ALIENWARE X15 R2

当ページでは、Core i9-12900HKの性能レビュー及び搭載ゲーミングノートPCの紹介をしている。当該モデルはAlder Lake世代におけるフラグシップのCPUだ。下位モデルであるCore i7-12700Hと同じ14コア20スレッドというスペックを持つ。Core i7シリーズとの差別化はクロック周波数100MHzから300MHz引き上げられていることだ。選ばれたウェハ(CPUの元)が使用されていて高いパフォーマンスを期待できる。

従来モデルのCore i9-11980HKとCore i7-11800Hとの関係も同じだった。コア/スレッドは同じでクロック周波数に差が付けられていたのだ。それほど性能差が生まれずコストパフォーマンスではCore i7シリーズが優勢だったというのがこれまでの流れだ。残念ながら今世代でも同じような関係となっていて下位モデルのCore i7-12700Hとの性能差は小さい。

よくわかる!!Core i9-12900HKの特徴まとめ

cpu

コードネーム Alder Lake
プロセス 10nm
コア/スレッド数 14コア(8Pコア+6Eコア)/20スレッド
Pコア定格/最大クロック 2.5 GHz/ 5.0 Ghz
Eコア定格/最大クロック 1.8 GHz/ 3.8 Ghz
L3キャッシュ 24MB
PBP 45W
MTP 115W
発売日 2022年01月28日
価格 $635
特徴 (+) Alder Lake世代のフラグシップモデル
(+) 14コア20スレッドのハイパフォーマンスモデル
(-) Core i7シリーズとの差別化が図られていない
(-) 搭載モデルの価格が高くコスパが悪い
評価 ・総合評価
9.0

・ゲーム評価
9.0

Core i9-12900HKのCinebench R23スコア

cinebenchr15corei9-12900hk-cinebenchr23

Cinebench R23において、Core i9-12900HKがトップの結果となった。従来モデルのCore i9-11980HKと比べてマルチスレッド性能は25%高く、シングルスレッド性能は23%高い。8コア16スレッドと14コア20スレッドでは土俵が全く異なる。Ryzen 9 6900HSと比べてもマルチスレッド性能が15%高く、シングルスレッド性能は27%上回っている。

下位モデルであるCore i7-12700Hと比べるとマルチスレッド性能が2%高く、シングルスレッド性能は5%高い。コア/スレッドでの差別化ができないとやはり期待ほど性能差が生まれるというわけではなさそうだ。シングルスレッド性能については少しだけ差があるのはPコアのクロック周波数が5.0GHzを超えていることが要因だろう。

Core i9-12900HKの基本スペック

モバイル向けCPUと比較

Core i9-12900HK Core i7-12700H Core i9-11980HK
メーカー Intel Intel Intel
コードネーム Alder Lake Alder Lake Tiger Lake
プロセス 10nm 10nm 10nm
コア/スレッド数 14(6P+8E)/ 20 14(6P+8E)/ 20 8(8P+0E)/ 16
定格クロック(P) 2.5 GHz 2.3 GHz 2.6 GHz
最大クロック(P) 5.0 GHz 4.7 GHz 5.0 GHz
定格クロック(E) 1.8 GHz 1.7 GHz
最大クロック(E) 3.8 GHz 3.5 GHz
オーバークロック × × ×
L2キャッシュ 11.5MB 11.5MB 10.0MB
L3キャッシュ 24MB 24MB 24MB
対応メモリ DDR5-4800
LPDDR5-5200
DDR4-3200
DDR5-4800
LPDDR5-5200
DDR4-3200
DDR4-3200
内蔵グラフィックス Iris Xe Graphics
(1450 MHz)
Iris Xe Graphics
(1400 MHz)
UHD Graphics
PBP 45W 45W 45W
MTP(PL2) 115W 115W 109W
MSRP $635 $457 $546
発売日 Q1’22 Q1’22 Q2’21
従来モデルのCore i9-11980HKと下位モデルであるCore i7-12700Hとスペックを比較していこう。Core i9-12900Hはハイブリッドコアアーキテクチャを採用していて14コア20スレッドなので大きな差があると言える。従来のPコアだけではなく高効率なEコアを搭載している。Tiger Lake世代のCore i9-11980HKも現行モデルと同じ10nmプロセスを採用している。EコアはなくPコアのみで8コア16スレッドというスペックだ。当時はPコアという概念はなかったが便宜上そのように記載しておく。

