パソコン工房が販売する「LEVEL-M77M-137F-ULX」の詳細レビューを行っている。Core i7-13700F×RTX 4070 Ti搭載のハイエンドクラスのゲーミングPCだ。新しいミニタワーケースを採用しての登場だ。ミニタワーでハイエンドのRTX 4070 Tiを搭載したモデルは希少だ。新しいケースでエアフロー・排熱性能に自信があるからこそ実現したのだろう。
RTX 4070 Ti搭載モデルで税込256,800円は最安値クラスとなる。CPUにCore i7シリーズのFシリーズを採用したり、電源ユニットに70W BRONZEを採用したりとコストカットは見られるが、総合的に見て完成度が高い。メモリ規格は高クロックなDDR5を採用していて高評価だ。必要なものをうまく取り入れているように思える。
当ページの目次
LEVEL-M77M-137F-ULXのスペック解説
ブランド名 | LEVEL∞ |
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製品名 | LEVEL-M77M-137F-ULX |
価格 | 256,800円(税込) |
CPU | Core i7-13700F(レビュー) |
GPU | GeForce RTX 4070 Ti(レビュー) |
メモリ | DDR5-4800 16GB |
SSD | NVMe 500GB |
HDD | 非搭載 |
電源 | 700W 80PLUS BRONZE |
マザーボード | チップセットB760 |
おすすめ度 | Aランク |
評価 | ・コスパ 7.1 ・構成 6.5 ・品質/サポート 10.0 ・総合評価 7.9 |
コスパ指標は7.1と高めだ。構成を落とすことで価格を引き下げたモデルとなる。品質・サポートは申し分ない。パソコン工房は24時間365日の電話サポートや最大4年の延長保証を用意していて初心者の方でも購入しやすい。総合評価は品質・サポートに後押しされて7.9だ。
各タイトルの対応表
FF15 | Apex Legends | FORTNITE |
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・4K ・WQHD | ・240fps ・144pfs | ・240fps ・144fps |
★5つ=最高設定、★4つ=高設定、★3つ=標準設定、★2つ=低設定、★1つ=厳しいということだ。なお、対応表は必要なスペックや環境から評価した個人的な見解となっている。
LEVEL-M77M-137F-ULXはCore i7-13700FとRTX 4070 Tiを搭載したハイエンドクラスのゲーミングPCだ。非常に扱いやすい性能を有しており、幅広い環境で快適にゲームプレイ可能なモデルだ。4KやWQHDのような高解像度、240Hzや144Hzのような高リフレッシュレートにも対応しやすい。最新のゲームから、Apex Legendsのような人気ゲームまで多くのゲームを快適にプレイできるだけの性能がある。
LEVEL-M77M-137F-ULXの性能まとめ
ゲーミングPCとは、グラフィックボードやCPUなどのPCパーツの集合体だ。ここでは特に重要なグラフィックボードとCPUについて分解して細かく見ていく。
PC初心者の方がスペックを見て性能をイメージすることは難しいだろう。一体として見るよりも一つずつのパーツを見ていくと理解がしやすいと考えている。
Core i7-13700F(CPU)
Core i9-13900K | |
Core i9-13900 | |
Core i7-13700K | |
Ryzen 9 7900X | |
Core i7-13700 | |
Core i9-12900K | |
Ryzen 9 7900 | |
Core i5-13600K | |
Core i7-12700K | |
Core i7-12700 | |
Ryzen 7 7700X | |
Ryzen 7 7700 | |
Core i5-12600K | |
Core i5-13400 | |
Ryzen 7 5800X | |
Core i5-12400 | |
Core i7-11700 |
LEVEL-M77M-137F-ULXで採用されているCPUは、Intel第13世代のCore i7-13700Fだ。CPU内蔵グラフィックス非搭載モデルとなる。Core i7-13700は、16コア24スレッドと高いスペックを持つ。8つのPコアと8つのEコアを組み合わせたハイブリッドアーキテクチャを採用している。従来モデルのフラグシップモデルであるCore i9-12900Kよりも処理性能が高い。競合モデルのRyzen 7 7700Xと比べても32%も処理性能が高く、その上位モデルであるRyzen 9 7900Xに匹敵するほどだ。ハイブリッドアーキテクチャはAMDにとって脅威であることは間違いない。ゲーム性能も高く現行トップクラスのパフォーマンスを誇る。RTX 4070 Tiとの組み合わせだとやや性能的に物足りないもののコストを抑えるという面では魅力的な選択肢となる。
