Radeon R9 295X2

当記事では、Radeon R9 295X2の性能比較&ベンチマーク検証をしている。Hawaiiアーキテクチャの集大成モデルが登場した。グラフィックボード同梱となる水冷GPUクーラーのインパクトが強い。2014年4月の発売時点で最も高速なRadeonグラフィックスチップ(Radeon R9 290X)をペアで組み合わせている。その結果型番の数値が290Xから295Xへと変更されている。

これはクロック周波数が僅かに高くなっていることで差別化の意味があるのかもしれない。AMDでもNVIDIAでもトップエンドのラインナップでこのデュアルGPUを活用することはよくあることだ。AMDで言えばRadeon HD 7990の再来だと言える。取り扱いが難しいグラフィックボードなので、初心者の方は避けるべきだろう。発熱量が大きいこともあって標準で簡易水冷付きだ。2024年時点で簡易水冷付きのファウンダーエディションは存在していない。

Radeon R9 295X2の概要

スペック比較

R9 295X2R9 290XR9 290
アーキテクチャHawaiiHawaiiHawaii
製造プロセス28nm28nm28nm
CUDAコア数2×2816基2816基2560基
コアクロック1018 MHz1000 MHz947 MHz
ブーストクロック1250 MHz1250 MHz1250 MHz
GPUメモリ2×4GB4GB4GB
メモリタイプGDDR5GDDR5GDDR5
メモリバス帯域幅2×320.0 GB/s320.0 GB/s320.0 GB/s
TDP500W290W275W
価格$1499$549$399
発売日2014/04/292013/10/242013/11/05
Radeon R9 295X2は、少しだけスペックを改善したR9 290Xを2基搭載したデュアルGPUだ。つまり、CUDAコア・GPUメモリ・メモリバス帯域幅がRadeon R9 290Xの2倍となる。当然スペックは高いが、その代償として消費電力が500Wとかなり大きい。価格は$1,499とR9 290Xの2.7倍だ。これは水冷クーラーの搭載やアーキテクチャの見直しなどによるコスト増が要因だと言える。場合によってはR9 290XのCROSS FIRE(SLI)も選択肢に入るかもしれない。

このデュアルGPU自体珍しいものではない。Radeon HD 7970やGTX 690で各メーカーから販売されていた過去がある。しかし、R9 295X2で大きく変わったことがある。それはクロック周波数の引き上げだ。これまでのデュアルGPUだとシングルGPUよりもクロック周波数が引き下げられることが一般的だったが、このRadeon R9 295X2ではR9 290Xよりも僅かに引き上げられている。

これはAMDの努力による賜物だ。Radeon R9 295X2は、水冷クーラー搭載とシングルGPUよりもクロック周波数が高いという点で初のグラフィックボードとなっている。価格の高ささえ納得できるのであれば魅力的なモデルだと言えるだろう。

NVIDIA製モデルと比較

R9 295X2GTX 780 TiGTX 690
アーキテクチャHawaiiKeplerKepler
製造プロセス28nm28nm28nm
CUDAコア数2×2816基2880基2×1536基
コアクロック1018 MHz875 MHz915 MHz
ブーストクロック1250 MHz928 MHz1019 MHz
GPUメモリ2×4GB3GB2×2GB
メモリタイプGDDR5GDDR5GDDR5
メモリバス帯域幅2×320.0 GB/s336.6 GB/s2×192.3 GB/s
TDP500W250W300W
価格$1499$699$999
発売日2014/04/292013/11/072012/03/03
NVIDIA製グラフィックボードと比較していく。比較対象は、デュアルGPUという点で共通のGTX 690及びKepler世代のフラグシップモデルであるGTX 780 Tiだ。製造プロセスはいずれも28nmとなっている。性能的にはRadeon R9 295X2が大幅に上回っている。スペックを見れば一目瞭然だ。なお、GTX 780 TiのSLIならパフォーマンス的には同等で価格も抑えられる。

Radeon R9 295X2の注目ポイントは、やはりクロック周波数の高さとGPUメモリが8GBと大きいことだろう。GTX 780 Tiと比べてもコアクロックは16%高く、ブーストクロックも35%も高い。パフォーマンス面でも期待が持てる。

