画像引用元:https://www.amazon.co.jp/
当記事では、NVIDIA/QuadroとGeForceのグラフィックボードの違いについて解説している。NVIDIA/QuadroとGeForceは同じNVIDIA製のグラフィックボードだ。しかしながら、その特性において両者にははっきりとした違いがあるのだ。当サイトのコンセプト的(ゲーミングPC紹介サイト)にGeForceの取り扱いがメインだが、ここではあえてNVIDIA/Quadro製グラフィックボードでのゲームプレイに焦点を当てて解説していく。
簡単に言うとNVIDIA/Quadro=クリエイター向け、GeForce=ゲーム向けということだ。それぞれ反対の用途で利用できるのか気になっている方は多いだろう。つまり、「NVIDIA/Quadroでゲームができるのか」・「GeForceでクリエイター向けアプリケーションを使用できるのか」などについて知りたい方向けのコンテンツだ。
新しい世代のモデルからプロフェッショナル向けグラフィックボードの製品名からQuadroという文言は消えた。Quadroシリーズは旧モデルに当たる。最新世代ではNVIDIA RTXシリーズ及びNVIDIA Tシリーズとなった。Quadroの方がわかりやすかったように思うが、NVIDIAにもなにか考えがあるのだろう。
当ページの目次
NVIDIA/QuadroとGeForceの特性・違いを比較
NVIDIA RTX | NVIDIA T | Quadro | GeForce | |
---|---|---|---|---|
世代 | Ampere | Turing | Turing/Pascal | Ampere |
価格帯 | 85,000円~ 650,000円 | 16,000円~ 50,000円 | 30,000円~ 700,000円 | 15,000円~ 300,000円 |
API | OpenGL | OpenGL | OpenGL | DirectX |
メモリ規格 | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6X |
メモリ容量 | 最大48GB | 最大8GB | 最大48GB | 最大24GB |
カラー | RGB各色10bit (約10億6433万色) | RGB各色10bit (約10億6433万色) | RGB各色10bit (約10億6433万色) | RGB各色8bit (約1677万色) |
保証期間 | 3年間 | 3年間 | 3年間 | メーカーによる |
このNVIDIA/QuadroシリーズとGeForceシリーズは価格帯が大きく異なっている。NVIDIA/Quadroシリーズではフラグシップモデルになると単体で65万円以上・搭載モデルになると100万円近くのモデルが存在している。一方、GeForceではフラグシップモデルでも30万円前後だ。これはグラフィックボードだけではなく採用されるCPUの違いもある。Core i9-10900Xなどのハイエンドモデルを採用していることで価格が高くなってしまうのだ。
APIは、NVIDIA/QuadroがOpenGLでGeForceがDirectXとなっている。OpenGLは主にクリエイター向けソフトウェアで採用されている。一方、DirectXはゲームで採用されることが多い。メモリ規格については、Ampere世代になったGeForceでは新しいGDDR6Xを搭載している。より高性能なメモリ規格だ。NVIDIAシリーズではGDDR6が採用されている。全体的にメモリ容量が多くアプリケーションを使用する上で有利になる。
カラーは両者で大きく異なるポイントだ。NVIDIA/QuadroはRGB各色10bitに対応している。約10億6433万色の色表現が可能だ。動画編集やRAW現像などこだわりのあるプロフェッショナルの方に最適だと言える。対してGeForceはRGB各色8bitで約1677万色に留まる。保証期間はNVIDIA/Quadroは3年間で、GeForceはメーカーによって異なる。おおよそ同期間の保証が受けられると考えてよいだろう。
NVIDIA/QuadroとGeForceの性能を比較
RTX 3080 10GB | |
NVIDIA RTX A6000 | |
RTX 3070 Ti | |
RTX 3070 | |
RTX 2080 Ti | |
RX 6700 XT | |
NVIDIA RTX A4500 | |
RTX 3060 Ti | |
NVIDIA RTX A4000 | |
RTX 2080 SUPER | |
RTX 2070 SUPER | |
