Radeon RX 7600 XTのベンチマークを検証している。2024年1月にRadeon RX 7000シリーズに新しいラインナップが加わった。2023年5月に発売されたRadeon RX 7600の上位モデルだ。GPUメモリ容量が16GBと倍増となったのがハイライトだ。ゲームプレイにおいてVRAMが8GBだと物足りないという声が多かったこともRadeon RX 7600 XTのリリースの後押しとなったように思う。NVIDIAがGeForce RTX 4060 Tiで失敗したことから、GPUメモリ容量の増量だけではなくクロック周波数の引き上げも行っている。
ベンチマークを参考にどのぐらいパフォーマンスに差が生まれるのかを見ていこう。GPUメモリ容量が多いことは画像生成AIや動画編集などのクリエイター作業においてもプラスになる。競合モデルであるNVIDIA GeForce RTX 4060やIntel Arc A770との比較も行っていく。いずれのモデルもメインターゲットはフルHD+60Hz環境だ。タイトルによっては高解像度あるいは高リフレッシュレートにも対応できるポテンシャルを持つ。
Radeon RX 7600 XTのスペック
世代 | RDNA 3.0 |
---|---|
プロセス | 6nm |
CUDAコア | 2,048 |
ベースクロック | 1980 MHz |
ゲームクロック | 2470 MHz |
ブーストクロック | 2755 MHz |
GPUメモリ | GDDR6 16GB |
Infinity Cache | 32MB |
TDP | 190W |
MSRP | $329 |
国内価格 | 51,480円~ |
発売日 | 2024/01/08 |
- (+)16GBの大容量VRAMを搭載している
- (+)GeForce RTX 4060と同等以上の性能を持つ
- (+)高いブーストクロックを実現している
- (-)VRAM容量を活かせる用途があまりない
- (-)国内販売価格が高い
- (-)搭載ゲーミングPCのラインナップが僅少
当ページの目次
Radeon RX 7600 XTのスペック比較
Radeon RX 7600と比較
RX 7600 XT | RX 7600 | RX 6700 XT | |
---|---|---|---|
コードネーム | RDNA 3.0 | RDNA 3.0 | RDNA 2.0 |
GPU | Navi 33 | Navi 33 | Navi 22 |
プロセス | 6 nm | 6 nm | 7 nm |
ダイサイズ | 204 mm² | 204 mm² | 335m㎡ |
トランジスタ数 | 133億 | 133億 | 172億 |
SMs | 32 | 32 | 40 |
シェーダーコア数 | 2048 | 2048 | 2560 |
RTコア数 | 32基 | 32基 | 40基 |
AIコア | 64基 | 64基 | - |
ベースクロック | 1980 MHz | 1720 MHz | 2321 MHz |
ゲームクロック | 2470 MHz | 2250 MHz | 2424 MHz |
ブーストクロック | 2755 MHz | 2655 MHz | 2581 MHz |
GPUメモリ | GDDR6 16GB | GDDR6 8GB | GDDR6 12GB |
メモリクロック | 18.0 Gbps | 18.0 Gbps | 16.0 Gbps |
メモリバス | 128 bit | 128 bit | 192 bit |
メモリバス帯域幅 | 288.0 GB/s | 288.0 GB/s | 384.0 GB/s |
L2キャッシュ | 2 MB | 2 MB | 3MB |
L3キャッシュ | 32 MB | 32 MB | 96MB |
FP32 Compute | 22.57 TFLOPS | 21.75 TFLOPS | 13.21 TFLOPS |
TDP | 190W | 165W | 230W |
補助電源 | 2x 8-pin | 1x 8-pin | 1x 6-pin + 1x 8-pin |
バスインターフェイス | PCIe 4.0 x8 | PCIe 4.0 x8 | PCIe 4.0 x16 |
メディア | AV1 H265 H264 | AV1 H265 H264 | AV1(Decode) H265 H264 |
出力 | 1x HDMI 2.1 3x DisplayPort 2.1 | 1x HDMI 2.1 3x DisplayPort 2.1 | 1x HDMI 2.1 3x DisplayPort 2.1 |
価格 | $329 (51,480円) | $269 (38,800円) | $329 (43,800円) |
