Ryzen 7 7840HSのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証していく。Zen 4アーキテクチャ採用の高パフォーマンスモデルだ。末尾の「S」は省電力モデルを意味していてTDPは35Wとなっている。モバイル向けのハイパフォーマンスモデルでは45Wが一般的だが、それよりも消費電力が抑えられている。Zen 3+アーキテクチャ採用のRyzen 7 6800Hの後継モデルだ。Zen 4アーキテクチャではプロセスの微細化によって高いクロック周波数を実現している。
同時期に発売されたRyzen 7 7735HSはZen 3+アーキテクチャを採用したマイナーチェンジモデルでRyzen 7 7840HSとは別物だ。単純にRyzen 7 6800Hの省電力性を高めたモデルとる。当ページで紹介しているこのRyzen 7 7840HSはより高い性能を必要とするユーザー向けと言える。コストパフォーマンスも良好でおすすめしやすい。後継モデルであるRyzen 7 8840HSがリリースされているが、性能的にはRyzen 7 7840HSが上回っている。Ryzen 7 8840HSの強みは省電力性の高さだ。TDPは20W-30Wとなっている。
当ページの目次
Ryzen 7 7840HSの概要
コードネーム | Zen 4(Phoenix) |
---|---|
プロセス | 4nm |
コア/スレッド数 | 8コア / 16スレッド |
Pコア定格/最大クロック | 3.8 GHz/ 5.1 GHz |
L2キャッシュ | 8MB |
L3キャッシュ | 16MB |
内蔵GPU | Radeon 780M |
PBP | 35W |
MTP | 54W |
発売日 | 2023年01月 |
価格 | – |
特徴 | (+)8コア16スレッドの高パフォーマンスモデル (+)Zen 4アーキテクチャ採用で省電力性が高い (+)コストパフォーマンスが良好 (-)ラインナップはそれほど多くない |
評価 | ・総合評価 7.0 ・ゲーム評価 7.5 |
Ryzen 7 7840HSの基本スペック
他のRyzen 7シリーズと比較
Ryzen 7 7840HS | Ryzen 9 7940HS | Ryzen 7 6800H | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Phoenix) | Zen 4 (Phoenix) | Zen 3+ (Rembrandt) |
プロセス | 4nm | 4nm | 6nm |
トランジスタ数 | 250.0億 | 250.0億 | - |
ダイサイズ | 178 mm² | 178 mm² | 208 mm² |
コア | 8 | 8 | 8 |
スレッド数 | 16 | 16 | 16 |
定格クロック | 3.80 GHz | 4.00 GHz | 3.20 GHz |
最大クロック | 5.10 GHz | 5.20 GHz | 4.70 GHz |
L2キャッシュ | 8MB | 8MB | 4MB |
L3キャッシュ | 16MB | 16MB | 16MB |
対応メモリ | DDR5-5600 LPDDR5-7500 | DDR5-5600 LPDDR5-7500 | DDR5-4800 LPDDR5-6400 |
内蔵グラフィックス | Radeon 780M | Radeon 780M | Radeon 680M |
PBP(TDP) | 35W | 35W | 45W |
MTP | 54W | 54W | - |
価格 | - | - | - |
発売日 | 2023/01 | 2023/01 | 2022/01 |
Ryzen 7 7840HSは、Zen 4アーキテクチャを採用した最新モデルだ。2023年1月に発売された。型番の「7840」の「4」がZen 4アーキテクチャを意味する。Ryzen 7 6800Hの後継モデルだ。Zen 3+からZen 4になって、プロセスが6nmから4nmへとさらに微細化が進んだ。ダイサイズは14%小さく178m㎡となる。
コア・スレッドは8コア16スレッドと共通だ。定格クロックが0.6GHz(19%)高く、最大クロックも0.4GHz(9%)高くなった。Zen 4アーキテクチャの強みはこのクロック周波数の高さが全てだ。プロセスが微細化されたことでより高いクロック周波数を実現できるようになった。L2キャッシュは倍増の8MBでL3キャッシュはRyzen 7 6800Hと変わらず16MBとなる。
