corei9-10900kto
当ページでは、Core i9-10850Kのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。第10世代最上位の「Core i9-10900K」に匹敵する性能を持つCPUということで発表前から注目を集めていた。一つ上のCore i9-10900ではなくフラグシップモデルのCore i9-10900Kに近いというのは興味深い。

フラグシップモデルであるCore i9-10900Kは性能の高いCPUだが、価格も相応に高くなかなか選びづらさがある。マザーボードやCPUクーラーまで考えると相当の予算が必要だ。自作PCを構築する方にとってもBTOパソコンを購入する方にとってもこの価格はネックとなるはずだ。

その弱点を補えるCore i9-10850Kは主力CPUになることができるのだろうか。Core i9-10900Kに対してどこまで迫れるのか、どのようなアドバンテージがあるのかを見ていきたい。国内でも2020年8月21日に発売開始となった。すでに後継モデルの「Core i9-11900K」が登場している。Core i9-10850K搭載モデルは消滅した。

Core i9-10850Kの特徴まとめ

コードネームComet Lake
プロセス14nm
コア/スレッド数10コア/20スレッド
定格/最大クロック3.6 GHz/ 5.1 Ghz
(TVB時5.2 GHz)
L3キャッシュ20MB
TDP125W
発売日Q3’20
価格$453
コメント Core i9-10900Kとほぼ同等のスペックを持つ
価格が抑えられているため選びやすい
パワー効率も改善している
ゲーミングPC市場にプラスの影響を与える
評価・総合評価
6.5

・ゲーム評価
7.0

Core i9-10850Kの基本スペック

Core i9-10850KCore i9-10900KCore i9-10900
メーカーIntelIntelIntel
プロセス14nm14nm14nm
コードネームComet LakeComet LakeComet Lake
CPUコア数101010
スレッド数202020
定格クロック3.6 GHz3.7 GHz2.8 GHz
最大クロック5.2 GHz5.3 GHz5.2 GHz
TBM 3.05.1 GHz5.2 GHz5.1 GHz
L3キャッシュ20MB20MB20MB
対応メモリDDR4-2933DDR4-2933DDR4-2933
内蔵グラフィックスUHD Graphics 630UHD Graphics 630UHD Graphics 630
TDP125W125W65W
TBM3.0対応対応対応
TVB対応対応対応
vpro非対応対応非対応
価格$453$488$439
発売日2020/072020/052020/05
Core i9-10850Kは、Core i9-10900Kとほぼ同等のスペックを持つCPUだ。定格クロック・最大クロック共にCore i9-10900Kの方が0.1GHz高い程度となる。また、TBM 3.0もCore i9-10900Kの方が0.1GHz高くなっている。TBM 3.0は最もパフォーマンスの高い2つのコアを識別して周波数を引き上げられる機能のことだ。より効率的にパワーを発揮できる仕組みになっている。Core i9-10850Kも倍率ロックフリーモデルなので、消費電力はCore i9-10900Kと同じ125Wである。オーバークロックにも対応可能だ。価格差は$35と十分な差別化が図られている。

一つ上のCore i9-10900に対して定格クロックが0.8GHz高く、最大クロックは同等である。倍率ロックモデルということもあってパフォーマンスはやや劣る。やはり性能が近いのはフラグシップモデルであるCore i9-10900Kということだ。Core i9-10900とは$14という小さな価格差しかないのも注目だ。なお、内蔵GPU機能を持たないCore i9-10900Fが$422である。Fモデルが主流になれば$31の差となり、しっかり価格差が生まれることになる。ただし、Core i9-10900自体存在感のあるCPUではなく、Core i9-10850Kの方が注目されるだろう。

Core i9-10850Kの最新評価【2024年】

ゲーム性能は現行のミドルクラスに劣る

i9-10850kgamescore
Core i9-10850Kのゲーム性能スコアは24,460だ。Core i9-10900Kと同等のゲーム性能を期待できる。Core i9-9900Kと比べても10%以上性能が高くIntel第9世代CPUからの買い替えでもある程度メリットを享受できる。ゲーム性能自体はIntel第13世代のエントリークラスであるCore i3-13100が近い。やや厳しくなってきているのは事実だ。

次世代のCore i9-11900Kと比べると8%程度低い。今でも通用するCPUであることは間違いないが、Core i9シリーズというグレードに捉われないようにしたい。3世代前のCore i9シリーズは次世代モデルとは全く別物だ。ゲーミング性能を見る限りGeForce RTX 4060 Ti以下のグラフィックボードと組み合わせるべきだ。

