Ryzen 7 7800X3Dのスペックレビューと性能ベンチマークを検証している。2023年04月06日22時にグローバルで解禁された。国内での販売は04月14日と、物流の事情で少し遅れるということ(ASCII, 2023)だ。Ryzen 7000X3Dシリーズの大本命モデルがついに日本上陸となる。最強のゲーミングCPUを探している方は必見だ。
Ryzen 7 7800X3Dは、シングルCCDを採用していてすでに発売されているRyzen 9 7950X3D・Ryzen 9 7900X3Dとは仕様が異なる。Ryzen 7 7800X3Dでは、高負荷時でもCCD間のやり取りが発生しない分ゲームプレイにおいては有利だと考えられる。一方で、マルチコア性能には期待ができないはずだ。そこはRyzen 9シリーズと差別化が図られている。その点を踏まえて詳しく見ていこう。
Ryzen 7 7800X3Dは単価が上昇傾向にあり価格的にはIntel製のCore i9-14900K(F)が近い。搭載モデルは、「Ryzen 7 7800X3D搭載おすすめゲーミングPC」で紹介している。品薄状況にあり一部のメーカーでは搭載モデルが消滅している。2025年2月時点で在庫が完全になくなった。3D V-Cache搭載モデルを購入したいなら「Ryzen 9 7950X3D」ぐらいしか選択肢がない。
なお、すでに次世代のRyzen 9000シリーズが登場している。今後Ryzen 7 9800X3D or Ryzen 7 9700X3Dなどの3D V-Cache搭載モデルも続いてリリースされるはずだ。その後Ryzen 7 9800X3Dがリリースされている。3D V-Cacheの配置を変更することでこれまでの弱点だったマルチコア性能を大きく引き上げることに成功した。
Ryzen 7 7800X3Dの基本情報
コードネーム | Zen 4(Raphael) |
---|---|
プロセス | 5nm |
コア/スレッド数 | 8コア/ 16スレッド |
定格/最大クロック | 4.2 GHz / 5.0 Ghz |
L2キャッシュ | 8MB |
L3キャッシュ | 96MB |
TDP | 120W |
PPT | 162W |
発売日 | 2023年04月06日 |
価格 | $449 |
国内価格 | 76,800円~ *2025/3時点 |
特徴 |
(+)7950X3Dと同等以上のゲーム性能を誇る (+)7 5800X3D比で25%程度マルチコア性能が高い (+)自動オーバークロック機能「PBO」に対応している (+)省電力性の高い高パフォーマンスモデル (-)マルチコア性能はRyzen 7 7700Xに劣る (-)ゲーム性能とマルチコア性能のバランスが悪い (-)価格が上昇傾向にある (-)購入の難易度は高くなるはず |
評価 |
・総合評価 6.0 ・ゲーム評価 10.0 |
Ryzen 7 7800X3Dのスペック
AMD製モデル
7 7800X3D | 7 7700X | 7 5800X3D | |
---|---|---|---|
メーカー | AMD | AMD | AMD |
コードネーム | Zen 4 (Raphael) |
Zen 4 (Raphael) |
Zen 3 (Vermeer) |
プロセス | 5nm | 5nm | 7nm |
トランジスタ数 | 65.7億 | 65.7億 | 62.0億 |
ダイサイズ | 70 mm² | 70 mm² | 74 mm² |
I/Oダイプロセス | 6nm | 6nm | 12nm |
I/Oダイサイズ | 122 mm² | 122 mm² | 125 mm² |
トータルコア数 | 8コア | 8コア | 8コア |
トータルスレッド数 | 16スレッド | 16スレッド | 16スレッド |
定格クロック | 4.2 GHz | 4.5 GHz | 3.4 GHz |
最大クロック | 5.0 GHz | 5.4 GHz | 4.5 GHz |
オーバークロック | × | ○ | × |
PBO | ○ | ○ | × |
L2キャッシュ | 8MB | 8MB | 4MB |
L3キャッシュ | 96MB (64MB+32MB) |
32MB | 96MB (64MB+32MB) |
対応メモリ | DDR5-5200 | DDR5-5200 | DDR4-3200 |
内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Radeon Graphics | 非搭載 |
CPUクーラー | 非同梱 | 非同梱 | 非同梱 |
PCI-Express | Gen 5, 24 Lanes | Gen 5, 24 Lanes | Gen 4, 20 Lanes |
TDP | 120W | 105W | 105W |