定格クロック(Pコア)はCore i9-12900HKの方が3%低く、最大クロック(Pコア)は同じ5.0GHzだ。EコアについてはPコアと比べてクロック周波数が抑えられていることがわかる。L3キャッシュ容量も24MBと共通だ。Core i9-12900HKになって対応メモリがDDR4-3200だけではなくDDR5-4800までカバーされている。内蔵グラフィックスもIris Xe Graphicsになって処理性能が向上している。PBPは45Wと共通で、MTPが6W増えて115Wだ。価格は$89高く$635となった。モバイル向けモデルとしてかなり高価だ。

Core i7-12700Hも14コア20スレッドと共通だ。6つのPコアと8つのEコアを組み合わせている。クロック周波数で差別化が図られている形だ。Pコアは定格クロックが10%高く、最大クロックも7%高い。Eコアも定格クロックが6%高く、最大クロックも9%高い。L3キャッシュ容量は24MBと共通だ。

対応メモリ・PBP/MTPも変わらない。内蔵グラフィックスについては、グラフィックス周波数が500MHzだけ高くなっているが性能差を体感できるほどではない。価格差は$178とやや大きい。コア/スレッドが同じであることを考えるとCore i7-12700Hの方がコストパフォーマンスに優れていると判断してよいだろう。搭載モデルについては熱の問題もあってCore i9-12900HKの価格は高くなる。

デスクトップ向けCPUと比較

Core i9-12900HK Core i9-12900K
コードネーム Alder Lake Alder Lake
プロセス 10nm 10nm
Pコア 6 8
Eコア 8 8
トータルコア 14 16
スレッド数 20 24
定格クロック(P) 2.5 GHz 2.4 GHz
最大クロック(P) 5.0 GHz 5.1 GHz
定格クロック(E) 1.8 GHz 2.4 GHz
最大クロック(E) 3.8 GHz 3.9 GHz
オーバークロック
L3キャッシュ 24MB 30MB
対応メモリ DDR5-4800
LPDDR5-5200
DDR4-3200
DDR5-4800
LPDDR5-5200
DDR4-3200
内蔵グラフィックス Iris Xe Graphics UHD Graphics 770
PBP 45W 125W
MTP 115W 241W
価格 $635 $599
発売日 Q1’22 Q1’22
Alder Lake世代のデスクトップ向けのハイエンドモデルであるCore i9-12900Kとスペックを比較していく。プロセスは10nmと共通だ。Core i9-12900Kではトータルコアが16とCore i9-12900HKよりも15%多くなっている。内訳は8つのPコアと8つのEコアだ。スレッド数は24とCore i9-12900HKよりも20%多い。Core i9-12900HKの場合消費電力を抑えるという意味もあってPコアの数が少なくなっているのだろう。デスクトップ向けモデルではコア/スレッド数においてCore i9シリーズ(16コア24スレッド)とCore i7シリーズ(12コア20スレッド)で差別化が行われている。

Pコアについては定格クロックがCore i9-12900HKの方が5%高く、最大クロックはCore i9-12900Kの方が2%高い。Eコアについては定格クロックがCore i9-12900Kの方が34%高く、最大クロックはCore i9-12900Kの方が3%高い。やはりデスクトップ向けモデルでは消費電力の制約が小さくより高いスペックを持っている。いずれのモデルもオーバークロックに対応している。

L3キャッシュ容量はCore i9-12900Kの方が25%多く30MBとなる。対応メモリは共通だ。内蔵GPUについてはIntel UHD Graphics 770の方が性能が高いが、グラフィックボードを搭載することが一般的なためそれほど気にしなくてもよいだろう。PBPはCore i9-12900Kが高く125Wとなる。MTPもCore i9-12900HKの2倍以上で241Wとなる。これだけで性能差があることがわかる。価格差は$36でCore i9-12900HKの方が高価だ。モバイル向けモデルでは消費電力を抑えたり、本体を小さくしたりとコストが掛かるということだ。

Core i9-12900HKの最新評価【2025年】

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Core i9-12900HKの性能スコアは24,296だ。次世代のCore i7-13650HXと同等の性能を有する。2025年時点でもトップクラスのモデルといえるだろう。従来モデルのCore i9-11980HKと比べて35%以上も処理性能が向上している。8コア16スレッドから14コア20スレッドとスペックが強化されたのは大きい。

GeForce RTX 3080 Ti MobileやGeForce RTX 3080 Mobileなどハイエンドクラスのモバイル向けグラフィックボードとの組み合わせが多かった。性能を考えると妥当だと思う。GeForce RTX 3070 MobileやGeForce RTX 3060 Mobileだと宝の持ち腐れだ。なお、2025年3月時点で中古のモデルは見つからない。Core i7シリーズと比べると販売数も少なく当然だろう。

Core i9-12900HKの強み&搭載モデルの特徴【2022年】

Alder Lake世代のモバイル向けフラグシップモデル

i9-12900hkbenchmark出典:(NOTEBOOKCHECK, 2022)

