ROG Strix
Core i9-13980HXのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証していく。Intel第13世代ハイエンドモデルにおけるフラグシップモデルだ。Intel製CPUの最強モデルということになる。24コア32スレッドとモバイル向けモデルとは思えないほど驚異的なスペックを誇る。Core i9-12900HXの後継モデルで16コア24スレッドから大きくスペックが引き上げられた。

競合のフラグシップモデルであるRyzen 9 7945X3DやRyzen 9 7945HXにはあと一歩及ばないもののモバイル向けモデルとして十分な性能を持つ。GeForce RTX 4080 Mobile以上のグラフィックボードを選択するなら理想的なCPUと言えるだろう。海外BTOメーカーを中心に搭載モデルのラインナップも多く理想の一台を見つけられるのではないかと思う。

Core i9-13980HXの概要

コードネーム Raptor Lake
プロセス 10nm
コア/スレッド数 24コア(8Pコア+16Eコア)/ 32スレッド
Pコア定格/最大クロック 2.2 GHz/ 5.6 GHz
Eコア定格/最大クロック 1.6 GHz/ 4.0 GHz
L2キャッシュ 24MB
L3キャッシュ 36MB
内蔵GPU Intel UHD Graphics
PBP 55W
MTP 157W
発売日 2023年01月04日
価格 $668
特徴 (+) Intel第13世代ハイエンドモデルの最上位CPU
(+) 24コア32スレッドと驚異的なスペックを誇る
(+) 現行最強クラスのゲーミング性能を有する
(-) AMD Ryzen 9シリーズには劣る
(-) 最低でも30万円近い予算が必要となる
評価 ・総合評価
9.5

・ゲーム評価
9.5

Core i9-13980HXの基本スペック

Core i9-13980HX Core i9-12950HX Ryzen 9 7945HX
メーカー Intel Intel AMD
コードネーム Raptor Lake Alder Lake Zen 4
(Dragon Range)
プロセス 10nm 10nm 5nm
トランジスタ数 131.4億
ダイサイズ 257 mm² 215 mm² 2x 71 mm²
I/Oプロセス 6nm
I/Oダイサイズ 122 mm²
トータルコア(スレッド) 24(8P+16E)/ 32 16(8P+8E)/ 24 16 / 32
定格クロック(P) 2.2 GHz 2.3 GHz 2.5 GHz
最大クロック(P) 5.6 GHz 5.0 GHz 5.4 GHz
定格クロック(E) 1.6 GHz 1.7 GHz
最大クロック(E) 4.0 GHz 3.6 GHz
オーバークロック
L2キャッシュ 24MB 14MB 16MB
L3キャッシュ 36MB 30MB 64MB
対応メモリ DDR5-5600
DDR4-3200
DDR5-4800
DDR4-3200
DDR5-5200
内蔵グラフィックス UHD Graphics UHD Graphics Radeon 610M
実行ユニット 32 32 2
グラフィックス周波数 1.65 GHz 1.55 GHz 2.20 GHz
PBP 55W 55W 55W
MTP(PL2) 157W 157W 75W
MSRP $668 $590
搭載モデル価格 480,980円~
(RTX 4090M)
499,800円~
(RTX 4090M)
発売日 2023/01/04 2022/05/10 2023/02/28

Core i9-13980HXは、Raptor Lake世代のハイエンドモデルだ。Core i9-12950HXの後継モデルでスペックが強化されている。デスクトップ向けのSシリーズの共通のダイを持ちTDPを抑えた仕様だ。プロセスは10nmと共通だ。ダイサイズは20%近く大きくなっている。Eコアが8つ増えて16コア24スレッドから24コア32スレッドとなった。また、PコアもGolden CoveからRaptor Coveへと変更されている。クロック周波数の引き上げやメモリ周りの強化が主だ。

デスクトップ向けモデルと比べても引けを取らない水準にある。Pコアの定格クロックはCore i9-12950HXの方が0.1GHz(5%)高く、最大クロックはCore i9-13980HXの方が0.6GHz(12%)高い。Eコアについても定格クロックはCore i9-12950HXの方が0.1GHz(6%)高く、最大クロックはCore i9-13980HXの方が0.4GHz(11%)高い。いずれのモデルもオーバークロックに対応している。ゲーミングノートPCの冷却システム次第ではより高いクロック周波数を実現できる。

