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当記事では、Radeon R7 370の性能スペック&ベンチマークを解説している。このグラフィックボードは当時のエントリークラスのグラフィックボードで、フルHD環境(1080p)でゲームをプレイすることを想定して作られた。わずか$150でエントリークラスのグラフィックボードを入手できるのはこの時代から始まった。
この世代までは一番安いモデルでも35%高い$200が最低必要だったが、GTX 950と同様に価格の引き下げに成功している。GT X750 Tiを超える性能を持つことで一定の注目は集めたが、2カッ月五に登場したGTX 950に完敗だ。2023年時点では性能的にかなり厳しい状況に置かれている。もっともこのモデル自体知名度が高いわけではない。
当ページの目次
Radeon R7 370の概要
スペック比較
R7 370 | R9 270 | |
---|---|---|
アーキテクチャ | Curacao | Curacao |
製造プロセス | 28nm | 28nm |
トランジスタ数 | 28億 | 28億 |
ダイサイズ | 212 mm² | 212 mm² |
CUDAコア数 | 1024基 | 1280基 |
ベースクロック | 925 MHz | 900 MHz |
ブーストクロック | 975 MHz | 925 MHz |
GPUメモリ | 2GB | 2GB |
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 |
メモリクロック | 5.6 Gbps | 5.6 Gbps |
メモリバス | 256 bit | 256 bit |
メモリバス帯域幅 | 179.2 GB/s | 179.2 GB/s |
TDP | 110W | 150W |
価格 | $149 | $179 |
発売日 | 2015/06/18 | 2013/11/13 |
このRadeon 300シリーズの最大のメリットだろう。価格は$30安い。GPUは”Trinidad(トリニダード)”と呼ばれていて、Pitcairn(ピットカーン)コアのバージョンだ。このGPUの登場はRadeon HD7850が販売された2012年まで遡る。このコアは、同様に2012年にリリースされたRadeon HD 7870にも搭載されていて、Radeon R7 265のようなAMDの次のシリーズにリサイクルされている。また、修正されてよりパワフルなコアのバージョンがRadeon R9 270とRadeon R9 270Xに現れた。そのためAMDはこの汎用性の高いコアの元をとっていると考えてよいだろう。
NVIDIA製モデルと比較
R7 370 | GTX 950 | GTX 750 Ti | |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | Curacao | GM206 | GM107 |
製造プロセス | 28nm | 28nm | 28nm |
トランジスタ数 | 28億 | 29.4億 | 18.7億 |
ダイサイズ | 212 mm² | 228 mm² | 148 mm² |
CUDAコア数 | 1024基 | 768基 | 640基 |
コアクロック | 925 MHz | 1024 MHz | 1020 MHz |
ブーストクロック | 975 MHz | 1188 MHz | 1085 MHz |
GPUメモリ | 2GB GDDR5 | 2GB GDDR5 | 2GB GDDR5 |
メモリクロック | 5.6 Gbps | 6.6 Gbps | 5.4 Gbps |
メモリバス | 256 bit | 128 bit | 128 bit |
メモリバス帯域幅 | 179.2 GB/s | 105.8 GB/s | 86.4 GB/s |
TDP | 110W | 90W | 60W |
価格 | $149 | $159 | $199 |
発売日 | 2015/06/18 | 2015/08/20 | 2014/02/18 |
CUDAコア数はRadeon R7 370の方が60%多い。コアクロックはGTX 750 Tiの方が10%高く、ブーストクロックも11%高い。GPUメモリの規格及び容量は共通だ。メモリクロックはRadeon R7 370の方が少しだけ速い。メモリバスはRyzen 7 370が256 bitを搭載しているのに対してGTX 750 Tiでは128 bitだ。結果的にメモリバス帯域幅には多いな違いがある。TDPはRadeon R7 370の方が80%多く110Wだ。価格はRadeon R7 3700の方が$50安い。