対応メモリもDDR5-5600・LPDDR5-7500まで拡大された。ただし、多くのモデルがDDR5-4800を選択している。DDR5-5600メモリを搭載したモデルは希少だ。内蔵グラフィックもRadeon 780Mへと強化されている。PBP(TDP)は45W→35Wへと20%ダウンだ。最大クロックが5.1GHzでも消費電力をここまで抑えたのは素晴らしい。
最後に上位モデルであるRyzen 9 7940HSのスペックを見ておこう。プロセスなどは当然同じだ。コア・スレッド数も8コア16スレッドと変わらない。大きな違いはクロック周波数のみとなる。Ryzen 9 7940HSの方が定格クロックが0.2GHz(5%)高く、最大クロックも0.1GHz(2%)高い。対応メモリ・内蔵グラフィックス・TDPも共通となっている。
Intel製CPUと比較
Ryzen 7 7840HS | Core i7-13700H | |
---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Phoenix) | Raptor Lake |
プロセス | 4nm | 10nm |
ダイサイズ | 250.0億 | - |
トータルコア | 8 | 14 |
トータルスレッド | 16 | 20 |
コア(P) | 8 | 6 |
スレッド(P) | 16 | 12 |
コア(E) | - | 8 |
スレッド(E) | - | 8 |
定格クロック(P) | 3.8 GHz | 2.4 GHz |
最大クロック(P) | 5.1 GHz | 5.0 GHz |
定格クロック(E) | - | 1.8 GHz |
最大クロック(E) | - | 3.7 GHz |
L2キャッシュ | 8MB | 20MB |
L3キャッシュ | 16MB | 24MB |
対応メモリ | DDR5-5600 LPDDR5-7500 | DDR5-5200 LPDDR5-6400 DDR4-3200 |
内蔵グラフィックス | Radeon 780M | Iris Xe Graphics |
PBP(TDP) | 35W | 45W |
MTP | 54W | 115W |
価格 | - | $502 |
発売日 | 2023/01 | 2023/01/04 |
競合であるIntel製CPUの人気モデルであるCore i7-13700Hと比較していこう。Core i7-13700HはRaptor Lake世代のCPUで10nmプロセス(Intel 7)を採用している。ハイブリッドコアアーキテクチャを採用していて14コア20スレッドと高いスペックを持つ。8コア16スレッドのRyzen 7 7840HSとは一線を画する。ただし、Ryzen 7 7840HSではPコア相当のコアが8コアとCore i7-13700Hより多いので数値だけで純粋な比較はできない。
Pコアの定格クロックはRyzen 7 7840HSの方が59%高く、最大クロックも2%高い。L2キャッシュは20MBとCore i7-13700Hの方が多く、L3キャッシュもCore i7-13700Hの方が50%多く24MBだ。Core i7-13700Hの対応メモリはDDR5-5200・LPDDR5-6400・DDR4-3200となる。Core i7-13700HではDDR4メモリをサポートしているのもポイントだ。
Core i7-13700Hでは内蔵グラフィックスにIris Xe Graphicsが搭載されている。PBPは45WとRyzen 7 7840HSよりも30%近く高い。MTPも115WとRyzen 7 7840HSよりも2倍以上だ。Zen 4アーキテクチャが評価されているのは省電力性の高さだろう。Raptor Lakeも10nmプロセスでハイブリッドコアアーキテクチャを採用することで電力効率を高めているが、まだまだAMD製CPUには及ばない。
Ryzen 7 7840HS搭載モデルの特徴
メインストリームのハイクラスに属するCPU
Ryzen 7 7840HSはメインストリームのハイクラスに属するCPUだ。おおよそCore i7-13700Hと同等の性能を有している。8コア16スレッドというスペックで、14コア20スレッドのCPUと同等のパフォーマンスなのは驚きだ。それだけZen 4アーキテクチャでパフォーマンスがうまく引き出せているということだろう。