ゲーミングPC価格 | 181,800円~ | 181,800円~ | - |
発売日 | 2024/01/08 | 2023/05/25 | 2021/03/18 |
Radeon RX 7600 XTのスペックについて見ていく。比較対象はすでに販売されているRadeon RX 7600の無印と旧世代の上位グレードであるRadeon RX 6700 XTだ。Radeon RX 6700 XTは価格帯が近く魅力的な選択肢となる。Radeon RX 7600 XTもRadeon RX 7600と同じRDNA 3.0アーキテクチャ採用のグラフィックボードだ。GPUはモノリシックのNavi 33を採用している。プロセスは6nmで、ダイサイズは204m㎡と共通となる。トランジスタ数も133億だ。
コンピューターユニット数(SMs)・シェーダーコア数・RTコア数・ATコア数も全て変更なしだ。Radeon RX 7600はすでにフルスペックのNavi 33を使用しているためシェーダーコアを増やすことは物理的に不可能だ。シェーダーコアを増やすには上位のNavi 32を採用する必要がある。しかしながら、Navi 32はチップレットパッケージ(GCD+MCD)を採用していてコストが高くミドルクラスのモデルには合わない。結果的にNavi 33を流用せざるを得ないのだ。
パフォーマンスを上げるにはクロック周波数を引き上げるしかない。Radeon RX 7600と比べてベースクロックが15%、ゲームクロックが10%、ブーストクロックが4%それぞれ高くなっている。GPUメモリ容量が倍の16GBだ。メモリクロック・メモリバス・メモリバス帯域幅など容量以外の変更は加えられていない。FP32 Computeの数値は4%弱高く22.57 TFLOPSだ。TDPが25W高く190Wとなっている。クロック周波数を引き上げた分と考えれば納得できる。補助電源も1×8-pinから2×8-pinへと変更されている。
バスインターフェースはPCIe 4.0×8だ。AV1エンコード及びデコードに対応している。細かいところだとRadeon RX 7600 XTでは各ベンダーは出力にDisplayPort 2.1を導入する必要がある。Radeon RX 7600ではDisplayPort 1.4でもよくベンダー次第だったのだ。Radeon RX 7600 XTのMSRPは$329でRadeon RX 7600よりも$60高い。国内販売価格では17,000円の差がある。かなり割高な価格設定だ。どちらのモデルもゲーミングPCでは一般的ではなく価格が高めになっている。
旧世代のRadeon RX 6700 XTと比較していこう。本来はRadeon RX 6600 XTと比較するべきだが価格的にはRadeon RX 6700 XTが比較対象となるはずだ。Radeon RX 6700 XTはRDNA 2.0アーキテクチャ採用のグラフィックボードだ。GPUは大型のNavi 22だ。プロセスは7nmとなる。ダイサイズは335m㎡とRadeon RX 7600 XTよりも60%以上大きい。トランジスタ数もRadeon RX 6700 XTの方が30%弱多くなっている。
シェーダーコア数は2560とRadeon RX 7600 XTよりも25%多い。アーキテクチャが異なるため純粋に比較することは難しいが、RDNA 2.0→RDNA 3.0であればシェーダーコア数が多い方が性能は上だと考えてよい。RTコアも40基と25%多い。Radeon RX 6700 XTにはAIコアは搭載されていない。ベースクロックはRadeon RX 6700 XTの方が17%高い。ゲームクロックとブーストクロックはRadeon RX 7600 XTの方がそれぞれ2%・6%高くなっている。
GPUメモリ容量が4GB少なく12GBとなる。メモリクロックはRadeon RX 7600 XTの方が13%速い。Radeon RX 6700 XTはメモリバスが192 bitで、メモリバス帯域幅も384.0 GB/sと優勢だ。L2キャッシュはRadeon RX 6700 XTの方が1MB多く、L3キャッシュ(Infinity Cache)は3倍で96MBだ。FP32 ComputeはRadeon RX 7600 XTの方が70%以上高速だ。Radeon RX 6700 XTのTDPは230Wとなる。補助電源は1×6-pin+1×8-pinだ。
Radeon RX 6700 XTはAV1のエンコードには対応していない。そこはRadeon RX 7600 XTの強みだ。出力は共通となる。MSRPは$329と同じだ。国内販売価格を見るとRadeon RX 6700 XTの方が7,680円安い。Radeon RX 6700 XTはコストパフォーマンスの高いモデルだと言える。AIコアやAV1のエンコードが不要であれば有力な候補となるだろう。