Radeon R7 370が登場しておよそ2ヶ月後にGTX 950が登場した。製造プロセス・トランジスタ数・ダイサイズと非常に似ていることがわかる。GTX 750 TiよりもCUDAコアを20%増やして性能の底上げがされた。Radeon R7 370と比べると25%程度少ないがその分クロック周波数を引き上げてカバーしている。コアクロックはGTX 950の方が11%高く、ブーストクロックもGTX 950の方が21%高い。メモリクロックも6.6 Gbpsへと強化されている。メモリバスは128 bitのままでメモリ帯域幅は105.8 GB/sとRadeon R7 370には及ばない。
GTX 750 Tiと比べて価格を$40下げることでRadeon R7 370の存在感が薄くなってしまった。性能的にはわずかにGTX 950が上回っている。AMDからするとRadeon R7 370で$150以下の価格帯で簡単にトップの座を狙えると考えていた。事実、GTX 750 Tiよりも高いパフォーマンスを安く実現することができた。しかし、AMDはNVIDIAの新しいモデルがどれほど強力なのかを予想できなかったのだ。
Radeon R7 370の現在の評価【2024年】
Radeon R7 370の性能スコアは5,319と低い。従来モデルのRadeon R9 270よりも5%だけパフォーマンスが向上している。GeForce GTX 950と比べると13%程度の差がある。GeForce GTX 750 Tiに対してはしっかりと差をつけることができたが、後発のGeForce GTX 950との戦いは完敗だ。その後GeForce GTX 1050→GeForce GTX 1650→GeForce RTX 3050 6GBと発売されてエントリークラスのグラフィックボードの性能も底上げされている。
2024年時点ではやはり通用しないと考えてよい。基本的に使用を推奨しない。もっとも中古でもほとんど販売されておらず新しく購入するのは難しいはずだ。性能の近いモデルを見るとGeForce GTX 760が3,980円~、GeForce GTX 660が2,980円なのでRadeon R7 370の相場は3,000円前後ではないかと思う。
GeForce GTX 1050なら5,980円~、GeForce GTX 1050 Tiは7,980円~購入できる。GeForce GTX 1650なら10,980円~購入可能だ。少し価格は高いが、性能的にGeForce GTX 1650を購入する方がよい。
Radeon R7 370のベンチマーク
1920×1080(FULL HD)環境で最高設定での平均フレームレートを計測。R7 370自体がエントリークラスのグラフィックボードで高解像度でのゲームプレイを前提をしていないためそれ以上の解像度では計測していない。焦点はエントリークラスのグラフィックボードでどのぐらいのスコアが出るのかということを知って欲しい。
Battlefield 4
Tomb Raider
Hitman: Absolution
Radeon R7 370発売当時の評価
Radeon R7 370は、不運なローエンドクラスのグラフィックボードだ。本来比較対象はGTX 750 Tiであり、GTX 750 Tiを大きく上回っていたモデルだったはずだ。価格も大差なく非常に優秀なグラフィックボードという評価は海外の話だ。日本円にするとその後発売されたGTX 950よりも高くなんとGTX 960と同等になってしまう。
為替レートの影響をもろに受けることになる。後述しているが、そのような事情もありあまり国内ショップで搭載PCが販売されているのも見ない。最安値モデルはGTX950と同等だが・・・これにより本来の比較対象の2ランク上の相手と比較されてしまうことになった。どう考えても不利となる。事実GTX 950には性能面で勝てない。
消費電力に関しても20%~50%程多くなってしまっている。これはAMDの古いアーキテクチャのせいだといえる。性能はR7 270のリネームに近く、GTX 960と比較すると勝るところが何一つない。ゲーミングPCに搭載されている場合はGTX 960搭載モデルより安価なことがあるのでその点では選択肢としてありだろう。と、思ったがドスパラにはR9 380とR7 360はあるがR7 370は存在していないようだ。さぞ無念なことだろう。ちなみにこれらもそれぞれリネームモデルに近い。
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ベンチマークテスト環境
CPU | Intel Core i5-4690K |
---|---|
メモリ | Asrock Z97 Extreme6 |
電源ユニット | Silverstone Strider Series (700w) |
マザーボード | Gigabyte Z370 Aorus Gaming 7 |