PL2 | 162W | 142W | – |
MSRP | $449 | $399 | $449 |
国内価格 | 56,700円 | 46,594円 | 49,614円 |
発売日 | 2023/04/06 | 2022/09/27 | 2022/04/20 |
*国内価格は販売時点
Ryzen 7 7800X3Dの基本的なスペックはRyzen 7 7700Xと同等だ。Zen 4(Raphael)アーキテクチャを採用している。Core Chipletダイプロセスは5nmプロセス、I/Oダイは6nmだ。8つのコアを搭載したCCD 1基搭載も共通となる。定格クロックが300MHz低く、最大クロックも400MHz抑えられている。これは3D V-Cache搭載による発熱の問題をクリアするためだ。
Ryzen 7 7800X3DはRyzen 7 7700Xとは違ってオーバークロックをサポートしていない。ただし、今世代からPBO(Precision Boost OverDrive)に対応していて高いクロック周波数を実現できる。PBOもオーバークロック同様に実施すると保証外で実施自体はユーザーの責任だ。CPU温度・消費電力・発熱などを総合的に監視してクロックを引き上げることができる。また、Curve Optimizerが実装されているのも注目だ。各クロックあるいは全てのコア一括に対して電圧を調整することができる。電圧を下げれば温度・熱が下がりクロック引き上げの余力が生まれる形だ。一つずつコアの電圧を調整すればより高いクロックを実現できる可能性があるが、大幅に性能が上がるわけではないので過度な期待はしない方がよい。
L2キャッシュは8MBと変わらない。L3キャッシュは3倍で96MBとなる。通常のCCDで搭載されている32MBの上に64MBのSRAMを積層していてトータルキャッシュ容量は96MBに到達する。内蔵GPUはRadeon Graphicsを搭載している。CPUクーラーは非同梱だ。対応メモリ・PCI-Expressも共通となる。TDPは15%高く120Wで、PL2も15%高く162Wだ。MSRPでは$50の差がある。+4,000円だ。
従来モデルのRyzen 7 5800X3Dと比較していく。初めて3D V-Cacheテクノロジーを採用したモデルだ。このモデルの登場でゲームプレイ時のL3キャッシュの有効性を証明できたと言える。Zen 3アーキテクチャを採用していてCore Chipletダイプロセスは7nm・I/Oプロセスは12nmとRyzen 7 7800X3Dよりも少し大きい。Zen 4になって進化した部分だ。
定格クロックは24%(800MHz)高く、最大クロックも11%(500MHz)も高い。プロセスの微細化がもたらした恩恵だ。L2キャッシュは倍増の8MBとなる。L3キャッシュ容量は96MBと共通だ。Ryzen 7 5800X3Dでは内蔵グラフィックスは搭載されていない。対応メモリはDDR4-3200となる。
PCI-ExpressもGen 4, 20 LanesとRyzen 7 7800X3Dとは差がある。TDPは105WとRyzen 7 7800X3Dよりも20%低い。MSRPは$449と同じだが、国内での販売価格は7,000円程度の差がある。Ryzen 7 5800X3Dは旧世代のモデルとなったこともあって価格が大きく下落している。ただ、一時は40,000円以下になっていたことを考えると高騰気味でおすすめしづらい。Ryzen 7 7800X3Dは10,000円程度安くなり購入しやすくなった。
Intel製モデル
7 7800X3D | Core i7-13700K | |
---|---|---|
メーカー | AMD | Intel |
コードネーム | Zen 4 (Raphael) |
Raptor Lake |
プロセス | 5nm | 10nm |
トランジスタ数 | 65.7億 | – |
ダイサイズ | 70 mm² | 257 mm² |
I/Oダイプロセス | 6nm | – |
I/Oダイサイズ | 122 mm² | – |
トータルコア数 | 8コア | 16コア |
トータルスレッド数 | 16スレッド | 24スレッド |
CPUコア数(P) | 8コア | 8コア |
スレッド数(P) | 16スレッド | 16スレッド |
CPUコア数(E) | – | 8コア |
スレッド数(E) | – | 16スレッド |
定格クロック(P) | 4.2 GHz | 3.4 GHz |
最大クロック(P) | 5.0 GHz | 5.4 GHz |
定格クロック(E) | – | 2.5 GHz |
最大クロック(E) | – | 4.2 GHz |
オーバークロック | × | ○ |
L2キャッシュ | 8MB | 24MB |