上位モデルであるCore i9-13900Hにも肉薄している。Ryzen 9 7940HSとの性能差は6%程度だ。モバイル向けモデルとして高い性能を持ちゲームプレイだけではなく動画編集や画像編集にも対応できる。マルチに活躍できるポテンシャルを持つ。
デスクトップ向けモデルのCore i5-13400やRyzen 5 7600Xに近い性能だ。モバイル向けモデルではハイクラス相当だが、CPU全体で見ればミドルクラス相当となる。モバイル向けのRyzen 7シリーズ=デスクトップ向けのRyzen 7シリーズとは異なる。ここは誤解してはいけない。同じRyzen 7シリーズでもデスクトップ向けならRyzen 5シリーズと同程度に留まる。
グラフィックスは70番台まで選択可
Ryzen 7 7840HSを搭載したモデルの主流グラフィックボードはGeForce RTX 4060 Mobileだ。Ada Lovelace世代のミドルクラスモデルで従来モデルのGeForce RTX 3070 Mobileに近い処理性能を持つ。メインストリームではこのGeForce RTX 4060 Mobileまでの組み合わせが多い。
残念ながらRyzen 7 7840HSを搭載したモデルはそれほど多くない。Dell・HP・マウスコンピューターからいくつかリリースされているぐらいだ。60番台とのバランスのよいCPUはラインナップが多く、そういう意味でも今後もラインナップはそこまで増えないかもしれない。コストパフォーマンス自体は悪くない。
70番台以上のモデルでは、より高価かつ高性能なIntelのHXシリーズやAMDのHXシリーズがCPUに採用される傾向にある。前の項目のグラフで言えば30,000スコアが一つの基準だ。グラフィックボードの性能が向上したことでメインストリームのCPUでは力不足ということだろう。
Ryzen 7 7840HSのベンチマーク一覧
Cinebench R23
定番のベンチマークソフトであるCinebench R23でCPU性能を見ていく。Ryzen 7 7840HSのマルチコアスコアは16,849、シングルコアスコアは1,690だ。旧世代のRyzen 7 6800Hと比べてマルチコアスコアが39%高く、シングルコアスコアも25%も高い。Zen 3+アーキテクチャ採用のRyzen 7 7735HSとの性能差はマルチコアスコアで25%、シングルコアスコアで7%とやや大きい。やはりアーキテクチャの違いは大きいようだ。Core i7-13700Hと比べてマルチコアスコアは4%高く、シングルコアスコアは4%低い。
Handbrake
動画のエンコードソフトであるHandbrakeでのパフォーマンスを見ていく。Ryzen 7 7840HSはラインナップ的にはNo.4となる。競合のCore i7-13700Hと比べて7%程度パフォーマンスが高い。ハイエンドモデルのCore i7-13700HXを超えるのは圧巻だ。従来モデルのRyzen 7 6800Hと比べると13%程度パフォーマンスが高い。ノートパソソコンでもクリエイター作業に対応しやすい。
7-Zip(圧縮)
7-Zipでの圧縮速度を見ていく。ハイクラスのモデルは団子状態でRyzen 9 7940HSやCore i7-13700Hと同程度のパフォーマンスを持つ。従来モデルのRyzen 7 6800Hと比べて45%もパフォーマンスが高い。下位モデルのRyzen 7 7735HSと比べても19%もパフォーマンスが高くなっている。Ryzen 7シリーズとしては十分過ぎる性能と言えるだろう。
7-Zip(解凍)
解凍速度ではCore i7-13700Hよりも3%程度パフォーマンスが高い。従来モデルのRyzen 7 6800Hと比べて34%程度パフォーマンスが高い。Ryzen 7 7735HSもRyzen 7 6800Hと性能はそこまで変わらない。これだけの性能差があればZen 4アーキテクチャ採用モデルを選ぶ理由がある。Ryzen 9 7940HSと比べて2%程度パフォーマンスが低いが、これぐらいの差であれば誤差と言えるかもしれない。
Adobe Photoshop
Ryzen 7 7840HSはPhotoshopとの相性のよいCPUだ。Ryzen 9シリーズに続いて3番目に高いパフォーマンスを持つ。Core i7-13700HどころかハイエンドのCore i7-13700HXも上回っている。これは最適化の問題があるのかもしれない。従来モデルのRyzen 7 6800Hと比べて25%以上もパフォーマンスが高い。Ryzen 7 7735HSと比べて3%程度パフォーマンスで上回っている。
Ryzen 7 7840HS搭載ゲーミングノートPC一覧
G15 ゲーミングノートパソコン(Dell)
