当ページでは、Ryzen 9 5900HXのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。Ryzen 9 4900Hの後継モデルだ。8コア16スレッドと高いスペックをモチクロック周波数も引き上げられている。第4世代Ryzenシリーズ(Ryzen 5000 Mobileシリーズ)のハイエンドクラスに属するCPUとなっている。ラインナップ的には上位にRyzen 9 5980HKがあるため最上位というわけではない。
しかしながら、Ryzen 9 5980HKを搭載したモデルが少なく実質このRyzen 9 5900HXがフラグシップモデルと考えてよいだろう。ある程度の予算があってこだわりがある方におすすめだ。「HX」という名称が与えられているのはオーバークロックに対応していることを意味する。国内メーカーではあまり搭載モデルがリリースされていないのが残念だ。2024年8月時点だといくつかの中古ゲーミングノートPCが販売されている。
当ページの目次
よくわかる!!Ryzen 9 5900HXの特徴まとめ
アーキテクチャー | Zen 3 |
---|---|
プロセス | 7nm |
コア/スレッド数 | 8コア/16スレッド |
定格/最大クロック | 3.3 GHz/ 4.6 Ghz |
L3キャッシュ | 16MB |
TDP | 45W+ |
発売日 | 2021年01月12日 |
価格 | 非公開 |
コメント | 8コア16スレッドのハイエンドCPU オーバークロックに対応している 搭載モデルは最低20万円以上と高価 |
評価 | ・総合評価 8.0 ・ゲーム評価 8.0 |
Ryzen 9 5900HXの概要
基本スペック
Ryzen 9 5900HX | Ryzen 7 5800H | Ryzen 9 4900H | |
---|---|---|---|
メーカー | AMD | AMD | AMD |
アーキテクチャ | Zen 3 | Zen 3 | Zen 2 |
プロセス | 7nm | 7nm | 7nm |
コードネーム | Cezanne | Cezanne | Renoir |
CPUコア数 | 8コア | 8コア | 8コア |
スレッド数 | 16コア | 16コア | 16コア |
定格クロック | 3.3 GHz | 3.2 GHz | 3.3 GHz |
最大クロック | 4.6 GHz | 4.4 GHz | 4.4 GHz |
L3キャッシュ | 16MB | 16MB | 8MB |
対応メモリ | DDR4-3200 DDR4-4266 | DDR4-3200 DDR4-4266 | DDR4-3200 DDR4-4266 |
内蔵グラフィックス | Radeon Vega 8 | Radeon Vega 8 | Radeon Vega 8 |
グラフィックス周波数 | 2100 MHz | 2000 MHz | 1750 MHz |
TDP | 45W+ | 45W | 45W |
発売日 | 2021/01/12 | 2021/01/12 | 2020/01/06 |
搭載価格 | 227,091円~ | 134,364円~ | 134,000円~ |
コア数及びスレッド数は8コア16スレッドと共通だ。定格クロックも同じ3.3GHzで、最大クロックは0.2GHzアップの4.6GHzとなっている。対応メモリは変わらない。内蔵グラフィックスについてはRadeon Vega 8と同じだが、グラフィックス周波数が20%引き上げられて2100MHzとなった。TDPは45W→45W+となっている。TDPの「+」というのはオーバークロックによって消費電力を極限まで高められるということだ。45W以上にするかどうかはパソコンメーカー次第となる。
下位モデルのRyzen 7 5800Hと比較していく。実はスペック的に大きな差があるわけではない。8コア16スレッドは共通でクロック周波数が0.1GHz、最大クロックが0.2GHz高いぐらいだ。グラフィックス周波数も100MHz高くなっているが、外付けのグラフィックボードを搭載するのが一般的なので重要度は低い。一番の違いはオーバークロックができるかどうかということになる。Ryzen 9 5900HX搭載モデルの価格が高いのはハイクラスのグラフィックボードと組み合わせたモデルが多いからだ。
当ページでは、Ryzen 7 5800Hの性能レビュー及び搭載ゲーミングノートPCの紹介をしている。Zen 3アーキテクチャを採用したAMD製CPUがリリースされた。このRyzen 7 5800Hは、前世代のRyzen …
Intel製CPUと比較
Ryzen 9 5900HX | Core i9-10980HK | |
---|---|---|
メーカー | AMD | Intel |
プロセス | 7nm | 14nm++ |
コードネーム | Cezanne | Comet Lake |
CPUコア数 | 8コア | 8コア |
スレッド数 | 16コア | 16コア |
定格クロック | 3.3 GHz | 2.4 GHz |
最大クロック | 4.6 GHz | 5.3 GHz |
L3キャッシュ | 16MB | 16MB |
対応メモリ | DDR4-3200 DDR4-4266 | DDR4-2933 |
内蔵グラフィックス | Radeon Vega 8 | Intel UHD |
TDP | 45W+ | 45W |
発売日 | 2021/01/12 | 2020/05/22 |
搭載価格 | 227,091円~ | 286,818円~ |
