXGA 165Hz
CPURyzen 5 7535HS
GPUGeForce RTX 4050 Mobile
メモリDDR5-4800 16GB
ストレージSSD 256GB NVMe

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