パソコン工房が販売する「LEVEL-M77M-139-ULX」の詳細レビューを行っている。Core i9-13900×RTX 4070 Ti搭載のハイエンドクラスのゲーミングPCだ。このモデルは異色の存在となっている。例えば、ハイエンドクラスのグラフィックボードを搭載しているにも関わらずミニタワーを採用していることあまりみかけないCore i9-13900を搭載していることだ。まずまずの評価を得たモデルで今後価格が下がってくればより魅力的なモデルになるだろう。その後4万円+0.3万円の値引き適用で評価を上げている。
当ページの目次
LEVEL-M77M-139-ULXのスペック解説
ブランド名 | LEVEL∞ |
---|---|
製品名 | LEVEL-M77M-139-ULX |
価格 | 319,800円(税込) |
CPU | Core i9-13900(レビュー) |
GPU | GeForce RTX 4070 Ti(レビュー) |
メモリ | DDR5-4800 16GB |
SSD | 1TB NVMe |
HDD | 非搭載 |
電源 | 800W 80PLUS GOLD |
マザーボード | チップセットB760 |
おすすめ度 | Sランク |
評価 | ・コスパ 9.0 ・構成 6.5 ・品質/サポート 10.0 |
各タイトルの対応表
FF15 | Apex Legends | FORTNITE |
---|---|---|
・4K ・WQHD | ・240fps ・144pfs | ・240fps ・144fps |
★5つ=最高設定、★4つ=高設定、★3つ=標準設定、★2つ=低設定、★1つ=厳しいということだ。なお、対応表は必要なスペックや環境から評価した個人的な見解となっている。
LEVEL-M77M-139-ULXはCore i9-13900とRTX 4070 Tiを搭載したハイエンドクラスのゲーミングPCだ。CPUとGPUのバランスがよく、ゲームへの対応力はトップクラスだ。Apex Legendsやフォートナイトを240Hzでプレイできる性能だ。また、WQHDでは144Hz以上で安定させることができる。4K解像度にも対応できるので、ゲームのプレイ環境を選ばない性能だ。
LEVEL-M77M-139-ULXの性能まとめ
ゲーミングPCとは、グラフィックボードやCPUなどのPCパーツの集合体だ。ここでは特に重要なグラフィックボードとCPUについて分解して細かく見ていく。
PC初心者の方がスペックを見て性能をイメージすることは難しいだろう。一体として見るよりも一つずつのパーツを見ていくと理解がしやすいと考えている。
Core i9-13900(CPU)
Core i9-13900K | |
Ryzen 9 7950X | |
Core i9-13900 | |
Core i7-13700K | |
Ryzen 9 7900X | |
Core i7-13700 | |
Core i9-12900K | |
Core i9-12900 | |
Core i5-13600K | |
Core i7-12700K | |
Core i7-12700 | |
Ryzen 7 7700X | |
Core i5-12600K | |
Core i5-13400 | |
Ryzen 7 5800X |
LEVEL-M77M-139-ULXで採用されているのはIntel第13世代のCore i9-13900だ。24コア32スレッドという高いスペックを持つモデルとなる。従来モデルのCore i9-12900と比べて30%近くも処理性能が高くなった。競合モデルであるRyzen 9 7950Xに匹敵する高い性能を誇る。BTOメーカーが販売するゲーミングPCではあまりみかけないCPUだが、性能も高く選択肢として悪くない。ゲーム実況・動画編集などマルチコア性能が重視される用途にも最適だ。ゲーミングCPUとしての評価も高い。ハイエンドクラスのグラフィックボードとの組み合わせでもバランスを取ることができる。
GeForce RTX 4070 Ti(GPU)
RTX 4090 | |
RX 7900 XTX | |
RTX 4080 | |
RX 7900 XT | |
RTX 3090 Ti | |
RTX 4070 Ti | |