L3キャッシュ | 96MB (64MB+32MB) |
30MB |
対応メモリ | DDR5-5200 | DDR5-5600 DDR4-3200 |
内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | UHD Graphics 770 |
CPUクーラー | 非同梱 | 非同梱 |
PCI-Express | Gen 5, 24 Lanes | Gen 5, 20 Lanes |
TDP | 120W | 125W |
PL2 | 162W | 253W |
MSRP | $449 | $409 |
国内価格 | 56,700円 | 57,980円~ 59,980円 |
発売日 | 2023/04/06 | 2022/09/27 |
*国内価格は販売時点
価格帯の近いCore i7-13700Kと比較していく。Core i7-13700KはRaptor Lake世代の高パフォーマンスモデルだ。プロセスは10nmとRyzen 7 7800X3Dの倍の大きさだ。ダイサイズは257m㎡となる。Ryzen 7 7800X3DはCore ChipletダイとI/Oダイプロセスを合わせて192mmだ。Core i7-13700Kの方が35%大きい。Core i7-13700Kはハイブリッドアーキテクチャを採用していて16コア24スレッドと高いスペックを誇る。
8つのPコアと8つのEコアを搭載している。Ryzen 7 7800X3Dと比べてコアが2倍で、スレッド数も50%多い。Pコアの定格クロックはRyzen 7 7800X3Dの方が800MHz高いが、最大クロックはCore i7-13700Kの方が400MHz高い。Core i7-13700Kはエフィシェントコアを搭載していて定格クロックは2.5GHz、最大クロックは4.2GHzだ。Core i7-13700Kはオーバークロックに対応していて環境次第ではより高いクロックを実現できる。
L2キャッシュ容量は24MBとRyzen 7 7800X3Dの3倍だ。一方で、L3キャッシュは3D V-Cacheテクノロジー採用のRyzen 7 7800X3Dの方が3.2倍と大容量だ。Core i7-13700Kも内蔵グラフィックスを搭載している。性能的にはCore i7-13700Kの方が上だ。Core i7-13700KはDDR5-5600メモリだけではなくDDR4-3200メモリをサポートしている。
Core i7-13700Kは、Gen 5 20 Lanesだ。TDPはCore i7-13700Kの方が4%高く、PL2もCore i7-13700Kの方が57%高い。MSRPはCore i7-13700Kの方が$40安価だ。Core i7-13700Kの国内価格は59,980円だ。CPU内蔵グラフィックス非搭載のCore i7-13700KFなら57,980円ともう少し安く購入できる。
Ryzen 7 7800X3Dの最新評価【2025年】
ゲーム用途で真価を発揮するCPU
Ryzen 7 7800X3Dは発売から1年近く経過したモデルだが、今でも現行最強クラスのゲーミングCPUだ。ゲーム性能スコアは42,174と圧倒的だ。フラグシップモデルであるRyzen 9 7950X3Dとの差は誤差といえるだろう。タイトルによってはRyzen 9 7950X3Dを上回ることさえある。次世代のIntel第14世代Core iシリーズをもってさえしてもRyzen 7 7800X3Dには及ばない。Core i9-14900Kと比べて8%程度ゲーム性能が高い。3D V-Cacheが効くタイトルだと性能差はより広がることになる。
国内販売価格の近いCore i7-14700Kと比べると10%程度パフォーマンスで上回っている。Core i5-14600Kと比べても16%以上高い。マルチコア性能では両モデルに劣るが、ゲーム性能を重視するならRyzen 7 7800X3Dは魅力的なモデルだ。他にパソコンを持っていてゲーム専用機として考えているならRyzen 7 7800X3Dはコストパフォーマンスも高く扱いやすいだろう。
単体モデルの価格が上昇傾向にある
参照外部サイト:(価格.com, 2024)
2024年4月以降価格が上昇傾向にある。10月時点で品薄状況になっているようだ。大手BTOメーカーの最安値価格は76,800円だ。一般ショップでは65,980円~販売されている。過去の平均最安値は55,000円程度だったことを考えると40%程度も値上げされてしまった。これはRyzen 7 7800X3Dのゲーム性能の高さが要因になっているように思う。他のモデルとのバランスを取るとこうなってしまうのだろう。
