geforcenradeonhikaku
主要グラフィックボードであるNVIDIA GeForceとAMD Radeonを比較していく。GeForceはBlackwell/Ada Lovelace世代(GeForce RTX 50/RTX 40シリーズ)を、RadeonはRDNA 4.0/RDNA 3.0世代(Radeon RX 9000/Radeon RX 7000シリーズ)を中心に見ていく。2025年になってグラフィックボードのリリースが立て続けに起こった。モンハンワイルズのリリースもあって注目しているユーザーは多かったはずだ。

Intel製グラフィックボードブランドのArcは知名度がほとんどなく競合と同じ土台には立てないので今回は触れていない。今後市場シェアが増えてくればコンテンツを作成するかもしれない。ゲーミングPCの購入や自作PCでのグラフィックボード選びでどちらのメーカーがよいのか悩んでいる方向けのコンテンツだ。各グラフィックボードの性能については、「グラフィックボード比較表【新旧170モデルの性能・コスパ掲載】」を参考にしてほしい。

NVIDIAとAMDの特徴比較表

企業名(ブランド) NVIDIA(GeForce) AMD(Radeon)
取扱い製品 グラフィックボード グラフィックボード
CPU
売上 $130,497,000,000
(19兆5745億円)
$25,785,000,000
(3兆8677億円)
世代 Blackwell
Ada Lovelace
RDNA 4.0
RDNA 3.0
Steamシェア
(2025/2時点)
83.07% 11.49%
ラインナップ
コスパ
グラフィックス性能
レイトレーシング性能 ○~☆ △~○
クリエイティブ性能
特徴 幅広い性能帯をカバー ハイクラスのコスパが高い
BTOパソコン ラインナップ豊富
割安
ラインナップ少なめ
割高

NVIDIAとAMDの特徴を比較していく。NVIDIAのゲーム向けグラフィックボードのブランドはGeForceだ。NVIDAの売り上げ規模は1304.97億ドル(19兆5745億円)だ。1,000億ドル超え達成した。AI特需で来期以降も大幅に売り上げ高が伸びる予想だ。対してAMDの売上は257.85億ドル(3兆8677億円)だ。AMDはCPUの製造・販売も行っていることを忘れてはいけない。

いかにNVIDIAの勢いが凄いのかがわかるだろう。もっともAMDも売り上げを大きく伸ばしていることは間違いない。どちらのメーカーも株価が順調でビジネスとして強固なものになっている。Steam上でのグラフィックボードメーカーのシェアを見るとNVIDIAが83.07%で、AMDが11.49%となっている。これはBlackwell世代及びRDNA 4.0世代は反映されていない。Radeon RX 9070シリーズの人気を見る限りAMDのシェアが少し増えそうだ。

NVIDIAは2025年3月に新しい世代であるBlackwellのグラフィックボードをリリースした。上位モデルから順に発売されて、GeForce RTX 5090・GeForce RTX 5080・GeForce RTX 5070 Ti・GeForce RTX 5070と順調にラインナップを増やしている。Ada Lovelace世代ではGeForce RTX 4060以外の入手難易度は高い。50番台はAmpere世代のGeForce RTX 3050 8GB/6GBが購入できる。

AMDも2025年3月にRDNA 4.0アーキテクチャを採用したRadeon RX 9000シリーズがリリースした。今のところはRadeon RX 9070 XTとRadeon RX 9070のみだ。今世代からNVIDIAと型番を合わせたので比較しやすくなっている。GeForce RTX 5090やGeForce RTX 5080などハイエンドモデルのラインナップは諦めたようだ。RDNA 3.0アーキテクチャではRadeon RX 7900 XTX・RX 7900 XT・RX 7800 XT・RX 7700 XT・RX 7600 XT・RX 7600が販売されている。

純粋なグラフィックス処理性能(ラスタライズ性能)だけで見ればRadeon製モデルの方がコストパフォーマンスが高い。より安価な価格でより高性能なグラフィックボードを購入できる。一方で、レイトレーシング性能についてはNVIDIA製グラフィックボードが圧倒している。AMD製Radeonシリーズよりも1世代早くレイトレーシングを導入したことで有利な立場にある。Radeonシリーズのレイトレーシングは発展途上だ。同様にDLSSなどAIの分野でもNVIDIAが優勢だ。DLSS 4.0がリリースされより注目を増している。RDNA 4.0アーキテクチャではレイトレーシング性能が飛躍的に向上しているがNVIDIAには勝てない。