Core i9-12900HKは、Alder Lake世代におけるモバイル向けのフラグシップモデルだ。ノートパソコンでも性能にこだわりたい方におすすめのCPUだと言える。デスクトップ向けのモデルと比べても引けを取らないスペックを持つ。Pコアのクロック周波数は最大5.0GHzに到達していて下位モデルのCore i7-12700Hと比べてもより高いパフォーマンスを発揮できる。特にシングルスレッド性能には期待ができそうだ。

ただし、Core i7-12700H以上のCPUについては14コア20スレッドと共通だ。マルチスレッド性能については大幅なパフォーマンスが見込めるわけではないだろうと予想はできる。事実Core i7-12700H搭載モデルとゲーム性能などは同等だ。ここはCore i9シリーズとCore i7シリーズでコア/スレッドの異なるデスクトップ向けモデルとは違う。コストパフォーマンスを重視する方は避けたほうがよいかもしれない。どちらかというと価格度外視でフラグシップモデルにこだわりたい方向けだ。

搭載モデルの価格が高く購入しづらい

Core i9-12900HK搭載モデルは非常に価格が高く購入する人を選ぶモデルだと言える。2022年4月時点での最安値クラスのモデルは税込44万円~とかなり高価だ。この価格なら誰もが簡単に購入できるわけではないだろう。発熱量の多いCore i9-12900HKを搭載するために、冷却システムなど本体にコストが掛かってしまうからだ。もちろんフラグシップモデルにはハイエンドクラスのグラフィックボードが選択されることも価格が上がる要因だ。

また、Core i9-12900HK搭載モデルは海外メーカーが中心に販売しているということもあって価格の抑えられたモデルはリリースされないのではないかと思う。前世代のCore i9-11980HKを搭載したモデルが国内メーカーから販売されなかったことからもAlder Lake世代のCPUでも同じ道を進むことになるだろう。

Core i9-12900HKのベンチマーク一覧

一部のベンチマークにおいては45Wと75Wと2つのプロファイルでのパフォーマンスを計測している。ゲーミングノートPCの場合は75Wに設定されていることが多いのでそちらの数値を参考にするとよい。

Handbrake

handbrakecorei9-12900hk-handbrake

動画のエンコードに掛かる時間を計測している。従来モデルのCore i9-11980HKと比べて12%程度パフォーマンスが向上している。Core i7-12700Hと比べると1%弱だけパフォーマンスが高い。やはりクロック周波数の違いだけではどうしようもないのかもしれないRyzen 9 6900HSと同等のスコアとなっている。75Wの場合でもCore i7-12700Hとの差は1%未満だ。HandbrakeだけではCore i9シリーズを選択する理由は薄い。

Blender 2.91

blenderclassroomcorei9-12900hk-blender

lender 2.91でもやはりCore i7-12700Hとの性能差は小さく2%程度だ。それでも従来モデルのCore i9-11980HKと比べて17%もパフォーマンスが向上している。75Wプロファイルでは20%以上もパフォーマンスが向上するが、同じ75WのCore i7-12700Hと比べるとやはり性能差は1%程度と小さい。Core i9シリーズの優位性が見つからないのは残念だ。

7-Zip

zipcorei9-12900hk-zip

従来モデルのCore i9-11980HKと比べると圧縮速度は22%速く、解凍速度は19%速い。1世代でこれだけパフォーマンスが高くなれば理想的だろう。競合モデルであるRyzen 9 6900HSと比べても圧縮速度は2%速く、解凍速度も16%速い。下位モデルであるCore i7-12700Hと比べるとかなり期待外れだと言えるだろう。圧縮速度こそ2%程度速いが、解凍速度では劣ってしまっている。これまでのCore i9シリーズとCore i7シリーズとの関係の再来だ。やはりモバイル向けモデルでは差別化が難しいのだろうか。

Adobe Photoshop

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Adobe PhotoshopではCore i7-12700Hと比べて4%程度パフォーマンスが高い。Ryzen 9 6900HS以下のモデルと比べて有意に性能差があると考えてよいだろう。Core i9-11980HKと比べて36%もパフォーマンスが向上している。

Adobe Premiere Pro 2022

i9-12900hk-adobepremiere

Adobe Premiere Pro 2022ではCore i7-12700Hとの性能差が大きく9%となる。動画編集を考えているならCore i9-12900HKは魅力的な選択肢となりそうだ。Ryzen 9 5900HXと比べて89%もパフォーマンスが高い。Adobe Premiere Proの場合はグラフィック性能も重視されるため参考程度にしておくとよい。同じグラフィックボードを搭載しているCore i9-12900HKとCore i7-12700Hの比較は参考になるはずだ。

