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ゲーミングPCの電気代を検証していく。サンワサプライ製のワットモニター(SANWA TAP-TST8N)を使えば簡単に消費電力を計測できる。消費電力がわかれば電気代を算出することが可能だ。ゲーミングPCの電気代はそこまで高いわけではないので安心してほしい。ハイエンドモデルでかなり高く見積もっても1時間50円程度だ。より身近な家電であるエアコンの方が電気代は高い。

電気代の計算方法を解説

denkidaisikumi出典:(TERASELでんき,2023)

電気代/月=基本料金+電力量料金(±燃料費調整額)+再エネ賦課金

毎月の電気代は上記式に数値を当てはめることで計算できる。基本料金はゲーミングPCに関係なく必要な費用のため、基本料金は除外して電力量料金と再エネ賦課金からゲーミングPCの電気代を求めていく。

電気代/1kWh=電力料金単価(+-燃料調整単価)+再エネ賦課金

40.72円/1kWh=26.49円(+10.25円)+3.98円

1kWh(1,000W)当たりの電気代は上記の通りだ。計算を単純化するために1kWh当たり40円とする。これを元にゲーミングPCの電気代を算出してみよう。

電力量料金

電力量料金は料金単価×使用量に燃料費調整額を加減して求められる。料金単価は多くの電力会社で3段階用意されていて利用量が増えるほど単価が上がる仕組みだ。当ページでは東京電力の第2段階の単価である「26.49円/1kWh(東京電力エナジーパートナー株式会社, 公開年不明)」を料金単価として使用する。使用量の単位は1kWhとなる。ゲーミングPCではW表記となっているのでkWhに変更する必要がある。500Wなら0.5kWhだ。

燃料費調整額

上記で求めた電力量料金燃料費調整額が加減されて電力量料金が決まる。燃料費調整額は原油価格や液化天然ガス価格などの価格変化を調整するためのものだ。プラスのこともあればマイナスになることもある。東京電力の2023年4月分の燃料費調整単価は「10.25円/1kWh」だ。

再エネ賦課金

再エネ賦課金は、再生可能エネルギー発電促進賦課金単価のことで毎年経済産業省によって定められる。再生可能エネルギーを支えるための制度となっている。再エネ賦課金は2025年5月から2026年4月分までは「3.98円/kWh」だ。

今すぐざっくりとした電気代を知りたい方向け

性能帯 電源容量 1時間 5時間 1ヶ月(1日1時間) 1ヶ月(1日5時間)
ウルトラハイエンドクラス 1200W 34円 168円 1,020円 5,100円
ハイエンドクラス 1000W 28円 140円 840円 4,200円
ハイクラス 750W 21円 105円 630円 3,150円
ミドルクラス 600W 17円 84円 510円 2,520円
ローエンドクラス 500W 14円 70円 420円 2,100円
エントリークラス 350W 10円 49円 30円 1,470円
一般クラス 100W 3円 14円 90円 420円

手っ取り早く電気代を把握したいという方は、搭載している電源ユニットのワット数を元に電気代を導き出すとよい。電源ユニットの容量がわからない方は「電源の調べ方は?(別記事)」を参考にして欲しい。電源ユニット以上の消費電力になることはないので、今回は電源ユニットの次第容量の70%で計算した。わかりやすくするためにモニターについては無視している。

実際のゲーミングPCの消費電力を測ってみた

wattmonitor

項目 搭載パーツ 消費電力目安
モニター MSI OPTIX-MAG342CQRV 46.0W
CPU Core i9-9900K 119.0W
GPU GeForce RTX2070 SUPER VENTUS OC(MSI) 215.0W
メインメモリ DDR4-2666 16GB 6.0W
SSD 500GB NVMe 1.0W
HDD 1TB 4.6W
マザーボード Z390チップセット 6.0W
電源ユニット 750W 80PLUS GOLD

使用したゲーミングPCは、Core i9-9900K×RTX 2070 SUPER・メモリ16GB・SSD 500GB・HDD 1TBという構成だ。消費電力を合計すると397.6Wだ。すべてのパーツに最大負荷がかかった場合の最大値だ。場合によっては一時的に超えることもある。397.6Wで算出した電気代は1時間当たりおよそ16円となる。今となっては少し古いモデルかつ当時のミドルハイクラスモデルなので、それほど消費電力が高いわけではない。近い内に更新する予定だ。最新モデルになると性能の高さに比例して消費電力が高くなっている。次の項目から実際に計測していく。

アイドル時

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アイドル時の消費電力は57.6Wだ。モニター46.0Wを足すと、103.6Wということになる。

0.103.6kWh(消費電力)×40円(目安単価)×1h=4.144円

Youtube視聴時

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Youtube視聴時はアイドル時よりも20%程度増えて69.5Wだ。モニターの消費電力が46.0Wとすると115.5Wとなる。

0.115.5kWh(消費電力)×40円(目安単価)×1h=4.620円

FF 14ベンチマーク測定時

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FF 14のベンチマーク測定時は305Wとなる。パソコンに相当の負荷が掛かるベンチマークソフトでゲームプレイ時の数値に近いはずだ。モニターの消費電力を足すと351Wだ。

0.351.0kWh(消費電力)×40円(目安単価)×1h=14.040円

ゲームプレイ時の電気代は1時間当たり14円程度であることがわかる。

ゲーミングノートPCの消費電力を計測

項目 搭載パーツ 消費電力目安
CPU Core i7-12900H 115.0W
GPU GeForce RTX 3070 Ti Mobile 125.0W
メインメモリ DDR4-3200 32GB 12.0W
SSD 1TB NVMe Gen4 1.0W
HDD 非搭載