同価格帯の競合モデルと比較
RX 7600 XT | RTX 4060 | Arc A770 | |
---|---|---|---|
メーカー | AMD | NVIDIA | Intel |
コードネーム | RDNA 3.0 | Ada Lovelace | Alchemist |
GPU | Navi 33 | AD107 | DG2-512 |
プロセス | 6 nm | 5 nm | 6 nm |
ダイサイズ | 204 mm² | 159 mm² | 406 mm² |
トランジスタ数 | 133億 | 189億 | 217億 |
SMs | 32 | 24 | - |
シェーダーコア数 (CUDAコア数) | 2048 | 3072 | 4096 |
RTコア数 | 32基 | 24基 | 32基 |
AIコア数 | 64基 | - | - |
Tensorコア数 | - | 96基 | 512基 |
ベースクロック | 1980 MHz | 1830 MHz | 2100 MHz |
ゲームクロック | 2470 MHz | - | - |
ブーストクロック | 2755 MHz | 2460 MHz | 2400 MHz |
GPUメモリ | GDDR6 16GB | GDDR6 8GB | GDDR6 16GB |
メモリクロック | 18.0 Gbps | 17.0 Gbps | 16.0 Gbps |
メモリバス | 128 bit | 128 bit | 256 bit |
メモリバス帯域幅 | 288.0 GB/s | 272.0 GB/s | 512.0 GB/s |
L2キャッシュ | 2 MB | 24 MB | 16 MB |
L3キャッシュ | 32 MB | - | - |
FP32 Compute | 22.57 TFLOPS | 15.11 TFLOPS | 19.66 TFLOPS |
TDP | 190W | 115W | 225W |
補助電源 | 2x 8-pin | 1x 12-pin | 1x 6-pin + 1x 8-pin |
バスインターフェイス | PCIe 4.0 x8 | PCIe 4.0 x8 | PCIe 4.0 x16 |
メディア | AV1 H265 H264 | AV1 H265 H264 | AV1 H265 H264 |
出力 | 1x HDMI 2.1 3x DisplayPort 2.1 | 1x HDMI 2.1 3x DisplayPort 1.4a | 1x HDMI 2.1 3x DisplayPort 2.0 |
価格 | $329 (51,480円) | $299 (44,980円) | $329 (45,980円) |
ゲーミングPC価格 | 181,800円~ | 124,800円~ | - |
発売日 | 2024/01/08 | 2023/07/29 | 2022/10/12 |
同価格帯の競合モデルと比較していく。一番の競合はNVIDIAのGeForce RTX 4060だろう。Ada Lovelace世代のグラフィックボードでミドルクラスとして高い人気を誇る。GPUはコンパクトなAD107だ。5nmプロセスを採用していてダイサイズは159m㎡とRadeon RX 7600 XTよりも20%以上小さい。トランジスタ数はGeForce RTX 4060の方が42%多く189億だ。CUDAコア数は3,072となる。メーカーが異なるためCUDAコア数の比較はあまり意味をなさないので参考として見るぐらいでいい。GeForce RTX 4060は24基のRTコアと96基のTensorコアを持っている。
ベースクロックはRadeon RX 7600 XTの方が8%高く、ブーストクロックもRadeon RX 7600 XTの方が12%高い。GPUメモリ容量は半減で8GBだ。メモリクロックはRadeon RX 7600 XTの方が少しだけ速い。メモリバスは128 bitと共通だ。メモリバス帯域幅もそれほど違いがない。GeForce RTX 4060は24MBの大容量L2キャッシュを持つが、L3キャッシュはない。ここはRadeon RX 7600 XTとの大きな違いだ。どちらがいいということはなくメーカーの考え方次第だ。
GeForce RTX 4060のFP32 Computeは15.11 TFLOPSとRadeon RX 7600 XTの69%程度にとどまる。TDPは115Wと消費電力は控えめだ。補助電源は1×12-pinとなる。消費電力を考えるとかなり余裕を持たせている。バスインターフェースはPCIe 4.0×8と共通だ。メディアもAV1・H265・H264のエンコード/デコードをサポートしている。GeForce RTX 4060の出力はDisplayPortが1.4aとなっている。MSRPはGeForce RTX 4060の方が$30安価だ。国内販売価格でもGeForce RTX 4060の方が6,500円安く購入できる。
