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円高及び円安とゲーミングPC価格との関係について解説している。ドル円の変動が大きくなるとXなどでも話題になることが増えてくる。2025年1月時点で$1=156.3円まで円安が進んでいる。これだけ為替が動くとゲーミングPCに与える影響が気になるところだ。マイニングブームが終わり一時のグラフィックボード価格の高騰が落ち着いてきたと思ったら次は円安だ。

各BTOメーカーのゲーミングPCやPCパーツの価格を見ている限り円安の影響を受けていることは間違いなさそうだ。ゲーミングPCは為替相場の影響を受けやすい商品の一つとなっている。なぜならゲーミングPCの構成要素であるPCパーツは海外製が大半だからだ。特にCPUやグラフィックボード価格の与える影響が大きい。Xを見ても円安を嘆くパーツメーカーが多いことに気付く。ドル円の為替変動を注視するのもおもしろいのではないかと思う。

円高や円安の基礎知識

円高及び円安って何のこと!?

円高とは、円の他通貨に対する相対的価値、言い換えると、円1単位で交換できる他通貨の単位数が相対的に多い状態のことです。

逆に、円安とは、円の他通貨に対する相対的価値(円1単位で交換できる他通貨の単位数)が相対的に少ない状態のことです。

引用元:円高、円安とは何ですか? :日本銀行 Bank of Japan

円高・円安とは一体なんなのかについて考えてみよう。定義としては上記の通りだ。日本銀行から引用している。かなり簡単にいうと円高は円の価値が他の通貨と比べて相対的に高い状態、円安は円の価値が低い状態のことである。

ドル円で考えられることが多いのでドルと円の価値を見ていこう。$1=120円と$1=100円だとどちらが円高なのかわかるだろうか。正解は後者の$1=100円だ。少ない円でより多くのドルに交換できるから円の価値が高いということが言える。今は$1=156円と極端な円安になっている。

ドル円チャート【2009年01月-2025年01月】

dollar-yen画像引用元:https://www.gaitame.com/

2007年9月以降のドル円推移がわかるチャートだ。2025年1月時点で156円台と円安が進んでいることがわかる。長らく120円以下で収まっていたのが2022年1月に120円の壁を超えてから一気に円安になった。30%程度も上昇していることになる。2025年1月に日銀は利上げで円高に動くかと思いきや影響がなく円安が続いている。円安が進むということはゲーミングPCにとっては不利な状況になる可能性が高い。その理由について詳しく見ていこう。

為替変動がゲーミングPC価格に与える影響について

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画像引用元:http://www.itmedia.co.jp/

ゲーミングPCを構成するPCパーツの多くが海外製だからというのがその理由だ。OSはMicrosoft(米国)、CPUはIntel/AMD(米国)、グラフィックボードはNVIDIA/AMD(米国)、マザーボードはASUS(台湾など)と国産はない。BTOメーカーが国内メーカーであっても仕入れている製品が海外製なので相場の影響を受けるのは必然だ。結果的にゲーミングPCなどパソコン全般は為替の影響を受けやすい。一般的には円高になるとパーツ価格は下がり、円安になるとパーツ価格は上がる。

ただし、国内BTOメーカーは為替変動リスクのヘッジを行っているので為替が大きく動いたからといってすぐに価格が変わるわけではない。具体的なヘッジ手段としては為替予約・金利スワップ・通貨スワップ・外貨建て借入金などが挙げられる。私の感覚では円高になると円高還元キャンペーンが行われて消費者に還元しているが、円安になっても価格を露骨に上げているというのを見たことがない。

つまりゲーミングPCに与える影響はよいものがほとんどで悪い影響は与えないと考えてもよいだろう。長期的に円安が続いてしまったらさすがに価格変動があるかもしれない。為替の影響をいち早く知りたいのであれば秋葉原や大阪の日本橋でのポップを見てみると良い。円高という文字がたくさんあれば影響を受けていると考えることができる。

残念ながら2022年以降の極端な円安での影響は避けられない。ドスパラ・マウスコンピューター・パソコン工房などのモデルは軒並み価格が上昇している。海外メーカーでも同様だ。下記に参考としてHPの価格改定を挙げた。もちろんインフレの影響もあるので全てが円安の影響とは言えない側面もある。

参考
hpneage
長引く年安の影響もあり、HPでは11月以降個人向けのパソコンの一部について値上げを実施する旨が記載されている。

MSRP(海外定価)と国内価格を比較検証

rtx5090出典:https://www.zotac.com/

2025年1月30日にBlackwell世代の最新グラフィックボードが登場する。そのハイエンドモデルであるGeForce RTX 5090のMSRPは$1,999だ。これを今の1$=156円換算すると311,844円だが、国内予想販売価格は393,800円~となっている。為替でいえば1$=197円となる。グラフィックボードにしてもCPUにしてもMSRP通りに販売されることはなくどうしても割高になってしまう。それはASK税・インフレ・部材高騰・プレミアなど様々な要因が考えられる。円高だろうと円安だろうと国内価格は高くなるのだ。もっともここまでの円安でなければ販売価格はもう少し抑えられた可能性はある。新しいグラフィックボードを搭載したゲーミングPCは割高になるのは仕方がない。

rtx4060tiwindforce出典:https://www.gigabyte.com/

2023年5月24日に発売されたGeForce RTX 4060 Tiについても見ていこう。MSRPは$399円で1$=156円で計算すると62,244円だ。国内販売価格は65,000円前後でおおよそMSRPと同じぐらいだ。今は次世代モデルへの切り替わりのタイミングということもあって在庫が少なくなっている。発売から時間が経てばASK税なや希少性によるプレミアなどは消滅する。あとはインフレや部材高騰の影響がどの程度かといったところだ。万が一円高になれば価格が下がることも期待できる。

パーツメーカー&PCショップの生の声

最後に

円高及び円安がゲーミングPC/日本市場に与える影響について考えてみた。円高になるとPCパーツの価格が下がるので、一般消費者にとってメリットとなる。パーツ単位で購入する自作PCユーザーにはよりメリットが大きくなる。一方で、BTOパソコンを購入する方にとってはそれほど影響を受けることはない。なぜなら大手BTOショップが為替変動を予測してパーツの在庫を持っていること、代理店が在庫を持っていることが挙げられる。円高が長く続けば影響を受ける可能性があるが、短期的に見るとそれほど関係ないと考えてよい。

円高になったから買おう、円安だから買い控えようと買い時を図るのはナンセンスだ。当サイトとしては円高及び円安について神経質になる必要はないと考えている。2025年まで続く円安は明らかに影響が出ている。それでも将来を予測することは難しく待ったからといって安く購入できる保証はない。インフレについても考慮しなければいけない。なお、日本にとって円高・円安のどちらがよいのかを議論するつもりはない。そこは専門サイトに任せることにする。