当記事では、サイコムの販売するゲーミングPCであるG-Master Spear Z790/D5の詳細レビューをまとめている。初期構成ではCore i7-14700K×GeForce RTX 4060を搭載している。これをベースにカスタマイズで自分好みに仕上げよう。カスタマイズ内容を反映したURLを発行できるようになったので、いつでもカスタマイズ画面を呼び出すことができる。カスタマイズ画面下部の「クリップボードへコピー」をクリックしてURLを発行しよう。友人やSNSで構成の相談がしやすくなった。
当該モデルはサイコムの中でも売れ筋モデルの一つだ。Z790チップセット・DDR5メモリ搭載のハイエンドモデルとなっている。CPUクーラーもNoctua製「NH-U12S redux」を採用するなどこだわりが見える。PCケースはゲーミングPCでも人気の高い「CoolerMaster MasterBoxCM694」を採用している。クリアガラスパネルを選択することも可能だ。カスタマイズをしないとかなり割高なのでその点注意は必要だ。定期的に価格調整が行われるため公式サイトの価格を必ず確認しておくとよい。
当ページの目次
G-Master Spear Z790/D5のスペック解説
メーカー | サイコム |
---|---|
ブランド名 | G-Master |
製品名 | G-Master Spear Z790/D5 |
価格 | 275,140円(税込) |
CPU | Core i7-14700K(レビュー) |
GPU | GeForce RTX 4060(レビュー) |
メモリ | DDR5-4800 16GB |
SSD | NVMe 1TB Gen4 NVMe |
HDD | 非搭載 |
電源 | 750W 80PLUS GOLD SilverStone |
マザーボード | チップセットZ790 |
おすすめ度 | Aランク |
評価 | ・コスパ 3.6 —–内訳—– ・ショップ評価 8.1 |
G-Master Spear Z790/D5のコストパフォーマンス評価は3.6と低めだ。G-Master Spear Z790/D5の魅力は価格ではない。自由度の高いカスタマイズで本領を発揮するモデルだ。コストパフォーマンスで語るのは適切ではない。評価は低くてもおすすめ度が高いのは、このモデルが持つカスタマイズ性という特徴によるものだ。
おすすめカスタマイズ
- CPU ◯
- CPUグリス △
- CPUクーラー ◯
- マザーボード ◯
- メモリ ◯
- SSD ◯
- ビデオカード ◯
- 電源 △
G-Master Spear Z790/D5は、カスタマイズを行ってこそ真価を発揮する。CPUをはじめ、全ての部分で変更を検討する価値がある。例えば、CPUはCore i7-14700KからCore i7-14700KFやCore i7-14700Fなどへのカスタマイズが候補に挙がる。価格を抑えながら、一定のパフォーマンスに期待できる。ダウングレードでもしっかり価格が抑えられるのはサイコムの魅力と言えるだろう。
CPUクーラーの選択肢も広い。Intelのリテールクーラーから、オリジナルの水冷クーラーまで選べる。価格も様々なので、予算に合わせた選択ができる。他のBTOメーカーでは見かけない組み合わせも実現できる。一方で、CPUグリスに関しては選択肢が少ない。CPUクーラーに付属しているタイプもあり、選択するファンやCPUによって選択できなくなるものが出てくる。こういった要素はフルカスタマイズできるメーカーの特性だ。自由度は高くても、バランスが崩れてしまう無茶なカスタマイズができないように調整がされている。
当該モデルは製品名にある通り790のチップセットを採用している。マザーボードの変更でチップセットも変更可能だ。標準搭載のマザーボードは比較的安価なこともあり、B760への変更でもそれほど価格を抑えられない。ダウングレード・アップグレードができるカスタマイズでは、価格差を意識する必要がある。サイコムのカスタマイズは、価格差がしっかりしているので、概ね価格通りの性能・評価のパーツだ。価格がそのまま変更の基準にできるのは親切に思える。
サイコムでは32GBへのアップグレードが7,880円と安価だ。これならメモリ32GBも視野に入れやすい。他のBTOメーカーでは、割高なこともあってメモリのカスタマイズはあまりおすすめしていない。倍以上の費用が掛かることもある。CPU・グラフィックボードの変更を行うなら、メモリのカスタマイズも前向きに検討したい。