L2キャッシュはCore i9-13980HXの方が10MB多く、L3キャッシュもCore i9-13980HXの方が6MB多い。PコアがGolden CoveからRaptor Coveになったことで大きく変わった部分だ。1コアあたりのキャッシュ容量が増えている。対応メモリもDDR5-4800からDDR5-5600へとより高クロックなモデルをサポートしている。内蔵グラフィックスはUHD Graphicsで大きな違いはないが、グラフィックス周波数が0.1GHz高くなっている。PBPは55W・MTPは157Wと共通だ。価格は$78高く、$668となる。Core i9-13980HX搭載モデルの価格は480,980円だ。グラフィックスにGeForce RTX 4090 Mobileを搭載したハイエンド構成の場合となる。

競合モデルであるRyzen 9 7945HXのスペックを見ていく。Ryzen 9 7945HXは現行最強クラスの性能を持つCPUだ。Zen 4アーキテクチャを採用している。デスクトップ向けモデルをモバイル向けモデルに改良している形だ。CPUダイとI/Oダイが別々になったチップレット構成を採用している。CPUダイのプロセスは5nmでI/Oダイのプロセスは6nmだ。トータルのダイサイズは264m㎡とCore i9-13980HXと同等だ。

コア・スレッドは16コア32スレッドと高いスペックを持つ。Core i9-13980HXで言えば全てのコアがPコア相当となる。Pコアの定格クロックは2.5GHz、最大クロックは5.4GHzだ。定格クロックはRyzen 9 7945HXの方が0.3GHz(14%)高く、最大クロックはCore i9-13980HXの方が0.2GHz(4%)高い。Ryzen 9 7945HXもオーバークロックに対応している。

L2キャッシュはCore i9-13980HXの方が8MB多いが、L3キャッシュはRyzen 9 7945HXの方が28MBも多い。Ryzen 9 7945HXの対応メモリはDDR5-5200だ。DDR4メモリはサポートしていない。内蔵グラフィックスはRadeon 610Mとなる。実行ユニットは2基と他のRadeonシリーズよりもスペックが抑えられている。

これは外付けのグラフィックボード搭載が前提だからだろう。PBPは55W・MTPは75Wと省電力性の高いモデルであることがわかる。搭載モデルの価格はハイエンド構成で499,800円〜となる。Core i9-13980HX搭載モデルよりも少し高い価格設定だ。

Core i9-13980HX搭載ゲーミングノートPCの性能と特徴

モバイル向けNo.3の実力があるCPU

i913980hxscore
Core i9-13980HXの性能スコアは33,962とトップクラスの処理性能を持つCPUだ。デスクトップ向けのRyzen 9 7900に匹敵する性能は圧巻だ。モバイル向けモデルで言えばRyzen 9 7945HX3D・Ryzen 9 7945HXに次いで三番目に高い性能を誇る。Core i9-12900HXよりも25%以上も処理性能が高い。これだけの性能があればゲーミングノートPCやクリエイターノートPCで性能不足に悩む心配はないだろう。

ハイエンドのグラフィックボードとの組み合わせでもCPUがボトルネックになりづらい。Ada Lovelace世代のグラフィックボードが登場したことでグラフィックス処理性能が大きく向上してこれまで以上にCPU性能が重要となった。また、超解像度技術のDLSS 3.0はグラフィックス負荷を下げ、CPU性能をより重視する。より高みを目指すならCPUへの投資は価値がある。

ハイエンド構成が真骨頂となる

Core i9-13980HXlineup
Core i9-13980HXは性能が高く組み合わせるグラフィックボードもハイエンドモデルを選択したい。具体的にはGeForce RTX 4090 MobileやGeForce RTX 4080 Mobileが該当する。高い性能のグラフィックボードを選択しないとCore i9-13980HXの性能を活かせないからだ。

価格は跳ね上がってしまうがせっかくなら妥協をせずにハイエンドモデルを検討したい。もちろん動画編集・画像編集・ゲーム実況などゲームプレイ以外の用途でCPU性能を重視したい方であればその限りではない。GeForce RTX 4070 MobileやGeForce RTX 4060 Mobileなら価格を抑えつつ高いCPU性能を担保できる。

Core i9-13980HXのベンチマーク一覧

Cinebench R23

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CPUの性能を知る上でCinebench R23は外せない。最新のCinebench 2024も公開されているが、データがまだ集まっていないためこれまで通りCinebench R23のスコアを見ていく。Core i9-13980HXのマルチコア性能は30,438で、シングルコア性能は2,108だ。従来モデルのCore i9-12900HXと比べてマルチコア性能が67%高く、シングルコア性能も10%高い。下位モデルであるCore i9-13950HXとの性能差は2%-3%とそれほど大きくない。Ryzen 9 7945HXと比べるとマルチコア性能が10%低く、シングルコア性能は4%高い。やはり16個のPコアを搭載しているRyzen 9 7945HXは強力だ。3D V-Cache搭載のRyzen 9 7945HX3Dになるとより高いスコアが出ている。

