当ページでは、CPU内蔵グラフィックスのゲーミング性能について徹底的に検証している。なんとかCPU内蔵グラフィックスで対応したいと考えている方必見だ。ゲームをプレイする上で、外付けのグラフィックボードが本当に必要なのかどうか知りたいという方はぜひ参考にして欲しい。一部のBTOメーカーからはCPU内蔵グラフィックスのみ搭載でゲーミングPCとして販売されていることもある。
結論から言うと、CPU内蔵グラフィックスは性能が十分とは言えず満足なゲームプレイができるとは言えない。ビジネスPC+αとして考えるべきだ。世代ごとに着実に性能は向上しているが、エントリークラスの50番台のグラフィックボードとの性能差も歴然だ。妥協して選ぶことはおすすめしない。ゲームプレイを考えているなら外付けのグラフィックボード(dGPU)を選択するのが吉だ。
当ページの目次
CPU内蔵グラフィックスとは?
CPU内蔵グラフィックスとは、Intel or AMD製CPUに内蔵されているGPU(グラフィックス機能)のことだ。IntelであればUHD 770 Graphics/UHD 750 Graphics、AMDであればRadeon Graphicsシリーズとなる。AMDの場合CPU内蔵グラフィックスを搭載したCPU(末尾G)のことを、APU(Accelerated Processing Unit)と呼ぶことがある。なお、Ryzen 7000シリーズからは末尾Gシリーズ以外でもCPU内蔵グラフィックスが搭載されるようになった。APUと比べてパフォーマンスが低く最低限のグラフィックス処理性能を持つに留まる。APUとは差別化が図られている形だ。
どのパソコンにもCPUは搭載されているので、内蔵グラフィックスを搭載したCPUを選べば、単体で販売されているグラフィックボードを別途購入する必要がなくコスト面で優位性がある。CPU内蔵グラフィックスの役割は一般的なアプリケーションの使用における3D処理となる。マイクロソフトオフィス(エクセル・ワード・パワーポイント)・Adobeソフト・動画視聴などであれば、問題なく対応することが可能だ。一方で、ゲームプレイやプロフェッショナル用途でのAdobeソフトの使用、3D CADに関するアプリケーションでの用途では力不足となる。
外付けのグラフィックボードと特徴を比較
CPU内蔵GPU | 外付けGPU | |
---|---|---|
価格 | 安価 | 普通~高価 |
本体大きさ | 省スペース | 普通~大きい |
パフォーマンス | 非常に低い | 低い~非常に高い |
GPUメモリ | システムメモリ共有 | 2GB~24GB |
消費電力 | 低い | 高い |
CPU内蔵グラフィックスと外付けのグラフィックボードの特徴を比較した。価格は当然CPU内蔵グラフィックスの方が安価だ。CPUを購入すれば付いてくる。外付けのグラフィックボードは、安価なモデルでも10,000円からで高価なモデルだと200,000円を超える。本体サイズはCPU内蔵グラフィックスの場合は内蔵されているため気になることはないだろう。グラフィックボードは性能に比例して大きくなる。上位モデルであるGeForce RTX 4090やGeForce RTX 4080になるとかなりの大きさと重さでマザーボードへの取付時にサポートステイが必要だ。
その他大きく異なるところとしては、GPUメモリの有無だろう。CPU内蔵グラフィックスは、GPUメモリが非搭載だ。代わりにメインメモリの一部を活用している。システムメモリは、GPUメモリに比べて速度が遅くどうしてもパフォーマンスは低くなってしまう。CPUとの共有という点でも不利だ。消費電力はCPU内蔵グラフィックスの場合は気にならない。CPUに合わせた電源ユニットを選択すれば問題はない。
外付けのグラフィックボードについては、性能に合わせて最適な電源ユニットを選択する。上位モデルになると消費電力がかなり高く850W GOLD以上の電源が必要だ。CPU内蔵グラフィックスと外付けのグラフィックボードは機能的には同じ役割を果たすが、特徴を見ればまったく異なるものだとわかるだろう。用途に合わせて最適な選択をして欲しい。
CPU内蔵グラフィックスの性能比較表
RTX 3050 | |
RX 6500 XT | |
GTX 1060 6GB | |
RX 6400 | |
GTX 1650 | |
GTX 1050 Ti | |
GTX 1050 | |
GTX 750 Ti | |
Radeon Graphics(6800U) | |
RX 550 | |
Radeon Graphics(5700G) | |
Iris Xe Graphics(1165G7) | |
GT 1030 GDDR5 | |
Radeon Graphics(5600G) | |
UHD Graphics 770 | |
Radeon Graphics(7700) | |
UHD Graphics 750 | |
Radeon Graphics(3400G) | |
GT 1030 GDDR4 | |
Radeon Graphics(7600) | |
UHD Graphics 730 | |
UHD Graphics 630 | |
GT 710 | |
