Intel Arc A380 Challenger ITX 6GB OC画像引用元:https://www.asrock.com/ *イメージ

当記事では、Intel Arc A380の性能スペックレビュー&おすすめゲーミングPCの紹介をしている。2022年6月に中国で先駆けてIntelのグラフィックボードが発売された。2022年8月になってマウスコンピューターのクリエイター向けブランドのDAIVで搭載モデルがリリースされている。単体での購入はまだ先になりそうだ。今後ゲーミングPCも発売されるかもしれない。

NVIDIA及びAMD以外のメーカーがリリースするグラフィックボードということもあって注目度が高い。驚くべきことに他のメーカーがグラフィックボードを発売するのは14年振りだということだ。intel Arc A380の競合はGeForce GTX 1650あるいはRadeon RX 6400ということになる。エントリークラスのグラフィックボードを探している方にとって新しい選択肢が誕生したことになる。

世代 Alchemist
プロセス 6nm
CUDAコア 1,024
ベースクロック 2000 MHz
ブーストクロック 2450 MHz
GPUメモリ GDDR6 6GB
TDP 75W
MSRP $149
国内価格 16,980円~ *2024/7時点
発売日 2022/06/14
よくわかる!!Intel Arc A380の特徴まとめ

  • (+)Intelが発売する期待のグラフィックボード
  • (+)現行モデルで最も安価なモデルの一つ
  • (+)GTX 1650と同等のゲーミング性能を持つ
  • (+)AV1のエンコード/デコードをサポートしている
  • (-)特別ゲーミング性能が高いというわけではない
  • (-)タイトルによっては不安定な挙動を見せる
  • (-)レイトレーシング性能は低い

Intel Arc A380の基本スペック

製品名 Arc A380 GTX 1650 RX 6400
アーキテクチャ Alchemist Turing RDNA 2.0
GPU DG2-128 TU117 Navi 24
プロセス 6 nm 12 nm 6 nm
トランジスタ数 72億 47億 54億
ダイサイズ 157 mm² 200 mm² 107 mm²
SM数 128 14 12
CUDAコア 1024 896 768
RTコア 8 12
Tensorコア 16
ベースクロック 2000 MHz 1485 MHz 1923 MHz
ブーストクロック 2450 MHz 1665 MHz 2321 MHz
GPUメモリ GDDR6 6GB GDDR5 4GB GDDR6 4GB
メモリクロック 15.5 Gbps 8.0 Gbps 16.0 Gbps
メモリバス 96 bit 128 bit 64 bit
メモリバス帯域幅 186.0 GB/s 128.1 GB/s 128.0 GB/s
Infinity Cache 16MB
バスインターフェイス PCIe 4.0 x8 PCIe 3.0 x16 PCIe 4.0 x4
TDP 75W 75W 53W
補助電源 不要 不要 不要
動画サポート AV1
H.265
H.264
H.265
H.264
H.265
H.264
(デコードのみ)
MSRP $149 $149 $159
発売日 2022/06/14 2019/04/23 2022/04/20

Intel Arc A380は、Alchemistアーキテクチャを採用したグラフィックボードだ。GPUはDG2-128となる。プロセスは6nmとRadeon RX 6400と共通だ。トランジスタ数は72億、ダイサイズは157m㎡となっている。CUDAコア数は1024だ。RTコアを8基搭載している。レイトレーシングに対応していないGTX 1650と比べたときに優位性がある。

ベースクロックが2000 MHzを超えていて、ベースクロック及びブーストロック共にトップの水準だ。GPUメモリはGDDR6 6GBと容量に余裕がある。競合モデルと比べても50%多い。メモリクロックは15.6 Gbps、メモリバスは96 bitとなる。メモリバス帯域幅は186.0 GB/sだ。バスインターフェイスはPCIe 4.0×8となっている。TDPは75Wで補助電源は不要だ。