Core i9-12900HKのゲーミング性能

ゲーミングノートPCの場合、CPU以外の変数が多く公平な比較が難しいことも押さえておく必要がある。例えば、グラフィックボード・メモリ・冷却システムなどもフレームレートに影響を与える可能性がある。一つの参考としてみていただければ幸いだ。

Resident Evil 2

Resident Evil 2i9-12900HKResident Evil 2

Resident Evil 2では従来モデルのCore i9-11980HKと比べて15%程度パフォーマンスが高い。グラフィックボードの差があるため純粋な比較は難しいがCPU性能が高いことは間違いない。一方で、下位モデルであるCore i7-12700H搭載モデルに劣る結果となった。数値的には誤差の範囲で同等のパフォーマンスだと考えてよいだろう。14コア20スレッドというスペックが共通でクロック周波数の差がゲームプレイ時のフレームレートに影響を与えていないということになる。

Hitman 3

hitman3i9-12900hkHitman 3

Core i7-12700Hと比べて3%程度フレームレートが高い。従来モデルのCore i9-11980HKと比べると43%もフレームレートが高い。高リフレッシュレートモニターを活かすのに最適なモデルだと言える。

Tom Clancy’s Rainbow Six Siege

Rainbow Six Siegei9-12900HKTom Clancy’s Rainbow Six Siege

Tom Clancy’s Rainbow Six SiegeではCore i7-12700Hよりもフレームレートは劣ってしまう。フレームレートの差は2%程度だ。Core i9-11980HKと比べると3%-20%高い。最小fpsが高くなっているのは素晴らしい。

Core i9-12900HK搭載のゲーミングノートPC一覧

Raider GE76 12U GE76-12UH-319JP(MSI)

Raider GE76 12U GE76-12UHS-221JP価格:449,800円(税込)
液晶:17.3インチ WQHD 240Hz
CPU:Core i9-12900HK
GPU:GeForce RTX 3080
メモリ:DDR5-4800 32GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載

Core i9-12900HK搭載モデルの最安値クラスの一台となっている最安値とは言っても税込45万円と非常に高価だ。17.3インチWQHDモニターを搭載している。240Hz対応でコストが掛かっていることがわかる。グラフィックスにはハイエンドクラスのRTX 3080を搭載している。WQHDモニターを活かすのに最適だ。メモリ32GB、SSD 1TBと構成にも抜かりはない。本体重量は約2.9kgとかなり重い。バッテリー駆動時間も短く持ち運びには不向きだ。この性能帯のモデルでは仕方がないだろう。

NEW ALIENWARE X17 R2 スプレマシー(ALIENWARE)

NEW ALIENWARE X17 R2価格:648,130円(税込) 511,984円(税込)
液晶:17.3インチ 165Hz
CPU:Core i9-12900HK
GPU:GeForce RTX 3080 Ti
メモリ:DDR5-4800 32GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載

Core i9-12900HK×RTX 3080 Ti搭載で現行最強のパーツを組み合わせた一台だ。性能が高くFHD 165Hzモニターだと持て余してしまうだろう。カスタマイズで360Hz対応モニターや4K 120Hz対応モニターを選択できる。RTX 3080 Tiの性能を活かすならカスタマイズは検討する意味がある。メモリ32GB、SSD 512GBという構成だ。やはりこの性能帯ではメモリ32GBが定番となるようだ。クリエイター作業にも対応しやすい。本体重量は約3.02kgと3kgを超えてしまう。持ち運ぶ機会が多い方は覚悟が必要だ。

Raider GE76 12U GE76-12UHS-221JP(MSI)

Raider GE76 12U GE76-12UHS-221JP価格:629,800円(税込)
液晶:15.6インチ 4K 120Hz
CPU:Core i9-12900HK
GPU:GeForce RTX 3080 Ti
メモリ:DDR5-4800 64GB
SSD:2TB NVMe
HDD:非搭載

税込60万円オーバーの最強ゲーミングノートPCだ。17.3インチ4Kモニターを搭載している。リフレッシュレートも120Hz対応で本格的なゲームプレイにも対応可能だ。メモリ64GB、SSD 2TBとほとんど見たことのない構成だ。これだけのモデルなら60万円を超える価格も納得できるだろう。本体重量は約2.9kgと持ち運びには不向きだ。

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ベンチマークテスト環境

notepc

モデル MSI GE76 Raider
GPU Nvidia GeForce RTX 3080 Ti
(150W-175W)
メモリ DDR5-4800 32GB
ストレージ
参照元:Intel Core i9-12900HK Review (TECHSPOT)