画像引用元:https://jp.msi.com/
当記事では、Radeonの最高峰グラフィックボード「Radeon R9 Fury X」の性能比較&ベンチマーク検証をしている。初めてメモリに高性能なHBM1を採用したことで注目された。さらに、リファレンスモデルでも簡易水冷クーラー搭載と初物づくしだ。スペック的に発熱対策として水冷クーラーが必須だったのだろう。今でこそHBMメモリは採用されなくなったが、失敗を含めてその後のRadeonシリーズの基礎を築いたモデルだと言える。さすがに7年前のグラフィックボードということもあって2024年時点だとそれほど高い性能を持っているとは言えない。直近のモデルだとエントリークラスのGTX 1650 SUPERと同程度だ。
当ページの目次
Radeon R9 Fury Xの概要
基本スペック
R9 Fury X | R9 390X | R9 295X2 | |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | Fiji | Grenada | Vesuvius |
プロセス | 28nm | 28nm | 28nm |
トランジスタ数 | 89億 | 62億 | 62億 |
ダイサイズ | 596 mm² | 438 mm² | 438 mm² |
CUDAコア数 | 4096基 | 2816基 | 2816基×2 |
コアクロック | - | - | - |
ブーストクロック | 1050MHz | 1000MHz | 1020MHz |
GPUメモリ | 4GB | 8GB | 4GB×2 |
メモリタイプ | HBM1 | GDDR5 | GDDR5 |
メモリインターフェイス | 4096bit | 512bit | 512bit×2 |
メモリ幅 | 512 GB/s | 320 GB/s | 320 GB/s×2 |
TDP | 275W | 290W | 500W |
価格 | $649 | $430 | $1499 |
発売日 | 2015/6/24 | 2015/6/18 | 2014/4/21 |
GPUダイは4つのシェダーエンジンが搭載されている。シェダーエンジンごとに搭載されるコンピューターユニット(CU)が11個から16個に増えた。それぞれのCUには64個のストリームプロセッサーがあるのでエンジンごとに1,024個(16×64)のストリームプロセッサーがあるということだ。つまり、合計4,096(4×1,024)のコア数があるということになる。
その他注目すべきはGPUメモリに新しい規格であるHBM1を採用していることだ。R9 295×2やR9 390Xで採用されているGDDR5よりも性能が高い。メモリインターフェイスの広さがポイントだと言える。R9 295×2のおよそ4倍だ。R9 390Xの8倍ということになる。結果的にメモリ幅についても1.6倍と大幅に強化されている。
WQHD環境や4K解像度などメモリ幅を生かせる場面で輝く。一方で、GPUメモリ容量が4GBと少ないのが高解像度でのゲームプレイにどのような影響を与えるのかは気になるところだ。TDPについてはR9 390Xと比べて5%抑えられている。価格差は$219と大きい。
NVIDIA製モデルと比較
R9 Fury X | GTX 980 Ti | |
---|---|---|
アーキテクチャ | Fiji | GM200 |
プロセス | 28nm | 28nm |
CUDAコア数 | 4096基 | 2816基 |
コアクロック | - | 1000MHz |
ブーストクロック | 1050MHz | 1075MHz |
GPUメモリ | 4GB | 6GB |
メモリタイプ | HBM1 | GDDR5 |
メモリインターフェイス | 4096bit | 384bit |
メモリ幅 | 512 GB/s | 336.5 GB/s |
TDP | 275W | 250W |
価格 | $649 | $649 |
発売日 | 2015/6/24 | 2015/6/1 |
CUDAコア数は、R9 Fury Xの方が45%多くなっている。ブーストクロックはGTX 980 Tiの方が2%程度高い。GPUメモリはGTX 980 Tiでは6GBと50%多い。メモリタイプはオーソドックスなGDDR5を採用している。メモリインターフェイス及びメモリ幅については大きな差がある。メモリ周りはHDM1を採用しているR9 Fury Xの方が優勢だ。
