AMD Radeon RX 6400 Challenger ITX 4GB画像引用元:https://www.asrock.com/ *イメージ

当記事では、Radeon RX 6400のスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。Radeon RX 6500 XTに次いで、6nmプロセスを使用したRDNA 2.0アーキテクチャ採用の新しいGPUが登場した。$159という価格でAMDの低価格帯のラインナップに加わった。競合モデルであるNVIDIAのGeForce RTX 30シリーズではこの価格帯のモデルはなく唯一の存在となる。

性能的にはNVIDIAの旧世代に当たるTuring世代のGeForce GTX 1650と同程度に留まる。価格を考えると特別コスパに優れているわけではないので注意が必要だ。この価格帯になると、GeForce GTX 1650・GeForce GTX 1060 6GBなどが候補に入る。搭載モデルはTSUKUMOから一台販売されているぐらいだ。

よくわかる!!Radeon RX 6400の特徴まとめ

  • (+)6nmプロセス採用で省電力性に長けている
  • (+)GTX 1650と同等のゲーミング性能を持つ
  • (+)発売から時間が経ちコスパは改善された
  • (-)GPUメモリ容量が4GBと控え目
  • (-)レイトレーシング性能が極端に低い
  • (-)AV1デコード及びハードウェアエンコード非対応
  • (-)PCI-Express 3.0接続時にはゲーム性能が落ちる

Radeon RX 6400の基本スペック

RX 6400RX 6500 XTRX 570
コードネームRDNA 2.0RDNA 2.0GCN 4.0
GPUNavi 24Navi 24Polaris 20
プロセス6nm6nm14nm
トランジスタ数54億54億57億
ダイサイズ107 mm²107 mm²232 mm²
コンピュートユニット121632
CUDAコア数76810242048
RTコア数1216-
ベースクロック1923 MHz2310 MHz1168 MHz
ゲームクロック2039 MHz2610 MHz-
ブーストクロック2321 MHz2815 MHz1244 MHz
GPUメモリ4GB GDDR64GB GDDR64GB GDDR5
メモリクロック16 Gbps18 Gbps7 Gbps
メモリバス幅64 bit64 bit256 bit
メモリバス帯域幅128.0 GB/s143.9 GB/s224.0 GB/s
Infinity Cache16MB16MB-
TDP53W107W150W
補助電源不要1x 6-pin1x 6-pin
価格$159$199$169
価格19,980円19,980円6,980円*
発売日2022/04/202022/01/192017/04/18
*中古価格

Radeon RX 6400のスペックを見ていこう。当該モデルは、2022年1月に発売されたRadeon RX 6500 XTと同じGPUであるNavi 24を採用しているグラフィックボードだ。6nmプロセスを採用している。トランジスタ数は54億で、ダイサイズは107mm²だ。RX 6500 XTと比べてコンピュートユニットが4つ減って、CUDAコア数は768基(12×64)となる。RTコアの数はコンピュートユニットと同数だ。

RX 6400のクロック周波数は上位モデルと比べるとかなり抑えられている。ベースクロック・ゲームクロック・ブーストクロックとそれぞれ12%、22%、21%低い。GPUメモリはGDDR6 4GBと共通だ。メモリクロックが10%程度低くメモリバス帯域幅が10%程度抑えられていて128.0 GB/sとなる。Infinity Cacheは16MBと変わっていない。TDPはおよそ半分で53Wだ。クロック周波数が低いことで省電力性が高められている。補助電源は不要だ。価格差は$40となる。

旧世代における比較対象モデルとしてRadeon RX 570を選択した。価格が$169と近いからだ。およそ5年前に発売されたモデルということになる。Radeon RX 570は、GCN 4.0アーキテクチャを採用していてGPUはPolaris 20だ。プロセスは14nmとなる。トランジスタ数は57億とRadeon RX 6400よりも6%高く、ダイサイズも2倍以上の大きさだ。CUDAコア数は2048とかなり多くなっている。当然アーキテクチャが異なるためCUDAコア数だけで性能が判断できるわけではない。