クリエイティブ性能はNVIDIA GeForceの圧勝だ。これはハードウェアの問題というよりもソフトウェア側の最適化の問題があるように思える。ゲーム性能以上に大きな差があると考えてよい。今後改善される可能性があるが、現時点でクリエイティブ作業も行いたいならNVIDIA製モデルを選ぶことをおすすめする。

特徴を見ていくとGeForceは上から下までまんべんなく性能帯・価格帯をカバーしているのが魅力だ。初心者の方でも選びやすい。ハイエンドのGeForce RTX 5090は頭一つ抜き出た性能を有している。一方のRadeonシリーズはミドルクラスからハイクラスに強くコストパフォーマンスも良好だ。レイトレーシング性能を重視する方が少ない性能帯ということも後押ししてくれる。

BTOパソコンについてはまだまだNVIDIA製グラフィックボードが優勢だ。ラインナップも多く初心者から上級者まで選びやすさがある。AMD製グラフィックボードについてはラインナップが限定的で割高感がある。単体として見ると安いが、BTOパソコンになると高くなってしまう。これは捌ける量が違うから仕方がないのかもしれない。

NVIDIAとAMDのグラフィックボードの特徴を比較

ここからはより詳細に両企業のグラフィックボードを比較していく。価格・性能・ハード・ソフト・機能に分けて見ていこう。

Steamでのシェア

steamvideomaker20253
Steamハードウェア&ソフトウェア調査(Steam, 2025)においては、2025年2月時点でのユーザーのビデオカードメーカー別の割合はNVIDIAが83.07%と大多数を占めている。何か問題が起こった場合でもオンライン上にある豊富な情報から解決策を探しやすい。ユーザーが多いということは解決策も豊富だということだ。AMDはCPU内蔵GPU含めて11.49%に留まっている。

今はBTOパソコンが自作パソコンより安価に入手することができるようになったのも関係している。Radeonシリーズのように自作ユーザーに適したGPUであること自体がメリットにならなくなったからだ。また、BTOショップは初心者を基準にモデルを構築する傾向にある。つまり、Radeonにとっては有利な市場とは言えないのだ。当然これは国内だけではなく海外にも当てはまるのではないかと思う。

ラインナップ

NVIDIA AMD 解説
RTX 5090
RTX 4090
4Kでのリアルタイムレイトレーシング適用
高設定での240hz以上に対応
RTX 5080
RTX 4080 SUPER
4Kでのリアルタイムレイトレーシング適用
高設定での120hz以上に対応
RX 7900 XTX
RX 7900 XT
4K解像度、高設定での240Hz以上に対応
レイトレーシング性能はイマイチ
RTX 5070 Ti
RTX 4070 Ti SUPER
WQHDでのリアルタイムレイトレーシング適用
高設定での240hz以上に対応
RX 9070 XT
RX 9070
WQHD解像度、高設定での240Hz以上に対応
レイトレーシング性能はまずまず
RX 7800 XT WQHD解像度、高設定での240Hz以上に対応
レイトレーシング性能はイマイチ
RTX 4070 SUPER
RTX 4070
WQHDでのリアルタイムレイトレーシング適用
高設定での144Hz以上に対応
RTX 4060 Ti 16GB
RTX 4060 Ti 8GB
RX 7700 XT フルHDでのリアルタイムレイトレーシング適用
高設定での120Hz以上に対応
RX 7600 XT フルHD、144Hz以上に対応
RTX 4060 RX 7600 フルHD、高リフレッシュレートに対応
RTX 3050 8GB ロークラス
RTX 3050 6GB RX 6400 エントリークラス

NVIDIAは変わらず幅広い性能帯で製品を展開している。それに対し、AMDは機能を限定してかつ製品を絞ってNVIDIAに対抗している。以前のようにNVIDIA一強という時代ではなくAMDも勢力を強めている。とくに純粋なグラフィックス処理性能だけを見ればNVIDIAと比べても引けを取らない。