Handbrake

handbrakei9-13980hx-handbrake

動画のエンコードソフトであるHandbrakeでのパフォーマンスを見ていく。従来モデルのCore i9-12900HXと比べて20%もパフォーマンスが向上している。下位モデルのCore i9-13950HXとの性能差は3%程度だ。他のハイエンドのCore i9シリーズとの性能差はそれほど大きくない。競合のRyzen 9 7945X3Dと比べると8%程度低い。Ryzen 9シリーズは強力なモデルと言えるだろう。

7-Zip(圧縮)

zipi9-13980hx-compression

Zipファイルの圧縮速度を見ていく。Core i9-12900HXと比べて40%以上もパフォーマンスが高い。下位モデルのCore i9-13950HXとの性能差はほとんどない。Core i7-13700HXと比べて10%パフォーマンスが高くCore i9シリーズの威厳を見せている。一方で競合モデルのRyzen 9 7945HXよりも5%程度パフォーマンスで劣る。3D V-Cache搭載のRyzen 9 7945HX3Dよりも3%程度パフォーマンスが低くなっている。本来3D V-Cache搭載モデルはゲーム以外の用途ではパフォーマンスが落ちるはずだが、モバイル向けモデルの場合はそうはならない。TDPが制限されているからかもしれない。

7-Zip(解凍)

zipi9-13980hx-unfrozen

Zipファイルの解凍速度を見ていく。従来モデルのCore i9-12900HXと比べて45%以上もパフォーマンスが高い。Core i9-13950HXやCore i9-13900HXとの性能差は1%-2%だ。Ryzen 9 7945HXと比べて7%パフォーマンスが低くなっている。Ryzen 9 7845HXにも及ばなかったのは想定外だ。Zen 4は優れたアーキテクチャだと言える。

Adobe Photoshop

photoshopi9-13980hxphotoshop

PhotoshopでIntel製CPUが振るわない。特にハイエンドモデルはスコアが伸び悩んでいる。Core i9-13900HやCore i7-13700Hよりもスコアが低いのは気になるところだ。Ryzen 9 7945HXと比べて8%程度スコアが低い。パーセンテージで見ればそこまで差があるわけではないものの性能差があることは明らかだ。後日改めてベンチマークを取りたいと考えている。

Core i9-13980HX搭載ゲーミングノートPC一覧

ROG Strix G16 G614JV (ASUS)

ROG Strix G16 G614JI価格:269,800円
液晶:16.0インチWUXGA 165Hz
重量:約2.50kg
駆動時間:約8.8時間
CPU:Core i9-13980HX
GPU:GeForce RTX 4060 Mobile
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
コスパ:調査中

公式サイト

Core i9-13980HX×GeForce RTX 4060 Mobile搭載のミドルクラスのゲーミングノートPCだ。16.0インチQUXGAディスプレイを搭載している。本体重量約2.5kgとかなり重い。持ち運び際には大きめのカバンを用意しておく必要がある。グラフィックス処理性能的には十分高リフレッシュレートを目指せる。ただし、Core i9-13980HXと組み合わせるにはGeForce RTX 4060 Mobileではややもったいない。CPU性能を重視したいユーザー向けだ。ゲーム実況や動画のエンコードなどクリエイター用途にも適している。メモリDDR5-4800 16GB、SSD 1TB Gen4 NVMeと構成も平均以上だ。冷却システムにはROG INTELLIGENT COOLINGを採用している。CPU・GPU用のファンに加えてGPUの熱移動用のファンを搭載している。

Raider-GE78HX-SmartTP-13VG-2201JP (MSI)

Raider-GE78HX-13VI-2803JP価格:399,800円 319,800円
液晶:17.0インチWQXGA 240Hz
重量:約3.10kg
駆動時間:最大10時間
CPU:Core i9-13980HX
GPU:GeForce RTX 4070 Mobile
メモリ:DDR5-4800 32GB
ストレージ:SSD 1TB NVMe
コスパ:調査中

