GeForce RTX 5090の性能比較&ベンチマーク検証を行った。2025年1月30日にBlackwell世代のフラグシップモデルであるGeForce RTX 5090がリリースされた。MSRPは$1,999で従来モデルのGeForce RTX 4090よりも$400高くなっている。ラスタライズ性能の伸びは20%-25%前後だ。今世代ではAI性能がより強化されていてマルチフレーム生成対応のDLSS 4.0をサポートしている。このDLSS 4.0を使用した状態でGeForce RTX 4090から2倍の伸びを見せているということだ。ここは騙されないようにしたい。
AMDはもはやウルトラハイエンドでのNVIDIAとの勝負を諦めた。この性能帯はNVIDIA GeForceシリーズの独壇場だ。流通量は僅少ですぐに品切れとなるだろう。もっとも価格が40万円近く万人受けするモデルではない。予算度外視でハイエンドモデルを手に入れたいなら早めの決断が重要だ。搭載ゲーミングPCの価格も高すぎて手を出しづらい。搭載ゲーミングPCも最低でも70万円~、中には100万円を超えるモデルもある。Blackwell世代のモデルに興味があるならもう少し現実的なGeForce RTX 5080やGeForce RTX 5070 Tiを選択肢に入れよう。
GeForce RTX 5090のスペック
世代 | Blackwell |
---|---|
プロセス | 5nm TSMC |
CUDAコア | 21,760 |
ベースクロック | 2017 MHz |
ブーストクロック | 2407 MHz |
GPUメモリ | GDDR7 32GB |
L2キャッシュ | 96MB |
TDP | 575W |
MSRP | $1,999 |
国内価格 | 393,800円~ |
発売日 | 2025/01/30 |
よくわかる!!GeForce RTX 5090の特徴まとめ
- (+)順当な進化を遂げる
- (+)VRAM 32GBと大容量
- (+)DLSS 4.0で高フレームレート実現可
- (+)電力効率は悪くない
- (+)PCIe 5.0をサポート
- (-)RTX 3090→RTX 4090ほどのインパクトはない
- (-)RTX 4090よりも25%も価格が高い
- (-)TDPが575Wと大食漢
GeForce RTX 5090の基本スペック
項目 | RTX 5090 | RTX 5080 | RTX 4090 |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | Blackwell | Blackwell | Ada Lovelace |
GPU | GB202 | GB203 | AD102 |
プロセス | 5nm TSMC | 5nm TSMC | 5nm TSMC |
トランジスタ数 | 922億 | 456億 | 763億 |
ダイサイズ | 750m㎡ | 378m㎡ | 609m㎡ |
SM数 | 170/192 | 84/84 | 128/144 |
シェーディングユニット | 21,760 | 10,752 | 16,384 |
RTコア | 170 | 84 | 128 |
Tensorコア | 680 | 336 | 512 |
ベースクロック | 2017 MHz | 2295 MHz | 2235 MHz |
ブーストクロック | 2407 MHz | 2617 MHz | 2520 MHz |
VRAM | GDDR7 32GB | GDDR7 16GB | GDDR6X 24GB |
メモリクロック | 28.0 Gbps | 30.0 Gbps | 21.0 Gbps |
メモリバス | 512 bit | 256 bit | 384 bit |
メモリバンド幅 | 1,790 GB/s | 960 GB/s | 1,008 GB/s |
L2キャッシュ | 96MB | 64MB | 72MB |
接続インターフェース | PCIe 5.0 | PCIe 5.0 | PCIe 4.0 |
TDP | 575W | 360W | 450W |
補助電源 | 1x 16-pin | 1x 16-pin | 1x 16-pin |
MSRP | $1,999 | $999 | $1,599 |
国内価格 | 393,800円~ | 198,800円~ | 289,300円~ |
発売日 | 2025/01/30 | 2025/01/30 | 2022/10/12 |
