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当ページでは、Ryzen 7 PRO 4750Gの性能スペックレビューをしている。APUとして初めて8コア16スレッドに到達したモデルということで注目度が高い。従来モデルよりもCPU性能が大きく向上して幅広い用途に対応することが可能だ。L3キャッシュ容量が小さくパフォーマンスに悪い影響を与えることがある点は注意が必要だと言える。Ryzen 7 PRO 4750Gではモバイル向けのRyzen 7 4800Hと同じモノリシックのダイとアーキテクチャを使用している。
注意点としては、他のRyzen 4000Gと同様にOEM供給のみで一般消費者向けには販売されていないことが挙げられる。一部のパーツメーカー経由でバルク品を購入することができる。パッケージなどは用意されていないため物足りなく感じてしまうかもしれないが、製品自体に問題があるわけではない。後継モデルは、Zen 3アーキテクチャ採用の「Ryzen 7 5700G」だ。一般消費者も入手可能でより高いCPU性能を得られる。
当ページの目次
よくわかる!!Ryzen 7 PRO 4750Gの特徴まとめ
コードネーム | Zen 2 |
---|---|
プロセス | 7nm |
コア/スレッド数 | 8コア/16スレッド |
定格/最大クロック | 3.6 GHz/ 4.4 Ghz |
L3キャッシュ | 8MB |
TDP | 65W |
発売日 | 2020年07月21日 |
価格 | -(OEMのみ) |
評価 | ・総合評価 5.0 ・ゲーム評価 3.5 |
Ryzen 7 PRO 4750Gの概要
スペック
7 PRO 4750G | 7 3700X | 5 3400G | |
---|---|---|---|
メーカー | AMD | AMD | AMD |
プロセス | 7nm | 7nm | 12nm |
トランジスタ数 | 49億 | 38億 | 49.4億 |
ダイサイズ | 156 mm² | 74 mm² | 210 mm² |
コードネーム | Renoir (Zen 2) | Matisse (Zen 2) | Picasso (Zen +) |
CPUコア数 | 8コア | 8コア | 4コア |
スレッド数 | 16スレッド | 16スレッド | 8スレッド |
定格クロック | 3.6GHz | 3.6 GHz | 3.7 GHz |
最大クロック | 4.4 Ghz | 4.4 Ghz | 4.2 Ghz |
L3キャッシュ | 8MB | 32MB | 4MB |
CPU内蔵グラフィックス | Radeon Graphics 8 | × | Radeon Graphics 11 |
グラフィックス周波数 | 2,100 MHz | × | 1,400 MHz |
CPUクーラー | × | Wraith Stealth | Wraith Spire |
TDP | 65W | 65W | 65W |
価格 | - | $329 | $149 |
発売日 | 2020年07月21日 | 2019年07月07日 | 2019年07月07日 |
Ryzen 5 3400Gのトランジスタ数は49億でRyzen 7 PRO 4750Gと同等だ。Ryzen 7 PRO 4750Gではプロセスが7nmへとさらに微細化されているためダイサイズが156m㎡とRyzen 5 3400Gよりも25%コンパクトだ。CPUコア/スレッドは4コア8スレッドとそれほど高いわけではない。Ryzen 7 PRO 4750Gではそれぞれの倍の8コア16スレッドまで引き上げられているというわけだ。定格クロックはRyzen 5 3400Gが3%高く、最大クロックはRyzen 7 PRO 4750Gの方が5%高い。L3キャッシュは倍の8MBだ。
Radeon GraphicsについてはRyzen 7 PRO 4750Gでは8コアと25%減となっているもののグラフィックス周波数が50%引き上げられて性能自体は向上している。Ryzen 7 PRO 4750GはOEM向けということもあってCPUクーラーは非搭載だ。TDPは65Wと共通となっている。
同じZen 2アーキテクチャを採用しているRyzen 7 3700Xと比較していく。Ryzen 7 3700XではRadeon Graphicsが非搭載となっているので、トランジスタ数は38億と少なくダイサイズもおよそ半分の74m㎡となっている。CPUコア/スレッド、定格クロック・最大クロックは共通だ。大きな違いはL3キャッシュ容量にある。Ryzen 7 PRO 4750Gは8MBだが、Ryzen 7 3700Xでは32MBと4倍だ。これがパフォーマンスにどのぐらい影響を与えるのかは注目したい。TDPはどちらも65W内に収まっている。