SSDは標準で1TB NVMe Gen4が採用されている。容量や規格自体は十分なものだ。ただ、サイコムはカスタマイズパーツのキャンペーンが頻繁に行われている。タイミングによって、同等のストレージが安価で選択できるかもしれない。念の為確認しておいてほしい。
メインとなるのはビデオカード(グラフィックボード)だろう。グラフィックボード非搭載から、ウルトラハイエンドのGeForce RTX 4090まで幅広く選択可能だ。注意点としては、ビデオカードによって電源ユニットの選択肢が変わってくる。ハイエンドクラスになると850Wや1000W以上という指定がある。選択するグラフィックボードに合った電源へカスタマイズを先にした方がいい。
その電源は標準で750W 80PLUS GOLDが採用されている。650W 80PLUS BRONZEに下げることも、1200W Cybenetics PPLATINUMまで引き上げることもできる。GeForce RTX 4070までなら650W 80PLUS BRONZEで十分だろう。サイコム製のGeForce RTX 4070 Ti SUPERも選択でき、GeForce RTX 4070 Ti SUPERからは750W 80PLUS GOLD以上でなければならない。
650W 80PLUS BRONZEでハイエンドクラスのグラフィックボードが選択できないように、カスタマイズは少しパズルのような組み合わせが存在している。組み合わせできないものは警告が表示されるので、どこがダメなのかを都度確認するようにしたい。
G-Master Spear Z790/D5のカスタマイズ例
初期構成 | カスタマイズ | 価格差 | |
---|---|---|---|
ブランド | G-Master | G-Master | - |
製品名 | G-Master Spear Z790/D5 | G-Master Spear Z790/D5 | - |
価格 | 275,140円 | 268,880円 | -6,260円 |
イメージ | - | ||
ケース | 【黒】CoolerMaster CM694 | 【黒】CoolerMaster CM694 | 0 |
マザボ | ASRock Z790 Pro RS [Intel Z790chipset] | ASRock B760 Pro RS [Intel B760chipset] | -4,790円 |
メモリ | 16GB[8GB*2枚] DDR5-4800 | 32GB[16GB*2枚] DDR5-4800 | +7,880円 |
CPU | Core i7-14700K | Core i7-14700KF | -6,340円 |
CPUグリス | CPUクーラー付属グリス | CPUクーラー付属グリス | 0 |
CPUクーラー | Noctua NH-U12S redux | DeepCool AK400 | -3,130円 |
SSD | Crucial T500 CT1000T500SSD8 (1TB Gen4 NVMe) | Crucial T500 CT1000T500SSD8 (1TB Gen4 NVMe) | 0 |
光学ドライブ | ASUS DRW-24D5MT+ | なし | -3,370円 |
GPU | GeForce RTX4060 8GB MSI製GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC | GeForce RTX4060Ti 8GB Manli製M-NRTX4060TI/6RGHPPP-M2546 | +8,770円 |
電源 | SilverStone SST-DA750-G [750W/80PLUS Gold] | Antec CSK650 [650W/80PLUS Bronze] | -5,280円 |
ケースオプション | なし | なし | 0 |
HDD | 非搭載 | 非搭載 | 0 |
フルカスタマイズ可能なサイコムならではの構成を目指した。注目したいのは価格で、標準よりも4,260円安く性能向上が見込める。全体的な構成はダウンするものの、ゲーム性能に関してはかなり高めることができた。CPUをCore i7-14700KFへダウングレードし、コストカットを図っている。グラフィックボードを取り外さなければ、Core i7-14700Kにメリットはない。価格の安いCore i7-14700KFの方がゲーミングPCでは魅力的だ。