GeForce RTX 4070 Ti(GPU)
RTX 4090 | |
RX 7900 XTX | |
RTX 4080 | |
RX 7900 XT | |
RTX 3090 Ti | |
RTX 4070 Ti | |
RTX 3090 | |
RX 6950 XT | |
RTX 3080 Ti | |
RTX 3080 12GB | |
RX 6900 XT | |
RTX 3080 10GB | |
RX 6800 XT | |
RTX 3070 Ti | |
RTX 2080 Ti |
当該モデルではグラフィックスにAda Lovelace世代のハイエンドモデルであるGeForce RTX 4070 Tiを搭載している。70番台ながら従来モデルの90番台と同等以上のグラフィックス処理性能を持っている。4K環境あるいはレイトレーシングも十分に堪能できるだろう。一方で、フルHD環境がメインとなるならオーバースペックとなってしまう可能性がある。高リフレッシュレートなどにこだわりがないなら素直にランクを落とすとよい。RTX 4070やRTX 4060がリリースされるのを待つのも一つだ。
LEVEL-M77M-137F-ULXの特徴&強み
大胆なリニューアルで低価格路線を強化
LEVEL-M77M-137F-ULXはリニューアルされ、以前より価格を抑えたモデルに生まれ変わった。Core i7-13700FとRTX 4070 Tiを搭載したモデルの中では選びやすく、下位のRTX 4070搭載モデルに近い価格帯にまで迫っている。その代償として、構成面は大きく下がっており、一長一短という印象を受ける。CPUをCore i7-13700からCore i7-13700Fへ変更したのは自然な流れだ。
しかしながら、SSD容量を半減、800W GOLDの電源を700W BRONZEにまで下げたのは大胆な試みと言える。これらの変更で3万円近く価格を抑えており、低価格路線を強化したモデルとなった。RTX 4070 Ti搭載モデルがより身近に感じられるようになりそうだ。構成ダウンの影響で評価は下がっている。ハイエンドクラスのモデルは構成も求められるため、低価格路線になると評価がうまく上がりにくくなる。
理想を言えば25万円は切ってほしかった。数値で見る評価は下がってしまったが、選びやすさという点では頭一つ抜けた存在だ。予算が25万円前後であるなら有力な選択肢となってくれるだろう。全体的な構成は迫力を失った。その一方で、多くのユーザーが重視する価格という武器を得た。パソコン工房は頻繁に製品のリニューアルをするショップだが、ここまで大胆な変更を適用することは珍しい。
元のモデルとは明らかにターゲット層が異なっている。性能と構成を重視する従来モデルと、価格を重視する現行モデルでは別製品と考えた方がよさそうだ。人を選ぶモデルにはなかったかもしれないが、その分広範囲の層を取り込むことのできるモデルになった。性能帯最安値クラス・価格帯最高クラスの性能により、人気モデルになれる要素は満たした。ここからの展開に期待したいところである。
構成は下がっても性能は変わらず
今回のリニューアルで注目したいのは、性能に関わる部分に変更が加えられなかったところだ。いかに性能や使用感をそのままに、価格を抑えられるかを意識していたのかがわかる。3万円近く価格は安くなっても、ゲームや作業における快適性は何ひとつ変わらない。ハイエンドクラスに恥じないパフォーマンスを維持したことは魅力である。
性能の高さからRTX 4070 Tiはハイエンドクラスに分類しているが、世間ではおそらくミドルハイクラスに属している。従来モデルであるRTX 3070 Tiの系譜であり、かつハイエンドクラスは80番台以降という印象が強いからだ。しかし、RTX 4070 Tiはハイエンドクラスと言えるほど高い性能が特徴だ。ゲームでは4K解像度への対応力も高く、240Hz環境での安定も目指しやすい。
従来のハイエンドクラスを凌駕するその性能は、まごうことなきハイエンドクラスだ。もっとも、RTX 4080 TiやRTX 4090 Tiのような上位のGPUが登場すれば、必然的にランクは下がっていく。今後そういったモデルが登場するかは分からないが、ミドルハイクラスになる可能性はある。