*価格は発売時点
GeForce RTX 5090のスペックを比較していく。Blackwell世代のモデルでGPUに大型のGB202を搭載している。プロセスは従来モデルのAda Lovelaceと同じTSMC製5nmだ。プロセスの微細化が実行されたなかったのは残念だ。それでもトランジスタ数はGeForce RTX 4090よりも21%多く、ダイサイズも23%大きくなった。SM数は42基増えて170だ。シェーディングユニットは16,384→21,760と33%増量だ。GeForce RTX 5090ではRTコア(第4世代)が170、Tensorコア(第5世代)が680と増えている。
クロック周波数はやや抑えられている。GeForce RTX 4090と比べてベースクロックが10%低く、ブーストクロックも5%低い。メモリ周りは大きく強化されてGDDR7 32GBとなっている。VRAM容量は8GB増えた。メモリクロックは28.0 Gbpsで、メモリバスは512 bitだ。メモリ帯域幅は驚異の1,792 GB/sを実現している。GeForce RTX 4090よりも78%も広い。L2キャッシュ容量も24MB増えて96MBだ。TDPは575Wと50%も引き上げられている。補助電源は1×16-pinと変わらない。MSRPは$1,999と$400アップだ。GeForce RTX 5090の国内価格は393,800円~となる。GeForce RTX 4090の発売時点の価格が289,300円~だったので100,000円以上高い。
すでにGeForce RTX TITANあるいはGeForce RTX 5090 Tiなど上位モデルがリリースされるのではないかと業界が騒ぎ立てている。GeForce RTX 5090のGPU GB202はフルスペックバージョンではないからだ。フルスペック版のSM数は192であるのに対して、GeForce RTX 5090ではその内22基が無効化され170となっている。つまり、シェーダーユニットでいえば2,816の余力があるのだ。
簡単に下位モデルであるGeForce RTX 5080とのスペックも見ておこう。同じBlackwell世代のグラフィックボードでGPUは二回りコンパクトなGB203だ。トランジスタ数はGeForce RTX 5090のおよそ50%の456億だ。ダイサイズも378m㎡と半分になっている。SM数は84基でシェーディングユニットは10,752(84×128)だ。GeForce RTX 5090とのスペック差は大きいことがわかる。GeForce RTX 5080のベースクロックは2295MHzで、ブーストクロックは2617MHzでやや高めだ。VRAMはGDDR7 16GBだ。
メモリクロックは30.0 GbpsとGeForce RTX 5090を上回るが、メモリバスは256 bitとスペックダウンとなる。メモリバンド幅は960 GB/sだ。L2キャッシュは64MBで32MB少ない。TDPは360Wと低めだ。補助電源は1×16-pinと同じだ。MSRPは$999でGeForce RTX 5090の半分だ。国内価格も198,800円~半分に近い。スペック的にも価格的にも全くの別物だと考えておこう。一般的なユーザーであればGeForce RTX 5080でも十分なのではないかと思う。
GeForce RTX 5090の特徴&強み
GeForce RTX 4090よりも20%以上性能が高い
GeForce RTX 5090は、Blackwell世代のフラグシップモデルで現行最強ゲーミンググラフィックボードだ。従来モデルのGeForce RTX 4090と比べて25%以上もゲーム性能が向上している。4K環境をメインに考えればそれ以上のパフォーマンス向上が見込める。AMD製Radeon 7000シリーズの最上位モデルであるRadeon RX 7900 XTXと比べると実に70%近くも性能が高い。
完全にAMDの心を折ったといえそうだ。Blackwell世代になってもNVIDIAのフラグシップモデルは健在だ。NVIDIAの80番台及び90番台については競合不在となる。一方で、GeForce RTX 3090 Ti→GeForce RTX 4090では50%以上もグラフィックス処理性能が向上したことを考えると物足りなさがあるのも事実だ。プロセスもGeForce RTX 4090と同じ5nm TSMCで進化しているわけではない。印象的にはAda Lovelaceのリフレッシュモデルだ。