RTX 2070 | |
RTX 3060 | |
RTX 2060 SUPER | |
RTX 2060 | |
NVIDIA RTX A2000 12GB | |
RTX 3050 | |
Quadro P2200 | |
GTX 1650 | |
NVIDIA T1000 | |
GTX 1050 Ti | |
NVIDIA T600 | |
GTX 1050 | |
Quadro P620 | |
NVIDIA T400 | |
Quadro P400 |
性能を比較する上ではGeForceとQuadroそれぞれ別のモデルとしてスコアを見るほうがよいかもしれない。ゲームプレイにおいてはGeForceが明らかに上回るし、一部のアプリケーションでも同様だ。一方で、3D CADなどNVIDIA/Quadroの得意分野で使用するならGeForce製グラフィックボードを上回ることになる。おおよその目安として見ておくとよいだろう。
画像引用元:https://www.elsa-jp.co.jp/ *イメージ 当記事では、NVIDIA RTX A4000の性能スペックレビュー&搭載BTOパソコンの紹介をしている。Turing世代のQuadro RTX …
NVIDIA/Quadro製グラフィックボードとは
(+)3D CADなどプロフェッショナル向け
(+)RGB各色10bitに対応
(+)3年間の長期保証で安心
(-)非常に高価
(-)ゲームプレイ向きではない
プロフェッショナル向けのGPU
NVIDIA/Quadroは、主に3D CADなどのアプリケーション向けに作られているグラフィックボードだ。CADデザインや動画レンダリングに強みを発揮する。ゲームよりもCADなどの制作・開発環境の向けと考えて問題はない。デザイン事務所などで働いている方なら馴染みが深いモデルと言えるはずだ。
その他、NVIDIA/Quadroの特徴としてRGB各色10bit(ディープカラー)に対応していて10億6433万色の再現が可能であることが挙げられる。GeForceでは実現できない領域まで広げることができる。画像編集などのグラフィックを取り扱う方にとって、10bit対応は必須だ。より鮮明な映像や画像の描写が実現する。
マルチディスプレイ等も独特で標準の設定でも4つのモニターを接続することが可能だ。より大画面でのパソコン操作ができる。
OpenGL特化でゲームプレイは苦手
グラフィック機能もOpenGLに特化しているので、ゲーム用のDirectXと方向性が異なり業務用としての選択となる。具体的にはAutoCAD・3ds Max・Maya・Shadeなどのアプリケーションを得意としている。一般的にはそれほどメジャーなアプリとは言えない。
マインクラフトのようにゲームの中にはOpenGLを採用しているものもあるが、通常はゲームに最適化されていないと考えるのが吉だ。もちろん、価格や適正を気にしなければゲームをプレイすること自体は可能だ。しかし、その場合かなり高価な部類のグラフィックボードを購入しなくてはならない。コストパフォーマンスを考えるとゲーミング目的で考えるべきではない。
NVIDIA/Quadroにはメーカー品がない
NVIDIA/Quadroには、GeForceのようにグラフィックボードを販売するメーカーというものがなく、NVIDIA RTX A400と言えばそれ一つしかないのだ。GeForceのグラフィックボードのようにRTX 2080 Tiがメーカーごとに数種類あるというようなことはない。
そのため、全世界共通の仕様となっており、悩むこともなく選択することができるというメリットがある。保証も手厚く3年間と長期間設定されているのは嬉しい。業務用として使っている方からすると長期間安心して使用できるのは選ぶ理由となるだろう。
GeForce製グラフィックボードとは
(+)ゲーム向けグラフィックボード
(+)コストパフォーマンスが高い
(+)最新のメモリ規格を搭載している
(+)様々なベンダーのモデルを選択できる
(-)3D CAD(大規模)などの用途は苦手
ゲーム特化型のGPU
ご存知のようにGeForceは主にゲーム用のグラフィックボードだ。ゲーミングPCを紹介している当サイトではこのGeForceをメインに取り扱っている。DirectXにのみ特化している形となるので価格が安価だ。
安価でゲームをプレイしたいというのであればGeForce以外の選択肢はあり得ない。いくらNVIDIA/Quadroが高性能で上位互換と言っても、ゲームをするのであればわざわざ高価なNVIDIA/Quadroを選択する必要はない。ゲームだけを考えるとコストパフォーマンスは最悪だ。