仮にミドルハイクラスになっても、性能自体が下がるわけではないので、こういったカテゴリは評価の一つ程度に考えておきたい。高性能なRTX 4070 Tiに対して、Core i7-13700Fでは少し物足りなさを感じるかもしれない。Core i7-13700Fも電力制限の解除を行えば、かなり高性能なCPUとなり、RTX 4070 Tiともバランスも取れるようになる。軽視されがちなCPUも、このくらいの性能帯になると影響は大きくなる。
Core i7-13700Fはゲームへの適性が高いため、価格と性能を両立しやすい。LEVEL-M77M-137F-ULXは、ゲームでも作業でも用途を選ばないパフォーマンスの高さがある。よほど高負荷な作業でもない限り、ストレスフリーな快適な動作が期待できる。性能を重視するような方にもおすすめしやすいモデルである。
競合モデルとの比較
ブランド | LEVEL∞ | GALLERIA |
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イメージ | ||
製品名 | LEVEL-M77M-137-UL9X | GALLERIA XA7C-R47T |
ケース | ミニ | ミドル |
価格 | 256,800円(税込) | 264,980円(税込) |
CPU | Core i7-13700F | Core i7-13700F |
GPU | RTX 4070 Ti | RTX 4070 Ti |
メモリ | DDR5-4800 16GB | DDR4-3200 16GB |
SSD | NVMe 500GB | NVMe 1TB |
HDD | 非搭載 | 非搭載 |
電源 | 700W BRONZE | 750W GOLD |
マザボ | B760 | B760 |
公式 | 公式 | 公式 |
レビュー | 当ページ | レビュー |
一方で、パフォーマンス面に目を向ければメモリの分だけLEVEL-M77M-137F-ULXがリードしているとも言える。この2製品に関してはどちらを選んでもそれほど後悔することはないだろう。最新のパーツを採用している点、及ばない部分はカスタマイズや増設で対応できるところからLEVEL-M77M-137F-ULXをおすすめしたい。
パソコンケースレビュー
LEVEL∞ M-Classでは2023年3月15日に登場した新しいミニタワーケースを採用している。最新モデルらしく大型水冷クーラーに対応しているなど拡張性が向上している。
正面
ミドルタワーケースをそのまま小さくしたデザインとなる。正面の真ん中にLEVEL∞のロゴが刻印されている。シンプルなデザインながら高級感もある。マットブラックがかっこいい。
左側面
左側面には何もない。本体上部ケース取り外し用のネジがある。
右側面
右側面も左側面と同様だ。意外とここまで落ち着いたデザインを採用したケースは希少だ。
I/Oパネル
前面には電源ボタン、USB 3.0×2、ヘッドセット端子×1が配置されている。USB Type-Cがあればよかったのだが、コストが重要となるBTOパソコンなら仕方がないのかもしれない。
背面
背面には12cmのケースファンが見える。拡張スロットは4つだ。その内3つがグラフィックボード専有となる。PCI Express 4.0[x16] ※x4動作が余っている。
本体上部
本体上部には2基のファン(12cm)が搭載されている。初期構成のままなら十分なエアフローを確保できる。
本体下部
本体下部にはメッシュ加工が施されたカバーが取り付けられている。メンテナンス性が高いのは魅力だ。
管理人による総評(LEVEL-M77M-137F-ULX)
LEVEL-M77M-137F-ULXは、Core i7-13700F×RTX 4070 Ti搭載のハイエンドクラスのゲーミングPCだ。CPUにCore i7を選択することで価格を抑えている。税込25万円台は素晴らしい。ただし、競合不在だったモデルも価格を抑えるために大幅な構成を落とし他社BTOメーカーのモデルに埋もれるモデルになっているとも言える。メモリDDR5-4800 16GB、SSD 500GB NVMeと構成も十分だろう。欲を言えばメモリ容量は32GBを最低基準にしたいところだが、価格を考慮すれば及第点だ。
価格 | CPU | グラボ |
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256,800円(税込) | i7-13700F | RTX4070Ti |
メモリ | SSD | HDD |
DDR5 16GB | 500GB | 非搭載 |