クリエイターPCがゲーミングPCの代用として使えるのかどうかについて検証していく。結論としてクリエイターPCはゲーミングPCの代わりになり得る。高性能なCPUやグラフィックボードを搭載しているのはクリエイターPCもゲーミングPCも同じだからだ。それにも関わらずブランドが分かれているのはBTOメーカー側の都合もあるだろうが、目的によって選ぶべきブランドがわかりやすくなるというユーザー側のメリットもある。
クリエイターPCとは
クリエイターPCとは、クリエイター作業を快適に行うことを目的として販売されるパソコンのことだ。具体的には動画編集・ゲーム実況・WEBデザイン・ゲーム開発・画像生成AI・3D CADなどが該当する。高性能なグラフィックボードやCPUを搭載しているのが一般的だ。それは高い3Dグラフィックス処理性能及びCPU処理性能を要求されるからで、CPU内蔵グラフィックスや安価なCPUでは追いつかない。
なお、クリエイターPCのグラフィックボードはGeForceやRadeonだけではなく、プロフェッショナル向けのNVIDIA RTX Aシリーズ/Tシリーズ(旧Quadro)が選択されることもある。メモリ容量も16GB以上が当たり前で、ストレージも大容量なことが多い。当然その分価格は高めになってしまう。ゲーミングPCと比べると販売台数を伸ばしづらいことも価格が上がってしまう要因となりそうだ。BTOメーカーごとに特性が異なるのでその点についても詳しく見ていく予定だ。
クリエイターPCのブランド一覧
- GALLERIA(サードウェーブ)
- DAIV(マウスコンピューター)
- SENSE∞(パソコン工房)
国内BTOメーカーで販売されている主なクリエイターブランドは上記の通りだ。GALLERIAとDAIVブランドが人気だ。イベントなどでの露出も多く、クリエイターブランドとして確固たる地位を築いているように思える。実はドスパラのクリエイターPCはraytrekだったが、今はGALLERIAでゲーミングPCと統一されている。raytrekはビジネス向けPCと変更された。
ゲーミングPCの定義と照らし合わせよう
ゲーミングPCの定義は、FPS・TPS・MMORPGなどのオンラインゲームを快適にプレイすることに特化したPCのことだと考えている。もちろん定義についてはいろいろな解釈あるはずで、それらの内の一つだと認識していただければと思う。
クリエイターPCとは何かを知ったところで、ゲーミングPCの定義と照らし合わせて行こう。ゲーミングPCとは、オンラインゲームを快適にプレイすることを目的としたパソコンのことだ。用途的にはクリエイターPCとは異なっている。ではその中身だが、”高性能なグラフィックボード”を搭載していてクリエイターPCと共通であることがわかる。また、高性能なグラフィックボードに対して高性能なCPUが選択されることが多い。これでクリエイターPCがゲーミングPCの代わりになることがイメージできるのではないだろうか。
筆者としてはクリエイターPCというのはBTOメーカーにとってのマーケティング手法の一つではないかと思っている。BTOメーカーとしてはゲーミングPCのように一つのカテゴリーを作りたいということだ。ゲーミングPCのような中身でもケースや構成を少し変えることで新しい製品を販売できる。もちろんユーザーからしても用途に合わせて選びやすいというメリットがある。
クリエイターPCとゲーミングPCを比較
各BTOメーカーのクリエイターPC及びゲーミングPCを比較していく。メーカーごとの特性もわかるだろう。
サードウェーブ(ドスパラ)
ブランド名 | GALLERIA | GALLERIA |
---|---|---|
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製品名 | GALLERIA RM7C-R46-C Intel Core Ultra搭載 |
GALLERIA RM7C-R46 Intel Core Ultra搭載 |
ケース | ミニタワー | ミニタワー |
価格 | 239,980円 | 194,980円 |
送料 | 3,300円 | 3,300円 |
CPU | Core Ultra 7 265F | Core Ultra 7 265F |
CPUクーラー | 空冷 | 空冷 |
GPU | RTX 4060 | RTX 4060 |
メモリ | DDR5-4800 16GB | DDR5-5600 16GB |
SSD | 1TB Gen4 NVMe | 500GB Gen4 NVMe |