基本的に単体のグラフィックボードとしてはAMDはNVIDIAよりも安価に展開しているため、コストパフォーマンスという点では強力だ。ただし、タイトルによっては不安定な挙動を見せてしまうことがある。現時点では安定感に掛けるAMDよりも、安定しているNVIDIAに分がある。

グラフィックス性能・コスパ

製品 性能 VRAM 価格 コスパ
RTX 5090 72,150 32GB $1,999 36.09
RTX 4090 59,731 24GB $1,599 37.36
RTX 5080 52,994 16GB $999 53.05
RTX 4080 SUPER 48,008 16GB $999 48.06
RX 7900 XTX 47,069 24GB $999 47.12
RTX 5070 Ti 46,573 16GB $899 51.81
RX 9070 XT 44,982 16GB $599 75.10
RTX 4070 Ti SUPER 42,652 16GB $799 53.38
RX 7900 XT 41,531 20GB $899 46.20
RX 9070 41,093 16GB $549 74.85
RTX 5070 39,624 12GB $549 72.17
RTX 4070 SUPER 38,098 12GB $599 63.60
RX 7900 GRE 37,016 16GB $549 67.42
RX 7800 XT 34,828 16GB $499 69.80
RX 7700 XT 30,998 12GB $449 69.04
RTX 4060 Ti 16GB 28,061 16GB $499 56.23
RTX 4060 Ti 8GB 28,036 8GB $399 70.27
RX 7600 XT 22,782 16GB $329 69.25
RTX 4060 22,620 8GB $299 75.65
RX 7600 20,864 8GB $269 77.56
RTX 3050 8GB 14,734 8GB $249 59.17
RTX 3050 6GB 11,724 6GB $179 65.50
RX 6400 9,392 4GB $159 59.07

赤文字はAMD Radeonシリーズ

グラフィックス処理性能はGPUにとって最も重要な要素だ。コスパ度外視での処理性能はNVIDIAの方が上といえるだろう。グラフを見て分かる通りNVIDIAは、AMDの競合モデルに対して性能で完全に上回っている。最新のAda Lovelace世代のGeForce RTX 4090は圧倒的な性能を持つ。二番目以下のモデルを大きく引き離している。GeForce RTX 4080よりも25%以上も処理性能が高い。

次の項目で解説するレイトレーシング性能を除外すればRadeon RX 7000/Radeon RX 6000シリーズは総じてコストパフォーマンスが高い。基本的には同性能帯のモデルならRadeonシリーズの方が安価だ。Radeon RX 7000シリーズのフラグシップモデルであるRadeon RX 7900 XTXは、GeForce RTX 4090には及ばないものの、同価格帯のGeForce RTX 4080よりもグラフィックス処理性能が高い。

Radeon RX 7900 XTに関しても11.5万円という価格を考慮すれば健闘していると言えるだろう。GeForce RTX 4070 Ti SUPERよりも高い性能を持ちながらも価格が抑えられているのは好印象だ。Radeon RX 7000シリーズはハイエンドクラスとミドルハイクラスしかなくその中間が存在しない。そこは旧世代のRadeon RX 6000シリーズが担う形だが、コストパフォーマンス的にはそこまで優れているわけではない。

2023年9月に登場したRadeon RX 7800 XT/RX 7700 XTについてはまだまだ価格が高くNVIDIAの競合と比べても苦しい状況となる。ミドルクラスになるとRadeon RX 7600やRaeon RX 6650 XTが存在感を示している。競合のGeForce RTX 4060に比べるとレイトレーシング性能は劣るものの純粋なグラフィックス処理性能では十分だ。価格が抑えられている分選びやすさがある。

