ROG Strix
当ページでは、Ryzen 9 5900HXの性能レビュー及び搭載ゲーミングノートPCの紹介をしている。Ryzen 9 4900Hの後継モデルだ。8コア16スレッドと高いスペックをモチクロック周波数も引き上げられている。第4世代Ryzenシリーズ(Ryzen 5000 Mobileシリーズ)のハイエンドクラスに属するCPUとなっている。ラインナップ的には上位にRyzen 9 5980HKがあるため最上位というわけではない。

しかしながら、Ryzen 9 5980HKを搭載したモデルが少なく実質このRyzen 9 5900HXがフラグシップモデルと考えてよいだろう。ある程度の予算があってこだわりがある方におすすめだ。「HX」という名称が与えられているのはオーバークロックに対応していることを意味する。国内メーカーではあまり搭載モデルがリリースされていないのが残念だ。

よくわかる!!Ryzen 9 5900HXの特徴まとめ

アーキテクチャーZen 3
プロセス7nm
コア/スレッド数8コア/16スレッド
定格/最大クロック3.3 GHz/ 4.6 Ghz
L3キャッシュ16MB
TDP45W+
発売日2021年01月12日
価格非公開
コメント 8コア16スレッドのハイエンドCPU
オーバークロックに対応している
搭載モデルは最低20万円以上と高価
評価・総合評価
8.0

・ゲーム評価
8.0

Ryzen 9 5900HXの概要

基本スペック

Ryzen 9 5900HXRyzen 7 5800HRyzen 9 4900H
メーカーAMDAMDAMD
アーキテクチャZen 3Zen 3Zen 2
プロセス7nm7nm7nm
コードネームCezanneCezanneRenoir
CPUコア数8コア8コア8コア
スレッド数16コア16コア16コア
定格クロック3.3 GHz3.2 GHz3.3 GHz
最大クロック4.6 GHz4.4 GHz4.4 GHz
L3キャッシュ16MB16MB8MB
対応メモリDDR4-3200
DDR4-4266
DDR4-3200
DDR4-4266
DDR4-3200
DDR4-4266
内蔵グラフィックスRadeon Vega 8Radeon Vega 8Radeon Vega 8
グラフィックス周波数2100 MHz2000 MHz1750 MHz
TDP45W+45W45W
発売日2021/01/122021/01/122020/01/06
搭載価格227,091円~134,364円~134,000円~
Ryzen 9 5900HXは、Ryzen 5000 Mobileシリーズの上位に位置するCPUとなっている。Zen 2アーキテクチャを採用したRyzen 9 4900Hの後継モデルということになる。プロセスは7nmで同じだ。Ryzen 9 5900HXは、Zen 3アーキテクチャ採用でシングルCCXデザインになった。つまり、8コアでL3キャッシュ16MBを共有している。以前は4コアL3キャッシュ4MB×2という配置で容量は8MBだった。L3キャッシュが倍増となったのは大きい。レイテンシ軽減に繋がりゲームプレイにおいて有利になるはずだ。

コア数及びスレッド数は8コア16スレッドと共通だ。定格クロックも同じ3.3GHzで、最大クロックは0.2GHzアップの4.6GHzとなっている。対応メモリは変わらない。内蔵グラフィックスについてはRadeon Vega 8と同じだが、グラフィックス周波数が20%引き上げられて2100MHzとなった。TDPは45W→45W+となっている。TDPの「+」というのはオーバークロックによって消費電力を極限まで高められるということだ。45W以上にするかどうかはパソコンメーカー次第となる。

下位モデルのRyzen 7 5800Hと比較していく。実はスペック的に大きな差があるわけではない。8コア16スレッドは共通でクロック周波数が0.1GHz、最大クロックが0.2GHz高いぐらいだ。グラフィックス周波数も100MHz高くなっているが、外付けのグラフィックボードを搭載するのが一般的なので重要度は低い。一番の違いはオーバークロックができるかどうかということになる。Ryzen 9 5900HX搭載モデルの価格が高いのはハイクラスのグラフィックボードと組み合わせたモデルが多いからだ。

