ホワイトボックスとはなにかについて解説していく。BTOパソコンを購入する際に色々な情報を集めている中で、”ホワイトボックス”という言葉を目にした方もいらっしゃるだろう。今ではBTOパソコンがあまりにも当たり前になりすぎて言葉の意味を知る機会がなくなっているように思える。
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ホワイトボックスとは
ホワイトボックスとは、サードウェーブ(ドスパラ)やマウスコンピューターなどのBTOメーカーが独自に製造・販売しているパソコンのことを指す。元々はPCパーツショップが、汎用品であるパーツを使ってパソコンを作り販売していたことからホワイトボックスと呼ばれていた。要は自作PCの延長でパソコンを販売していた時代だ。PCケースにロゴなどがなく箱(ケース)が白いままだったからだ。
時代は変わりBTOメーカーもPCケースにブランド名を刻印するのが一般的になり、今の状況ではホワイトボックスとは言えないかもしれない。それでも広義で考えればBTOパソコンもホワイトボックスだと言えるのではないだろうか。なぜならBTOメーカーが汎用品であるCPU・グラフィックボード・メモリ・ストレージなどを使ってパソコンを独自に製造・販売しているのだからだ。
BTOパソコンのもう一つの特徴として、BTOメーカーがパソコンを組み上げる上で使用しているパーツのメーカーを公表していない。つまり、同じショップでも時期によって使用するメーカーが異なる可能性もあるということになる。これは為替や在庫の状況に合わせてもっとも最適なパーツを選択できる余地を残しておくためだと考えてよい。
BTOパソコンとホワイトボックス
BTOパソコンでは大半が市販品で高品質
BTOパソコン=ホワイトボックスという図式がなりたち、採用されるパーツも市販品が多く高品質だ。VAIOやPanasonicなどの大手PCメーカーのパソコンと比べて価格が安いため粗悪なパーツが使われているのではないかと疑問に思っている方もいるかもしれない。もちろん評判が悪くなるような粗悪なパーツを使用するようなことはない。
ホワイトボックス=品質が低いということはない。きちんとした製品で信頼性が高いので安心して欲しい。市販品を流用していることが多く極端に品質が劣る製品は存在しない。さらに、全てのショップが出荷前にテストを行っていると考えてよい。すでに解説した通り、BTOパソコンでは為替や在庫状況に合わせて採用するパーツを変更することがある。
これが価格を抑えられる要因の一つだ。公式サイトで型番がはっきりしていないこともあるため不安に思ってしまう方もいるかもしれないが、基本的に粗悪な品はないといえる。故障が頻発すれば評判が悪くなってすぐにネット上で広まってしまうだろう。一時的な利益のために信頼を失うリスクを取る企業はないはずだ。
通常ホワイトボックスに含まれるのは、CPU・グラフィックボード・メモリ・ストレージ・マザーボードの一部・各種ケーブルだ。これらは一般消費者でも購入できる市販品が活用されることが多い。一方で、PCケースについてはBTOメーカーのロゴが入ったオリジナルのものを採用している。
ドスパラ・G-tune・パソコン工房・フロンティアなどBTOショップが多くある。それらのBTOショップが販売するパソコンの中身に関してはどこが優れている、どこが劣っているということはほとんどない。基本的にはホワイトボックスなので品質に問題はなく、メーカーオリジナルのパーツでも品質は高い。
安いことへの不安は仕方がない
「安物買いの銭失い」という言葉があるように、人は安いほどありがたく思う反面不安になるのが心情だろう。逆に割高であれば「高いけど安心」という間違った認識を持ってしまうこともある。BTOは安くても安心できる製品と言い切ることはできない。それでも粗悪品を販売するショップはほとんどない。品質が低くておすすめできないということはない。もちろん、コストパフォーマンスが低くておすすめできないモデルというのは存在している。
品質に自信を持っていてそれをホームページで前面に押し出しているマウスコンピューターとドスパラだけではなく、それほどアピールしていないパソコン工房とフロンティアでもそれは同じだ。今や高品質というのは当たり前であり、それがなければ会社が傾くほどであるため水準は高くなっている。日本人は特に品質に厳しいのかもしれない。10年くらい前はドスパラの電源が壊れやすいと言われていたが、今はかなり安定している。私も使用していて今でも壊れずに使い続けている。