レイトレーシング性能

型番 総合性能
RTX 5090 175.7
RTX 4090 146.0
RTX 5080 124.5
RTX 4080 SUPER 118.3
RTX 5070 Ti 112.0
RTX 4070 Ti SUPER 103.2
RX 9070 XT 94.8
RTX 5070 88.6
RTX 4070 SUPER 87.9
RX 7900 XTX 82.3
RX 9070 81.5
RX 7900 XT 72.7
RX 7900 GRE 62.4
RTX 4060 Ti 16GB 61.7
RTX 4060 Ti 8GB 61.6
RX 7800 XT 61.2
RX 7700 XT 52.8
RTX 4060 48.4
RX 7600 XT 33.1
RTX 3050 8GB 31.9
RX 7600 27.5
RTX 3050 6GB 23.8

レイトレーシング性能についてはGeForce RTX 50シリーズ/RTX 40シリーズの圧勝だ。AMDはRDNA 4.0アーキテクチャによってレイトレーシング性能が向上したとはいっても最上位モデルであるRadeon RX 9070 XTでもGeForce RTX 4070 Ti SUPERに10%程度劣る。現行のフラグシップモデルであるGeForce RTX 5090との性能差は85%以上と圧倒的だ。

さらに、GeForce RTX 50シリーズでは、マルチフレーム生成(DLSS 4.0)に対応となった。従来のフレーム生成を強化した機能で対応タイトルであれば最大で4倍程度フレームレートが高くなる。AMDも遅れながらもアップスケーリング技術であるFSRを導入している。その後FSR2になり飛躍的に性能が向上しているが、それでもGeForceの70番台相当に留まる。

レイトレーシング性能を重視するならGeForceシリーズを選択するべきだろう。僅差ではなく明らかな差があるからだ。このレイトレーシング性能が低い分だけRadeonシリーズは価格が抑えられているとも捉えることができるだろう。つまり、純粋なグラフィックス処理性能だけを重視するならRadeonシリーズも悪い選択肢ではないということだ。

クリエイティブ性能

型番 総合性能
RTX 5090 14,915.20
RTX 4090 13,406.62
RTX 5080 9,040.30
RTX 4080 SUPER 8,815.61
RTX 5070 Ti 7,654.26
RTX 4070 Ti SUPER 7,008.74
RTX 5070 6,517.74
RTX 4070 SUPER 6,472.82
RX 9070 XT 4,517.98
RTX 4060 Ti 16GB 4,352.72
RTX 4060 Ti 8GB 4,350.18
RX 9070 4,005.26
RX 7900 XTX 3,930.28
RX 7900 XT 3,908.37
RTX 4060 3,495.21
RX 7900 GRE 2,788.59
RX 7800 XT 2,433.10
RX 7700 XT 2,065.22
RTX 3050 8GB 1,426.18
RX 7600 XT 1,275.45
RX 7600 1,270.81
RTX 3050 6GB 1,214.79

クリエイティブ性能はGeForceシリーズが得意とする分野だ。ここではBlenderのベンチマークスコアをまとめている。Stable Diffusionや動画のエンコードでもGEForceが有利だ。RDNA 4.0アーキテクチャの最上位モデルであるRadeon RX 9070 XTでもスコアは4,517.98とGeForce RTX 4060 Tiと同程度に留まる。ゲーム性能では上回るGeForce RTX 4070 Ti SUPERと比べると35%程度スコアが低い。

これはRadeonのシェーディングユニットの問題もあるかもしれないが、ソフトウェア側で最適化されていないことも要因となっていそうだ。これまで長らくGeForceシリーズがグラフィックボード市場を独占していてRadeonシリーズに合わせる必要がなかった。ここに来てRadeonシリーズが復権しつつありソフトウェア側での対応が求められる。

ソフトウェア

最適化されたソフトウェアはハードウェアの性能やパフォーマンスによい影響を与える。ドライバーやコントロールパネルが該当する。ドライバーはグラフィックボードの要でNVIDIAもAMDも頻繁に更新を行っている。特に不安定になりがちな最新タイトルへの最適化を中心に行われる。NVIDIAは専用ソフトウェア「GeForce Experience」を用意していて誰でも簡単に最新ドライバーにアップデートできる。

