i5 or i7
ゲーミングPCにおいてCore i5シリーズとCore i7シリーズのどちらを選ぶべきなのかについて検証していく。今回の検証ではCore i5-14400F/Core Ultra 5 225FとCore i7-14700F/Core Ultra 7 265Fを用意した。グラフィックボードはGeForce RTX 4090・GeForce RTX 5070・GeForce RTX 5060の3種類だ。

コスト重視でCore i5シリーズを選択するべきか、性能重視でCore i5よりも3万円以上高価なCore i7シリーズを選択するべきかで悩んでいる方は必見だ。少しでも価格を抑えたいゲーマーにとってCore i5シリーズは魅力的な選択肢となる

結論:ほとんどのユーザーはCore i5で十分

Core i5がよいのかCore i7がよいのかは選択するグラフィックボードに依存する。60番台以下のグラフィックボードならCore i5-14400F/Core Ultra 5 225Fでも十分なパフォーマンスを期待できる。今回検証したベンチマークを見れば一目瞭然だ。70番台以上のモデルになるとCore i7-14700FやCore Ultra 7 265Fが選択肢に入る。それを踏まえた上でSteamハードウェア&ソフトウェア調査(Steam, 2025)を見ると、大半のゲーマーが60番台以下のグラフィックボードを使用していることがわかる。

つまり、多くのユーザーはCore i5-14400F/Core Ultra 5 225Fで十分だということだ。フルHD環境でのゲームプレイをメインに考えているならCore i7-14700F/Core Ultra 7 265Fを無理に選ぶ必要はない。特にグラフィックス負荷の高いタイトルならCPUが与える影響は小さくなる傾向にある。シューティングゲームで高リフレッシュレートを目指したいならCPUへの投資は価値がある。また、ゲーム実況・動画エンコードなどのクリエイター作業を行いたいならCore i7-14700F/Core Ultra 7 265Fは魅力的な選択肢となる。

Core i5シリーズのゲーム性能が大きく向上している

corei5-gamescore
上記テーブルはIntel製CPUを中心にゲーム性能をまとめたものだ。Core i5シリーズの廉価モデルをオレンジのバーで示している。Core i5-14400は、Intel第9世代のCore i5-9400から見れば実に45%以上も性能が高い。2世代前のCore i7-12700に匹敵する性能は圧巻だ。だからこそ今ユーザーがCore i7シリーズと悩むところまで来ていると言えるだろう。

Intel第10世代CPUまではCore i5シリーズが売れ筋モデルになることほとんどなかったように思う。当サイトでも積極的におすすめすることはなかったことをよく覚えている。それがIntel第12世代以降Core i5シリーズの性能が引き上げられたことで搭載モデル・人気モデルが増えている。無理してCore i7シリーズを選ぶ必要はないということだ。特に60番台や70番台ぐらいまでのグラフィックボードであればCore i5-14400でも通用しなくはない。

基本的にはCPUよりもGPUにお金を掛ける方がより高いフレームレートを得られる。当然価格が安いだけでゲーマーに選ばれることはない。価格に対して十分な性能を持っていることが前提となる。Core i5-14400は、2世代前のCore i7シリーズに匹敵する高い性能を持っているからこそこれだけ支持されているのだ。Core i7シリーズ搭載モデルになると価格が跳ね上がってしまうため躊躇してしまうユーザーも多いだろう。

なお、現行のCore Ultra 5 225だと、Blackwell世代のGeForce RTX 5070と組み合わせモデルもリリースされている。これもCore i5シリーズの性能が高いことの証明だ。将来的にグラフィックボードの換装を考えているならできる限り性能の高いCPUを選択しておくのが無難だ。グラフィックボードは世代が変われば大きくグラフィックス処理性能が向上する。それを見越した上で選択するというのも一つの方法といえる。

当ページでの検証の前提条件まとめ

ラインナップ 定価 国内価格 コア/スレッド Pコア周波数(最大) Eコア周波数(最大) TDP
Core Ultra 7 265 $384 58,360円 20(8P+12E)/20 2.4GHz(5.3GHz) 2.4GHz(5.3GHz) 65W-182W
Core Ultra 7 265F $369 55,620円 20(8P+12E)/20 2.4GHz(5.3GHz) 2.4GHz(5.3GHz) 65W-182W
Core i7-14700 $384 49,980円 20(8P+12E)/28 2.1GHz(5.4GHz) 1.5GHz(4.2GHz) 65W-219W
Core i7-14700F $359 49,797円 20(8P+12E)/28 2.1GHz(5.4GHz) 1.5GHz(4.2GHz) 65W-219W
Core Ultra 5 225 $236 32,190円 10(6P+4E)/10 3.3GHz(4.7GHz) 2.7GHz(4.4GHz) 65W-121W
Core Ultra 5 225F $221 29,440円 10(6P+4E)/10 3.3GHz(4.7GHz) 2.7GHz(4.4GHz) 65W-121W
Core i5-14400 $221 26,690円 10(6P+4E)/16 2.5GHz(4.7GHz) 1.8GHz(3.5GHz) 65W-148W
Core i5-14400F $196 19,800円 10(6P+4E)/16 2.5GHz(4.7GHz) 1.8GHz(3.5GHz) 65W-148W