RTX 3090 | |
RX 6950 XT | |
RTX 3080 Ti | |
RTX 3080 12GB | |
RX 6900 XT | |
RTX 3080 10GB | |
RX 6800 XT | |
RTX 3070 Ti | |
RTX 2080 Ti |
当該モデルではグラフィックスにAda Lovelace世代のハイエンドクラスであるGeForce RTX 4070 Tiを搭載している。現行モデルの中では上から6番目に高い性能を持つグラフィックボードだ。従来モデルのRTX 3090よりも高い性能を持ち、4K環境でのゲームプレイにも対応できる。レイトレーシングでのゲームプレイも問題ない。
LEVEL-M77M-139-ULXの特徴&強み
価格を抑えて強みを引き出す
LEVEL-M77M-139-ULXは、パソコン工房の新しい形のゲーミングPCとして登場したモデルだ。ミニタワーケースにRTX 4070 Tiを搭載し、Micro-ATXのマザーボードを採用している。ハイエンドクラスの性能を有するモデルとしては他製品ではなかなか見られない構成だ。本来は排熱性能や利益率アップのためにミドルタワーが採用されることが多い。
ミニタワー採用を実現すること自体は難しいことではなく、期待していたのはそこからの変化だった。端的に言えば価格である。これだけ構成やコストを削るモデルなのだから、他ショップでは再現することが難しい価格に推移していくのではないかと見ていた。徐々に推移していくと見ていたが、いきなりの4万円引きで価格を大きく下げてきた。その後さらに3,000円安くなっている。トータル4.3万円の値引きだ。
これはさすがに予想していなかったので驚いた。コストパフォーマンスの向上のみならず、ミニタワー採用モデルの将来性を感じた。パソコン工房の製品が価格を抑えたモデルに強くなったと確信した瞬間でもある。価格を抑えることで、構成を削ったことの意味がはっきりとしてきた。構成を削ることで価格が安くなるという強みを引き出すことにも繋がっている。
このまま行けばCore i9とRTX 4070 Tiの組み合わせで30万円を切ることも十分あり得ることだ。価格よりも性能や構成が重要視される性能帯のモデルなだけに、こういったモデルがあってもいいのではないか。新たな選択肢の誕生だ。もちろん、排熱や冷却の関係で性能を目指すモデルに関してはミニタワーでの展開というのは難しそうだ。LEVEL-M77M-139-ULXがギリギリのラインと言えそうだ。
可能性を感じさせるミニタワーモデル
これだけしっかり価格を抑えられるのであれば、LEVEL-M77M-139-ULXのような構成のモデルが今後主流となってもおかしくはない。弱みである拡張性に関しても、最近ではほとんど必要性がないように思える。メモリスロットは2枚刺しが安定しやすく、BTOショップのカスタマイズでも2枚刺しが珍しいものではなくなっている。
Wi-FiやBluetoothが必要ならUSBなどの拡張パーツで対応できる。デバイスでは2.4GHzの接続が増えている。案外、パソコン本体はコンパクトで実用性があればそれが最良と言えるのかもしれない。必要でないのであれば大きいことはデメリットになってしまう。
注意したいのは冷却性の確保だ。Core i9とRTX 4070 Tiの組み合わせがミニタワーで実現しているのは、冷却性能にも関係している。倍率ロックモデルのCore i9-13900搭載で熱の問題を軽減している。この組み合わせなら空冷モデルでも問題はない。
オーバークロックが可能なCore i7-13700KやCore i9-13900Kを搭載することになれば、水冷式のCPUクーラーを採用することが多い。ところが、ミニタワーケースではスペースの関係で水冷式のCPUクーラーが搭載しにくい。いや、搭載できないと言い切るべきだろうか。
LEVEL-M77M-139-ULXがCore i9-13900搭載であることは、ファンの関係もありそうだ。ミドルタワーに比べるとやはり搭載できるファンの数は少なくなりエアフロー面でも不利だ。もっとも、Micro-ATXのマザーボードにZ790のチップセットが搭載されているモデルはBTOショップの製品では見かけない。ミニタワーケース採用のモデルではCore i7-13700KやCore i9-13900KのようなCPUは採用されにくいはずだ。