Arc A380は、この価格帯でAV1のハードウェアエンコード/デコードに対応している唯一のグラフィックボードとなっている。GTX 1650もRX 6400もAV1をサポートしていない。RX 6400に関してはH.265とH.264のデコードのみサポートしている。Intel Arc A380の価格は$149と同等だ。

Intel Arc A380の最新評価【2025年】

intelarca380gamescore

Intel Arc A380のゲーム性能スコアは9,358だ。GeForce GTX 1050 TiやGTX 1630を上回っているが、GeForce GTX 1650やRadeon RX 6400には及ばない。ロークラスの性能でフルHD環境でも設定を下げる必要がある。標準設定を一つの基準とするとよさそうだ。ドライバーが不安定なこともあって現時点ではGeForce GTX 1650やRadeon RX 6400を選択する方がよいかもしれない。

2019年に発売されたグラフィックボードと同等の性能を持つに留まるというのはやや厳しい。新品価格は16,980円~(中古も同等)だ。GeForce GTX 1650が22,980円~(中古は14,480円~)、Radeon RX 6400が19,800円~(中古は12,980円~)となっている。性能を考慮すれば妥当な価格設定のように思える。十分比較検討してから選択しよう。Intel Arc A380にはそこまでのアピールポイントがあるわけではない。

Intel Arc A380の特徴&強み

ラインナップの中で下から二番目に位置する

Intel Arc A380lineup出典:(Wccftech, 2022)

Intel Arc A380は、Intel製グラフィックボードのラインナップにおいて下から二番目の性能を持つモデルだ。メインストリームの$100~$149という価格帯に収まる。画像を見ると分かる通りやはり競合はGTX 1650やRadeon RX 6400だ。レイトレーシングに対応しているのは強みだが、そもそもこの性能帯のモデルではパフォーマンスを発揮できない。レイトレーシング目的での購入は避けた方がよい。

Resizable BARがないとパフォーマンスが伸びない

Intel Arc A380は、Resizable BARの有効が前提のグラフィックボードだ。Resizable BARの有効化に当たってBIOSから「Re-Size BAA Support」を有効化(Enabled)にする必要がある。Intel Arc A380の場合、このResizable BARを有効化していないとゲームプレイ時のフレームレートが有意に低下してしまう。

タイトルによってはGTX 1650よりも性能の低いGTX 1050 Tiにも劣ってしまうほどだ。今後ドライバーのアップデートによって改善されてくる可能性もある。もう少し様子を見てから購入を決断してもよいかもしれない。安定感を求めるならGeForce GTX 1650を選択しておけば失敗はしない。

Resizable BARとは

Resizable BARとは、CPUとグラフィックボードのGPUメモリ(VRAM)間のデータ転送速度を早めることができる機能のことだ。データの同時転送が可能でより効率的にデータのやり取りが行える。Resizable BARはPCI Expressインターフェースのオプション技術となっている。最新のタイトルではテクスチャ・シェーダー・フレームバッファなどの情報量が増えていてよりGPUメモリが重要となっている。Ampere世代のエントリークラスであるRTX 3050でGPUメモリが8GBとGTX 1650から容量が倍増していることからもその重要性がわかるだろう。

搭載ゲーミングPCのラインナップが少ない

2022年9月時点でIntel Arc A380を搭載したゲーミングPCは1機種のみだ。現在購入できるのはマウスコンピューターのゲーミングPCであるG-TuneとクリエイターPCであるDAIVのみだ。もしかしたら、今後ドスパラ・TSUKUMO・パソコン工房などのゲーミングPCでも搭載モデルがリリースされるかもしれないが、すでに同性能帯のGeForce GTX 1650やRadeon RX 6400があるのでそれほどのインパクトはないだろう。GTX 1650搭載モデル並みに価格が下がらないと購入を検討するユーザーは少ないはずだ。