3D CADなどは苦手としている
GeForceは、3D CADなどの3Dアプリケーションには不向きで起動はできるが最適化はされていない。3D CADやRAW現像などを仕事で使いたいならNVIDIA/Quadroを選ぶべきだろう。フルカラーに対応していて、標準となるRGB各色8bit・約1677万色の表現が可能だ。NVIDIA/QuadroのRGB各色10bit・約10億6433万色と比べると劣っている。
苦手なアプリケーションを使うために購入するのは賢明とは言えない。一方で、マルチディスプレイは標準で3画面にまで対応している。デイトレーダーなど複数モニターの導入を考えている方に最適だ。安価なデイトレ環境を構築したいと考えている方には魅力的な選択肢となる。
多くのベンダーが販売してる
GeForceは、NVIDIA/Quadroと違って各メーカーが設計などを行うため同じRTX 3080であったとしてもメーカーごとに細かい性能や大きさなどが異なる。ファウンデーズエディションに比べてスペックアップされていることが一般的だ。
BTOパソコンの場合はそれほど選択肢が多くないが、自作PCを構築したいと考えている方にとってはメリットが大きい。価格・性能・見た目などで好みの製品を探してみよう。なお、保証期間について各ベンダーに委ねられる形だ。
Quadro RTX 4000とRTX 2080 Tiを徹底比較
スペック
Quadro RTX 4000 | GeForce RTX 2080 Ti | |
---|---|---|
イメージ | ||
単体価格 | 約160,000円 | 約155,000円 |
API | OpenGL | DirectX |
CUDAコア | 2304 | 4352 |
ベースクロック | 1202 | 1350 |
ブーストクロック | 1480 | 1545 |
GPUメモリ | 8GB GDDR6 | 11GB GDDR6 |
メモリインターフェース | 256 bit | 352 bit |
メモリバンド幅 | 最大416GB/sec | 最大616 GB/s |
FP32 Performance | 7.1 TFLOPS | 14.2 TFLOPS |
消費電力 | 160W | 250W |
純粋な性能(CUDAコアやメモリバンド幅)だけを見るとRTX 2080 Tiがずば抜けていることがわかる。約16万円もするRTX 4000でもGTX 1650クラスの性能しかない。つまりQuadroでゲームをプレイするとなると相当お金を掛けないとダメだということだ。倍以上のお金を掛けても全然性能が足りないので、ゲーム目的でQuadroを購入するのはナンセンスだとわかるだろう。RTX 4000はあくまでも業務用でゲーム目的ではない。Quadroは3D CADのような特定のレンダリング作業において圧倒的なパフォーマンスを発揮する。この点ではGeForceは足元にも及ばない。
つまり、クリエイター向けの作業をメインに行うのであればQuadroを、ゲームをメインに行うのであればGeForceを選択するということで問題ない。Quadroでゲームもできるが価格も高く割に合わないし、GeForceで3D CAD作業を行うこともできるが最適だとは言えないと理解しておこう。
ベンチマーク
V-Ray GPU Benchmark
Cinebench R15(OpenGL)
SPECviewperf v13その1
SPECviewperf v13その2
Time Spy(DX12)
NVIDIA RTX/NVIDIA Tシリーズ搭載おすすめBTOパソコン
SENSE-M066-124-QAX(パソコン工房)
価格:141,700円(税込)
CPU:Core i5-12400
GPU:NVIDIA T400 4GB
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:500GB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:500W BRONZE
NVIDIA T400 4GB搭載のクリエイター向けモデルだ。エントリークラスのモデルで性能が高いわけではないが、軽いデータを取り扱うぐらいなら対応することが可能だ。マルチモニターにも対応しやすい。CPUにはCore i5-12400を搭載している。6コア12スレッドとマルチスレッド性能が高く動画編集などにも対応しやすい。初めてのプロフェッショナル向けグラフィックボード搭載モデルに最適だ。メモリ16GB・SSD 500GBと構成も十分だろう。電源ユニットは500W BRONZEを採用している。ゲーム目的では推奨しない。GTX 1050よりもゲーミング性能が低いからだ。
