Radeon RX 9060 XT 8GBの性能比較&ベンチマーク検証を行った。現時点でRadeon RX 9000シリーズで最も安く購入できるミドルクラスモデルとなる。メインターゲットはフルHD環境で高設定でもある程度楽しめる。競合はNVIDIA GeForce RTX 5060だ。今のところGeForce RTX 5060と比べていいところはないように思う。搭載モデルは「Radeon RX 9060 XT 8GB搭載おすすめゲーミングPC」で紹介している。性能で上回るGeForce RTX 5060搭載モデルの方が価格が安く選びづらいように思う。上位のRadeon RX 9060 XT 16GBと比べると武器が少ない。もう少し価格が下がってからが本領発揮といえる。
Radeon RX 9060 XT 8GBのスペック
世代 |
RDNA 4.0 |
プロセス |
4nm TSMC |
CUDAコア |
2,048 |
ベースクロック |
1700 MHz |
ブーストクロック |
3130 MHz |
GPUメモリ |
GDDR6 8GB |
メモリ帯域幅 |
322.3 GB/s |
L2キャッシュ |
4MB |
Infinity Cache(L3) |
32MB |
TDP |
150W |
MSRP |
$299 |
国内価格 |
51,800円~ *2025/6時点 |
発売日 |
2025/06/04 |
Radeon RX 9060 XT 8GB
国内販売価格は51,800円~で販売されている。GeForce RTX 5060が50,980円となっているので今は購入のタイミングとはいえない。VRAM 16GB版のRadeon RX 9060 XTの方が魅力的なように思う。
Radeon RX 9060 XT 8GBのスペック解説
*価格は執筆時点
Radeon RX 9060 XT 8GBは、RDNA 4.0アーキテクチャを採用した最新グラフィックボードだ。RDNA 3.0アーキテクチャのRadeon RX 7600の後継モデルに当たる。GPUはNavi 33からNavi 44となり、製造プロセスはTSMC製6nmから4nmへと微細化された。トランジスタ数は164億も増えて297億だ。ダイサイズは2%程度小さく同等になっている。CU数やシェーディングユニット数に変わりはない。RTコア及びAIコアも数は変わらないが、アーキテクチャが変わり特にレイトレーシング性能は向上している。
ベースクロックは20MHz低く、ゲームクロックは280MHz高く、ブーストクロックは475MHz高い。製造プロセスの微細化の恩恵でここまでクロック周波数を引き上げることができた。VRAMはGDDR6 8GBと共通だ。メモリクロックは12%速く20.1 GBpsだ。メモリバスは128bitと共通だが、メモリクロックの高速化もありメモリ帯域幅は322.3 GB/sとなる。L2キャッシュは倍増で4MBだ。Infinity Cache容量に変更は加えられていない。
接続インターフェースはPCIe 4.0×8からPCIe 5.0×16となった。TDPは9%減で150Wだ。補助電源はオーソドックスな1×8-pinだ。MSRPは$30高くなっている。Radeon RX 9060 XT 8GBの国内販売価格は51,800円で、Radeon RX 7600よりも13,820円高い。新しいモデルであることを考えれば妥当だ。およそ2年ぶりに登場したことになる。
VRAM 16GB版も併売されている。MSRPは8GB版よりも$50高く、国内販売価格では10,000円の差がある。スペックで異なるのはVRAM容量が倍の16GBになることとそれに伴いTDPが10W高く160Wとなっているぐらいだ。VRAM消費量の多いタイトルでの快適性が増す。昨今はVRAMへの注目が集まっていてRadeon RX 9060 XT 16GBは売れ筋モデルになるのではないかと予想している。
GeForce RTX 5060 Ti 8GB/RTX 5060とスペックを比較
*価格は執筆時点
Radeon RX 9060 XT 8GBの直接の競合はBlackwell世代のミドルクラスであるGeForce RTX 5060となる。MSRPはどちらも$299で国内販売価格も同等だ。製造プロセスはTSMC製5nmを採用している。トランジスタ数はRadeon RX 9060 XT 8GBの方が78億多いが、ダイサイズは10%程度の差しかない。GeForce RTX 5060はシェーディングユニット(SM数)が3,840とRadeon RX 9060 XT 8GBよりも90%程度多い。もっともアーキテクチャが異なるので数値の比較は意味がなく参考程度にとどめておこう。RTコア及びAIコアも同様だ。アップスケーリングについてはマルチフレーム生成に対応しているGeForce RTX 5060が優れている。
クロック周波数はRadeon RX 9060 XT 8GBが高い。ブーストクロックは3130MHzとGeForce RTX 5060よりも25%も高い。GeForce RTX 5060はGDDR7メモリを搭載している。容量こそ8GBと同等だが、メモリクロックは40%も速く28.0 Gbpsだ。メモリバンド幅も40%も広く448.0 GB/sとなる。L2キャッシュはGeForce RTX 5060の方が多いが、L3キャッシュ(Infinity Cache)は非搭載だ。キャッシュ周りの戦略が異なることがわかる。GeForce RTX 5060の接続インターフェースはPCIe 5.0×8だ。ここはRadeon RX 9060 XT 8GBが優れている。TDPはRadeon RX 9060 XT 8GBの方が5W高い。補助電源はどちらも1×8-pinだ。
Radeon RX 9060 XT 8GBの”XT”という接尾辞を見ると競合はGeForce RTX 5060 Ti 8GBのように思えるかもしれない。実際は価格差も大きく競合とはならない。国内販売価格でも9,180円の差がある。GeForce RTX 5060 Ti 8GBは、GeForce RTX 5060よりもシェーディングユニットが多くより高いパフォーマンスを発揮する。TDPも180WとRadeon RX 9060 XT 8GBよりも30W高い。
Radeon RX 9060 XT 8GBの特徴&強み
ミドルクラスも性能が底上げされている