Intel製CPUと比較

Ryzen 9 5900HXCore i9-10980HK
メーカーAMDIntel
プロセス7nm14nm++
コードネームCezanneComet Lake
CPUコア数8コア8コア
スレッド数16コア16コア
定格クロック3.3 GHz2.4 GHz
最大クロック4.6 GHz5.3 GHz
L3キャッシュ16MB16MB
対応メモリDDR4-3200
DDR4-4266
DDR4-2933
内蔵グラフィックスRadeon Vega 8Intel UHD
TDP45W+45W
発売日2021/01/122020/05/22
搭載価格227,091円~286,818円~
Intel製モバイル向けのフラグシップモデルであるCore i9-10980HKと比較していく。Intelは今でも14nmプロセスを採用している。改良こそ行われているもののRyzenの7nmプロセスと比べると省電力性やパワー効率の面で見劣りしてしまう。特に消費電力は熱のコントロールが重要になるモバイル向けモデルでは不利になる。

CPUコア及びスレッドはどちらのモデルも8コア16スレッドとなっている。定格クロックはRyzen 9 5900HXが40%高く、最大クロックはCore i9-10980HKが16%高い。L3キャッシュはいずれも16MBと大容量だ。メモリについてはRyzen 9 5900HXの方が上位の規格に対応している。

Core i9-10980HKよりも8ヶ月遅い分細かい部分で強化されている。TDPは45Wと同じだが、Ryzen 9 5900HXはオーバークロックに対応している分ポテンシャルは高い。Core i9-10980HKは上位モデルしか採用されていない分搭載モデルの価格がかなり高い。

Ryzen 9 5900HXの特徴

オーバークロック対応の上位モデル

Ryzen 9 5900HXは、モバイル向けながらオーバークロックができるCPUだ。環境さえ許せば45Wを超える消費電力を実現できる。対応するかどうかはメーカー次第となるが、このクラスのゲーミングノートPCなら搭載されるだろう。ただし、その分だけ排熱やケースにコストが掛かり、Ryzen 7 5800Hよりもコスパは悪くなる。ただでさえ熱を持ちやすいゲーミングノートなので対策は大変だろう。

Ryzen 7 5800H搭載モデルとの価格差的には2万円~3万円程度を見る必要がある。この価格差以上のパフォーマンスを発揮できるかと言われると疑問が残る。Ryzen 9 5900HXは、Ryzen 5000 Mobileシリーズの中で上位モデルとなっている。まだ上にRyzen 9 5980HXやRyzen 9 5980HSがあるが、ラインナップ的にはそれほど期待できない。ハイエンドモデルは実質このRyzen 9 5900HXになるのではないかと思う。

搭載モデルは海外メーカーが中心となる

Ryzen 9 5900HX搭載ゲーミングノートPCの販売は海外メーカーが中心だ。下位モデルであるRyzen 7 5800Hと比べるとラインナップ数は限定的だ。価格帯的にもそれほど数が出るわけではなくRyzen 7 5800Hを優先させることは不思議ではない。これまでRyzen 9シリーズやCore i9シリーズが国内メーカーから発売されたことはほとんどない。あるいはラインナップが極端に少ないのが現状だ。

国内メーカーではG-Tuneが珍しく搭載モデルをリリースしたぐらいだ。まずまずの評価を得ていて海外勢と対等に戦える。海外メーカーでもASUS以外ではMSI・ALIENWAREなどが優勢だ。ラインナップを見る限り高いとは言ってもハイエンドクラスのゲーミングノートPCとしては価格も抑えられていて魅力的に思える。

Core i9シリーズ搭載モデルより遥かに安価だ。予算が多い方にとっては選択肢に入れてもよいだろう。もっともRyzen 7 5800H搭載モデルと比べるとどうしても割高感が出てしまうのは仕方がないところだ。Intel第12世代Core i7-12700H搭載モデルも脅威となる。性能的にはCore i7-12700Hの方が上だからだ。次世代モデルのRyzen 9 6900HX搭載モデルに期待が掛かるが、アーキテクチャ的にはZen 3+であくまでもリフレッシュモデルだ。本領発揮となるのはZen 4アーキテクチャを採用したモデルまでお預けだ。