AMDも同様の機能を持つ「AMD Software: Adrenalin Edition」を用意している。このドライバーにも特性がある。NVIDIAは最適化を中心としたものが多い印象を受ける。一方で、AMDのRadeonシリーズはバグや不具合が多くのその修正のためのアップデートが織り込まれる傾向にある。また、AMDはドライバの更新で性能の底上げが行われることもあった。正しく言えば、発表時に謳っていたほど製品版の性能が伸びないケースがある。

徐々に問題を解決し、最適化を行うことで発表時の性能に近づいていく。やや不安のように思えるかもしれない。しかし、アップデートの回数が多いので長期に渡る不具合がない。価格が落ち着く頃には性能も落ち着くので扱いやすくなる。少しじゃじゃ馬な要素はあるものの、ソフトウェアでは同等だ。コントロールパネルのユーザービリティは双方高く、ソフトウェアにおける優位性は無いと言えるだろう。

機能

ゲーム動画の録画

機能面もこれまでと変わらず、双方名称の違う似た機能が搭載されている。例えば、ゲーム動画の録画やストリーム向けに「NVIDIA ShadowPlay」と「AMD ReLive」が用意されている。低負荷で高画質な動画、配信が可能なツールで設定した時間分だけ巻き戻して動画を保存する機能もある。

安定した録画を行うのであればGPUドライバーに搭載されているソフトウェアを使用することを推奨する。該当するグラフィックボードを搭載していれば無料で使用できるツールであり、その機能性は無料とは思えないものだ。

ただ、このShadowPlayとReliveではReliveに軍配が上がる。シンプルな設定、最大20分巻き戻し録画が特徴のShadowPlayに対し、Reliveは最大1時間、1秒単位で細かく巻き戻し時間を設定できるだけでなく、録画の設定も非常に細かくすることができる。そこまで細かな設定は必要とせず、最高設定で保存する場合はメリットになりにくい。

G-SYNC/FreeSync

今では一般的になりつつあるVertical Synchronization Substituteにも対応している。NVIDIAはG-SYNC、AMDはFreeSyncという名称だ。対応したモニターでのみ使用できる機能で、ラグをあえて描写せずに映像を繋ぐことにより描写される映像の遅延を感じにくくする機能だ。例え性能が高くてもプリフリーズを頻発するEFTのようなゲームでは効果が高く、よりスムーズにゲームを快適にプレイすることが出来る。

対応したモニターはやや価格が高くなる傾向にあるため、あれば良い程度の機能として見ておくべきだろう。特に高リフレッシュレートに対応したモニターの場合は価格的に選びにくく、搭載しているグラフィックボードがNVIDIAかAMDかによって選択肢が異なるため中級者以上向けの機能だ。

GameWorksやTressFX

最後に、競合が持っていなくて特定の製品だけが持つ小さな機能がある。つまり、NVIDIAにはGameWorksという機能が用意されている。GameWorksは主にゲーム開発者向けのツールだ。NVIDIAのこの機能はもはやユニークあるいは代替不可能というわけではないことは理解しておいて欲しい。

実際、Radeonも開発者向けに独自のレンダリング技術である「TressFX」を用意している。GameWorksがTressFXにないものとして気軽に利用でき誰でも簡単に活用できるということだ。そのため、NVIDIAのグラフィックボードでレンダリングをするとよりよい環境を構築できるということになる。

BTOパソコンに見る両者の関係について

Radeonシリーズ搭載モデルも増えてきているが…

今現在の主流はNVIDIAのGPUだ。そのため、ショップはRadeonよりGeForce RTXシリーズを多く仕入れていると考えて間違いない。結果的にセール対象や値引きになりやすいのはGeForce RTX 50シリーズ/GeForce RTX 40シリーズだ。各BTOメーカーが販売する売れ筋ランキングを見ても基本的にはGeForce RTX 50シリーズ/GeForce RTX 40シリーズがメインとなる。

当サイトの「コスパ最強のゲーミングPCおすすめランキング16選」でもそれは変わらない。RadeonはAMDユーザーなら魅力的に感じても、万人受けするわけではなくまだまだ主流になるには遠い。ではNVIDIAのGPUが安泰かというとそうでもない。AMDのGPUはNVIDIAに及ばないが、徐々にその差を詰めている。