コストパフォーマンスはよくない

製品名コア/スレッドゲーム性能価格コスパ発売日
Core i5-12400F6/1226,44817,4801.5132022/01/05
Ryzen 5 5600X6/1225,93218,5901.3952020/10/09
Core i9-10900K10/2024,927--2020/05/20
Core i7-11700K8/1624,90230,9800.8042021/03/17
Core i7-117008/1624,82827,9800.8872021/03/17
Core i9-1090010/2024,608--2020/05/27
Core i9-10850K10/2024,46032,9800.7422020/08/21
Core i5-11600K6/1224,26423,9801.0122021/03/30
Core i7-10700KF8/1623,77321,9801.0822020/05/20

Core i9-10850Kはコストパフォーマンスが低めCPUだ。10コア20スレッドとスペック・スレッドが多いことで価格が下がりづらい。ゲーム性能に対するコスパだけを考えるならCore i7-11700やCore i5-11600Kがよいだろう。特にCore i7-11700は8コア16スレッドとCore i9-10850Kからスペックダウンとなるが、ゲーム性能はCore i9-10850Kよりも1%-2%高く価格も15%以上安い。

下位グレードであるCore i5-11600KもCore i9-10850Kと同等の性能にもかかわらず10,000円近くも安く購入できる。Core i5-12400Fは17,480円と割安でコストパフォーマンス指標は頭一つ抜き出ている。Core i9シリーズへのこだわりを捨てれば財布には余裕ができるはずだ。

Core i9-10850Kの特徴詳細【発売時点】

10コア20スレッドとスペックが高く性能も高い

corei9-10850kseinou2022Core i9-10850Kは、上位モデルのCore i9-10900Kと比べて2%-3%程度パフォーマンスが劣るだけに留まる。価格差が7%もあることを考えるとCore i9-10850Kのコスパの高さが光る。現行のCore i9-11900Kと比べると23%程度の差がある。Core i9-11900Kでは10コア20スレッドから8コア16スレッドへとスペックダウンとなったが、CPUコアの改良でしっかりと上回っている。

また、AMD製のフラグシップモデルであるRyzen 9 3900Xと比べると19%の性能差がある。Ryzen 9 5900Xは、12コア24スレッドと高スペックなCPUだがゲームプレイだけを考えるならCore i9-10850Kが上だ。何を目的とするのかで決めてしまってよい。

現行のAlder Lake世代になると全く別物のCPUへと変貌する。Core i9-12900Kとの性能差は70%近くもある。10コア20スレッドから16コア24スレッドと飛躍的にパフォーマンスが向上している。これまでAMD製CPUの独壇場だった市場において圧倒的な地位を築いている。

廉価版Core i9-10900Kはコスパが高い

Core i9-10850Kは、コストパフォーマンスに優れたCPUだ。フラグシップモデルであるCore i9-10900Kと比べて、定格クロックが100MHz低いだけでその他性能面は同じだ。機能面ではビジネス用途のセキュリティ機能である「vPro」が搭載されているかいないかの違いしかない。それだけで価格差は$35も生まれている。明らかにこれまでの序列を潰しに掛かってきている。

内蔵GPU機能を持たないCore i9-10900KFの$463よりも安価である。性能は確実にCore i9-10900Kが上だが、Core i9-10850Kが登場するとCore i9-10900Kを選択するメリットは薄くなる。ほぼ同等の性能のCPUが下位モデル並みの価格なら、ただの廉価版というには高性能過ぎる。

Core i9-10900Kの世界最速のゲーム性能の座は揺るがなくても、世界2位のゲーム性能となるであろうCore i9-10850Kに対して選択する利点はほとんどない。実際ベンチマークを見るとわかるが、その差を実際の環境において体感することはできないはずだ。それよりも価格という明らかに目に見える差の方が与えるインパクトは大きい。

国内で販売されればゲーミングPC市場が変わる

現在国内での販売があるかどうかは分からない。もし国内販売されるようなことがあれば、ゲーミングPC市場は大きく変わるだろう。Core i9-10900Kを選ぶ妨げとなる理由の中で大きなものはやはりその高価な価格である。単体価格でも税込み7万円で搭載モデルの価格も高価だ。CPUクーラーなどにコストが掛かることからもなかなか手を出しづらい。単体CPUとしても数千円の差が出るはずだ。