CPUコア及びスレッドはどちらのモデルも8コア16スレッドとなっている。定格クロックはRyzen 9 5900HXが40%高く、最大クロックはCore i9-10980HKが16%高い。L3キャッシュはいずれも16MBと大容量だ。メモリについてはRyzen 9 5900HXの方が上位の規格に対応している。
Core i9-10980HKよりも8ヶ月遅い分細かい部分で強化されている。TDPは45Wと同じだが、Ryzen 9 5900HXはオーバークロックに対応している分ポテンシャルは高い。Core i9-10980HKは上位モデルしか採用されていない分搭載モデルの価格がかなり高い。
Ryzen 9 5900HXの最新評価【2024年】
ゲーム性能スコアは17,508とまずまずだ。当時の競合であるCore i9-10980HKと比べて40%程度パフォーマンスが高い。2024年時点でも通用するモデルといえるだろう。次世代のRyzen 9 6900HXと比べると7%-8%程度劣る。また、Intel第12世代Core iシリーズでは2つのコアを組み合わせたハイブリッドコアアーキテクチャのおかげで性能を大きく伸ばしている。
Core i7-12700Hと比べると12%程度低くなっている。世代的にはAmpere世代のグラフィックボードと組み合わせたモデルが大半だ。Ryzen 9 5900HXのグレード的にはGeForce RTX 3080 MobileやGeForce RTX 3070 Mobileが中心となる。中古市場にはそれほどタマが流れているわけではないが、もし見つかればお得に購入できる。15万円前後の予算があるなら候補に入れてもよい。新品で購入するよりワンランク上のパフォーマンスを得られる。
Ryzen 9 5900HXの特徴【2021年時点】
オーバークロック対応の上位モデル
Ryzen 9 5900HXは、モバイル向けながらオーバークロックができるCPUだ。環境さえ許せば45Wを超える消費電力を実現できる。対応するかどうかはメーカー次第となるが、このクラスのゲーミングノートPCなら搭載されるだろう。ただし、その分だけ排熱やケースにコストが掛かり、Ryzen 7 5800Hよりもコスパは悪くなる。ただでさえ熱を持ちやすいゲーミングノートなので対策は大変だろう。
Ryzen 7 5800H搭載モデルとの価格差的には2万円~3万円程度を見る必要がある。この価格差以上のパフォーマンスを発揮できるかと言われると疑問が残る。Ryzen 9 5900HXは、Ryzen 5000 Mobileシリーズの中で上位モデルとなっている。まだ上にRyzen 9 5980HXやRyzen 9 5980HSがあるが、ラインナップ的にはそれほど期待できない。ハイエンドモデルは実質このRyzen 9 5900HXになるのではないかと思う。
搭載モデルは海外メーカーが中心となる
Ryzen 9 5900HX搭載ゲーミングノートPCの販売は海外メーカーが中心だ。下位モデルであるRyzen 7 5800Hと比べるとラインナップ数は限定的だ。価格帯的にもそれほど数が出るわけではなくRyzen 7 5800Hを優先させることは不思議ではない。これまでRyzen 9シリーズやCore i9シリーズが国内メーカーから発売されたことはほとんどない。あるいはラインナップが極端に少ないのが現状だ。
国内メーカーではG-Tuneが珍しく搭載モデルをリリースしたぐらいだ。まずまずの評価を得ていて海外勢と対等に戦える。海外メーカーでもASUS以外ではMSI・ALIENWAREなどが優勢だ。ラインナップを見る限り高いとは言ってもハイエンドクラスのゲーミングノートPCとしては価格も抑えられていて魅力的に思える。
Core i9シリーズ搭載モデルより遥かに安価だ。予算が多い方にとっては選択肢に入れてもよいだろう。もっともRyzen 7 5800H搭載モデルと比べるとどうしても割高感が出てしまうのは仕方がないところだ。Intel第12世代Core i7-12700H搭載モデルも脅威となる。性能的にはCore i7-12700Hの方が上だからだ。次世代モデルのRyzen 9 6900HX搭載モデルに期待が掛かるが、アーキテクチャ的にはZen 3+であくまでもリフレッシュモデルだ。本領発揮となるのはZen 4アーキテクチャを採用したモデルまでお預けだ。
省電力性を極めたRyzen 9 5900HSもある
RYzen 9 5900HXの省電力モデルとしてRyzen 9 5900HSも販売されている。TDPが45W+から35Wへとかなり抑えられたモデルだ。ブーストクロックは同じ4.4GHzだが、定格クロックは2.8GHz(Ryzen 9 5900HXは3.2GHz)となっている。当然省電力モデルになるとオーバークロックにも非対応でCPU性能も低くなってしまう。
上位モデルのRyzen 9 5980HXの省電力モデルであるRyzen 9 5980HSが、Ryzen 7 5800Hより少し高いぐらいだ。Ryzen 9 5900HSの性能はRyzen 7 5800HとRyzen 5 5600Hの間に収まるはずだ。この省電力モデルも意外と人気は高くRyzen 9 5900HS搭載モデルよりも数が増える可能性がある。
Ryzen 9 5900HXのベンチマーク一覧
Cinebench R20
Handbrake
PCMark 10
Essentials TestにおいてもApplications TestにおいてもRyzen 9 5900HXがトップに君臨している。ただし、下位モデルであるRyzen 7 5800Hとの差は1%-2%とそれほど差があるわけではない。これだけの差であればRyzen 7 5800Hのコスパの高さが光る。Core i9-10980HKと比べると5%-8%程度スコアが高い。Intel製CPUに対しては性能面で有利だと言える。