ベースクロックはRX 6400の方が68%高く、ブーストクロックも86%高い。GPUメモリも規格がGDDR5からGDDR6へとアップグレードされている。RX 6400のメモリ帯域幅はRX 570と比べて43%狭いが、そこはInfinity Cacheでカバーしている。TDPが150Wからおよそ1/3の53Wになったのは大きな進歩だ。プロセスも微細化されて省電力性に磨きが掛かっている。

Radeon RX 6400の最新評価【2024年】

エントリークラス相当のゲーミング性能を持つ

rx6400gamescore
Radeon RX 6400の性能は同性能帯のGeForce GTX 1650やIntel Arc A380と同等だと考えて間違いなさそうだ。ゲーミング性能は控え目でフルHD環境でも設定調整が必要になる。標準設定を基準にすれば60fpsでのゲームプレイが可能だ。GeForce GTX 1050 TiやGGeForce GTX 960などと比べると性能はワンランクアップだ。比較的新しいGeForce GTX 1630と比べても性能は高い。

一方で、Radeon RX 6500 XT・GeForce GTX 1650 SUPER・GeForce GTX 1060 6GB・GeForce GTX 1660 SUPERなどと比べるとやや見劣りしてしまう。将来性を考えるならこれらのモデルを選択肢に入れてもよいだろう。より安定したゲームプレイが可能だ。なお、現行モデルではAMDからもNVIDIAからもエントリークラスのモデルはリリースされていない。NVIDIAは一世代前のGeForce RTX 3050が該当する。Radeon RX 6400よりも50%以上ゲーミング性能が高い。

中古のコストパフォーマンスは悪くない

製品名ゲーム性能VRAM価格コスパ
RTX 3050(中古)14,7348GB27,9800.527
GTX 1660 SUPER(中古)13,9136GB14,9800.929
RX 6500 XT(新品)12,3164GB19,9800.616
RTX 3050 6GB(新品)11,7246GB26,9800.435
GTX 1650(新品)9,5064GB21,7500.437
RX 6400(新品)9,3924GB19,9800.470
RX 6400(中古)9,3924GB12,9800.724
Arc A380(中古)9,3586GB16,9800.551

Radeon RX 6400の新品価格は19,980円~だ。実は上位モデルであるRadeon RX 6500 XTと同じ価格だ。この価格設定ならRadeon RX 6500 XTを選ぶべきだ。Radeon RX 6400を選ぶなら中古がよいように思う。中古価格は12,980円~と順調に価格が下がっている。GeForce GTX 1660 SUPERはより優れたコストパフォーマンスを誇る。Radeon RX 6400はタマが少ないためか中古での入手ハードルがやや高い。

Radeon RX 6400の特徴&強み【発売時点】

6nmプロセス採用で省電力性に優れている

rx6400watt

Radeon RX 6400は、最新の6nmプロセスを採用したモデルで省電力性の高いグラフィックボードとなっている。RDNA 2.0アーキテクチャになって5年前に発売されたRadeon RX 570と比べて35%程度も消費電力が抑えられている。性能的に6%劣っているが、それで35%も省電力性が高いのであれば魅力的だろう。ただし、同等の性能を持つGTX 1650よりも少し省電力性が高い程度大きな差があるわけではない。

ハードウェアデコード・エンコードのサポートがない

RX 6400は、ハードウェアデコード及びエンコードのサポートをしておらず機能面で上位モデルとの差別化が図られている。具体的にはH264/H265のハードウェアエンコード及びAVIデコーディングに非対応ということになる。

RX 6500 XTでも同様にサポートされていないため、これらの機能が必要ならRadeon RX 6600以上を選択しなければいけない。動画編集などクリエイター作業を考えている方は注意が必要だ。GPUを活かしてアプリケーション作業の効率化は行えない。

PCIe 3.0接続ではゲーミングパフォーマンスが落ちる

rx6400pcie3.0画像引用元:(TECHSPOT, 2022)

PCIe 3.0接続時にはゲーミング性能が15%程度落ちてしまうというのは注意すべきポイントだ。これは同じNavi 24採用のRadeon RX 6500 XTでも見られる傾向となっている。旧システムへの換装を考えている方は避けた方がよいだろう。

PCIe 3.0接続でのグラフィックボード選びを考えているならGTX 1650やRadeon RX 570がおすすめだ。パフォーマンスが定価するということがないからだ。PCIe 4.0接続時であればGTX 1650と同程度のゲーミング性能を期待できる。