GPUメモリ容量が多いことはゲームプレイにプラスになる。特に4K解像度でのゲームプレイに最適だ。メモリバス帯域幅も大きい。一方で、消費電力と価格はネックとなる。500WはGTX 690よりも66%大きく、GTX 780 Tiよりも100%大きい。いくら性能が高くてもこの2つは注意するべきだろう。

Radeon R9 295X2の最新評価【2024年】

現行のエントリークラスと同等の性能を持つ

r9295x2seinouRadeon R9 295X2は、2024年時点でもそれなりのゲーミング性能を持つグラフィックボードだ。GeForce GTX 1660 TiあるいはAmpere世代のGeForce RTX 3050 8GBと同等でエントリークラスと同等だと言える。さすがに高解像度でのゲームプレイには対応できないが、フルHD環境なら設定次第で問題なく対応できる。フラグシップモデルの息が長いことの証明だ。

もっとも消費電力がわずか130WのGeForce GTX 1660 Tiなどのモデルに対して500Wのグラフィックボードでは土俵が違い過ぎる。簡易水冷式で大掛かりすぎるのも悩ましい。なお、AMDの最新アーキテクチャ採用のミドルクラスのRadeon RX 6600にも及ばない。さすがに発売から10年も月日が経てば仕方がないだろう。

消費電力が高すぎて選びづらい

r92952watt
Radeon R9 295X2は消費電力が高いのでできればローエンドクラスの性能が必要でもより新しいGeForce GTX 1660 Tiを選択した方がよいだろう。Radeon R9 295X2の消費電力が500Wに対してGTX 1660 Tiなら消費電力はわずか120Wに抑えられる。デュアルGPUかつ数年前のモデルということで省電力性には期待できない。

グラフを見ると分かる通りグラフィックボードだけで500W近くも消費してしまう。Radeon R9 290Xのクロスファイアに比べるとましだがやはり厳しい。Ampere世代最強クラスのモデルであるGeForce RTX 3080 Tiでも350Wに留まる。自作ユーザーなら大掛かりなパーツ構成を考える必要があり使い続けるメリットは薄い。

中古での相場は大暴落中

2020年11月時点での中古価格相場は15,000円~20,000円程度だ。発売時の価格が15万円オーバーだったことを考えると大暴落してしまっている。それはやはり消費電力の高さや水冷クーラー搭載などでの扱いにくさが要因となっているはずだ。簡易水冷は有寿命で基本的に長く使うことを想定していない。故障したとしても修理をすること自体難しいだろう。

同等の性能を持つGeForce GTX 1660 Tiなら25,000円、GeForce GTX 1660 SUPERなら20,000円で購入できる。電源ユニットなどにコストを考えることを考えるとお得感がある。基本的には中古での購入もおすすめしない。Youtuberで購入自体がネタになるのであれば話は別だが…

その後2024年10月時点で中古のタマを見つけるのは難しくなった。メルカリやヤフオクなら見つかるかもしれないが、状態が悪いモデルが大半で到底おすすめできない。GeForce RTX 2060が15,980円~、GeForce GTX 1660 Tiが14,980円~、GeForce GTX 1660 bSUPERが12,980円~とこれらの価格が下がっていることからもRadeon R9 295X2を選ぶ理由はない。

Radeon R9 295X2のベンチマーク

Battlefield 4

battlefield4r92952-battlefield

SLI&CF(グラフィックボードの二枚差し)と同等のゲーミング性能を発揮していることがわかる。Radeon R9 295X2は、GTX 780 Ti SLIに次いで高いフレームレートを計測している。その差はおよそ9%となっている。R9 290X CFと比べると5%パフォーマンスが高い。HD 7990と比べると34%もフレームレートが伸びている。

Metro: Last Light

metrolastliightr9295x2-metro

Metro: Last LightではR9 295X2がGTX 780 Ti SLIを上回る結果となった。その差は2%だ。最小fpsでは14%上回り安定感の高さが伺える。高解像度にもある程度対応できると考えてよさそうだ。当然フルHDならより高い数値を出すことが可能だ。

Tomb Raider

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Tomb RaiderでもGTX 780 Ti SLIよりも9%高いフレームレートを計測している。最小fpsでも17%も上回り万全だ。R9 290X CFとの差は7%となる。クロック周波数が引き上げた甲斐があるというものだ。HD 7990との差は47%となる。しっかりと進化していることがわかる。

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