*価格は2025/7時点

BTOパソコンで一般的なFモデルを選択している。同世代で比較するとCore i5-14400FとCore i7-14700Fで価格差が29,979円、Core Ultra 5 225FとCore Ultra 7 265Fで26,180円だ。搭載モデルの場合はそれ以上に差が広がるケースもある。Core i7シリーズの方が消費電力・発熱量が高く、より高性能なCPUクーラーや電源ユニットが必要になることもあるからだ。ミドルタワーを採用するケースも多い。採用するケースやBTOメーカーの考え方次第だと言える。Core i7シリーズ搭載モデルの方が安くなることはないと考えてよい。

Core i5とCore i7のゲーミング性能を検証

GeForce RTX 4090になるとCore i7シリーズの方が明らかにフレームレートが高くなる。一方で、ミドルクラスのGeForce RTX 5060だとCPU性能の差は縮まる形だ。次世代のCore Ultraシリーズ2はCore Ultra 5 225Fの方がフレームレートが高くなったり、前世代のIntel第14世代Core iシリーズを超えられなかったりとゲーム性能が不安定だ。

モンスターハンターワイルズ

MonsterHunterWILDStopcorei5ni7-monsterhunterwilds

モンスターハンターワイルズにおいては、GPU負荷が高いこともありCPUによってそれほど差が出ることはない。GeForce RTX 4090を選択する場合Core i5-14400Fのみ他のCPUと比べてフレームレートが落ち込んでいる。GeForce RTX 5070やGeForce RTX 5060ではCPUによる差はほとんど出ていない。なお、GeForce RTX 4060ではVRAM容量不足によってWQHD環境以上ではアプリケーションがクラッシュしてしまい計測できなかった。

フォートナイト

fortnitecorei5ni7-fortnite

フォートナイトは比較的GPU負荷の軽いタイトルでCPUによってフレームレートが大きく変わる。高解像度でのゲームプレイが一般的ではないためフルHD固定で設定を変えてフレームレートを計測している。フォートナイトではCore i7-14700Fを選択するべきだ。GeForce RTX 4090を搭載していようが、GeForce RTX 5070を搭載していようが、CPUがCore Ultra 5 225FやCore i5-14400Fだとフレームレートが落ち込む。Core i7-14700FとGeForce RTX 5060の組み合わせがトップクラスのフレームレートなのは不思議だが、上位3つはすべてCore i7-14700F搭載モデルだ。フォートナイトなど負荷の軽いタイトルをメインに考えているならCPU性能を重視しよう。

FF14

ff14画像引用元:https://www.playstation.com/corei5ni7-ff14

FF14でもCore i7-14700F or Core Ultra 7 265Fが優勢だ。GeForce RTX 4090でもCore Ultra 5 225F/Core i5-14400Fとの組み合わせだとGeForce RTX 5070搭載モデルに遅れてしまう。なんとCore i7-14700F搭載モデルとCore i5-14400F搭載モデルで50%近くもフレームレートに差が出ている。

一方で、ミドルクラスのGeForce RTX 5060であればそこまで性能は変わらない。Core i7-14700F搭載モデルとCore i5-14400Fで10%の差に留まる。GeForce RTX 5070搭載モデル以上のゲーミングPCを購入するならCPUはけちらない方がよい。

FF15

ff15corei5ni7-ff15

FF15でもはっきりとCPUでフレームレートが変わることがわかる。GPU負荷の軽いフルHD環境での差が大きくなっている。GeForce RTX 4090搭載モデルの場合、Core i7-14700FとCore i5-14400Fで28%近くの差が出ている。これがミドルクラスのGeForce RTX 5060の場合はほとんどスコアが変わらない。やはり高性能なグラフィックボードの方がCPUボトルネックが発生しやすい。

Black Myth

Black Mythcorei5ni7-blackmyth

Black MythではCPUによってフレームレートがそこまで変わることはなさそうだ。ただし、GeForce RTX 4090だとCore i7-14700FとCore i5-14400Fで10%弱の差が出ている。GeForce RTX 5070とGeForce RTX 5060だと同等だ。

Forza Horizon 5

forzahorizon5corei5ni7-fh5

Forza Horizon 5でもややCore i7-14700F/Core Ultra 7 265Fが優勢といえそうだが、結果自体を見るとややイレギュラーだ。ハイクラスのGeForce RTX 5070ではほとんどCPUの差が出ていないが、ミドルクラスのGeForce RTX 5060ではCore i7-14700F搭載モデルが頭一つ抜き出ている。GeForce RTX 4090搭載モデルではCore i5-14400Fとの組み合わせで有意にフレームレートが落ち込んでしまう。特殊なケースなのでやはりミドルクラスのGeForce RTX 5060だとCore Ultra 5 225F/Core i5-14400Fでもよさそうだ。