Radeon RX 9060 XT 8GBのゲーム性能スコアは27,217だ。前世代のミドルクラスが23,000弱だったことを考えるとミドルクラスもしっかりと底上げされていることがわかる。Radeon RX 7600よりも30%以上も処理性能が向上している。さすがにRadeon RX 7700 XTとの性能差は大きいが、2世代前のRadeon RX 6750 XTに匹敵する性能は評価されるべきだろう。
上位モデルであるRadeon RX 9060 XT 16GBとの性能差は5%-6%だ。モンハンワイルズやForza Horizon 5など負荷の高いタイトルだとさらに差は広がると考えてよい。VRAM容量が多い方がプラスに働きやすい。競合モデルのGeForce RTX 5060と比べると2%劣る。それぞれ得意分野では競合モデルを引き離すこともある。ベンチマークの項目でプレイ予定のタイトルを確認しておくとよい。もし対応タイトルがなければ追加検証も行えるのでお問い合わせいただければと思う。
本領発揮となるのはもう少し価格が下がってから
Radeon RX 9060 XT 8GBの国内販売価格は51,800円~だ。コストパフォーマンスの指標自体はそこまで悪くないが、競合モデルであるGeForce RTX 5060よりも価格が高くやや見劣りしてしまう。市場の原理から言えばRadeon RX 9060 XT 8GBはまだまだ価格が下がる余地があるはずだ。
なお、搭載モデルを見ても割高感がある。単体のグラフィックボード以上に価格差がある状況だ。GeForce RTX 5060搭載モデルの方が5,000円~30,000円も高い。GeForce RTX 5060 Ti 16GB搭載モデルと変わらない価格設定は苦しい。本命はRadeon RX 9060 XT 16GBなのかもしれない。Radeon RX 9060 XT 8GBの購入を考えている場合は様子見を推奨する。
省電力性は競合に大きく劣る
FF14でのベンチマーク計測時の消費電力と温度をまとめている。

Radeon RX 9060 XT 8GBは消費電力が高めで省電力性ではGeForce RTX 5060に完敗だ。ゲームプレイ時の平均消費電力は25%以上も変わる。より性能の高いGeForce RTX 5060 Ti 16GB/8GBよりも消費電力が高いのは驚きだ。いかにBlackwell世代のモデルが優れているのかがわかる。Radeon RX 9060 XT 8GBのクロック周波数が3130 MHzと高いことを考えれば納得だろう。

温度もやや高めになっている。ゲーム最大で65℃、ゲーム平均は62.3℃だ。GeForce RTX 5060と比べると2%-4%高い。この辺りは参考程度に考えてよい。モデルのファンなどによって変わるからだ。
ベンチマーク計測のテスト環境まとめ