CPUクーラーはNoctua NH-U12S reduxからDeepCool AK400へダウングレードとした。サイドフロー型のDeepCool AK400は、必要十分な冷却効果を得られるCPUクーラーだ。控えめなオーバークロックにも対応可能なので、コストカットで選択している。ここは好みの部分なので、予算に合わせて水冷式のCPUクーラーも検討してもいい。
グラフィックボードはGeForce RTX 4060からGeForce RTX 4060 Tiへアップグレードしている。これがカスタマイズのメインとも言える部分だ。他のメーカーではグラフィックボードを変更できるのは限られた一部のモデルだけだ。サイコムなら幅広く現行のグラフィックボードを、様々なメーカーから選択できる。価格が控えめなGeForce RTX 4060 Tiを選択したが、品質重視でMSI製を選択するのも悪くない。ただし、こだわりが過ぎるとかなり高価なモデルになってしまうので注意したい。
メモリは32GBへ倍増させている。Core i7-14700KFとGeForce RTX 4060 Tiの組み合わせなら無駄になることはない。扱いやすくなり、幅広い用途に対応しやすくなるはずだ。SSDは変更していない。標準の構成で十分だと判断したからだ。SSDはセール・キャンペーンの対象になりやすく、同じ容量でも価格の安いモデルを選択できることがある。変更するつもりがなくてもチェックしておきたい。
電源は標準の750W 80PLUS GOLDから650W 80PLUS BRONZEへダウングレードしている。Core i7-14700KFとGeForce RTX 4060 Tiの組み合わせなら、よほど無茶なオーバークロックを行わない限り対応できる。価格を抑えつつ、必要十分なモデルに抑える。カスタマイズの自由度が高いからできる変更である。サイコムの特徴を活かしたカスタマイズだ。
チップセットはZ790からB760へダウングレードした。オーバークロックを想定しているなら、ここはZ790以外の選択肢はない。そのZ790の選択肢はかなり広いので、自分に合ったものを選ぶといい。Wi-FiやBluetoothが必要かどうかで選ぶくらいがいいかもしれない。オーバークロックは僅かながらリスクがあると考えているので、オーバークロックを考えないB760を選択した。こだわりや用途に合ったモデルの選択を推奨している。必ずしもB760が最適な選択肢ではない。
光学ドライブは非搭載へ変更した。最近は光学ドライブを使用することがなくなりつつある。ここ数年使用しておらず、必要となる場面も少ない。OSやゲームのインストールもディスクを使わず、PCパーツのドライバーでさえディスクインストールをほとんど見かけない。必要になったら外付けで対応すればいいので、ここは光学ドライブを外して価格を抑える方がメリットはあると判断した。
この他にも、PCケースに強化ガラスサイドパネルを採用したり、LEDストリップを追加したりして派手さを演出するものもある。ゲーミングPCらしさを求めるなら悪くない選択肢だ。サウンドカード・OS・デバイスも当然選択可能だ。配線などは自動的に設定してくれるので、フルオーダーPCよりもカスタマイズしやすい。
サイコムのカスタマイズのデメリットを挙げるとすれば、CPUの世代が指定されていることだろうか。旧世代など、価格を抑えられそうな選択肢がない。低価格のゲーミングPCを組むのには適していないので、自分の理想を求めたい方におすすめだ。
各タイトルの対応表
Apex Legends | フォートナイト | パルワールド | マイクラ |
---|---|---|---|
・240Hz ・144Hz | ・240Hz ・144Hz | ・144Hz ・60Hz | ・影Mod ・通常 |
★5つ=最高設定、★4つ=高設定、★3つ=標準設定、★2つ=低設定、★1つ=厳しいということだ。なお、対応表は必要なスペックや環境から評価した個人的な見解となっている。
G-Master Spear Z790/D5は、Core i7-14700KとGeForce RTX 4060を搭載したミドルクラスのゲーミングPCだ。標準構成での使用はあまり多くないと思うが、念の為に対応力について記載しておく。標準の状態でも、ゲームを快適にプレイできるだけの性能は有している。ゲーム以外の用途にも対応しやすいため、扱いやすい性能と言える。
国内で高い人気を集めるApex Legendsは、240fpsも目指せる。ただし、240fpsの安定や張り付きはあまり現実的ではない。200fps以上の安定で240Hz対応モニターを活かせるという程度だ。完璧な240fpsの張り付きを目指すなら、グラフィックボードの性能をGeForce RTX 4070 SUPER以上をおすすめする。