「G-Tune H5-LC(販売終了)」の消費電力を測定している。もっとも高いパフォーマンスを期待できる”パフォーマンス設定”での消費電力だ。水冷ボックスは使用していない。水冷ボックス自体の消費電力はそれほど大きくないがわかっている。パーツごとの消費電力を合わせると253.0Wとなる。電気代は1時間当たり10.1円程度(0.253×40)だ。デスクトップで検証したモデルと比べて新しいこともあって性能・消費電力共に上だ。

アイドル時

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アイドル時は39.8Wとなる。最大でも40Wちょっとだ。ゲーミングノートPCになるとアイドル時でもそれなりの消費電力となる。

0.0398kWh(消費電力)×40円(目安単価)×1h=1.5920円

Youtube視聴時

g-tune_h5-lc-youtube
Youtube視聴時は49.2Wとアイドル時よりも少しだけ高くなっている。

0.0492kWh(消費電力)×40円(目安単価)×1h=1.9680円

FF 14ベンチマーク測定時

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FF 14のベンチマーク測定時は243.0Wまで上がる。これはパーツごとの消費電力を合わせた253.0Wに近い数字であることがわかる。

0.243.0kWh(消費電力)×40円(目安単価)×1h=9.7200円

ゲームプレイ時の電気代は1時間当たり10円程度であることがわかる。

ゲーミングPCの電気代を少しでも抑える方法

ゲーミングPCの節約方法を見ていこう。ただし、節約をしても大幅に電気代を抑えられるわけではない。そこまで気にしなくてもよいだろう。あまり節約しすぎてもストレスが溜まりそうだ。

シャットダウン or スリープを活用する

電気代を抑える上でもっとも効果的な方法は、使用しない時はしっかりとパソコン本体の電源を切ることだ。アイドル時でも1時間当たり3円程度の費用が掛かってしまう。動画などを垂れ流しにしているともう少し電気代は上がってしまうだろう。シャットダウンが面倒ならスリープモードにしておけばOKだ。スリープ時でも電気代はアイドル時のおよそ1/100になる。実質電源を切っているのと変わらない水準だ。

部屋の温度を下げる

部屋の温度を下げるのも有効な手段だ。本体内部に熱がこもるとCPUファンやケースファンの稼働が活発になり消費電力が高くなってしまう。各種ファンの稼働を抑えられればその分消費電力も抑えられる。当然本体に熱がこもると各パーツの故障リスクも上がり、電気代以上にコストが掛かることに繋がる。特に夏場は室内の温度管理をしっかりと行おう。

安価な電力会社へ切り替える

電力会社を変更するというのも有効な手段となる。電力の自由化でさまざまな小売電気事業者からあなたにあった事業者を選択することができる。例たとえば、オール電化なら夜の電気代が安くなるプランの方がお得だろう。エコキュートは深夜の間にお湯を沸かすことで電気代を抑える仕組みがあるからだ。

夜型の方だったり、日中は働いていて自宅にほとんどいない方だったりすれば昼よりも夜の料金が安いプランがおすすめだ。反対に夜は早めに眠り、日中在宅ワークなどで電気を利用することが多い方なら昼の電気代を重視したプランの選択がおすすめだ。事業者ごとに電気料金プランが異なるので、時間を掛けて比較検討してみるとよい。

ゲーミングPCと電気代に関する迷信まとめ

なんとなく当たり前だと思っていることでも事実は異なるということがある。ここでは、多くの方が誤解しているパソコンと電気代に関する迷信についてまとめた。

光るゲーミングPCは電気代が高い

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光るゲーミングPCで搭載されるLEDの電気代は無視できるレベルと言えるだろう。LEDは消費電力が低く電気代への影響も小さいからだ。見た目のインパクトに騙されてはいけない。10基のLEDファンをつけてもそれは変わらない。

パソコンを付けっぱなしにする方が電気代が掛かる

どうしてつけっぱなしのほうがよいと考えられるかというと、パソコンの立ち上げ時に消費電力が跳ね上がると考えられているからだ。確かにコンピューターを起動すると消費電力はわずかに高くなるが、ほんの少しの間でアイドル時より10%程度上がるだけだ。

消費電力が一時的に上がったといっても電気代は少しで計測できないぐらいで気にするほどではない。明らかにコンピュータを付けっぱなしにする方が、夜電源をオフにして翌日電源をオンにするよりも電気代が掛かると考えて間違いない。賢く使い分けるのがよさそうだ。

頻繁に電源のオンオフを繰り返すとPCパーツに悪影響

確かに数十年前であればコンピューターのオン・オフを繰り返すと、電源スイッチに潜在的なダメージを与える可能性はあった。これは電源ユニットの耐久性の問題があったからだ。BTOメーカーでも電源ユニットの品質について疑問声が多く上がっていた用に思う。

2000年以降に購入したパソコンであれば好きな時に電源のオンオフを繰り返してもよい。確実に耐久性が上がっているので電源のオンオフの繰り返しが原因で故障する可能性は低いだろう。とくに意識せずに使いたいように使うのがベストだ。

夜に電源を落としさえすれば日中にスリープモードは必要ない

コンピューターやモニターの電源を完全に落とすのがベストな選択であることは間違いないが、最近のパソコンはスリープモード時にほとんど消費電力は上がらない。当サイトの計測ではわずか1.3Wだ。1.3Wで1時間付けっぱなしにしても掛かる電気代は0.03円だ。断続的にパソコンの前をはなれる必要があるのであれば、電源を落とすよりもスリープモードにした方が利便性が高い。

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