価格的には次世代のRyzen 9 9900XとRyzen 7 9700Xの間だ。Intel製CPUならCore i9-14900KFが近い。Ryzen 7 7800X3Dはゲーム性能を重視したいユーザーにとって魅力的な選択肢となる。マルチコア性能を重視するならRyzen 9 9900XやCore i9-14900KFを選ぶとよいだろう。今後Ryzen 7 9700X3D(or Ryzen 7 9800X3D)がリリースされると思うが、相応に価格は引き上げられるはずだ。今Ryzen 7 7800X3Dを選択しても後悔しないだろう。
Ryzen 7 7800X3Dの特徴&注意点【発売時点】
Ryzen 9 7950X3Dと同等以上のゲーミング性能を持つ
型番 | 総合性能 |
---|---|
Ryzen 7 7800X3D | 210.6 |
Ryzen 9 7950X3D | 208.7 |
Ryzen 9 7900X3D | 197.8 |
Core i9-13900K | 187.2 |
Core i7-13700K | 180.5 |
Ryzen 7 5800X3D | 176.2 |
Core i5-13600K | 170.2 |
Ryzen 9 7950X | 168.5 |
Ryzen 9 7900X | 166.5 |
Ryzen 7 7700X | 158.7 |
上記はベンチーマークを計測した6つのタイトルの平均フレームレートをまとめたものだ。Ryzen 7 7800X3Dは、Ryzen 7000X3Dシリーズの中で最も安価なモデルながらゲーミング性能はトップとなる。L3キャッシュ容量が少ないRyzen 7 7700Xと比べて実に33%もゲーミング性能が高い。上位モデルであるRyzen 9 7950X3Dよりも1%高く、Ryzen 9 7900X3Dよりも6%も高い。
Ryzen 7 7800X3Dは、CCD(Core Complex Die)が1基のみでRyzen 9シリーズのようにCCD間のやり取りがないことがゲーム性能の高さに寄与している。8コア以上のコアを持つRyzen 9シリーズでは1つのCCDでは実現できないのだ。マルチコア性能を重視する上ではメリットとなる一方でゲームプレイにおいてはマイナスになってしまうことがわかる。従来モデルのRyzen 7 5800X3Dと比べて19%程度高い。これはZen 4アーキテクチャによるものだ。
マルチコア性能は低くシングルCCDの限界がある
型番 | 総合性能 |
---|---|
Core i9-13900K | 42,134 |
Ryzen 9 7950X | 41,866 |
Ryzen 9 7950X3D | 40,051 |
Core i7-13700K | 38,343 |
Ryzen 9 7900X | 37,541 |
Ryzen 9 7900X3D | 34,152 |
Core i5-13600K | 30,159 |
Ryzen 7 7700X | 27,183 |
Core i5-13500 | 27,009 |
Ryzen 7 7800X3D | 25,874 |
Ryzen 7 5800X | 23,551 |
Ryzen 7 5800X3D | 23,098 |
Ryzen 7 7800X3Dはマルチコア性能に期待できるCPUではない。それはシングルCCDであることの代償だ。ゲーム適性はCPU市場でトップに君臨するが、マルチコア性能はその限りではない。Ryzen 7 7700Xよりも5%程度パフォーマンスで劣ってしまう。クロック周波数を引き下げたことと許容温度(サーマルスロットリング)が95℃から89℃に引き下げられていることが要因だと考えられる。Ryzen 7 7800X3Dはあくまでもゲーム特化型のCPUと考えておくことが大切となる。
ゲーム以外の用途、例えばゲーム実況・動画編集・動画エンコード・WEBデザインなどのクリエイター作業を考えている方は他のCPUを選択肢に入れた方がよい。最近はゲームのためだけにゲーミングPCを購入する方は少ないのではないかと思う。予算が許すのであればRyzen 9 7950X3DやRyzen 9 7900X3Dを選択する方が好ましい。Intel製CPUならCore i7-13700KやCore i5-13600Kの方がバランスがよく扱いやすいように思える。複合的に考えて後悔のないようにして欲しい。
ワットパフォーマンスが現行最強クラスのモデル
Ryzen 7 7800X3Dは、現行のラインナップの中でも最強クラスのワットパフォーマンスを誇るCPUだ。特にIntel製CPUと比べても少ない消費電力でより高いパフォーマンスを発揮する。最近はCPU性能向上のためにクロック周波数を引き上げることが当たり前になっている。
結果的に消費電力が高くなり、これまで以上にパソコンシステムの冷却に気を使わなければいけない。冷却性能を高くするために、水冷CPUクーラーや高品質な電源ユニットの導入コストを考える必要がある。その点Ryzen 7 7800X3Dは消費電力が低く空冷CPUクーラーでも対応可能だ。時代の流れに逆行していて注目度が高い。