Intel Arc A770とも比較しておこう。GeForce RTX 4060と比べるとやや比較対象として弱いかもしれない。それでもMSRPで見れば同価格帯のモデルとなる。コードネームはAlcemistで初めてのIntel製グラフィックボードの登場だ。プロセスは6nmでRadeon RX 7600 XTと同じだ。ダイサイズは406m㎡と巨大でRadeon RX 7600の倍近い。トランジスタ数も217億と大容量だ。シェーダーコア数は4096だ。32基のRTコアと512基のTensorコアを持つ。ベースクロックはArc A770の方が6%高く、ブーストクロックはRadeon RX 7600 XTの方が14%高い。
GPUメモリ容量はGDDR6 16GBと共通だ。メモリクロックはRadeon RX 7600 XTの方が2.0Gbps速い。一方で、Arc A770はメモリバスが256 bitと広くメモリ帯域幅は512.0 GB/sと圧倒している。16MBのL2キャッシュを持っている。FP32 Computeは19.66 TFLOPSでRadeon RX 7600 XTの90%程度に留まる。TDPは225WでRadeon RX 7600 XTよりも19%高い。補助電源は1×6-pin+1×8-pinだ。バスインターフェースはPCIe 4.0×16となる。
AV1・H265・H264をサポートしているのは強みだ。出力はHDMI 2.1とDisplayPort 2.0となる。MSRPは$329とRadeon RX 7600 XTと同じだ。国内販売価格はArc A770の方が5,500円安い。発売から1年以上経過していることからある程度価格が下がってきている。将来的にはRadeon RX 7600 XTもこれぐらいの価格設定になってくれば選びやすくなる。3つのラインナップを見るとGeForce RTX 4060が頭ひとつ抜き出ているように思える。
Radeon RX 7600 XTの特徴&注意点
ミドルクラスとして順当な進化を遂げる
Radeon RX 7600 XTのゲーム性能スコアは23,782とまずまずだ。従来モデルのRadeon RX 7600と比べて8%弱パフォーマンスが向上している。GPUメモリ容量倍増だけに留まらずクロック周波数を引き上げたことが功を奏した形だ。競合モデルであるGeForce RTX 4060と比べても5%程度上回っている。GeForce RTX 4060と比べるとレイトレーシング・DLSSといった機能では劣ってしまうが、純粋なグラフィックス処理性能は優秀だ。
確かにRadeon RX 7600と比べて+$60(20%)で8%の性能アップだけだとコストパフォーマンスは悪化している。それでも、そこは大容量のGPUメモリでカバー相殺できるのではないかと思う。おそらくNVIDIAがGeForce RTX 4060 Ti 16GBで失敗したことを繰り返さないようにしたのだろう。末尾に”XT”を付与したことからもスペックが強化されたモデルだと判断できる。シェーダーコアを増やせなかったのはクラス的に仕方がない。
NVIDIAのGeForce RTX 4060 Tiも、Radeon RX 7600 XTとRadeon RX 7600のようにGPUメモリ容量が異なるモデルがリリースされている。型番はどちらも”GeForce RTX 4060 Ti”でGPUメモリ以外のスペックは全く同じだ。結果的にベンチマークで性能差がほとんどなくユーザーからすると選ぶメリットがない状態だ。当サイトでも積極的におすすめしづらいグラフィックボードとなっている。搭載ゲーミングPCの価格も高めだ。
TDPが引き上げられワットパフォーマンスは低下
各グラフィックボードの消費電力(W)とワットパフォーマンスRadeon RX 7600 XTのゲームプレイ時の消費電力は196Wだ。Radeon RX 7600と比べて30%も高く、ワットパフォーマンスも14%程度悪化した。クロック周波数の引き上げでTDPが165W→190Wへと引き上げられたことを考えれば納得できる。Radeon RX 7600 XTの場合極限までクロック周波数を引き上げて無理矢理パフォーマンスを引き上げている。