HD 3000 |
緑色がIntel製CPU搭載のUHD Graphcsで、赤色がRyzenシリーズ搭載のRadeon Graphicsだ。オレンジ色がモバイル向けグラフィックスで参考として記載した。グラフを見てわかるとおりCPU内蔵グラフィックスは、Radeon Graphicsが優勢だ。とくに末尾GのいわゆるAPUは、CPU内蔵グラフィックスとしては高いパフォーマンスを発揮する。Ryzen 7 5700Gに搭載されているRadeon Graphicsは、Intel製のIntel UHD 770よりも20%高いグラフィックス処理性能を持っている。Intelの最新内蔵グラフィックスでもAPUには及ばない。第5世代Ryzenシリーズ以降は無印モデルやXモデルでも内蔵グラフィックスを搭載している。これらはAPUよりも性能が低くUHD Graphicsと同等の性能だ。
Ryzen 7 5700G搭載のRadeon Graphicsは、外付けのグラフィックボードであるGeForce GT 1030でさえも上回るパフォーマンスを持つ。下位モデルのRyzen 5 5600G搭載内蔵グラフィックスでも同等の性能を期待できる。一方で、3世代前の外付けグラフィックボードのエントリークラスであるGeForce GT 1050の半分程度の性能を持つに留まる。当サイトとしては、ゲームプレイを行う上でこのGTX 1050の後継モデルであるGTX 1650を最低基準としている。そう考えると内蔵グラフィックスではかなり厳しいことがわかる。これがCPU内蔵グラフィックスの現実だろう。
CPU内蔵グラフィックスの特徴&強み
省スペースかつ安価
CPU内蔵グラフィック最大の特徴は、省スペースかつ安価であるという点だ。CPUに内蔵されているという特性ゆえに場所を取ることがない。外付けのグラフィックボードになるととにかく大きくケースによっては搭載できないこともある。CPU内蔵グラフィックスの場合パソコン内部のスペースを考える必要がなくスリムタワーやキューブタワーでも問題なく利用可能だ。
価格も安価で搭載パソコンの価格も抑えられる。パソコンを購入しても内蔵されているグラフィックスまで意識することは少ないかもしれない。モニターへ画像を出力したり、Photoshopなどで簡易的な3Dアプリケーションを利用できたりするのは内蔵グラフィックスが存在しているからだ。そこまで高負荷なグラフィックス処理をしないのであればCPU内蔵グラフィックスでも十分カバーできる。
グラフィックス処理性能はそれほど高くない
CPU内蔵グラフィックスの処理性能は低めで複雑な3Dグラフィックスの取り扱いは苦手だ。確かに10年以上前に発売されたIntel第2世代Core i7-2700Kで採用されていたIntel HD 3000と比べると5倍程度性能が伸びている。用途としてはモニター出力や簡単な3Dグラフィックス処理が基本でアプリケーションにおける3Dグラフィックスを取り扱いやすくなったのは事実だ。しかしながら、外付けグラフィックボードとの差は広がるばかりだ。
例えば、Core i9-13900KのCPU内蔵グラフィックスであるIntel UHD 730とAmpere世代のGeForce RTX 3050では600%以上の差がある。CPU内蔵グラフィックス以上に外付けグラフィックボードのパフォーマンス向上は目覚しいものがある。CPU内蔵グラフィックスの場合スペースが限られていることと消費電力を高くできないことからパフォーマンスに制限が掛かるのは仕方がない。もちろん外付けのグラフィックボードとの差別化も重要だ。今後もCPU内蔵グラフィックスが、外付けのグラフィックボードの性能を上回ることはないだろう。
非搭載モデルも選択可能
実はすべてのCPUに内蔵グラフィックスが搭載されているわけではない。Intel製CPUは、第9世代Core iシリーズ以降CPU内蔵グラフィックス非搭載モデルがリリースされている。型番の末尾に「F」が付くモデルが該当する。通常のCPUよりも少しだけ安く設定されているのが嬉しい。非搭載モデルではグラフィックボードの搭載が必須だ。そうしないとモニター出力ができずパソコンとして機能しない。
ゲーミングPCなどでグラフィックボードを搭載する予定があるなら、価格の安いFシリーズは魅力的な選択肢となる。AMD製CPUについてはRyzen 7000シリーズがリリースされるまでは、末尾Gシリーズを除いてCPU内蔵グラフィックスは非搭載だった。現行のRyzen 7000シリーズではCPU内蔵グラフィックス非搭載の選択はできない。柔軟性に劣ってしまう状況だ。
ゲームプレイ時のフレームレート計測まとめ
Ryzen 7 5700X・Ryzen 5 5600G・Core i9-12900Kなどを中心にCPU内蔵グラフィックスのパフォーマンスを見ていく。現行のCore i9-14900K搭載のCPU内蔵グラフィックスであるIntel UHD 770も、Core i9-12900K搭載のUHD 770と同等だと考えてよい。Intel UHD 750も同様だ。CPU内蔵グラフィックスについてはそこまで変わっていないことは理解しておくとよい。
CSGO
Ryzen 7 5700G(Radeon Graphics) | |