raytrek LC-MA2(ドスパラ)
CPU:Core i7-12700
GPU:NVIDIA RTX A2000
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:500GB NVMe
HDD:非搭載
電源:550W BRONZE
NVIDIA RTX A2000を搭載したモデルとなっている。ここからはより高い次元での作業が可能となる。GeForce搭載のパソコンで物足りなさを感じる場面でも高い対応力を示す。中規模な3D CADや医療画像解析などにもおすすめだ。CPUには最新のCore i7-12700を搭載している。12コア20スレッドとコア/スレッドが大幅に増えたことでパフォーマンスが向上している。従来モデルのCore i9-11900Kを上回るほどだ。メモリ16GB、SSD 500GBと構成はやや控えめと言えるかもしれない。ゲーミングPCとしてはエントリークラスのRTX 3050相当に留まる。価格を考えるとかなり厳しい。
DAIV X10-A4(マウスコンピューター)
CPU:Core i9-10900X
GPU:NVIDIA RTX A2000
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:850W GOLD
NVIDIA RTX A2000を搭載したクリエイター向けモデルだ。マウスコンピューターのクリエイター向けブランドのDAIVは人気が高い。CPUにはハイエンドモデルのCore i9-10900Xを搭載していて万全だ。10コア20スレッドというスペックを誇る。ハイエンドモデルということもあってCPU性能は高い。メモリ32GB・SSD 1TBと構成も抜群だ。ワンランク上の環境を作りたいと考えている方はぜひチェックして欲しい。
SENSE-F069-LC129K-NNX(パソコン工房)
CPU:Core i9-12900K
GPU:NVIDIA RTX A4500
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:700W 80PLUS BRONZE
NVIDIA RTX A4500を搭載したモデルだ。税込50万円オーバーと高価なモデルとなっていて、ここからはよりプロフェッショナル志向が強くなる。リアルタイムレイトレーシングにも対応することが可能だ。より高度な3D CADモデルやVRなどに対応できる。企業レベルでの導入も多いはずだ。CPUにもメインストリームのフラグシップモデルであるCore i9-12900Kを搭載していてあらゆる用途に対応することができる。16コア24スレッドのモンスターCPUだ。メモリ32GB・SSD 1TBとグラフィックボードのランクを考えても妥当な構成だ。カスタマイズでメモリ容量を増やすのがよいだろう。
DAIV Z9-A55(マウスコンピューター)
CPU:Core i7-12700
GPU:NVIDIA RTX A5500
メモリ:DDR4-3200 64GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:2TB
電源:850W 80PLUS GOLD
NVIDIA RTX A5500搭載のハイクラスのモデルとなっている。8K動画編集やより大規模な3D CADモデルの取り扱いにも対応することができる。メモリ64GB・SSD 1TB・電源ユニット850W GOLDと構成も優秀だ。+28,600円でCore i9-12900にアップグレードすることができる。16コア24スレッドとよりマルチスレッド性能が高くなるので、動画編集などでパフォーマンスを発揮する。
当記事のまとめ
NVIDIA/QuadroとGeForceそれぞれの特徴を簡単に言ってしまうと、NVIDIA/Quadroは業務用でGeForceはゲーム用という感じだろうか。もちろんNVIDIA/Quadroでゲームをしたり、GeForceでレンダリング作業をしたりといったことは可能だ。その場合は、適正の問題でコストパフォーマンスが最大化されるわけではい。
それぞれに適した用途が存在するので自分に合ったグラフィックボードを選択するべきだ。このサイトはゲーミングPCを取り扱うサイトなので、NVIDIA/Quadro搭載モデルに関する情報は少ししか紹介していないということを最後のまとめとしておく。
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