AI活用で希少価値を高めている
NVIDIAはこれまで以上にAIに力を入れている。今世代の売りは間違いなくこのAIにあるといえるだろう。GeForce RTX 40シリーズと比較してラスタライズ性能についてはそこまで特筆すべきところはないが、このAIを考慮すれば納得できるはずだ。特にGeForce RTX 5090ではその意味が大きいように思える。Blackwell世代における大きなポイントとしてはグラフィックの描写がプログラマブルシェーダーからニューラルシェーダーへと変更されたことが挙げられる。
2001年のGeForce 3の時代から続いたプログラマブルシェーダーの時代は終焉を迎えた。プログラマブルシェーダーが直接Tensorコアにアクセスできる仕組みだ。AI(Tensorコア)を活用してゲームプレイにおいて映画のような高品質なグラフィックを実現できるようになる。シェーダーコードをAIで圧縮してGPU負荷を下げるRTX Neural Materialsやゲーム内のキャラクター品質アップに貢献するRTX Neural Faceなどの機能がある。
もう一つ忘れてはいけないのがDLSS 4.0だ。マルチフレーム生成をサポートしていてGeForce RTX 4090と比較して2倍程度パフォーマンス向上を見込める。1フレームに対して最大で3フレームの生成が実現可能だ。大幅なフレームレート向上となる。4K環境でのフレームレートの伸びは著しい。DLSS 4.0をサポートするタイトルは75となるようだ。プレイしているタイトルが対応しているなら買い替えのメリットはある。
逆に言えばこのDLSS 4.0を活用できないならGeForce RTX 5090を選ぶメリットは小さい。なお、今回モデルタイプがCNN(Convolutio Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)からTransformer変わりより効率的にトレーニングを行える。結果的に画質の向上(チラつき軽減など)やVRAM負荷の低減などの効果がみられる。このTransformerモデルについては従来のGeForce RTX 40/30/シリーズでも対応タイトルでは恩恵を得られる。
TDPは575Wと高いが電力効率は悪くない
上記画像はゲームベンチマーク計測時の消費電力とワットパフォーマンスをまとめたものだ。消費電力が少ない順に並べている。GeForce RTX 5090は消費電力が581Wと全ラインナップの中でもトップだ。従来モデルのGeForce RTX 4090と比べると消費電力が38%高いが、性能も24%高い。ワットパフォーマンスは10%程度落ちてしまったが、2世代前のGeForcfe RTX 3090 TiやGeForce RTX 3090と比べれば優秀だ。
GeForce RTX 5090の推奨電源容量は1000W~となる。下位モデルのGeForce RTX 5080の推奨電源が850Wなのでやはり別物だ。BTOパソコンを見ても1200W PLATINUMが最低基準で、中には1500W PLATINUMを搭載したモデルもある。やや余裕を持たせた選択だと考えられる。ゲーム性能がずば抜けて高いことを考慮すればそこまで悪いものではない。
コンシューマー向けモデルとして過去最高値
製品 | MSRP(円換算) | 国内販売価格 |
---|---|---|
GeForce RTX 5090 | $1,999(311,844円) | 393,800円~ |
GeForce RTX 4090 | $1,599(249,444円) | 289,300円~ |
GeForce RTX 5080 | $999(155,844円) | 198,800円~ |
Radeon RX 7900 XTX | $999(155,844円) | 179,980円~ |
*円換算価格は1$=156円で計算している。
国内販売価格は393,800円~とかなり高い。従来モデルのGeForce RTX 4090(289,300)と比べると100,000円以上も高くなった。定価である$1,999を1$=156円で計算すると311,844円なので、30%近くもプレミアム価格がのっている。これはASK税が関係していそうだ。秋葉原では多くの購入希望者が殺到して大変なことになったようだ。すでに完売となりショップで購入することは難しい。メルカリやヤフオクなどにいくつか流れていることを確認したが、保障面を考えれば怖くて手を出せない。素直に次回の入荷を待つことをおすすめする。
