PULSE-RX-550-2G-G5画像引用元:https://www.sapphiretech.com/

当記事では、AMD Radeon RX 550の性能スペック&ベンチマークを紹介している。Radeon RX 500シリーズにおけるエントリークラスのグラフィックボードで競合はNVIDIAのGeForce GT 1030だ。競合のGT 1030よりもグラフィックス処理性能が高いのは魅力だが、市場に流通しておらず入手困難な状態が続いている。当該モデルには4GBモデルと2GBモデルがあるが、前者は希少性が高く価格も高価でエントリークラスの領域を超えるのでここでは除外している。4GBモデルを購入するのであれば上位モデルであるRadeon RX 560Radeon RX 570が選択肢に入ってしまう。

ターゲットとなるのはCPU内蔵グラフィックスでは物足りないが、ローエンドクラスを購入するほどでもないと考えている方だ。例えば、3Dグラフィックスを取り扱うWEBデザイナーの方やマルチモニター環境を構築したいと考えている方などが該当する。リリース直後は15,000円でその後8,000円まで下がった。その後12,000円~13,000円で販売されている。当記事の更新時点でも新品で購入可能だ。GeForce GT 1030の方が安く購入できるのが悩ましい。

Radeon RX 550の概要、基本を押さえる!

基本スペック・仕様

RX 550RX 560RX 460
アーキテクチャPolaris 12Polaris 21Polaris 11
プロセス14nm14nm16nm
トランジスタ数22億個30億個30億個
ダイサイズ101 mm²123 mm²123 mm²
コンピュートユニット81614
CUDAコア数512基1024基896基
コアクロック1100MHz1175MHz1090MHz
ブーストクロック1183MHz1275MHz1200MHz
GPUメモリ2GB4GB4GB
メモリタイプGDDR5GDDR5GDDR5
メモリクロック1750 MHz1750 MHz1750 MHz
メモリバス128 bit128 bit128 bit
メモリ幅112 GB/s112 GB/s112 GB/s
TDP50W80W75W
価格$79$99$109
前モデルにはRadeon RX 550に該当するクラスのグラフィックボードがないので、Polaris 11を採用したロークラスのRX 460を比較対象としている。価格はRadeon RX 460の方が$30高い。プロセスが16nm→14nmへと微細化されたのがポイントだ。もしもRadeon RX 450が販売されていれば本来はRX 450がその後継モデルとなったはずだ。

これまでAMDが参入していなかった価格帯の市場に新しいモデルを登場した。そういう意味ではRadeon RX 550の発売は意味がある。NVIDIAがラインナップを持っていないこと(当初はGT 1030がなかった)とRadeon RX 460より下のラインナップがなかったことからエントリークラスへの参入余地があった。

Radeon RX 460と比べてプロセスが16nmから14nmへと微細化された。パワー効率が向上して省電力性に磨きが掛かっている。トランジスタ数が26%少なく、ダイサイズも20%小さくなった。AMDは少ないトランジスタと省電力を兼ね備えた小型のGPUがラインナップに必要だと考えていたのだろう。Radeon RX 550では10個ある演算装置(コンピュートユニット)の内8個を有効にして実装している。

Radeon RX 460はコアが896基(14×64)で新しく登場したRX 550は512基(8×64)だ。Radeon RX 550は、RX 460と比べてコアが43%少なく性能差は大きいことがわかる。コアクロックはRX 550の方が少しだけ高くて、ブーストクロックはRX 460の方が1%高い。メモリ容量はRX 460及びRadeon RX 560が4GBに対してRadeon RX 550は2GBと少ない。4GB搭載モデルもラインナップにあるが、市場で見かけることはほとんどない。その他メモリ周りは共通だ。

Radeon RX 550は非常に魅力的なモデルだが、メモリ容量が少ないことも含めてスペック及びパフォーマンス面でRX 460に劣ってしまう。Radeon RX 550自体は価格$79と非常に安い。TDPも50Wに抑えられている。その後登場するNVIDIAのGT 1030の先駆けとも言えるグラフィックボードだ。