Intel第10世代CPUの飛躍的な向上によって、Core i7シリーズが第9世代のCore i9シリーズに並ぶ性能となった。無理に第10世代のCore i9シリーズを選択しなくても、十分なパフォーマンスを得られるということだ。ただ、リーズナブルなCore i9シリーズとなると話は異なる。

Core i9-10850Kの価格はCore i9-10900Kより抑えられているというだけで、決して安い価格ではない。Core i7-10700KとCore i9-10900Kの価格差は$114である。これが搭載モデルになると2万円以上の価格差が付くことも珍しくない。この法則通りになると、Core i9-10850K搭載モデルとCore i9-10900K搭載モデルの価格差は1万円程度変わってくることになる。ハイエンドユーザーにとっては恩恵の大きなCPUである。

GPUのRTX 2080 SUPERとRTX 2080 Tiに近い関係だろうか。古いモデルでは初代GTX TITANとGTX 780 Tiのようなものだ。後から登場した廉価版がベースモデルを超える評価を得て主流モデルとなる。世界最速を謳いながらも、いまいち評価が伸び悩んだ最上位モデルに代わるCPUとなれるかに注目したい。ゲーミングPCに搭載されることを期待しながら国内販売を待ちたい。

ドスパラでのみ搭載モデルを販売中

2020年8月時点で搭載モデルの取り扱いがあるのはドスパラのみだ。ガレリアのZシリーズにおいて、フラグシップモデルのUシリーズとの差別化を図るためかCore i9-10900K→Core i9-10850K搭載モデルへと切り替えられた。当初はCore i9-10900K搭載モデルと同じ価格設定だったが、今は10,000円値引きがされている。つまり、当サイトでの予想がズバリ当たったということだ。

このCPUがハイエンドモデルに与える影響は無視できない。Core i9-10900やCore i9-10900KはRTX 2080 SUPER以上のGPUに対してバランスが取りやすい。ハイエンドの性能だからこそ実現できるプレイスタイルには必須とも言える。今後も他社BTOメーカーから搭載モデルが販売されることが期待される。

その後パソコン工房など一部のショップで取り扱いがあるぐらいでそれほど名を知らしめることはなかった。後継モデルであるCore i9-11900Kがリリースされたことで役割を終えたと言える。Intelとしては新しい試みで非常に魅力的なCPUであったことは否定できない。

Core i9-10850Kのゲームプレイ時fps一覧

Far Cry 5

farcry5

Core i9-10900K154.0
145.6
Core i9-10850K153.7
142.4
Core i9-10900147.6
139.0
Core i7-10700K144.1
137.7
Ryzen 7 3800XT118.6
118.2
Ryzen 9 3900XT118.3
117.0
Ryzen 7 3700X116.8
116.6
FULL HDWQHD
おおよそCore i9-10900Kと同等のフレームレートが出ている。WQHD環境では2%と少しだけCore i9-10900Kとの差が大きくなっている。一つ上のCore i9-10900よりは4%高く明らかに上位モデルだ。ロックフリーモデルということもあって性能が高いということがわかる。Core i7-10700Kとは7%程度性能が高くCore i9シリーズになるとワンランク余裕が生まれるということだ。Ryzenシリーズを全く寄せ付けない結果となっている。

Sekiro

sekirotop

Core i9-10900K145.1
83.8
Core i9-10850K144.3
83.2
Core i9-10900143.9
83.0
Core i7-10700K143.7
83.0
Ryzen 9 3900XT138.4
80.8
Ryzen 7 3800XT137.6
80.2
Ryzen 7 3700X136.6
79.9
WQHD4K
SekiroでもCore i9-10850Kの性能の高さに気付く。Core i9-10900Kとほぼ同じスコアと言っても嘘ではない。ただし、どちらかというとCore i9-10900に近い結果となっている。価格差を考えると納得できる。Ryzen 9 3900XTとの差は4%以上と大きく開いている。ゲームプレイの安定感ではやはりIntel勢が優勢だ。