更新:GeForce RTX 5090/5080を求めて客が殺到。パソコン工房パーツ館の周辺は大混乱、抽選販売は中止に 実売価格は約20~58万円だが… https://t.co/ir0rlXWHYt #自作PC #RTX5090 pic.twitter.com/uZivRPf78t
— AKIBA PC Hotline! (秋葉原) (@watch_akiba) January 30, 2025
こだわりのメーカー製ラインナップがおもしろい
各ベンダーが様々なGeForce RTX 5090をリリースしている。残念ながら2025年2月時点でどのモデルも完売中だ。ウルトラハイエンドらしくこだわりの機能を持つラインナップが揃っている。いくつか紹介していこうと思う。
まずはASUSから販売されている「ROG Astral GeForce RTX 5090 32GB GDDR7 OC Edition」だ。ROGシリーズに新しく追加されたフラグシップブランドROG ASTRALの製品となる。3基のRGB対応120mmファンを搭載したラジエーターを持つ水冷仕様のモデルだ。また、グラフィックボード本体にも1基のファンが搭載されていて全部で4つのファンがある。クワッドファンフォースのおかげで静圧が最大20%も向上させている。OCモードでは2610MHzと高いクロック周波数の実現に貢献している。本体重量は約2.86kgでかなり重い。参考までにFounder Editionの重量は約1.82kgだ。これだけの機構を持っていれば納得できる。
もう一つはGIGABYTE製の「AORUS GeForce RTX 5090 MASTER ICE 32G」だ。こちらは空冷式のモデルで表に3基のファンに加えて裏面(拡張ヒートシンク部分)に1基のファンを追加できるクワッドファン対応のグラフィックボードだ。エアフローの改善に効果的だ。また、冷却ファン自体も改良されていて従来モデルよりも静圧が53.6%、風量も12.5%も向上している。
GeForce RTX 5090搭載おすすめゲーミングPC
FRGBLB650/WS130(フロンティア)
価格:799,800円+送料2,200円
CPU:Ryzen 7 9800X3D(水冷)
GPU:GeForce RTX 5090
メモリ:DDR5-5600 32GB
ストレージ:SSD 2TB Gen4 NVMe
電源:1500W 80PLUS PLATINUM
コスパ:調査中
2025年2月の大決算セールで登場て即日完売となった一台だ。限定4台でこの価格ならすぐに売れるのも納得だ。Ryzen 7 9800X3D×GeForce RTX 5090搭載で799,800円と高価が、GeForce RTX 5090搭載モデルとして見れば割安感がある。CPUには現行最強のゲーミングCPUであるRyzen 7 9800X3Dを搭載している。CPUクーラーは水冷式の「SilverStone SST-PF240-ARGB-V2」だ。前面×2基と背面×1基本のARGB対応ファン搭載で魅せる光るゲーミングPCに最適だ。メモリDDR5-5600 32GB・SSD 2TB Gen4 NVMeとずば抜けた構成を持つ。電源ユニットは1500W PLATINUMと圧巻だ。なかなかここまでの構成のゲーミングPCを見る機会はないだろう。
GALLERIA UE9C-R59(ドスパラ)
価格:1,099,980円+送料3,300円
CPU:Core Ultra 9 285K
GPU:GeForce RTX 5090
メモリ:DDR5-5600 64GB
ストレージ:SSD 2TB Gen4 NVMe
電源:1200W 80PLUS PLATINUM
コスパ:調査中
100万円を超えるゲーミングPCが登場した。ガレリアブランド唯一のE-ATXケースだ。フルタワーケースで高い拡張性を持つ。GeForce RTX 5090のサイズを考えればこれぐらいの大きさが必要だろう。CPUにはCore Ultra 9 285Kを搭載している。24コア24スレッドと高スペックだ。今のところ思ったほどのゲーム性能を発揮できていないが、今後改善されるはずだ。構成も圧倒的な一台となる。メモリDDR5-5600 64GB・SSD 2TB Gen4 NVMeだ。メモリ64GBは驚くしかない。電源ユニットは1200W PLATINUM搭載で万全だ。
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