公式サイト

17.0インチWQXGAディスプレイを搭載したゲーミングノートPCだ。本体重量は約3.1kgと重量級だ。持ち運びには不向きと言える。バッテリー駆動時間は約10時間だ。Core i9-13980HX×GeForce RTX 4070 Mobile搭載で高解像度・高リフレッシュレートでのゲームプレイにも対応可能だ。デスクトップ向けモデルで言えばGeForce RTX 3060 Tiに近い性能を持っている。最新のタイトルにも対応しやすい。メモリDDR5-4800 32GB、SSD 1TBと構成も抜群だ。

AORUS 17X AXF-D4JP694JP (GIGABYTE)

AORUS 17H BXF-74JP554SH価格:399,300円
液晶:17.3インチQHD 240Hz
重量:約2.80kg
駆動時間:非公開
CPU:Core i9-13980HX
GPU:GeForce RTX 4080 Mobile
メモリ:DDR5-5600 16GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
コスパ:調査中

公式サイト

Core i9-13980HX×GeForce RTX 4080 Mobileの組み合わせで最安値のモデルだ。もっとも最安値とは言っても税込40万円近い価格は誰にでもおすすめできるわけではない。17.3インチQHDディスプレイを搭載している。240Hz対応で本格的なシューティングゲームにもおすすめだ。本体重量は約2.80kgと重い。持ち運びにはそれなりの覚悟が必要だ。グラフィックスにGeForce RTX 4080 Mobileを搭載していて妥協せずにゲームプレイを楽しめる。デスクトップパソコンに近い環境を構築可能だ。メモリDDR5-5600 16GB、SSD 1TB Gen4 NVMeと圧巻の構成を持つ。

ROG Strix G16 G614JZ (ASUS)

ROG Strix G16 G614JI価格:399,800円
液晶:16.0インチWUXGA 165Hz
重量:約2.60kg
駆動時間:約8.8時間
CPU:Core i9-13980HX
GPU:GeForce RTX 4080 Mobile
メモリ:DDR5-4800 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
コスパ:調査中

公式サイト

ASUSが販売するハイエンドモデルだ。16.0インチWUXGAディスプレイを搭載している。165Hz対応で滑らかなゲーム描写が可能だ。高解像度には対応していないため高リフレッシュレートあるいは高設定を実現したい方向けだ。本体重量は約2.60kgとなる。ハイエンドモデルの中では比較的軽めだ。メモリDDR5-4800 32GB、SSD 1TB Gen4 NVMeと構成も充実している。

ALIENWARE M18 ゲーミングノートパソコン(ALIENWARE)

ALIENWARE M18価格:480,980円
液晶:18.0インチQuad HD+ 165Hz
重量:約4.04kg(最大構成時)
駆動時間:非公開
CPU:Core i9-13980HX
GPU:GeForce RTX 4080 Mobile
メモリ:DDR5-5200 16GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
コスパ:調査中

公式サイト

18.0インチQuad HD+ディスプレイを搭載したゲーミングノートPCだ。本体重量は最大で4.04kgとかなり重い。ここまで来ると持ち運びは考えない方がよさそうだ。グラフィックスにはGeForce RTX 4080 Mobileを搭載していてWQHD環境でのゲームプレイにも対応できる。メモリDDR5-5200 16GB、SSD 1TB Gen4 NVMeと性能帯・価格帯から見るとやや物足りなさを感じる。それでも高クロックなDDR5-5200メモリを搭載しているのはさすがだ。

AORUS 17X AZF-D5JP665JP (GIGABYTE)

AORUS 17H BXF-74JP554SH価格:580,000円
液晶:17.3インチQHD 240Hz
重量:約2.80kg
駆動時間:非公開
CPU:Core i9-13980HX
GPU:GeForce RTX 4090 Mobile
メモリ:DDR5-5600 32GB
ストレージ:SSD 1TB + SSD 1TB Gen4 NVMe
コスパ:調査中

公式サイト

現行最強のゲーミングノートPCだ。グラフィックスにはAda Lovelace世代のハイエンドであるGeForce RTX 4090 Mobileを搭載している。この組み合わせで対応できないタイトルがあったとすればそれはゲーム側の問題だ。予算が豊富にあってとにかくゲーム環境にこだわりたい方は要チェックだ。17.3インチQHDディスプレイを搭載している。240Hz対応で快適にゲームを楽しめる。メモリDDR5-5600 32GB、SSD 1TB+SSD 1TB Gen4 NVMeと構成もずば抜けている。もはやゲーミングノートPCでこれだけのモデルが登場していることに驚くしかない。

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