Ryzen 5 5600G(Radeon Graphics) | |
Core i5-11600K(GT 1030) | |
Ryzen 9 5900HK(Radeon Graphics) | |
Core i7-1165G7(Iris Xe Graphics) | |
Core i9-12900K(UHD 770) | |
Core i5-11600K(UHD 750) | |
Core i9-10900K(UHD 630) |
中設定でのフレームレートを計測している。CSGOは負荷の軽めのタイトルでCPU内蔵グラフィックスでもある程度対応可能だ。Radeon Graphicsがトップのフレームレートを叩き出した。GT 1030と比べても7%以上もフレームレートが高い。
Ryzen 5 5600Gでも114.8fpsと十分すぎる数値だ。UHD 770と比べると75%以上もフレームレートが高くなっている。UHD 770ではRyzen 9 5900HXやCore i7-1165G7に搭載されているノート向けのグラフィックスに劣ってしまう。
Rainbow Six Siege
Ryzen 7 5700G(Radeon Graphics) | |
Ryzen 5 5600G(Radeon Graphics) | |
Core i7-1165G7(Iris Xe Graphics) | |
Ryzen 9 5900HK(Radeon Graphics) | |
Core i5-11600K(GT 1030) | |
Core i9-12900K(UHD 770) | |
Core i5-11600K(UHD 750) | |
Core i9-10900K(UHD 630) |
高設定時のフレームレートをまとめている。やはりトップはRadeon Graphicsだ。Ryzen 7 5700Gは、61.8fpsと高設定でのゲームプレイが楽しめる。下位モデルのRyzen 5 5600Gでも53.9fpsとまずまずのフレームレートを出している。
UHD 770と比べると65%以上もフレームレートが高い。モバイル向けのCore i7-1165G7の方がフレームレートが高くなっているのは驚きだ。Iris Xe Graphicsの性能は高めだと考えてよいだろう。Ryzen 9 5900HKをも上回っている。
Fortnite
Ryzen 7 5700G(Radeon Graphics) | |
Ryzen 5 5600G(Radeon Graphics) | |
Core i5-11600K(GT 1030) | |
Ryzen 9 5900HK(Radeon Graphics) | |
Core i7-1165G7(Iris Xe Graphics) | |
Core i9-12900K(UHD 770) | |
Core i5-11600K(UHD 750) | |
Core i9-10900K(UHD 630) |
低設定でのフレームレートを計測している。比較的負荷が軽めで高フレームレートを目指せるタイトルだ。Ryzen 7 5700Gでは112.3fpsとかなり高い。下位モデルであるRyzen 5 5600Gと比べて18%程度フレームレートが高い。GeForce GT 1030を上回るパフォーマンスは圧巻だ。Core i9-12900Kは53.5fpsとRyzen 7 5700Gと比べて半分以下のフレームレートに留まる。それでも旧世代のCore i9-10900Kと比べて67%も性能が引き上げられている。モバイル向けのIris Xe Graphicsはより高い性能を持っている。
Rocket League
Core i5-11600K(GT 1030) | |
Ryzen 7 5700G(Radeon Graphics) | |
Ryzen 5 5600G(Radeon Graphics) | |
Core i7-1165G7(Iris Xe Graphics) | |
Core i9-12900K(UHD 770) | |
Ryzen 9 5900HK(Radeon Graphics) | |
Core i5-11600K(UHD 750) | |
Core i9-10900K(UHD 630) |
中設定でのフレームレートを計測している。Rocket Leagueは唯一GT 1030がトップのパフォーマンスを発揮している。Radeon Graphicsと比べて60%近くもフレームレートが高い。それでもRyzen 7 5700Gでも87.6fpsとまずまずのフレームレートが出ている。Core i9-12900Kと比べて28%程度フレームレートが高い。60fpsを超えているのでIntel製CPUでもゲームプレイ上問題はなさそうだ。
Grand Theft AutoⅤ
Ryzen 7 5700G(Radeon Graphics) | |
Ryzen 5 5600G(Radeon Graphics) | |
Core i5-11600K(GT 1030) | |
Ryzen 9 5900HK(Radeon Graphics) | |
Core i7-1165G7(Iris Xe Graphics) | |
Core i9-12900K(UHD 770) | |