モバイル向けモデルと比較
7 PRO 4750G | 7 4800H | |
---|---|---|
メーカー | AMD | AMD |
プロセス | 7nm | 7nm |
トランジスタ数 | 49億 | 49億 |
ダイサイズ | 156 mm² | 156 mm² |
コードネーム | Renoir (Zen 2) | Renoir (Zen 2) |
CPUコア数 | 8コア | 8コア |
スレッド数 | 16スレッド | 16スレッド |
定格クロック | 3.6 GHz | 2.9 GHz |
最大クロック | 4.4 Ghz | 4.2 Ghz |
L3キャッシュ | 8MB | 8MB |
グラフィックス | Radeon Graphics 8 | Radeon Graphics 7 |
グラフィックス周波数 | 2100 MHz | 1600 MHz |
TDP | 65W | 45W |
価格 | - | - |
発売日 | 2020年07月21日 | 2020年01月06日 |
モバイルでは発熱の問題もあって消費電力を抑える必要がある。TDPを抑えるために定格クロックを19%下げて、最大クロックも5%下げられている。L3キャッシュ容量は同じ8MBだ。グラフィックスについてはRyzen 7 PRO 4750Gの方が高性能だ。実行ユニットは8個で、グラフィックス周波数は2100MHzと高い。
Ryzen 7 PRO 4750Gの最新評価【2023年】
性能が出しづらくゲーミングPCとの相性が悪いCPU
Ryzen 7 PRO 4750Gのゲーム性能はスペックほど伸びていない。Ryzen 7 3700Xと同じZen 2アーキテクチャ(Matisse)を採用したモデルだが、APUということもあってやや特性が異なる。具体的にはモバイル向けのRenoirとなる。Ryzen 7 3700Xと比べてL3キャッシュ容量が1/4で8MBとなる。AMDはゲームプレイにおけるL3キャッシュの有効性を認識していて、ゲーミングCPUとして3D V-Cache搭載モデル(Ryzen 7 7800X3D etc.)を搭載していることを考えるとやはりマイナスだ。その影響は大きくRyzen 7 3700Xと比べて10%程度劣ってしまう。Ryzen 3 3300Xと同程度だ。旧世代のRyzen 5 3400Gと比べると12%程度パフォーマンスが高い。下位モデルのRyzen 5 PRO 4650Gとの性能差は10%だ。
中古価格も割高でAPUとして割り切るべき
製品名 | コア/スレッド | ゲーム性能 | 価格 | コスパ |
---|---|---|---|---|
Ryzen 7 5700G | 8/16 | 22,866 | 21,980 | 1.040 |
Core i3-10100 | 4/8 | 20,069 | 8,980 | 2.235 |
Ryzen 5 3500 | 6/12 | 19,848 | 6,480 | 3.063 |
Ryzen 3 3300X | 4/8 | 19,725 | 5,980 | 3.298 |
Ryzen 7 PRO 4750G | 8/16 | 19,603 | 19,980 | 0.981 |
Core i7-7700K | 4/8 | 19,431 | 14,980 | 1.297 |
Core i3-9100 | 4/4 | 19,406 | 7,980 | 2.432 |
Ryzen 3 4100* | 4/8 | 19,087 | 6,680 | 2.857 |
Ryzen 7 PRO 4750Gの中古価格は19,980円とかなり高価だ。これはAPUとしての価値が含まれているのではないかと思う。グラフィックボードは不要だけどできる限り高性能なグラフィックス性能が必要な方向けだ。ゲームプレイ特化型CPUとしてこの性能帯を探しているならRyzen 5 3500やRyzen 3 3300Xがおすすめだ。1/3以下の価格で同等のゲーミング性能を得られる。
もちろん外付けのグラフィックボード搭載が前提だ。Ryzen 7 PRO 4750GはAPUとしての価値を見いだせる方向けのモデルと考えておくべきだろう。コストパフォーマンスだけを見れば次世代モデルのRyzen 7 5700Gの方が優秀だ。ほとんど価格が変わらいのに性能はワンランクアップだ。いずれにしてもAPU自体ゲーミングCPUとは言えない。
Ryzen 7 PRO 4750Gの特徴詳細【発売時点】
APUとして初めて8コア16スレッドを搭載したモデル
Core i7-12700 | |
Ryzen 7 5800X | |