7-Zip
Ryzen 9 5900HX搭載のおすすめ中古ゲーミングノートPC
ROG Strix SCAR 17 G733QS(ASUS)
価格:152,982円
液晶:17.3インチFHD 300Hz
重量:不明
CPU:Ryzen 9 5900HX
GPU:GeForce RTX 3080 Mobile
メモリ:32GB
ストレージ:SSD 1TB×2
電源:ACアダプター
ASUS G733Q(ASUS)
液晶:17.3インチFHD 300HZ
重量:不明
CPU:Ryzen 9 5900HX
GPU:GeForce RTX 3080 Mobile
メモリ:32GB
ストレージ:SSD 1TB×2
電源:ACアダプター
Ryzen 9 5900HX搭載のゲーミングノートPC一覧
Delta 15 A5 Delta-15-A5EFK-030JP(MSI)
液晶:15.6インチ 240Hz
重量:約1.90Kg
駆動時間:約12.0時間
CPU:Ryzen 9 5900HX
GPU:Radeon RX 6700M
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:非搭載
Radeon RX 6700Mを搭載した珍しいゲーミングノートPCだ。ミドルクラスのグラフィックボードでRTX 3060 Mobileと同等のゲーミング性能を持っている。15.6インチ240Hz対応モニターを搭載していて滑らかなゲーム描写が可能だ。性能的には240Hz対応モニターを活かすことは難しいが、ポテンシャルの高さが光る。メモリ16GB、SSD 512GBと構成も充実している。
ROG Flow X13 GV301QH(ASUS)
液晶:13.4インチ 120Hz
重量:約1.35kg
駆動時間:約11.4時間
CPU:Ryzen 9 5900HS
GPU:GeForce GTX 1650 Mobile
メモリ:DDR 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
GTX 1650 Mobileを搭載したゲーミングノートだ。CPUには省電力モデルであるRyzen 9 5900HSを搭載している。液晶モニターは珍しい13.4インチノートで120Hz対応だ。タッチディスプレイ搭載でビジネス用途にも最適だと言える。本体重量約1.35kgと軽量化が図られている。外付けGPUモジュール「ROG XG Mobile」が別途販売されている。PCI Express 3.0×8での高速接続となる。RTX 3080 Mobileを選択できるが、価格は136,182円と高価だ。試みとしておもしろい。
ALIENWARE M15 RYZEN™ EDITION R5 スプレマシー(大容量SSD・RTX3070搭載)(ALIENWARE)
358,980円(税込) 237,105円(税込)
液晶:15.6型 165Hz
重量:約2.42kg
駆動時間:非公開
CPU:Ryzen 9 5900HX
GPU:GeForce RTX 3070
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
DellのゲーミングブランドであるALIENWAREの高パフォーマンスモデルだ。ブラックを基調とした高級感のあるデザインが人気だ。グラフィックスにはRTX 3070を、CPUにはRyzen 9 5900HXを搭載している。フルHD環境で高リフレッシュレートでのゲームプレイも可能だ。CPU性能が高く動画編集やRAW現像などにも対応しやすい。メモリ16GB、SSD 1TBという構成を採用している。
G-Tune E5-165-R9 (プレミアムモデル)(G-Tune)
液晶:15.6型 165Hz
重量:約1.73kg
駆動時間:約6.0時間
CPU:Ryzen 9 5900HX
GPU:GeForce RTX 3060
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
国内BTOメーカーで希少なRyzen 9 5900HX搭載モデルだ。グラフィックスにはミドルクラスのRTX 3060 Mobileを搭載している。本体重量約1.73kgと軽量化されているのがポイントだ。多少価格が高くてもコストを掛ける価値がある。バッテリー駆動時間は約6.0時間と平均的だ。メモリ32GB、SSD 1TBと構成も抜群だ。これだけのモデルならクリエイター作業にも最適だと言える。G-Tuneならサポートも充実していて安心して購入できるだろう。
ROG Zephyrus G15 GA503QS(ASUS)
液晶:15.6インチ 165Hz
重量:約1.99kg
駆動時間:約11.6時間
CPU:Ryzen 9 5900HS
GPU:GeForce RTX 3080 Mobile
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
RTX 3080 Mobileを搭載したハイエンドクラスのゲーミングノートPCだ。CPUには省電力モデルのRyzen 9 5900HSを搭載している。この組み合わせなら15.6インチ165Hz対応モニターを活かせる。本体重量約1.99kgと性能帯を考えると優秀だ。バッテリー駆動時間も約11.6時間と余裕がある。メモリ32GB、SSD 1TBと構成も抜群だ。Thermal Grizzly社製液体金属グリスを採用していて排熱対策も行われている。
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