Radeon RX 7600ですでにフルスペックのNavi 33を搭載していたことによる弊害だ。シェーダーコアを増やせないため性能を引き上げるにはクロック周波数を高くするしかない。もっともワットパフォーマンス自体が悪くなってもRadeon RX 7600 XTとRadeon RX 7600で電源ユニットなどプラットフォームを大きく変更する必要などはない。競合モデルのGeForce RTX 4060は省電力性が高くRadeon RX 7600 XTでは遠く及ばない。Ada Lovelace世代の60番台のグラフィックボードはワットパフォーマンスもトップクラスだ。
搭載モデルが増えるかは未知数
Radeon RX 7600 XTを搭載したゲーミングPCが今後増えるかは未知数だ。搭載モデルはドスパラ・ark・フロンティアで販売されている。2024年2月時点で下位グレードであるRadeon RX 7600を搭載したモデル自体ほとんど販売されていない。BTOパソコンではかなりマイナーな存在でRadeon RX 7600 XTも同様の道を歩くかもしれない。
NVIDIA製グラフィックボードと比べると割高なのも悩ましい。上位モデルのGeForce RTX 4060 Tiモデルとほとんど変わらない。せめてGeForce RTX 4060搭載モデルと肩を並べることができれば選ばれやすくなるはずだ。ドスパラのモデルだとGeForce RTX 4060搭載モデルよりも30,000円程度高い。それでもVRAM 16GBと大容量なのは魅力で求めるユーザーもいるはずだ。ユーザーの声が届けば搭載モデルが増える可能性はある。
Radeon RX 7600 XTのフレームレート計測
Far Cry 6
Radeon RX 7600と比べてフルHDで3%フレームレート高く、WQHDでも5%弱フレームレートが高い。特筆すべきは4K環境でのパフォーマンスだろう。Radeon RX 7600よりも82%もフレームレートが向上していることがわかる。GPUメモリ容量が増えたことが効いているのかもしれない。Radeon RX 6700 XTと比べると4%-18%程度劣る結果だ。競合モデルであるGeForce RTX 4060と比べるとフルHDで16%高く、WQHDでも15%高い。4K環境では8%程度低くなっている。GeForce RTX 4060のGPUメモリ容量は8GBでRadeon RX 7600 XTの半分だ。あくまでもRadeonシリーズにおいてのみGPUメモリ増量の恩恵を得られたということだろうか。Intel Arc A770と比べると最大で28%もフレームレートが高い。ただし、4K環境では11%フレームレートが低くなっている。確かにRadeon RX 7600 XTでは4K環境において大きく性能を伸ばしているが、フレームレートは42.7fpsと物足りない。基本的にはフルHDでのゲームプレイをメインに考えるべきだ。
Cities Skylines 2
Cities Skylines 2でのフレームレートをまとめている。新しいタイトルでこれから最適化が進んでいくはずだ。現時点ではフレームレートが伸びづらいタイトルとなっている。下位グレードのRadeon RX 7600とほとんど変わらないパフォーマンスだ。GeForce RTX 4060と比べると4%-57%フレームレートが高い。Intel Arc A770と比べても最大で7%上回っている。ただし、WQHD環境以上ではIntel Arc A770の方が上だ。
FF14
FF14でのフレームレートを見ていく。驚くべきことに下位モデルのRadeon RX 7600とスコアがほとんど変わらなかった。シェーダーコア数が同じとは言ってもクロック周波数が引き上げられているので性能差はあるはずだ。正直どうして性能差が出なかったのかはわからない。競合のGeForce RTX 4060と比べるとフルHDで5%低く、WQHDでも16%低く、4Kで12%低い。Intel Arc A770と比べてもパフォーマンスで劣る。やや期待外れと言えるかもしれない。Radeon RX 6700 XTになれば最大で20%近くも高いフレームレートを得られる。価格差をチェックしておくとよいだろう。
Blue Protocol
Blue Protocolでのパフォーマンスを見ていく。やはりRadeon RX 7600との性能差は最大でも2%とそれほど大きくない。従来モデルのRadeon RX 6600 XTと比べると2%-4%程度フレームレートが高くなっているが、一世代の伸びとしてはイマイチだ。それでもWQHDでも83.3fpsと高いフレームレートが出ている。競合のGeForce RTX 4060と比べると9%-11%フレームレートが低い。Intel Arc A770と比べても最大で16%上回っている。
Forza Horizon 5