液晶:15.6インチFHD 120Hz
本体重量:約2.97kg
CPU:Ryzen 7 7840HS
GPU:GeForce RTX 4050 Mobile
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 512GB NVMe
電源:330W ACアダプター
コスパ:調査中
初期構成ではRyzen 5 7640HSが選択されているが、カスタマイズでRyzen 7 7840HSへアップグレードできる。カスタマイズに掛かる費用は20,336円だ。なお、CPUをアップグレードするとグラフィックボードもGeForce RTX 3050 MobileからGeForce RTX 4050 Mobileに変更される。15.6インチFHDディスプレイを搭載している。本体重量は約2.97kgとかなり重い。これは冷却性能を高めるためというよりはコストカットのように思えてしまう。グラフィックスにはエントリークラスのGeForce RTX 4050 Mobileを搭載している。フルHD環境なら高リフレッシュレートでのゲームプレイにも対応可能だ。メモリDDR5-4800 16GB・SSD 512GB NVMeと構成は平均的だ。必要であればカスタマイズすることもできる。
NEXTGEAR J6-A7G60GN-A(マウスコンピューター)
液晶:16.0インチWUXGA 165Hz
本体重量:約2.29kg
CPU:Ryzen 7 7840HS
GPU:GeForce RTX 4060 Mobile
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 500GB Gen4 NVMe
電源:230W ACアダプター
コスパ:10.0
国内BTOメーカーのマウスコンピューターでもRyzen 7 7840HSの取り扱いがある。グラフィックスにはGeForce RTX 4060 Mobileを搭載している。CPUとのバランスも良好だ。フルHD環境で100fps以上のゲームプレイも実現可能だ。メモリDDR5-4800 64GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成がずば抜けている。キャンペーン中はメモリが通常の倍となる。標準3年保証と24時間365日の電話サポート付きで購入後も安心できる。
G-Tune E6-A7G70BK-A(G-Tune)
液晶:16.0インチWQXGA 240Hz
本体重量:約2.19kg
CPU:Ryzen 7 7840HS
GPU:GeForce RTX 4070 Mobile
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 500GB Gen4 NVMe
コスパ:調査中
Ryzen 7 7840HS×GeForce RTX 4070 Mobile搭載のハイクラスのゲーミングノートPCだ。16.0インチWQXGAディスプレイを搭載している。240Hz対応で滑らかなゲームプレイが実現する。何よりも驚きなのが16.0インチモデルで本体重量が約2.19kgと軽めなところだ。ここはコストが掛かっている部分だろう。メモリDDR5-4800 16GB・SSD 500GB Gen4 NVMeと構成は平均的だ。GeForce RTX 4070 Mobile搭載モデルならメモリのカスタマイズを検討してもよいかもしれない。
Victus 16(AMD) アドバンスモデル(HP)
192,500円 153,341円
液晶:16.0インチWUXGA 144Hz
本体重量:約2.30kg
CPU:Ryzen 7 7840HS
GPU:GeForce RTX 4060 Mobile
メモリ:DDR5-5600 16GB
ストレージ:SSD 512GB Gen4 NVMe
電源:230W ACアダプター
コスパ:調査中
Ryzen 7 7840HS×GeForce RTX 4060 Mobile搭載のミドルクラスのゲーミングノートPCだ。ホワイトカラーの本体がおしゃれだ。本体重量は約2.3kgだ。16.0インチWUXGAディスプレイを搭載している。GeForce RTX 4060 Mobileならモニターのパフォーマンスを活かせる。高リフレッシュレートを目指すことも現実的だ。メモリDDR5-5600 16GB・SSD 512GB Gen4 NVMeと構成も十分だろう。今なら特典でHYPERX Pulsefire Hasteブラックが付いてくる。