当サイトのベンチマーク機で検証を行った。CPUは現行最強のゲーミングCPUであるRyzen 7 9800X3Dを採用している。これでCPUボトルネックを気にせず純粋にグラフィックボードの性能を比較できる。
Radeon RX 9060 XT 8GBのベンチマーク一覧(ゲーム)
Black Myth


Black MythはNVIDIA製グラフィックボードと相性のよいタイトルでRadeonシリーズは苦戦している。従来のRadeon RX 7600と比べるとフルHDで29%、WQHDで21%、4Kで18%上回っている。苦手ながらもしっかりと性能が向上していることがわかる。GeForce RTX 5060と比べるとフルHDで27%、WQHDで29%、4Kで28%低くなっている。
モンハンワイルズ


モンハンワイルズはRadeonシリーズの得意分野だ。Radeon RX 9060 XT 16GBと比べるとフルHDで2%、WQHDで5%、4Kで12%劣る。今回は中設定でのベンチマークだが、高設定以上になると16GB版がより高いパフォーマンスを発揮する。従来モデルであるRadeon RX 7600と比べると最大で30%程度フレームレートが高くなる。競合のGeForce RTX 5060よりもフルHDで61%、WQHDで52%、4Kで43%もフレームレートが高い。モンハンワイルズでのゲームプレイを考えているならそれだけでRadeon RX 9060 XT 8GBを選ぶ理由になる。将来性を考えれば16GB版がよいだろう。
FF14 黄金のレガシー


従来モデルのRadeon RX 7600と比べるとフルHDで33%、WQHDで29%、4Kで17%も向上していることがわかる。GeForce RTX 5060と比べるとフルHDでは2%弱上回っているが、WQHDで3%、4Kでは14%下回っている。Radeon RX 9060 XTよりもフレームレートが高いのは驚きだ。VRAM容量が少ないことでクロック周波数を上げやすいのかもしれない。
FF15


FF15でのパフォーマンスはGeForce RTX 5060には届かない。フルHDで4%、WQHDで4%、4Kで7%低い。VRAM 16GB版のRadeon RX 9060 XT 16GBとスコアは同等だ。VRAM容量でパフォーマンスの差は出ないようだ。従来モデルのRadeon RX 7600と比べるとフルHDで32%、WQHDで32%、4Kで29%もフレームレートが向上している。
Forza Horizon 5


Forza Horizon 5ではVRAM 16GB版のRadeon RX 9060 XTとの性能差が大きくなっている。フルHDで19%、WQHDで17%、4Kで16%低くなっている。VRAM容量でこれだけ差が広がるとはオロ時だ。一方で前世代の上位モデルであるRadeon RX 7700との差はそれほど大きくなく差を詰めている。フルHD環境では上回っているぐらいだ。競合のGeForce RTX 5060と比べても8%-28%もフレームレートが高い。特に4K環境での性能差は顕著だ。
フォートナイト(DirectX 12)


フォートナイトでは思ったほどフレームレートが伸びなかった。VRAM 16GB版との性能差もほとんどなく、むしろ中設定ではVRAM 8GB版が上回っているほどだ。競合のGeForce RTX 5060と比べると低設定で20%、中設定で12%、最高設定で11%低くなっている。Radeon RX 7700 XTと比べても最大で11%低い。
Cyberpunk 2077


Cyberpunk 2077ではややイレギュラーな形でフルHDではGeForce RTX 5060 Ti 16GBやRadeon RX 7700 XTも抑えて上からニ番目に位置している。WQHDではGeForce RTX 5060よりも4%弱高く、4Kでも14%高い。もっとも4K環境では31.2fpsと快適にゲームをするのは難しい。従来モデルであるRadeon RX 7600と比べるとフルHDで89%、WQHDで81%、4Kで103%も高い。一世代でここまで伸びるとは衝撃的だ。
Cyberpunk 2077(フレーム生成)


レイトレーシングウルトラ及びフレーム生成を使用した場合のフレームレートをまとめている。従来の上位モデルであるRadeon RX 7700 XTと同等のフレームレートが出ている。Radeon RX 9060 XT 16GBと比べるとフルHDで7%、WQHDで10%、4Kで17%低い。GeForce RTX 5060と比べると4K環境では2.7倍だ。VRAMの使い方の違いがあるのかもしれない。同じ8GBでこれだけの差が出るのは驚きだ。GeForce RTX 5060 Ti 8GBもWQHD環境以上では伸び悩んでいる。
Radeon RX 9060 XT 8GBのベンチマーク一覧(クリエイティブ)
Blender