Ryzen 7 5700G | |
Ryzen 7 5700X | |
Core i5-12400 | |
Ryzen 7 3700X | |
Ryzen 5 5600X | |
Core i7-11700 | |
Ryzen 5 5600 | |
Ryzen 5 5500 | |
Ryzen 7 PRO 4750G | |
Ryzen 5 3600X | |
Core i5-11400 | |
Ryzen 5 3600 | |
Ryzen 5 4500 | |
Ryzen 7 4800H | |
Ryzen 5 PRO 4650G | |
Ryzen 5 3400G |
アーキテクチャ的にはモバイル向けのRyzen 7 4800Hと同等だが、TDPの制限がないことからスペックの強化が図られている。Ryzen 5 3600Xに近い性能を持つ。Zen 2アーキテクチャでこれだけ変わったのであれば次世代のZen 3アーキテクチャを採用したAPUにも期待が持てる。より高性能かつ省電力なモデルの誕生を予感させてくれる。
L3キャッシュ容量が少ないことがネックとなる
Ryzen 7 PRO 4750Gは、L3キャッシュ容量がRyzen 7 3700Xの1/4の8MBしかない。これはRadeon Graphicsを搭載していることでスペースにそれほど余裕がないからだ。L3キャッシュ容量の重要度は分かりづらいだろう。それほどパフォーマンスに影響を与えないように見えるかもしれないが実際は異なる。
L3キャッシュ容量が少ないことで外付けのグラフィックボードを搭載したときのフレームレートが伸び悩んでしまうことが多い。ゲームプレイ時にはデータのやり取りのためにメインメモリとのやり取りが億なるからだ。どれぐらい数値が落ち込んでしまうのかについての詳細はページの下部でまとめているベンチマークを参考にしてほしい。CPU内蔵グラフィックスを使用する場合はそれほど気にしなくてもよい。
BTOパソコンのラインナップは意外と多い
Ryzen 7 PRO 4750Gは、BTOメーカーなどのOEC供給あるいはシステムインテグレーターのみ取り扱いができるAPUだ。基本的にはAmazonなどで一般ユーザーが購入することはできない。一部パーツショップでは単体で販売されていることもあるが、マザーボードとのセット販売が前提でややハードルが高い状況だ。それでもユーザーにとって朗報なのはBTOパソコンのラインナップが豊富であるということだ。
TSUKUMO、パソコンショップセブンなどのメーカーから搭載BTOパソコンを購入できる。性能や価格的にはCore i7-11700搭載モデルと比較するとよいだろう。グラフィックス性能はRyzen 7 PRO 4750Gが圧倒的だ。とこの記事を書いている段階でパソコンセブンのモデルが全て欠品になってしまった。やや購入の難易度が高い状況だ。ただ、今後各メーカーから販売されるのではないかと思う。
Ryzen 7 PRO 4750Gの内蔵GPUの性能ベンチマーク
Radeonグラフィックスの性能について見ていこう。1280×720でのフレームレートを計測している。設定は低設定だ。フルHD環境でのゲームプレイは厳しく、ゲームメインで考えている方にはおすすめしにくい。あくまでもゲームプレイはおまけ程度に考えておく必要がある。
Far Cry 5
FF 15
Shadow of the Tomb Raider
Ryzen 7 PRO 4750Gの性能ベンチマーク【dGPU】
ここからはRTX 2080 Tiを搭載した環境でのフレームレートを計測している。フルHD環境×最高設定での計測だ。後からグラフィックボードを搭載した場合どれほどのスコアを期待できるのかを参考にしてほしい。
Far Cry 5
FF 15
その他アプリケーションのベンチマーク
Cinebench R20
7 Zip
Handbrake
Ryzen 7 PRO 4750G搭載おすすめBTOパソコン
AeroStream RM7A-C204/T2(TSUKUMO)
CPU:Ryzen 7 PRO 4750G
GPU:Radeon Graphics
メモリ:DDR4-3200 8GB
SSD:500GB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:450W 80PLUS BRONZE
現在唯一のラインナップだ。TSUKUMOのミニタワーケースを採用している。メモリ8GB、SSD 500GBと構成も充実している。+5,500円でWindows 10 Proへカスタマイズすることが可能だ。ビジネスモデルとしても使いやすい。
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