Radeon RX 9070シリーズからラインナップが増えていることは間違いない。それでもまだまだ差があるのが現実だ。また、単体のグラフィックボードとしては安価でも搭載BTOパソコンになると一気に価格が跳ね上がってしまうのも問題だ。これはバルク購入できる量が限られているからだろう。もう少しゲーム市場において確固たる地位を築くことができればNVIDIAと対等に戦えるのではないだろうか。

ラインナップの差が開いている以上、自作ユーザー向けという印象は拭えていない。AMDのCPUであるRyzenがさらに広まれば、Radeonと組み合わせたモデルも増えてくるはずだ。このままの勢いが続けば3世代、4世代後には大きく距離を詰められそうだ。

ゲーミングノートPCではNVIDIAが圧倒的に優勢

ゲーミングノートPCに採用するグラフィックボードとしてはNVIDIAが優勢だ。市場にあるゲーミングノートPCのほとんどがNVIDIA製グラフィックボードを搭載していることになる。AMDのラインナップ的にはRadeon RX 7900M・Radeon RX 7800M・Radeon RX 7700M・Radeon RX 7600M XTの4種類があるが搭載モデルはほとんどない。

MSIやASUSなどの海外メーカーで少し取り扱いがある程度だ。国内BTOメーカーでは皆無と言ってもよい。性能的にもNVIDIA製GeForce RTX 50/GeForce RTX 40シリーズには及ばない。デスクトップ向けモデルについてはNVIDIAと対等に戦えているが、モバイル向けはまだまだ追いついていない。AMDにとってはまだまだ厳しい時代となりそうだ。

ユーザーの指向の変化による共存の未来

NVIDIAとAMDが共存する世界が近づいているように思える。まず、性能面でAMD Radeonシリーズが、ウルトラハイエンドモデルを除いてNVIDIA GeForceシリーズと対等に戦えるようになったのが大きい。性能的に劣ることがなくなった今、ユーザーがRadeonシリーズを比較対象とするようになったのだ。メーカーごとに特色が出ていてユーザーの指向で選べる環境がある。

レイトレーシング・DLSSなどの機能に興味がありクリエイティブ作業も行うならGeForceを、レイトレーシングなどは使わずコスパを重視するならRadeonシリーズを選択するといった具合だ。また、昨今のグラフィックボードの供給不足で特にGeForceシリーズが選びづらくなっている。機能面などに目をつむれる方ならRadeonシリーズが選びやすい状況だ。Radeon RX 9070シリーズの登場はそれに拍車をかけている。同等の価格でより高いゲーム性能を持っているからだ。

昨今のグラフィックボードの品薄の状況もあり多くのユーザーがRadeonシリーズを選択肢に入れるようになったのだ。Steamのシェアを見る限りまだまだGeForceが優勢だが、AMDは確実にシェアを奪い始めている。両社の競争が白熱すればユーザーはメリットを得られる。より安く高品質なグラフィックボードが手に入るからだ。次の項目で詳しく解説しているが、第三の勢力もありこれまで以上に業界が盛り上がりそうだ。

Intelがグラボ業界参入で業界が盛り上がる

Intel Arc A770 Limited Edition
Intelが22年振りにグラフィックボード業界参入することになり、すでに各社からグラフィックボードがリリース(4gamer, 2022)されている。ドスパラやマウスコンピューターはすでにIntel Arcを搭載したゲーミングPCを販売している。長らくNVIDIAとAMDの二強だったが、第三の勢力が誕生したことになる。まずはエントリークラスのIntel Arc A380が発売され、Intel Arc A770やIntel Arc A750などがリリースされる予定だ。

ゲーマーにとっても選択肢が増えることはメリットとなる。価格競争が起きるので、より安くより高性能なモデルが手に入れられる。現時点ではまだまだ未知数だが、今後の展開に期待できる。NVIDIAやAMDも意識せざるを得ないだろう。2022年後半から2023年に掛けてより一層盛り上がりそうだ。2024年には次世代のIntel Arc Bシリーズ(Intel Arc B580 etc.)が登場している。旧世代より性能は向上しているもののまだまだNVIDIAやAMDの後を追っているだけに過ぎない。

参照外部サイト

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