Apex Legendsと同じジャンルのフォートナイトは、DirectX 12の環境ではかなり負荷が高い。DirectX 11環境など設定を下げれば、240fpsも視野に入る。建築物の多い場所では負荷が大きくなる傾向にあるため、建築なしなら240fpsの張り付きが目指せる程度に考えておきたい。
一時期注目を集めていたパルワールドへの対応力はまずまずだ。設定を下げれば144fpsも目指せるといったところだろうか。144Hz環境に対応できるという方が正しいかもしれない。100fps以上での安定が現実的だ。フレームレートはフィールドの場所によって差があるので、60fpsで安定すればいい程度に考えて置くほうがよさそうだ。
今も人気のあるMinecraftは、ある程度環境を選ばず快適にプレイできる。グラフィック品質を高める影Modの導入は、少しかくつく場面が増える。チャンク表示をはじめとする設定を少し下げた方がいい。建築物が集中する場所、Mobが集中する場所での負荷は避けられない。
G-Master Spear Z790/D5の性能まとめ
ゲーミングPCとは、グラフィックボードやCPUなどのPCパーツの集合体だ。ここでは特に重要なグラフィックボードとCPUについて分解して細かく見ていく。
PC初心者の方がスペックを見て性能をイメージすることは難しいだろう。一体として見るよりも一つずつのパーツを見ていくと理解がしやすいと考えている。
Intel Core i7-14700K(CPU)
初期構成ではこのCore i7-14700Kが選択されている。Intel第14世代の高パフォーマンスモデルでオーバークロックにも対応している。従来モデルのフラグシップでらうCore i9-13900Kと同等のゲーム性能を有している。Core i7-13700Kと比べると3%弱性能が高い。
ゲーム性能以上にマルチコア性能が向上している。従来の16コア24スレッドから20コア28スレッドとEコアが4基増えた。ゲーム実況動画作成から3D CADまで幅広い用途に通用するCPUだ。ゲーム用途でもトップクラスのモデルとなる。GeForce RTX 4070 Ti SUPERなどのハイエンドクラスのグラフィックボードともある程度バランスを取れる。
GeForce RTX 4060(GPU)
当該モデルでは初期構成でミドルクラスのGeForce RTX 4060が選択されている。GeForce RTX 4060以下のモデルを選択するなら他のベースモデルを探す方がよいだろう。GeForce RTX 4060は、Ada Lovelace世代でも人気のあるグラフィックボードとなっている。従来モデルのGeForce RTX 3060と比べて20%以上も処理性能が向上している。フルHD環境でのゲームプレイを考えている方向けだ。Core i7-14700Kとのバランスはそれほどよくない。Core i7-14700Kの性能を考えるともう少し高みを目指したいところだ。
CPUとGPUのバランス考察
Core i7-14700KとGeForce RTX 4060のバランスはよい。可もなく不可もなくといったところだろうか。GeForce RTX 4060の性能を引き出すだけならCore i5-14400Fで十分だ。この組み合わせは、ゲーム以外の用途も視野に入れてこそ輝く。そうでなければバランスの評価は一つ下がるかもしれない。G-Master Spear Z790/D5は、構成の変更が前提とも言えるモデルだ。全体的なバランスを知るために、CPUとグラフィックボード(GPU)の組み合わせ例を比較【2024年】もチェックしておいてほしい。
ベンチマーク検証機器【旧モデル】
OS | Windows 11 Home 64bit*カスタマイズ |
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PCケース | 【黒】CoolerMaster CM694 TG [強化ガラスサイドパネル] *カスタマイズ |
ケースオプション | ARGB発光システム(LEDストリップ2本) *カスタマイズ |
CPU | Core i7-13700KF *カスタマイズ |
GPU | GeForce RTX3060Ti 8GB ASUS製 DUAL-RTX3060TI-O8GD6X-WHITE *カスタマイズ |
メモリ | DDR5-4800 32GB *カスタマイズ |