Core i5-11600K(UHD 750) | |
Core i9-10900K(UHD 630) |
最高設定でのフレームレートを計測している。Radeon Graphicsがトップ2つを占めている。GT 1030と比べて8%程度フレームレートが高い。Ryzen 5 5600Gに採用されているRadeon GraphicsがGT 1030と同等だ。1% Lowでは30%以上もフレームレートが高くやや安定感がある。UHD Graphicsだと18.4fpsとかなり苦しい。UHD 750やUHD 630も当然苦戦中だ。
CPU内蔵グラフィックス搭載ゲーミングPC一覧
STYLE-S0P5-R55G-EZ1X(パソコン工房)
価格:78,800円(税込)
CPU:Ryzen 5 5600G
GPU:Radeonグラフィックス
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:500GB NVMe
HDD:非搭載
電源:400W 80PLUS BRONZE
Ryzen 5 5600Gを搭載したビジネスモデルだ。税込7万円台でRyzen 5 5600G搭載モデルが購入できるのは魅力的だろう。ミニタワーケースを採用している。CPU内蔵グラフィックスとして現行最強クラスのグラフィックス性能を誇る。6コアで4.4 GHzを実現している。負荷の軽いタイトルならHD環境×低設定で対応できなくはない。純粋なCPU性能も高めでクリエイターPCとしてもおすすめだ。
LEVEL-M7P5-R75G-EZ1X(パソコン工房)
CPU:Ryzen 7 5700G
GPU:Radeonグラフィックス
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:500GB NVMe
HDD:非搭載
電源:500W 80PLUS BRONZE
Ryzen 5000Gシリーズの最上位モデルであるRyzen 7 5700Gを搭載した一台だ。8コア16スレッドとかなり高いCPU性能を持っている。Radeonグラフィックスも8コア、クロック周波数4.6 GHzと高い。他のモデルと同様にゲーム目的ではおすすめしづらい。GTX 1050と比べても大きくパフォーマンスは劣ってしまう。それでもIntelのCPU内蔵グラフィックスよりは性能が高いので、どうしてもCPU内蔵グラフィックスで対応したいと考えている方向けだ。コストパフォーマンスを考えるとRyzen 5 5600Gの方が優れている。CPUがボトルネックになる前にグラフィックスがボトルネックとなるためそれほど大きな差が生まれない。
Monarch GE 第13世代Core搭載(サードウェーブ)
CPU:Core i7-13700
GPU:Intel UHD Graphics 770
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:500GB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:550W 80PLUS BRONZE
サードウェーブが販売するミドルタワーモデルだ。CPUにはIntel第13世代Core i7-13700を搭載している。16コア24スレッドとスペックが高く幅広い用途に対応できる。グラフィックスにはIntel UHD Graphics 770を搭載している。Radeon Graphicsに比べるとパフォーマンスが劣ってしまうためゲームも楽しみたいと考えているなら避けた方がよいだろう。CPU負荷の高い作業向けのモデルだと言える。もちろんすでにグラフィックボードを所有しているなら取り付けるベースモデルとしても最適だ。
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VIC3とかのCIV等の、シミュゲーをメインにプレイしてるのですがその場合はAPUがかなり魅力的な選択肢になるのかなと感じてます。
もともとそこまでGPU要求が高くない上、画質設定やフレームレートを下げても特に面白さに関係ないんですよね。
終盤FPSはが5になりますとかでも別に問題ないですし。
それよりも下に書いてあるようなティック処理にかかる時間が増えるのがゲーム上のストレスとしては遥かに大きいです。
https://simulationian.com/2023/02/vic3-dd20230223/
パラドゲー以外にCIV6でも重要なのはFPSじゃなくて相手ターンが早く終わるのかのほうが重要です。
だから、体感としてシミュゲーのCPU推奨スペックは本当にあったほうがいいって感じだし
あればあるだけゲームが快適になるって印象なのに対して
GPUの方はまああればあったほうがいいけど最低があれば困んないよみたいな印象です。
またCPUもマルチコアへの対応が苦手ばゲームが多いのも特徴?かもしれません
そもそも物凄く重いゲームってわけではないのでそこそこのCPU+最低限のGPU性能ってわけで5700Gはいい選択肢ではと感じてます。
あとセーブロードと起動時以外は基本ローディングしないのでHDDでも大して困らないのかなとかんがえているのですがどうでしょうか。