Shadow of the Tomb Raider

Shadow Of The Tomb Raider

Core i9-10900K132.2
69.4
Core i9-10850K131.9
69.2
Core i9-10900131.4
68.9
Core i7-10700K131.3
68.8
Ryzen 9 3900XT130.6
68.7
Ryzen 7 3800XT130.2
68.6
Ryzen 7 3700X130.0
68.4
WQHD4K
Shadow of the Tomb Raiderでも傾向は変わらない。Core i9-10900KとCore i9-10900の間に位置するパフォーマンスを持っている。それは高解像度になっても変わらない。Intelが上位を占める形となりCore iシリーズの強さが光る。

Core i9-10850Kのその他アプリのベンチマーク

Cinebench R20

cinebenchcore i9-10850k-cinebench

CPUのレンダリング性能をスコア化させるベンチマークソフトだ。Ryzenシリーズにとって有利な環境だと言える。Core i9-10850Kは、Core i9-10900Kよりも0.4%スコアが低くなっている。シングルコア性能を見てもほぼ同等のスコアということだ。Core i9-10900が苦戦しているのはやはりクロック周波数の低さが影響してしまっているのだろう。

Adobeソフト

gamedougacorei9-10850k-adobe

AdobeソフトでもCore i9-10900Kとほぼ同等の結果となった。Ryzen 9 3900XTよりもパフォーマンスが高く、第9世代CPUと比べてアプリケーション適正が大きく向上していることがわかる。

7-Zip

zipcorei9-10850k-zip

Core i9-10900Kとほぼ同等の結果だ。他のアプリケーションと傾向は変わらない。Core i9-10900と比べてもワンランク性能の高いCPUということがわかる。Ryzen 9 3900XTがトップにランクインとなっているが、Core i9シリーズも負けていない。

Core i9-10850K搭載のゲーミングPC一覧

raytrek ZF(ドスパラ)

raytrek ZFtop価格:229,980円(税込)
CPU:Core i9-10850K
GPU:GeForce RTX 3070
メモリ:DDR4 32GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:750W GOLD

RTX 3070×Core i9-10850K搭載のクリエイターPCだ。ガレリアブランドよりも充実の構成が魅力となっている。メモリ32GB、SSD 1TBという構成で税込み25万円以下ならコストパフォーマンスは高い。さらに、光学ドライブ・カードリーダー標準搭載もポイントだ。ただし、構成が充実している分標準的なRTX 3070搭載モデルよりも高くなっている点は注意しよう。メモリ容量を重視したい方なら選択して後悔することはないだろう。

LEVEL-G04A-LCiX8K-TAX-U(パソコン工房)

LEVEL-R027-i7-RNR価格:239,880円
CPU:Core i9-10850K
GPU:GeForce RTX 3070
メモリ:DDR4 32GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:700W BRONZE

RTX 3070搭載のゲーミングPCだ。パソコン工房のフルタワーモデルとなっている。RTX 3070は、前世代のフラグシップモデルであるRTX 2080 Tiに匹敵する性能を持ち4Kなど高解像度でのゲームプレイを考えている方におすすめだ。CPU性能も高くグラフィックボードとの相性も良好だと言える。メモリ32GB・SSD 1TBと構成も充実しているのが嬉しい。

GALLERIA ZA9C-R37(ドスパラ)

galleriaxseries価格:219,980円
CPU:Core i9-10850K
GPU:GeForce RTX 3070
メモリ:DDR4 16GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:750W GOLD

RTX 3070×i9-10850K搭載のゲーミングPCだ。ハイクラスのグラフィックボードを搭載していてWQHD環境をメインターゲットとしている。タイトルによっては4K解像度にも対応することが可能だ。このグラフィックボードに合わせるのにCore i9-10850Kは理想的な選択だと言える。Core i9-10900Kと同等のゲーム適性を持ち優れた選択だ。競合の多いRTX 3070搭載モデルなので当サイトのおすすめランキングなどでいろいろなモデルをチェックしておくことを推奨する。

GALLERIA ZA9C-R38(ドスパラ)

galleriaxseries価格:229,980円
CPU:Core i9-10850K
GPU:GeForce RTX 3080
メモリ:DDR4 16GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:750W GOLD

最新のRTX 3080を搭載したゲーミングPCだ。まだまだ登場したばかりということで価格は高めだが、RTX 2080 Tiを超えるゲーミング性能がこの価格で手に入ると考えるとお得感がある。4K解像度でのゲームプレイにこだわりたい方は必見だ。メモリ16GB・SSD 1TBと構成も充実している。ストレージ容量についてはカスタマイズを検討しても良いかもしれない。電源ユニットには750W GOLDを搭載している。

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