ストレージ | Crucial P5 Plus CT1000P5PSSD8 [M.2 PCI-E Gen4 SSD 1TB]*カスタマイズ |
マザーボード | ASUS PRIME Z790-A WIFI-CSM [Intel Z790chipset]*カスタマイズ |
電源ユニット | SilverStone SST-ST85F-PT [850W/80PLUS Platinum]*カスタマイズ |
CPUファン | ASUS TUF GAMING LC 240 ARGB [240mm水冷ユニット] *カスタマイズ |
G-Master Spear Z790/D5のベンチマーク測定
ベンチマークは旧世代のCore i7-13700K×GeForce RTX 3060搭載モデルとなる。現行のCore i7-14700K×GeForce RTX 4060搭載モデルではない点は注意して欲しい。
Cinebench R23
Core i9-13900K | |
Ryzen 9 7950X | |
Core i9-13900 | |
G-Master Spear Z790/D5 | |
Ryzen 9 7900X | |
Core i7-13700 | |
Core i9-12900K | |
Ryzen 9 7900 | |
Core i5-13600K | |
Core i7-12700K | |
Ryzen 7 7700X |
Cinebench 23では期待通り高いスコアを出している。Core i7-13700KF搭載のG-Master Spear Z790/D5はマルチコアスコアが30,289pt、シングルコアスコアが2.117ptだ。16コア24スレッドと従来モデルのCore i9-12900Kと同等だ。Raptor Cove採用の恩恵でCore i9-12900Kと比べてマルチコア性能が9%高く、シングルコア性能も3%高い。競合モデルのRyzen 9 7900Xと比べてもパフォーマンスは上だ。Core i7シリーズの倍率ロックフリーモデルはかなり高い水準に到達している。
CrystalDiskMark
Gen4 NVMe接続のおかげで読み込み・書き込み速度共にスピーディーだ。Gen3 NVMe接続と比べるとワンランク上となる。今後の定番となるだろう。
FINAL FANTASY XIV 暁月のフィナーレ(FF14)
FINAL FANTASY XIV 暁月のフィナーレでのベンチマーク結果はフルHDで27,337、WQHDで21,114、4Kで16,716だ。
FINAL FANTASY XV(FF15)
FINAL FANTASY XVでのベンチマーク結果はフルHDで12,457、WQHDで9,534、4Kで5,74だ。FF 14よりも負荷が高いタイトルとなる。
G-Master Spear Z790/D5の消費電力
アイドル時 | 高負荷時 |
---|---|
アイドル時で65.8W、高負荷時(FF15ベンチマーク)で394Wだ。高負荷時は350W-400Wの間に推移している。
G-Master Spear Z790/D5の特徴
カスタマイズで個性を出すことが前提と一台
G-Master Spear Z790/D5をはじめ、サイコムのゲーミングPCは今主流の価格を抑えるコストパフォーマンス特化型という流れに真っ向から対抗するモデルである。厳密に言えば、カスタマイズの自由度が高く、価格を抑えようと思えばできなくもない。ただ、そうなるとG-Master Spear Z790/D5の魅力は半減してしまうだろう。あえて選ぶ理由は小さい。
フルカスタマイズに対応していることをメリットとするためにも、しっかりカスタマイズを行うのがよい。自分の理想を追い求めたり、品質の高いモデルに構成したりするのがG-Master Spear Z790/D5には合っている。価格やコストパフォーマンスを重視する方にはあまりおすすめできない。それは、標準構成のCore i7-14700KとGeForce RTX 4060で27万円台であることからもわかるはずだ。
ミドルクラスで27万円台は強気過ぎる価格設定だ。当サイトのおすすめカスタマイズ構成を見て貰えればわかるが、価格をほとんど変えずに上位の性能を持つモデルにできる。こういった価格を安くするカスタマイズもサイコムの醍醐味だ。標準構成のままで選択するのは避けたいモデルだ。複数項目をカスタマイズしてこそ真価を発揮する。