Cyberpunk 2077

Cyberpunk2077topcorei5ni7-cyberpunk2077

Cyberpunk 2077の結果は納得できる。GeForce RTX 5060ではCPUによってフレームレートが大きく変わることはない。これはGPUがボトルネックとなるためだ。上位のGeForce RTX 5070ではGPU負荷のもっとも軽いフルHDでボトルネックが発生している。Core i7-14700FとCore i5-14400Fで18%、Core Ultra 7 265FとCore Ultra 5 225Fで4%弱だ。GeForce RTX 4090でもCore Ultra 7 265FとCore i7-14700Fが優勢だ。

クリエイティブ作業ではCore i7/Core Ultra 7シリーズが輝く

ゲーム以外の用途においてはやはりコア・スレッドの多いCore i7シリーズ/Core Ultra 7シリーズが有利になる。ゲーム実況などもこのカテゴリーに入ると考えてよい。基本的にはグラフィックボードに依存しないためこういった用途を考えているならCore i7シリーズ/Core Ultra 7シリーズを選択するのが吉だ。

Cinebench 2024

cinebenchr24corei5-i7-cinebench2024

Cinebench 2024は最新世代のCPUにも対応したベンチマークソフトだ。Cinebench R23の次世代バージョンとなる。CPU性能を客観的に把握する上で有用だと言える。Core i7-14700Fは、Core i5-14400Fよりもマルチコアが29%高く、シングルコアも14%高い。Core Ultra 7 265Fも、Core Ultra 5 225Fを大きく上回っている。ゲーム性能以上に性能差があることがわかるだろう。

Cinebench R23

cinebenchr15corei5-i7-cinebenchr23

Cinebench R23で見てもCore i7-14700やCore Ultra 7 265Fが圧倒的だ。10コアと20コアのCPUでは性能差が出るのが当然だ。それはゲームプレイよりも大きなものになる。

Blender

blenderclassroomcorei5-i7-blender

Blenderでも性能差は歴然だ。一番上のスコアを見るとCore i7-14700FはCore i5-14400Fよりも45%高く、Core Ultra 7 265FはCore Ultra 5 225Fよりも65%も高い。

7-Zip

7zipcorei5-i7-7zip

Zipファイルの圧縮及び展開速度を比較していく。Core i7-14700FはCore i5-14400Fよりも圧縮速度が110%速く、展開速度も68%速い。Core Ultra 7 265FもCore Ultra 5 225Fよりも解凍速度が72%速く、圧縮速度も42%速い。実世界でZipファイルを取り扱う機会は多いだろう。あまり速度を意識することはないかもしれないが、CPUによる性能差は大きい。Core Ultraシリーズ2はややパフォーマンスが低くなっているのは最適化の問題かもしれない。

Handbrake

handbrakecorei5-i7-handbrake

動画のエンコードに掛かる時間を計測している。Core i7-14700FはCore i5-14400FよりもH.264で42%速く、H.265でも21%速くなっている。

Adobe Photoshop

photoshopcorei5-i7-photoshop

画像編集ソフトのPhotoshopでのパフォーマンスを見ていく。Core i7-14700は、Core i5-14400と比べて30%程度パフォーマンスが高い。Core Ultra 7 265FもCore Ultra 5 225Fを40%程度上回っている。動画のエンコードと同等の性能差が出ている形だ。

当記事のまとめ

BTOパソコンにおけるCPUの選択について検証した。具体的にはゲーミングPCでCore i5-14400F/Core Ultra 5 225F or Core i7-14700F/Core Ultra 7 265Fのどちらを選ぶべきかという内容だ。結論としてGeForce RTX 5060 Ti 8GBなど60番台以下のグラフィックボードを選択する場合やWQHD環境以上でのゲームプレイを想定しているならCore i5-14400F/Core Ultra 5 225Fで問題ない。GPUがボトルネックになりがちでCPUの影響が小さいからだ。

反対にフォートナイトなどGPU負荷が軽いタイトルで高フレームレートを目指すならCPUへの投資は価値がある。50%程度の差が出てしまうこともある。場合によっては下位モデルを下回ってしまうこともあるぐらいだ。DLSS 4.0などアップスケーリング技術を活用する場合もGPU負荷が下がるためCPUがボトルネックになりやすい点を理解しておこう。

動画編集・エンコード・ゲーム実況などのクリエイター作業を行うことを考えているならCore i7-14700F/Core Ultra 7 265Fが好ましい。ゲームプレイ時のようにグラフィックボードに依存せず、単純にコア・スレッドが多い方が有利だからだ。動画編集やエンコードなどの作業では物理コアが多い分だけより高いパフォーマンスを期待できる。

参照外部サイト

その他あなたにおすすめの記事はこちら!

あなたにぴったりのゲーミングPCを探す