Intel Arc A380のフレームレート一覧

Watch Dogs: Legion

watchdogslegionarka380-Watch Dogs Legion

フルHD×標準設定でのフレームレートを計測している。Resizable BARを有効化することで50%-75%程度フレームレートが高くなる。やはりResizable BARの有効化が前提として考えた方がよいだろう。Resizable BARを有効化した場合、GTX 1650と比べて4%程度フレームレートが高く、RX 6400と比べても4%-5%程度高い。設定を下げればある程度快適にゲームをプレイできそうだ。

Far Cry 6

farcry6Intel Ark A380-farcry6

標準設定でのゲームプレイを計測した。Far Cry 6でもResizable BARの有効化が必須だ。性能差は最大27%と大きい。GTX 1050 Tiとほとんど変わらない平均fpsとなる。Resizable BARを有効化してもGTX 1650やRX 6400に及ばない。性能差はGTX 1650とは12%、RX 6400とは30%程度とかなり大きい。平均fpsが52とプレイ中に重さを感じてしまう可能性がある。

Horizon Zero Dawn

horizon zero dawnarka380-Horizon Zero Dawn

標準設定(Favor)でのフレームレートをまとめている。例に漏れずResizable BARによるパフォーマンスアップが著しい。およそ35%もフレームレートが改善する。GTX 1650と比べて14%も平均fpsが高く、RX 6400と同等以上のフレームレートを出している。もっともこのクラスになると平均fpsが50とそれほど高くないためその点は注意しよう。場合によってはもう少し設定を下げてもよいかもしれない。

Cyberpunk 2077

Cyberpunk2077topIntel Ark A380-cyberpunk2077

標準設定でのフレームレートを計測している。Cyberpunk 2077は、負荷の高いタイトルの一つだ。RTX 3050でないと60fps以上を出せていない。Intel Arc A380は、Resizable BARを有効化することでGTX 1650よりも20%程度高いフレームレートを出している。RX 6500 XTと比べると6%程度フレームレートで劣る。

Intel Arc A380搭載おすすめBTOパソコン

G-Tune PL-B-A380(G-Tune)

G-Tune PL-B価格:159,800円(税込)
CPU:Core i5-12400
GPU:Intel Arc A380
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
電源:500W 80PLUS BRONZE

公式サイト

2022年8月31日にG-TuneからもIntel Arc A380搭載モデルがリリースされた。キューブ型のケースを採用している。ハンドルが付いているので持ち運びも行いやすい。CPUにはIntel第12世代のCore i5-12400を搭載している。税込159,800円という価格はやや厳しいかもしれない。メモリ16GB、SSD 512GBと構成は十分だろう。

DAIV Z3-A380(マウスコンピューター)

daivz9価格:179,800円(税込)
CPU:Core i5-12400
GPU:Intel Arc A380
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:1TB
電源:500W 80PLUS BRONZE

公式サイト

DAIV Z3-A380は、2022年8月末に発売された最新モデルだ。Core i5-12400×Intel Arc A380搭載のクリエイターPCとなっている。クリエイターPCでももちろんゲームプレイに対応可能だ。フルHD環境で設定を下げれば十分ゲームを楽しめる。もっとも価格を考えるとGTX 1650搭載モデルを検討した方がよいだろう。メモリ16GB、SSD 512GB NVMe、HDD 1TBと構成も充実している。電源ユニットは500W BRONZEを採用している。

DAIV Z3-A380 (プレミアムモデル)(マウスコンピューター)

daivz9価格:229,900円(税込)
CPU:Core i7-12700
GPU:Intel Arc A380
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:512GB NVMe
HDD:1TB
電源:500W 80PLUS BRONZE

公式サイト

DAIV Z3-A380のCPUがCore i7-12700に変更され、メモリ容量が倍の32GBへとアップグレードされたモデルとなっている。価格差は5万円と大きい。Intel Arc A380の性能を考えると22万円という価格はかなり厳しい。RTX 3070搭載モデルが視野に入る価格帯だと言える。PCオタクでベンチマークを取りたいなどの理由がない限り選ぶ理由は見つからない。

参照外部サイト

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参照元:Intel Arc A380 Review (TECHSPOT)