他のメーカーではできない箇所もカスタマイズ可能で、変更するパーツのメーカーも確認できる。メーカーを統一したり、好みのメーカーを中心にしたりできる。こういった点からも、G-Master Spear Z790/D5は中級者以上の方に向けたモデルだ。初心者の方は、こだわりを出すのがむずかしいはずだ。パソコンに慣れ、パーツへの理解が進んでから選択したいメーカーである。
コストパフォーマンス特化型が主流になると、品質やこだわりを持つ方の受け皿がなくなる。市販品のパーツを採用し、メーカーオリジナルに近づくホワイトボックス製品非採用モデルは減少傾向だ。予算よりもこだわりを押し通したい方には、サイコム製品が魅力的に映るだろう。G-Master Spear Z790/D5は、コストパフォーマンスや価格を重視する方には選ばれない。
大手BTOメーカーとはしっかり棲み分けができていると言える。多くのゲーミングPCはメーカーと見た目が違うだけで、性能や構成がよく似たものしかない状況だ。あえて、構成で個性を出して、オリジナル要素の強いゲーミングPCを構築するのも一興だ。
カスタマイズの幅は広いが故の弱点もある
G-Master Spear Z790/D5の弱点は、カスタマイズの自由度の高さ故に、選択肢の少ない項目が気になることだ。すべての項目について豊富な選択肢があるわけではない。なお、価格の高さは弱点にならない。オリジナル要素の強いカスタマイズ性、品質重視のモデルであれば相場通りといったところだ。
項目の少ない箇所について例を挙げるとPCケースだ。選択肢は1つしかない。サイドパネルを強化ガラスサイドパネルに変更するくらいしかない。以前は白色を選択したり、形状が異なるケースが選べたりしていた。加えて、標準のPCケースはお世辞にもデザイン性に優れるとは言えない。他の項目では幅広い選択肢があるだけに、選択肢が極端に少ないPCケースは気になる。
もう一つ、CPUの世代が固定であることだ。現行のゲーミングPCにも、Core i5-12400F搭載モデルが出てきたように、扱いのあるCPUの幅を広げられないものだろうか。G-Master Spear Z790/D5は標準でGeForce RTX 4060搭載のミドルクラスだ。GeForce RTX 4060の性能を引き出せるCPUは、第13世代・第12世代にも存在している。
もし、選択することができれば、コストパフォーマンスの高いモデルも構築できたはずだ。そうなれば、コストパフォーマンス特化型も、品質重視型も目指せるいいとこ取りだ。もっとも、その場合はチップセットの組み合わせなど、混乱の原因となる要素になるかもしれない。選びやすく需要の高い選択肢に絞るほうが親切なのだろう。
それでも、第13世代は共通のチップセットなので、候補に加えてほしかった。全体的に、充実したカスタマイズ項目と、そうでない項目の差が激しい。カスタマイズが魅力のメーカーなだけに、少しだけ引っかかる。言い換えれば、G-Master Spear Z790/D5の弱点はこれくらいしかない。気にならなければ、迷うことなくおすすめできるモデルである。
競合モデルとの比較
ブランド | G-Master | OMEN |
---|---|---|
イメージ | ||
製品名 | G-Master Spear Z790/D5 | OMEN 25L パフォーマンスプラスモデル |
ケース | ミドル | ミニ |
価格 | 275,140円 | 279,400円 |
送料 | 2,920円 | 無料 |
CPU | Core i7-14700K | Core i7-14700F |
GPU | RTX 4060 | RTX 4070 Ti SUPER |
メモリ | DDR5-4800 16GB | DDR5-5200 16GB |
SSD | 1TB Gen4 NVMe | 1TB Gen4 NVMe |
電源 | 750W GOLD | 800W GOLD |
マザボ | Z790 | H770 |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチ | 非搭載 |
納期 | 7日以内 | 最短翌日出荷 |
保証 (延長) | 1年間 (最長3年間) | 1年間 (最大3年間) |
電話サポート | 平日10:00-17:00 (12:00-13:00除く) | Café de OMEN (平日9:00-21:00 土9:00-17:00) |
公式 | 公式 | 公式 |
レビュー | 当ページ | レビュー |
比較対象はhpのOMEN 25L パフォーマンスプラスモデルだ。価格は4,260円高いが、グラフィックボードの性能は6ランクもアップする。ミドルクラスとハイエンドクラスが比較に並ぶ異常事態だ。CPU性能・チップセットはグレードダウンするので完全な上位互換ではないものの、OMEN 25L パフォーマンスプラスモデルが圧倒しているのは間違いない。