BlenderはRadeonとの相性が悪いソフトウェアだ。ベンチマークスコアは1574.17とRadeon RX 9060 XT 16GBと同等だ。従来モデルのRadeon RX 7600と比べると30%程度向上しているが、同価格帯の競合モデルであるGeForce RTX 5060と比べると半分以下のスコアに留まる。Blenderを使用するならGeForceシリーズを選ぶのが無難だ。
Handbrake


動画のエンコードに掛かる時間をまとめている。フルHDへのエンコードはまずまず速く処理できるが、4Kになるとガクッとパフォーマンスが落ちる。Radeon RX 9000シリーズ全般苦戦している。GeForce RTX 5060は圧巻のパフォーマンスを見せつけている。GeForce RTX 5070でさえも上回っている。
Premiere Pro


動画編集ソフトであるAdobe Premiere Proでのベンチマークスコアを見ていく。PugetBench for Creatorsを利用して計測している。スコアは7,912とVRAM 16GB版と同等だ。従来モデルのRadeon RX 7600よりも7%程度高くなっている。競合のGeForce RTX 5060と比べると29%低くなっていて見劣りしてしまう。
Radeon RX 9060 XT 8GB
国内販売価格は51,800円~で販売されている。GeForce RTX 5060が50,980円となっているので今は購入のタイミングとはいえない。VRAM 16GB版のRadeon RX 9060 XTの方が魅力的なように思う。
Radeon RX 9060 XT 8GB搭載おすすめゲーミングPC
GALLERIA RM7R-96XT 5700X搭載(ドスパラ)
価格:169,980円+送料3,300円
CPU:Ryzen 7 5700X
GPU:Radeon RX 9060 XT 8GB
メモリ:DDR4-3200 16GB
ストレージ:SSD 500GB Gen4 NVMe
電源:650W 80PLUS BRONZE
コスパ:調査中
Ryzen 7 5700X×Radeon RX 9060 XT 8GB搭載のミドルクラスのゲーミングPCだ。CPU性能は標準的でGPUとのバランスも悪くない。フルHD環境でのゲームプレイに適している。メモリDDR4-3200 16GB・SSD 500GB Gen4 NVMeと構成は平均的だ。電源ユニットは650W BRONZEを搭載している。価格はGeForce RTX 5060搭載モデルと変わらないのが悩ましい。
G-GEAR GE7A-E251/B(TSKUMO)
価格:197,800円+送料3,300円
CPU:Ryzen 7 7700
GPU:Radeon RX 9060 XT 8GB *カスタマイズ
メモリ:DDR5-5600 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:600W 80PLUS BRONZE
コスパ:調査中
初期構成ではRyzen 7 7700×GeForce RTX 5060 Ti 8GBを搭載している。Radeon RX 9060 XT 8GBへ変更すると22,000円の割引を受けられる。構成はメモリDDR5-5600(DDR5-520稼働)、SSD 1TB Gen4 NVMeと必要十分だ。電源ユニットは600W BRONZEを搭載している。Wi-Fi及びBluetoothに対応しているのは好印象だ。一般的なBTOメーカーのカスタマイズでは+8,000円程度費用が掛かる。光らないゲーミングPCとして個性がある。
GALLERIA XA7R-96XT 9800X3D搭載(ドスパラ)
価格:279,980円+送料3,300円
CPU:Ryzen 7 9800X3D
GPU:Radeon RX 9060 XT 8GB
メモリ:DDR5-4800 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:750W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中
ガレリアブランドのミドルタワーモデルだ。CPUにはRyzen 7 9800X3Dを、GPUにはRadeon RX 9060 XT 8GBを搭載している。フルHD環境でのゲームプレイに適している。フォートナイトやApex Legendsなどでフレームレートを稼ぎたいなら魅力的な組み合わせといえる。将来的にグラフィックボードのアップグレードにも対応しやすい。構成はメモリDDR5-4800 32GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと充実している。電源ユニットは750W GOLD搭載だ。カスタマイズをしなくてもよさそうだ。
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