ミニタワーには最高峰の性能を求めるのではなく、それ以外の要素を求めることになる。これまでになかった構成やパーツの採用だ。そういう視点で見ると、ミニタワーにはまだまだ可能性が秘められているように思える。
競合モデルとの比較
ブランド | LEVEL∞ | GALLERIA |
---|---|---|
イメージ | ||
製品名 | LEVEL-M77M-139-ULX | GALLERIA ZA7C-R47T |
ケース | ミニ | ミドル |
価格 | 319,800円(税込) | 339,980円(税込) |
CPU | Core i9-13900 | Core i7-13700KF(水冷) |
GPU | RTX 4070 Ti | RTX 4070 Ti |
メモリ | DDR5-4800 16GB | DDR5-4800 16GB |
SSD | 1TB Gen4 NVMe | NVMe 1TB Gen4 |
HDD | 非搭載 | 非搭載 |
電源 | 800W GOLD | 850W GOLD |
マザボ | B760 | Z790 |
公式 | 公式 | 公式 |
レビュー | 当ページ | レビュー |
消費電力や発熱等を考えてもLEVEL-M77M-139-ULXの方がよく見える。注意すべき点としてはミニタワーモデルでマザーボードがMicro-ATX採用であるため、メモリスロットは2つしかないことが挙げられる。拡張性が低く購入後にメモリ容量を増やすには増設ではなく交換しなくてはならない。そういう視点で見ると、構成を変更しないならLEVEL-M77M-139-ULX、変更する可能性があるならGALLERIA ZA7C-R47Tがよさそうだ。
パソコンケースレビュー
LEVEL∞ M-Classでは2023年3月15日に登場した新しいミニタワーケースを採用している。最新モデルらしく大型水冷クーラーに対応しているなど拡張性が向上している。
正面
ミドルタワーケースをそのまま小さくしたデザインとなる。正面の真ん中にLEVEL∞のロゴが刻印されている。シンプルなデザインながら高級感もある。マットブラックがかっこいい。
左側面
左側面には何もない。本体上部ケース取り外し用のネジがある。
右側面
右側面も左側面と同様だ。意外とここまで落ち着いたデザインを採用したケースは希少だ。
I/Oパネル
前面には電源ボタン、USB 3.0×2、ヘッドセット端子×1が配置されている。USB Type-Cがあればよかったのだが、コストが重要となるBTOパソコンなら仕方がないのかもしれない。
背面
背面には12cmのケースファンが見える。拡張スロットは4つだ。その内3つがグラフィックボード専有となる。PCI Express 4.0[x16] ※x4動作が余っている。
本体上部
本体上部には2基のファン(12cm)が搭載されている。初期構成のままなら十分なエアフローを確保できる。
本体下部
本体下部にはメッシュ加工が施されたカバーが取り付けられている。メンテナンス性が高いのは魅力だ。
管理人による総評(LEVEL-M77M-139-ULX)
LEVEL-M77M-139-ULXは、Core i9-13900×RTX 4070 Ti搭載のハイエンドクラスのゲーミングPCだ。43,000円の値引きが適用となり評価を上げている。LEVEL∞ブランドの新しいミニタワーケースを採用している。ハイエンドクラスのRTX 4070 Tiを搭載できるほどの排熱性能が担保されていることの証明だろう。他のBTOメーカーではまだあまりみかけない。
CPUに採用されているCore i9-13900もパソコン工房らしい。Core i9-13900KやCore i7-13700を搭載したモデルは多いが、Core i9-13900を搭載したモデルは希少性が高い。メモリDDR5-4800 16GB、SSD 1TB NVMeと構成も充実している。電源ユニットは800W GOLDと万全だ。
価格 | CPU | グラボ |
---|---|---|
319,800円(税込) | Core i9-13900 | RTX4070Ti |
メモリ | SSD | HDD |
DDR5 16GB | 1TB | 非搭載 |