省電力性を極めたRyzen 9 5900HSもある

RYzen 9 5900HXの省電力モデルとしてRyzen 9 5900HSも販売されている。TDPが45W+から35Wへとかなり抑えられたモデルだ。ブーストクロックは同じ4.4GHzだが、定格クロックは2.8GHz(Ryzen 9 5900HXは3.2GHz)となっている。当然省電力モデルになるとオーバークロックにも非対応でCPU性能も低くなってしまう。

上位モデルのRyzen 9 5980HXの省電力モデルであるRyzen 9 5980HSが、Ryzen 7 5800Hより少し高いぐらいだ。Ryzen 9 5900HSの性能はRyzen 7 5800HとRyzen 5 5600Hの間に収まるはずだ。この省電力モデルも意外と人気は高くRyzen 9 5900HS搭載モデルよりも数が増える可能性がある。

Ryzen 9 5900HXのベンチマーク一覧

Cinebench R20

cinebenchryzen95900hx-cinebench

Ryzen 9 5900HXは、現時点でトップに君臨する高いマルチスレッド性能を持つCPUだ。マルチスレッド性能ではRyzen 7 5800Hよりも6%高く、Ryzen 9 5980HSよりも7%高い。前世代のRyzen 9 4900HSよりも20%程度高い。Core i9-10980HKと比べても40%程度上回っている。また、Ryzen 4000シリーズで苦戦していたシングルスレッド性能も大幅に向上している。Intel Core i9-10980HKよりも15%も高い。これはIPCの改善やシングルCCXデザインへの変更によるものだろう。総合性能の高いCPUへと変貌している。

Handbrake

handbrake95900hx-handbrake

HandbrakeでもRyzen 9 5900HXがトップだ。Ryzen 9 5980HSとの差は15%で省電力モデルとの差は歴然だ。下位モデルであるRyzen 7 5800Hとの差は8%となる。CPUコア及びスレッド数が同じということもあってそれほど大きく差が開いているわけではない。それでもアーキテクチャが異なる前世代のRyzen 9 4900HSと比べると21%の差がある。前世代のCPUからの進化は大きいが、同世代のCPUと比べるとそれほど差が広がるわけではないという結論になる。

PCMark 10

pcmark1095900hx-pcmark10

PCMark 10ではEssentials TestとApplications Testの2つのベンチマークを計測している。前者はアプリケーション起動・ウェブブラウジング・ビデオ会議の処理速度を計測するベンチマークだ。後者はワードやエクセルなどのオフィスソフトの使用を想定したベンチマークとなっている。

Essentials TestにおいてもApplications TestにおいてもRyzen 9 5900HXがトップに君臨している。ただし、下位モデルであるRyzen 7 5800Hとの差は1%-2%とそれほど差があるわけではない。これだけの差であればRyzen 7 5800Hのコスパの高さが光る。Core i9-10980HKと比べると5%-8%程度スコアが高い。Intel製CPUに対しては性能面で有利だと言える。

7-Zip

zip95900hx-zip

解凍速度ではRyzen 9 5980HXの省電力モデルであるRyzen 9 5980HSに劣る結果となった。圧縮速度では6%上回っている。解凍ではRyzen 7 5800Hよりも4%高いが、圧縮速度では僅かに下回っている。解凍速度ではCore i9-10980HKとの差は大きく48%となっている。圧縮速度では5%だけ上回っている。全体的にRyzenシリーズの強さが光る結果となった。

Ryzen 9 5900HX(HS)搭載のゲーミングノートPC一覧

Delta 15 A5 Delta-15-A5EFK-030JP(MSI)

Delta 15 A5 Delta-15-A5EFK-030JP価格:217,800円(税込)
液晶:15.6インチ 240Hz
重量:約1.90Kg
駆動時間:約12.0時間
CPU:Ryzen 9 5900HX
GPU:Radeon RX 6700M
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:非搭載