G-Master Spear Z790/D5をどうカスタマイズしても、追いつくことはできない。これら2製品を比べてしまうと、さすがに厳しく見える。もちろん、品質を重視するならG-Master Spear Z790/D5にも分はありそうだ。標準構成のままで選択はおすすめしていない。カスタマイズしてこそのモデルなので、理想を追えるという点ではG-Master Spear Z790/D5は唯一無二だ。コストパフォーマンスを少しでも意識するならOMEN 25L パフォーマンスプラスモデルが無難だろう。
パソコンケースレビュー
正面
PCケースは「CoolerMaster CM694 TG」だ。サイコムなど玄人向けメーカーでは定番のケースだと言える。ケースオプションとしてARGB発行システム(LEDストリップ×2本を追加している。光学ドライブ搭載で実用性が高い。最近はドライバーのインストールなどオンラインで完結することが多く必要性は薄れているが、あって困るものでもない。
左側面
強化ガラスサイドパネル仕様だ。中が見えるというだけで一気にゲーミングPCらしさが出てくるのがなんとも面白い。ホワイトのマザーボードとグラフィックボードがアクセントになっている。
左側面内部
グラフィックボード
グラフィックボードはGeForce RTX3060Ti 8GB ASUS製 DUAL-RTX3060TI-O8GD6X-WHITEを選択した。2基のファンを搭載している。ホワイトカラーがおしゃれだ。GPUメモリ規格が通常のGDDR6ではなくGDDR6Xでパフォーマンス面で有利なモデルとなっている。
電源
電源ユニットはSilverStone SST-ST85F-PT [850W/80PLUS Platinum]を選択している。PLATINUM規格でより安定した電源供給が可能だ。Core i7-13700KFとRTX 3060 Tiの組み合わせだとややオーバースペックだが、オーバークロックを考えるならこれぐらいあってもよいだろう。
右側面
Windows OSのライセンスキーが右側面に記載されている。その他は至ってシンプルなデザインだ。
I/Oパネル
本体上部
本体上部にはCPUファンが搭載されている。240mm水冷式のASUS TUF GAMING LC 240 ARGBだ。RGBポンプ&ファンが標準搭載となる。
本体内部後方
マザーボードはASUS PRIME Z790-A WIFI-CSMに変更している。機能面に優れていて評価が高い。ホワイトのデザインもかっこいい。白で揃えたい方には魅力的なモデルだと言える。
背面
背面にもファンが取り付けられている。ポート装備が充実しているのもポイントだ。
- DisplayPort端子
- HDMI端子
- 1 x USB 3.2 Gen 2×2 Type-C
- 4 x USB 3.2 Gen 1ポート (4 X Type-A)
- 3 x USB 3.2 Gen 2ポート(2 x Type-A, 1 x Type-C)
- 有線LAN(2.5GBASE-T)端子×1
- Wi-Fi 6E
- マイク入力端子
- 音声出力端子
- 音声入力端子
底面
管理人による総評(G-Master Spear Z790/D5)
G-Master Spear Z790/D5は、Z790チップセット・DDR5メモリを搭載したハイエンドモデルだ。PCケースにはCoolerMaster MasterBoxCM694を採用している。CPUにはCore i7-14700Kを、グラフィックスにはGeForce RTX 4060を搭載している。これをベースに自由にカスタマイズしよう。基本的にカスタマイズをせずに初期構成のままで購入することは推奨しない。かなり割高になってしまうからだ。カスタマイズをすることである程度中和できる。通常のBTOパソコンには満足できない方はサイコムのこのG-Master Spear Z790/D5をチェックしよう。売れ筋モデルだけあって完成度が高い。
価格 | CPU | グラボ |
---|---|---|
275,140円(税込) | i7-14700K | RTX4060 |
メモリ | SSD | HDD |
DDR5 16GB | 1TB | 非搭載 |
*記載内容は更新時点のものです。内容について万全を期するようにしておりますが、ご購入前に必ず公式サイトのスペックをご確認くださいませ。