Radeon R9 Fury Xの最新評価【2024年】
エントリークラス相当のゲーム性能へと格下げ
総合性能を見るとGeForce GTX 980 Tiよりも劣る結果となっている。下位のGeForce GTX 980と比べても厳しい結果だ。価格を考えると完全に期待はずれだと言わざるを得ない。Radeon R9 Fury Xは、メモリバンド幅が広いことから4K解像度でのゲームプレイを得意としている。GeForce GTX 980 Tiと比較するとそれがわかる。高解像度になればなるほどその差が縮まる形だ。それでも負けてしまっているので意味がないかもしれないが…
次世代モデルのGeForce GTX 1060 6GBと同等の性能を持つに留まる。Turing世代のGeForce GTX 1650 SUPERよりも性能は劣る。現行モデルであるGeForce RTX 3050との差は20%以上と大きい。かつてのハイエンドモデル(?)でも9年の月日が流れてエントリークラスになってしまった。フルHD環境でかろうじてゲームを楽しめる程度だ。さらに、現行モデルと比べて消費電力が高く魅力的な選択肢とは言えないだろう。それだけグラフィックボードの進化が早いということだ。このクラスなら買い替えを推奨する。
中古での入手はおすすめできない
そもそも数が出るモデルだったわけではなく、中古で手に入れることは難しい。じゃんぱらやドスパラなどのパーツショップでの在庫はなさそうだ。メルカリなどでいくつか在庫を見つけることができるが、水漏れやベタつきなど状態は悪そうだ。9年前の簡易水冷クーラー搭載グラフィックボードとなると手を出さないのが吉だ。さすがに故障リスクが高すぎる。万が一故障しても修理をすることは難しいだろう。GeForce GTX 1060 6GB/3GB・GeForce GTX 1650 SUPER・GeForce RTX 3050 6GB当たりをモデルを狙う方がよい。あえてRadeon R9 Fury Xを選ぶ理由はないはずだ。
Radeon R9 Fury Xの特徴と強み
初めてHBM1を採用したグラフィックボード
R9 Fury Xは革新的なグラフィックボードとなっている。それは初めてHBM1(High Bandwidth Memory)と呼ばれるメモリを採用していることに起因する。AMDがグラフィックボードの販売がIntelに遅れてしまっていたのはこのHBM1にこだわっていたからだ。この最新のメモリ規格は垂直に積み重ねたDRAMダイを使用している。この仕組みのおかげでGDDR5やDDR4に比べて省電力でかつ優れたメモリバンド幅を実現することができる。
HBM1は今後の主流メモリになる可能性がある。主流になる可能性があるのには、主に3つの理由が挙げられる。1つにGDDR4は近い将来グラフィック性能の成長に追いつくことができなくなると考えられている。2つ目ににGDDR5だとメモリバンド幅を増やすためにたくさんのチップを物理的に設置する必要がある。結果的に消費電力が多くなってしまうのだ。最後にNANDやDRAMなどの技術は内蔵チップで恩恵を得られるが技術的に両立し得ないのだ。
その後AMDは次世代モデルにおいてHBM2まで採用したが、結局GDDR6を導入することになった。コスト面がネックとなってしまったようだ。AMDは先を行き過ぎてしまったということだろうか。2021時点ではGDDR6が主流だ。
2020年ではエントリークラスに留まる
Radeon R9 Fury Xは、2021年現在でも使用できるグラフィックボードだ。しかしながら、GTX 1650 SUPERよりも少し劣る性能でエントリークラスの域を超えていない。フルHD環境で設定調整が必須となる。今後は厳しくなることは目に見えている。お世辞にも高い性能を持っているとは言えない。それ以上にグラフィックボードの進化は早いのだ。
中古なら30,000円前後で購入できるが、それだけの予算があれば新品でGTX 1660 SUPERを購入できる。R9 Fury Xに関しては中古でも選ぶメリットはない。もっともほとんど市場に出回っていないモデルなので見つける方が難しいかもしれない。
Radeon R9 Fury Xのベンチマーク
Battlefield 4
Grand Theft Auto V
Hitman
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