公式サイト

Radeon RX 6700Mを搭載した珍しいゲーミングノートPCだ。ミドルクラスのグラフィックボードでRTX 3060 Mobileと同等のゲーミング性能を持っている。15.6インチ240Hz対応モニターを搭載していて滑らかなゲーム描写が可能だ。性能的には240Hz対応モニターを活かすことは難しいが、ポテンシャルの高さが光る。メモリ16GB、SSD 512GBと構成も充実している。

ROG Flow X13 GV301QH(ASUS)

ROG Flow X13 GV301QH価格:219,800円(税込)
液晶:13.4インチ 120Hz
重量:約1.35kg
駆動時間:約11.4時間
CPU:Ryzen 9 5900HS
GPU:GeForce GTX 1650 Mobile
メモリ:DDR 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載

公式サイト

GTX 1650 Mobileを搭載したゲーミングノートだ。CPUには省電力モデルであるRyzen 9 5900HSを搭載している。液晶モニターは珍しい13.4インチノートで120Hz対応だ。タッチディスプレイ搭載でビジネス用途にも最適だと言える。本体重量約1.35kgと軽量化が図られている。外付けGPUモジュール「ROG XG Mobile」が別途販売されている。PCI Express 3.0×8での高速接続となる。RTX 3080 Mobileを選択できるが、価格は136,182円と高価だ。試みとしておもしろい。

ALIENWARE M15 RYZEN™ EDITION R5 スプレマシー(大容量SSD・RTX3070搭載)(ALIENWARE)

ALIENWARE M15 RYZEN EDITION R5価格:358,980円(税込) 237,105円(税込)
液晶:15.6型 165Hz
重量:約2.42kg
駆動時間:非公開
CPU:Ryzen 9 5900HX
GPU:GeForce RTX 3070
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載

公式サイト

DellのゲーミングブランドであるALIENWAREの高パフォーマンスモデルだ。ブラックを基調とした高級感のあるデザインが人気だ。グラフィックスにはRTX 3070を、CPUにはRyzen 9 5900HXを搭載している。フルHD環境で高リフレッシュレートでのゲームプレイも可能だ。CPU性能が高く動画編集やRAW現像などにも対応しやすい。メモリ16GB、SSD 1TBという構成を採用している。

G-Tune E5-165-R9 (プレミアムモデル)(G-Tune)

G-Tune E5-144価格:241,780円(税込)
液晶:15.6型 165Hz
重量:約1.73kg
駆動時間:約6.0時間
CPU:Ryzen 9 5900HX
GPU:GeForce RTX 3060
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載

公式サイト

国内BTOメーカーで希少なRyzen 9 5900HX搭載モデルだ。グラフィックスにはミドルクラスのRTX 3060 Mobileを搭載している。本体重量約1.73kgと軽量化されているのがポイントだ。多少価格が高くてもコストを掛ける価値がある。バッテリー駆動時間は約6.0時間と平均的だ。メモリ32GB、SSD 1TBと構成も抜群だ。これだけのモデルならクリエイター作業にも最適だと言える。G-Tuneならサポートも充実していて安心して購入できるだろう。

ROG Zephyrus G15 GA503QS(ASUS)

ROG Zephyrus G15 GA503QM価格:329,800円(税込)
液晶:15.6インチ 165Hz
重量:約1.99kg
駆動時間:約11.6時間
CPU:Ryzen 9 5900HS
GPU:GeForce RTX 3080 Mobile
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載

公式サイト

RTX 3080 Mobileを搭載したハイエンドクラスのゲーミングノートPCだ。CPUには省電力モデルのRyzen 9 5900HSを搭載している。この組み合わせなら15.6インチ165Hz対応モニターを活かせる。本体重量約1.99kgと性能帯を考えると優秀だ。バッテリー駆動時間も約11.6時間と余裕がある。メモリ32GB、SSD 1TBと構成も抜群だ。Thermal Grizzly社製液体金属グリスを採用していて排熱対策も行われている。

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