性能・機能を考慮すると$159という価格では割高感がある

Radeon RX 6400は割高感のあるグラフィックボードだと言える。この性能がRadeon RX 550とように$100以下で販売されていればまた評価も違ったのではないかと思う。3年前に発売されたGeForce GTX 1650よりも$10高く同等の性能では物足りない。2022年5月でどうしてリリースされたのか疑問が残る。

また、同じAMDで5年前に発売されたRadeon RX 570と比べても性能で劣ってしまう。ゲームをメインに考えているなら避けるべきモデルだ。この価格帯なら候補も多くGTX 1650・Radeon RX 570などがある。これらのモデルなら、ハードウェアデコードに対応していたり、PCIe 3.0接続でもパフォーマンスが落ちなかったりとメリットが大きい。

Radeon RX 6400のフレームレート一覧

Borderlands 3

boarderland3

RX 5500 XT 4GB87.0
39.7
RX 6500 XT81.2
37.4
GTX 1650 SUPER76.8
38.8
GTX 1060 6GB72.5
36.6
RX 570 4GB68.9
33.8
GTX 165056.1
28.2
RX 640055.2
27.9
GTX 1050 Ti42.8
21.2
標準設定最高設定
Borderlands 3ではおおよそGTX 1650と同等のフレームレートを出している。標準設定でも60fpsに届かないのは厳しい。RX 570と比べると標準設定では20%低く、最高設定では19%低い。これまでの最下位モデルであるRX 6500 XTになると40%以上もフレームレートが高くなる。ゲームプレイをメインに考えている方にとってはやや選びづらいといえるかもしれない。

Far Cry 6

farcry6

RX 6500 XT83.0
43.4
RX 5500 XT 4GB81.9
45.2
GTX 1650 SUPER80.7
42.2
RX 570 4GB67.1
39.5
RX 640067.0
40.3
GTX 1060 6GB63.6
48.8
GTX 165061.5
41.5
GTX 1050 Ti40.8
25.5
標準設定最高設定
Far Cry 6ではGTX 1650と同等以上のフレームレートを叩き出している。標準設定では9%高く、最高設定では3%低い。標準設定なら67.0fpsとある程度余裕がある。Radeon RX 570と比べても同等以上のパフォーマンスで期待以上だ。RX 6500 XTとの性能差は24%だが、最高設定ではその差は8%程度とそれほど大きくない。RX 6500 XTのGPUメモリ容量の少なさがボトルネックとなっている可能性がある。

Horizon Zero Dawn

horizon zero dawn

RX 5500 XT 4GB84.1
58.5
GTX 1650 SUPER74.2
52.6
RX 6500 XT70.7
56.7
GTX 1060 6GB68.9
48.9
RX 570 4GB62.4
45.0
GTX 165055.9
39.7
RX 640053.8
40.1
GTX 1050 Ti36.7
31.3
標準設定最高設定
Horizon Zero DawnでもGTX 1650と同等以上のパフォーマンスを発揮している。標準設定では4%程度低いが、最高設定では1%高い。RX 570との差は15%前後フレームレートが高くなる。上位モデルであるRadeon RX 6500 XTになれば30%以上フレームレートが高い。

Radeon RX 6400搭載おすすめゲーミングPC

G-GEAR GA3A-A221/B(TSUKUMO)

G-GEARmini価格:104,800円(税込)
CPU:Ryzen 3 4100
GPU:Radeon RX 6400
メモリ:DDR4-3200 16GB
ストレージ:SSD 500GB NVMe
電源:500W 80PLUS BRONZE
コスパ:調査中

TSUKUMOから搭載モデルが販売されている。PCIe 4.0接続などでパフォーマンス面も安心だ。CPUにはRyzen 3 4100を搭載している。4コア8スレッドとスペックは控え目でゲーム適性も低い。Radeon RX 6400との組み合わせならそこまでアンバランスではないが、予算に余裕があるのであればRyzen 5 5500(+5,500円)へアップグレードするとよい。もっとも低価格なモデルが揃うGeForce GTX 1650搭載モデルが競合となるためやや選びづらさがある。

参照外部サイト

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