Radeon RX 560では上位GPUのPolaris 21を採用していてコンピュートユニットは16基だ。CUDAコアが倍増の1024基となっている。コアクロック/ブーストクロックも7%程度高くパフォーマンスが高い。GPUメモリ容量も倍増の4GBとなっている。その他メモリ周りに変更はない。TDPは60%高く80Wだ。価格差は$20でRadeon RX 460よりも$100安くなった。

GeForce GT 1030と比較

RX 550GT 1030
アーキテクチャPolaris 12Pascal
プロセス14nm16nm
トランジスタ数22億18億
ダイサイズ103 mm²74 mm²
コンピュートユニット83
CUDAコア数512基384基
コアクロック1100MHz1227MHz
ブーストクロック1183MHz1468MHz
GPUメモリ2GB2GB
メモリタイプGDDR5GDDR5
メモリクロック1750 MHz1502 MHz
メモリバス128 bit64 bit
バンド幅112.0 GB/s48.06 GB/s
TDP50W30W
補助電源不要不要
MSRP$79$79
国内価格11,980円~9,800円~
発売日2017/04/202017/05/17
NVIDIAのグラフィックボードであるGT 1030と比較していこう。いずれもエントリークラスのグラフィックボードとなっている。発売時期も価格も似たようなものになっている。GT 1030のプロセスは16nmでRX 550よりも一回り大きい。トランジスタ数はRX 550の方が23%多く、ダイサイズも40%だ。

スペックの違いとしては、CUDAコア及びクロック周波数が挙げられる。Radeon RX 550は、GT 1030よりもCUDAコアが30%多い。一方で、クロック周波数は抑えられていてGT 1030よりもベースクロックが10%低く、ブーストクロックも20%低い。AMDはコア数を多くするのが好きなようだ。CPUでもIntel製のものと比べて同じ傾向が見られる。GPUメモリはどちらもGDDR5 2GBを搭載している。

メモリ周りについてはRadeon RX 550が強力だ。メモリクロックが16%高く、メモリバスも倍増の128 bitだ。バンド幅は230%広い112.0 GB/sに到達している。ここはゲーミング性能に影響を与えそうだ。その他GT 1030の方が40%省電力となっているのも違いとしては大きい。性能面ではRadeon RX 550の方が高いが、省電力性の高さではGeForce GT 1030に優位性があり強みになっている。補助電源はどちらのモデルでも不要だ。

MSRPは$79で共通だ。国内の販売価格を見ると、GT 1030の方が2,180円程度安く購入できる。エントリークラスのモデルで2,000円の価格差は大きい。

Radeon RX 550の最新評価【2024年】

rx550gamescore

Radeon RX 550のゲーム性能スコアは3,297だ。GeForce GT 1030よりも7%弱処理性能が高い。GPUメモリが4GBモデルとの差はほとんどないが、容量が多いことはプラスになるだろう。Radeon RX 550 4GBの価格が12,280円~、GeForce GT 1030が9,980円~となる。確かにRadeon RX 550の方が性能は高いが、用途を考えると価格の安いGeForce GT 1030の方が魅力的ではないかと思う。処理性能的にゲームプレイに対応することは難しい。

想定されるのはRyzen 5 5600XやCore i5-14400FなどCPU内蔵グラフィックスが搭載されていないCPUとの組み合わせでモニター出力ができればいいという状況だろう。マルチモニター環境の構築にも適している。間違ってもゲーム目的で購入してはいけない。ゲームを目的とするなら中古で10,000円前後で購入できるGeForce GTX 1050 Tiなどが狙い目だ。+1,000円~2,000円でGeForce GTX 1060 6GBも選択肢に入る。

Radeon RX 550の特徴&評価【2017年】

GT 1030よりも高いグラフィックス性能を持つ

rx550seinou総合性能を見るとGeForce GT 1030よりもRadeon RX 550の方が性能が高いことがわかる。おおよそ5%程度の性能差がある。メモリバンド幅広いことがプラスになっている。もちろんいずれにしてもゲーミング性能が高いわけではない。この性能だとフルHD環境で中設定でも苦しくなる。基本的にはフルHD環境×低設定でかろうじてプレイができるという状況だ。理想はより解像度を落としたHD環境となる。