電源 | 650W BRONZE | 650W BRONZE |
マザーボード | B860 | B860 |
光学ドライブ | オプション | オプション |
カードリーダー | × | × |
キーボード&マウス | なし | なし |
無線 | オプション | オプション |
公式 | 公式 | 公式 |
サードウェーブではクリエイターPCとゲーミングPCでブランドが統一されている。ケースについてはクリエイター向けブランドではフラットサイドパネルが採用されていてアクリルウインドウはない。製品名を見るとクリエイターPCでは末尾に「-C」が付されているだけで大きな違いがないことがわかる。
クリエイターPCではストレージ容量が倍増となっているものの、ゲーミングPCではメモリ規格が格下だ。それだけで価格差が45,000円もある。仮にゲーミングブランドのGALLERIA RM7C-R46 Intel Core Ultra搭載をカスタマイズしても+6,000円だ。これだけの価格差があるようには思えない。GALLERIAではクリエイター向けGPUであるNVIDIAシリーズを搭載したモデルは販売されていない。
マウスコンピューター
ブランド名 | DAIV | G TUNE |
---|---|---|
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製品名 | DAIV FX-I7N40 | G TUNE FG-A7G80 |
ケース | ミドルタワー | フルタワー |
価格 | 639,800円 | 569,800円 |
CPU | Core Ultra 7 265K | Ryzen 7 9800X3D |
CPUクーラー | 水冷 (240mm) |
水冷 (360mm) |
GPU | RTX 4000 Ada | RTX 5080 |
メモリ | DDR5-5600 64GB | DDR5-5600 32GB |
SSD | 2TB Gen4 NVMe | 2TB Gen4 NVMe |
電源 | 750W BRONZE | 1200W PLATINUM |
マザーボード | Z890 | B650 |
光学ドライブ | オプション | DVDスーパーマルチ |
カードリーダー | × | × |
キーボード&マウス | なし | なし |
無線 | 標準搭載 | 標準搭載 |
公式 | 公式 | 公式 |
マウスコンピューターではクリエイターPCとゲーミングPCでしっかりと差別化されている。ブランドも違えばケースも違う。ターゲットに合わせたデザインだ。G TUNEブランドはゲーム特化型CPUであるRyzen 7 9800X3Dを選択できる。3D V-Cache搭載モデルをクリエイターブランドで搭載するメリットは小さい。Ryzen 7 9800X3DではなくRyzen 7 9700Xを選ぶ方がコスト的にも好ましい。マルチコア性能だけなら3D V-Cache搭載モデルと変わらない。
また、DAIVブランドではNVIDIA RTX 4000 Adaシリーズなどクリエイター向けGPUが選択可能だ。ゲーム性能だけで見ればかなり割高なのでNVIDIAシリーズをゲーミングブランドで利用するメリットはない。ストレージや電源はそこまで違いはない。NVIDIAシリーズは消費電力が抑えられていることから電源ユニットの容量が小さくなる傾向にある。光学ドライブやカードリーダーはケースに依存する形だ。DAIVブランドでも光学ドライブが標準搭載ではなくなったのは興味深い。SDカードリーダーについてはそもそも搭載できない。
結論:クリエイターPCでもゲーミングPCとして使える
当サイトの結論としては、クリエイターPCでもゲーミングPCとして使えるということだ。クリエイターPCもゲーミングPCと同様に高性能なグラフィックボードを搭載していて3Dゲームに対応できるのだ。クリエイターPCとゲーミングPCの中身は基本的に似ていてマーケティングの手段として使われているだけだと見ることもできる。両者の大きな違いを挙げるとすると、ケースデザインやCPU・グラフィックボードなどの構成ぐらいだろう。
光学ドライブやSDカードリーダーはクリエイターPCでもあまり搭載されなくなっている。グラフィックボードについては、クリエイターPCでもゲームを得意としているGeForceやRadeonシリーズを搭載していることが多いが、プロフェッショナル向けのNVIDIA RTX A/NVIDIA Tシリーズを搭載していることもある。後者でもゲームプレイに対応できるもののゲーミング性能は低めでコストパフォーマンスが悪い。