Forza Horizon 5はグラフィックス負荷の高いタイトルの一つだ。下位モデルのRadeon RX 7600と比べてフルHDで14%、WQHDで15%、4Kで21%それぞれ高くなっている。Radeon RX 6700 XTを上回るパフォーマンスは圧巻だ。競合のGeForce RTX 4060と比べても最大で9%フレームレートが高い。Intel Arc A770との性能差は最大で30%とかなり大きいことがわかる。Intel製グラフィックボードはタイトルによっては最適化がうまくいっていないのかもしれない。その点RadeonやGeForceは有利だ。
Cyberpunk 2077
Cyberpunk 2077でのフレームレートを見ていこう。やはり下位グレードのRadeon RX 7600との性能差はない。競合のGeForce RTX 4060と比べるとフルHDで8%低く、4Kでも5%低い。一方で、WQHDでは5%高いフレームレートが出ている。Radeon RX 6700 XTとの性能差は3%前後だ。高解像度になれば性能差はほとんどないと言える。Intel Arc A770と同等のパフォーマンスを発揮している。
Cyberpunk 2077 RT&FSR
Radeon RX 7600 XTのレイトレーシング及びアップスケーリング性能を見ていく。フルHDでレイトレーシングをウルトラに設定した時のフレームレートは24.8だ。GeForce RTX 4060やIntel Arc A770に劣っている。競合と比べてレイトレーシングは低いと考えるべきだ。アップスケーリング技術のFSR()FidelityFX Super Resolution)を活用すると240%もフレームレートが高く59.5fpsを実現できる。レイトレーシングをウルトラにしてもFSRを活用すればある程度快適にゲームを行える。問題は競合であるNVIDIAのDLSSと比べると大きく見劣りしてしまう点にある。GeForce RTX 4060はDLSS 2.0の有効化で91.1fps、DLSS 3.0の有効化で139.7fpsともはや別次元だ。レイトレーシング性能あるいは超解像技術を重視するならNVIDIAが有利だ。
Radeon RX 7600 XTのクリエイティブ性能
Cinebench 2024(GPUレンダリング)
最新のCinebenchで復活したGPUレンダリングでのパフォーマンスを見ていく。Radeon RX 7600 XTのスコアは6,064だ。従来モデルのRadeon RX 7600 XTと比べると42%程度スコアが向上している。旧世代の上位グレードであるRadeon RX 6700 XTとのスコア差は8%程度だ。GeForce RTX 4060のスコアは10,072と高くGeForce製モデルと比べるとパフォーマンスは落ちてしまう。何度計測しても下位モデルであるRadeon RX 7600のスコアが伸びず958となっている。現在原因がわからない状態だ。もし何かわかれば追記する予定だ。
Blender(GPUレンダリング)
Blenderベンチマークでのスコアをまとめている。Radeon RX 7600 XTのスコアは1275.45だ。Radeon RX 7600とほとんどスコア差がない。旧世代のRadeon RX 6600 XTと比べると15%程度上回っているが、Radeon RX 6700 XTと比べると15%程度低くなっている。GeForce RTX 4060と比べると63%低く、Intel Arc A770と比べても36%低い。クリエイティブ作業は競合モデルと比べて劣ることを理解しておこう。アプリケーション側で最適化が進めば状況は大きく変わるはずだ。
Adobe Premiere CC(動画編集)
PugetBench For Premiere ProでのGPUエフェクトスコアを一覧にまとめた。Radeon RX 7600 XTのスコアは40とGeForce RTX 4060と同じだ。Radeon RX 7600と比べると5%程度上回っている。Radeon RX 6700 XTとのスコア差は10ptとやや大きい。Intel Arc A770も54ptと高いスコアを出している。Adobeソフトではやや力を出し切れていないようだ。
Radeon RX 7600 XT搭載おすすめゲーミングPC
arkhive Gaming Alliance ASRock SPIRITS GN-A7R76Z(ark)
CPU:Ryzen 7 5700X
GPU:Radeon RX 7600 XT
メモリ:DDR4-3200 16GB
ストレージ:SSD 1TB NVMe
電源:750W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中