やはりゲーミング用途として考えると好ましくない。ローエンドクラスであるGTX 1650GTX 1050 Tiと比べると性能差は歴然だ。Radeon RX 550は、ゲーミングPCを紹介している当サイトとしてはおすすめできない。上位モデルとの価格差を考えると余計に立ち位置のわかりづらいグラフィックボードだということがわかるだろう。

なお、このクラスは新しいグラフィックボードが登場してもラインナップが変わらないことが多い。事実2022年05月時点でRX 550やGT 1030の後継モデルは登場していない。現行のエントリークラスの価格を見るとGTX 1650は18,000円~と倍程度の価格設定だ。そこまでの性能を必要としない方にはRadeon RX 550などエントリークラスは魅力的だろう。

手に入れることが難しく選択肢に入らない

2022年04月時点でRadeon RX 550を購入することは難しい。価格.comやAmazon.co.jpなどを見ても在庫がない状況が続いている。昨今の半導体不足の影響もあって今後も入手することは難しいのではないかと考えている。つまり、この価格帯あるいは性能帯のグラフィックボードを探しているならGeForce GT 1030しか選べないという状況だ。場合によってはGeForce GT 710なども候補に入るかもしれない。

Radeon RX 550の後継モデルはリリースされておらずAMDからするとかなり厳しい。AMD製グラフィックボードの現行モデルにおける一番下のモデルは、Radeon RX 6400でローエンドクラスの性能を持つ。定価は$159で価格は近いと言える。ただし、半導体不足の影響もあってAMD製モデルの入手ができない状況が続きそうだ。

RX 460との価格差が小さくコスパは悪い

今でこそ入手困難な状態になっているが、Radeon RX 550がリリースされた直後は旧モデルのRadeon RX 460との価格差が小さくコスパが悪かった。$10(1,000円~程度)多く支払えばよりゲーミング性能の高いRadeon RX 460を購入できたのだ。

Radeon RX 460は発売から時間も経ち価格が下がりきっていた。いくら旧モデルとは言ってもほぼ同じ価格でより性能の高いRadeon RX 460を避ける理由はない。アーキテクチャ的にもリフレッシュモデルに近く最新モデルにこだわる必要はない。

Radeon RX 550のベンチマーク一覧

当該グラフィックボードのベンチマークを一覧でまとめている。ゲームプレイが快適かどうかのボーダーラインは60fpsとなっているので、それを目安にベンチマークを参照して欲しい。

Battlefield1

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フルHD環境×標準設定でのスコアを計測している。Radeon RX 550は平均フレームレートが41.0fpsと快適な数値とは言えない。Radeon RX 460になると、Radeon RX 550よりも45%高いフレームレートが出ている。やはりこれだけ性能差があると旧モデルを選択した方が賢明だ。本来であればRadeon RX 460の性能は超えておいて欲しかった。GT 1030との性能差は30%とかなり大きい。エントリークラスのグラフィックボードとしてはRadeon RX 550は優秀だ。

Doom

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フルHD環境×標準設定でのスコアを計測している。Doomは低設定でもグラフィック性能が求められる。Radeon RX 550は、AMD製カードの中で最も低いスコアだがコアが少ないことを考えると仕方がないだろう。45.1fpsだとサクサクゲームを楽しむことは難しいが、遊べなくもない数値だと言える。Radeon RX 460が69.0fpsSと53%も高いので、やはり狙い目のグラフィックボードかもしれない。GT 1030との性能差は38%と大きい。低設定でのプレイはFPSなどのジャンルでは致命的になることがある。あまり妥協しない方がよい。

World of Warcraft

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フルHD環境でのスコアを計測している。Radeon製グラフィックボードが優れたパフォーマンスを発揮している。GT 1030と比べて12%フレームレートが高い。最小fpsでも10%上回っている。Radeon RX 460になると30%近くもフレームレートが高くなることからやはりRX 460はこのクラスだと頭一つ突き抜けていると言える。

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