安いことは企業努力であり手抜きではない。ユーザーに還元している形だ。安価な製品は性能や構成もそれなりであることも多く、頻繁にセールを行うフロンティアやパソコン工房は時期によっては信じられない価格になっていることもある。特にフロンティアに関しては、販売台数限定のセールも多いため、安価な印象が他メーカーより強いように思う。
安いから品質がダメ、高いから品質がよいというのは誤りである。全てのメーカー品を定期的に入手し、中身を開けて見れば分かることだが、一般的にそれは難しい。買った製品が微妙であれば印象が悪くなり、問題がなければ印象は少し上がる。多くの製品を見てきて思うが、どのモデルも品質に関しては高い水準を誇っている。
価格が上下する主な理由は、半導体不足の影響を受けていたり、旧モデルの売り切りのためだったりする。品質が悪いから安いということはないと理解しておこう。
基本的にパーツのメーカーは記載されていない
ほとんどのBTOパソコンでは、搭載しているパーツのメーカーを記載していないものが多い。上記はパソコン工房の人気ゲーミングPCだった「LEVEL-M1P5-R45-NAX-WHITE(現在は販売終了)」のスペック表だ。グラフィックボード・メモリ・ストレージ・チップセット(マザーボード)・電源ユニットとどこのメーカーの製品が採用されるかはわからない。
しかしながら、基本的には既製品が採用されることが多くホワイトボックスに該当する。このモデルでは下部でマザーボードの画像が掲載されている。なお、サイコムやパソコンショップセブンなどの中小BTOメーカーなら各パーツのメーカーを選択できる。メーカーにこだわりたいなら選択肢に入れてもよいだろう。
BTOパソコンで採用されているパーツをチェック
上で紹介した「LEVEL-M1P5-R45-NAX-WHITE」のパーツ詳細を見ていく。
グラフィックボード
ZOTAC製のグラフィックボード「 ZT-A30500M-10B」だ。こちらは市販品ではなくFounders Edition(リファレンスモデル)に近い。リファレンスモデルのグラフィックボードは、NVIDIAあるいはAMDが製造・販売している基本となるモデルだ。何の変更も加えられておらず最も信頼性が高いモデルとも取れる。このリファレンスモデルはメーカーからも登場しているが、メーカーロゴが記載されていないことが多い。中には壊れやすい・壊れにくいという意見もあるが、用途と運次第なのが実情だろう。
少し前まではグラフィックボードの寿命は2年~3年とも言われていたが、パーツ寿命というよりも性能面の寿命というのが今の解釈だ。BTOメーカーに採用されることの多いリファレンスモデルの対照がメーカー品(ベンダー製)だ。メーカー品の中にはOC(オーバークロック)で性能を引き上げていたり、ツインファン・トリプルファンなど独自のファンを搭載していたりとこだわりが見られる。性能を考えるとメーカー品は魅力的だろう。価格的にもメーカー品の方が高価だ。
メモリ
メモリは「Kingston CBD32D4U2S1MF-8」だ。市販はされていないようだ。
SSD
SSDは「Solidigm P41 Plus」となる。国内価格は6,500円~だ。
マザーボード
マザーボードはASRock製「B550M PRO4」だ。実売価格は13,810円~となる。
電源ユニット
電源ユニットはFSP製「HEXA 85+ 550W」が選択されている。550W 80PLUS BRONZEの標準的なモデルだ。実売価格は8,180円~となっている。
BTOパソコンに採用するパーツを見ると有名メーカーの製品が採用されていることがわかる。無名で低品質なパーツを採用しているわけではなく安心してもらっていい。
店頭で組むBTOは、BTO専用パーツ在庫を保管しておく場所がないのと、BTO専用パーツにすると長期売れ残りデッドストックになる可能性が高いため、マザーやメモリーなどは店頭の商品を使っていました。
なので、同じような仕様のモデルでも、組む時期によって使うメーカーやパーツが違うとかよくありましたよ。
工場産も同じで、その時にまとめて仕入れるパーツを使うため、時期によってメーカーなどが異なることもあります。(なので、メーカー名や型番は書けない)
長期保証を付けたお客様で5年近く経ってから修理依頼があったときに、組み立て時と同じパーツを用意できない場合は、最新パーツの同等品と交換ということもあったそうです。(相当昔の話で、先輩から聞いたことがあります)