Ryzen 7 5700X×Radeon RX 7600 XT搭載のミドルクラスのゲーミングPCだ。キューブ型ケースを採用した珍しいモデルだ。拡張性は犠牲になっているがコンパクトで持ち運びがしやすいのがメリットだ。デザイン性も優れている。グラフィックス性能を考えればRyzen 7 5700Xを選択するのもよい。価格が抑えられるというメリットは大きい。もっともミドルクラスで18万円台だと選びづらいのは事実だ。あくまでもRadeon RX 7600 XT搭載モデルの中で安価というだけになる。AMD製モデルにこだわりがなければ同等の性能を持つGeForce RTX 4060搭載モデルを検討するべきだろう。メモリDDR4-3200 16GB・SSD 1TB NVMeと構成は不足なしだ。電源ユニットは750W GOLDを採用している。
arkhive Gaming Limited GL-A5R76M(ark)
CPU:Ryzen 5 7600
GPU:Radeon RX 7600 XT
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:650W 80PLUS BRONZE
コスパ:調査中
Ryzen 5 7600×Radeon RX 7600搭載のゲーミングPCだ。CPUには第5世代RyzenシリーズのRyzen 5 7600を搭載している。6コア12スレッドと昨今の業界的にはやや控えめだが、高いゲーミング性能を持つ。Radeon RX 7600 XTとのバランスも悪くない。構成もメモリDDR5-4800 16GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと十分だ。電源ユニットは650W BRONZEを採用している。PCケースはSilverStone製モニタワー「FARA H1M PRO」が選択されている。強化ガラス製サイドパネルとARGBファン×3基の組み合わせでゲーミングPCらしさがある。arkはカスタマイズの自由度が高くCPU・CPUクーラー・メモリ・グラフィックボード・マザーボード・電源ユニットなど豊富な選択肢から選べる。
GALLERIA RM5C-76XT(ドスパラ)
CPU:Core i5-14400F
GPU:Radeon RX 7600 XT
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 500GB Gen4 NVMe
電源:650W 80PLUS BRNZE
コスパ:調査中
Core i5-14400F×Radeon RX 7600 XT搭載のゲーミングPCだ。ミニタワーケースを採用している。デザイン性の高いケースで人気がある。Radeon RX 7600 XT搭載モデルとしては比較的安いが、GeForce RTX 4060搭載の「GALLERIA RM5C-R46」と比べると34,000円高い。5%の性能差に対して価格が+25%アップでは厳しい。構成はメモリDDR5-4800 16GB・SSD 500GB NVMeと平均的だ。電源ユニットは650W BRONZEを採用している。AMD製パーツにこだわりたい向けのモデルだ。
GALLERIA XA7C-76XT(ドスパラ)
CPU:Core i7-14700F
GPU:Radeon RX 7600 XT
メモリ:DDR4-3200 16GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:650W 80PLUS BRONZE
コスパ:調査中
Core i7-14700F×Radeon RX 7600 XT搭載のゲーミングPCだ。CPUにIntel第14世代のCore i7-14700Fを搭載している。20コア28スレッドと高いスペックを誇る。ゲームプレイ+αで考えている方は必見だ。メモリDDR4-3200 16GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成は平均以上だ。電源ユニットは650W BRONZEを採用している。参考までに同等の性能を持つGeForce RTX 4060搭載モデルだと30,000円安く購入できる。Radeon RX 7600 XT搭載モデルは割高だと言わざるを得ない。
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Radeon RX 7600 XTのベンチマーク検証機材
モデル | ベンチマーク検証機AMD Ver. 2023 |
---|---|
CPU | Core i9-13900K |
GPU | Radeon RX 7600 XT etc. |
メモリ | DDR5-5600 32GB |
ストレージ | SSD 1TB Gen4 NVMe |
マザーボード | MSI MPG Z790 CARBON WIFI MB5911 |
電源 | 玄人志向 1200W PLATINUM KRPW-PA1200W/92+ |