BTOパソコンも単体CPUも売り切れ必至
Ryzen 7 7800X3Dは発売された直後こそ購入のチャンスはあると思うが、時間が経つにつれて入手難易度は高くなるはずだ。Ryzen 9 7950X3DやRyzen 9 7900X3Dもしばらくは入手ができない時期が続いていた。それは搭載ゲーミングPCも同様だった。Ryzen 7 7800X3DはRyzen 7 5800X3Dの純粋な後継モデルで多くのゲーマーにとって魅力的なモデルということもあって同じ道を歩むことになるだろう。
スペック的にも価格的にも上位モデルよりも需要が大きくなる可能性もある。コストパフォーマンスの高さは随一だ。ゴールデンウィークと長期休暇であることも拍車をかける。Ryzen 7 7800X3Dの購入を検討している方は動向をチェックしておこう。もちろんいつかは供給も安定するので一切購入できないということはない。
Ryzen 7 7800X3Dのゲームベンチマーク一覧
Far Cry 6
Far Cry 6では、Ryzen 7 7800X3Dの一人勝ちだ。Ryzen 9 7950Xと比べて平均fpsが11%も高い。最小fpsは3%前後だ。Ryzen 9 7900X3Dと比べても26%も高くなっている。やはりシングルCCDというのは強みになりそうだ。Core i9-13900Kとのfpsの差は17%となる。従来モデルのRyzen 7 5800X3Dと比べると29%もパフォーマンスが向上している。Far Cry 6のゲームプレイを考えている方ならRyzen 7 7800X3Dを選ぶメリットが大きい。
Hitman 3
Hitman 3でもRyzen 7 7800X3Dがトップの平均fpsを叩き出した。Ryzen 9 7950X3Dと比べて2%高くなっている。一方で、最小fpsは2%低い。Ryzen 9 7900X3Dと比べても平均fpsは6%高いが、最小fps1%程度低い。これぐらいの差であればそれほど気にしなくてもよいだろう。競合モデルであるCore i9-13900Kと比べて8%程度高く、Core i7-13700Kと比べても15%高い。Ryzen 7 5800X3Dとのフレームレートの差は33%と大きくなっている。十分な結果が得られたのではないかと思う。
Cyberpunk 2077
Cyberpunk 2077ではRyzen 9 7950X3D・Ryzen 9 7900X3Dに及ばない結果となった。それでも性能差は1%-2%程度だ。従来モデルであるRyzen 7 5800X3Dと比べて平均fpsが23%高く、最小fpsも18%も高くなっている。競合モデルであるCore i9-13900Kと比べると平均fpsは7%低く、最小fpsも23%低い。Core i5-13600Kと比べても7%程度平均fpsが低い。RyzenシリーズとCore iシリーズとで大きな差があると考えてよいだろう。
Microsoft Flight Simulator 2021
Microsoft Flight Simulator 2021は、3D V-Cacheテクノロジーが効きやすいタイトルの一つだ。上位4つは全て3D V-Cache搭載モデルがキレイに並んでいる。Ryzen 7 5800X3Dと比べて平均fpsが5%高く、最小fpsが11%高い。確かにRyzen 7 5800X3Dからパフォーマンスが高くなっているものの買い替えを考えるほどではない。競合モデルであるCore i9-13900Kと比べて平均fpsが36%高く、最小fpsも27%高い。Ryzen 7 7700Xとの性能差は50%近くもフレームレートが向上している。
Red Dead Redemption 2
Red Dead Redemption 2でもRyzen 7 7800X3Dが堂々のトップに躍り出た。Ryzen 9 7950X3Dよりも平均fps・最小fps共に高いものの誤差の範囲にあると言えるだろう。従来モデルのRyzen 7 5800X3Dと比べると2-3%程度フレームレートが向上している。これぐらいの伸びであればRyzen 7 5800X3Dを所有している方が買い替える必要はないだろう。競合モデルのCore i9-13900Kと比べても11%程度平均fpsが高い。一方で、Ryzenシリーズは最小fpsがやや低迷していることがわかる。平均fpsが高いことを考慮すると一時的にfpsが大幅に下落してしまうということだ。最適化の問題もあるのかもしれない。
Watch Dogs: Legion
Watch Dogs: LegioでもRyzen 9 7950X3D・Ryzen 9 7900X3Dを抑えてトップとなった。Ryzen 9 7950X3Dとおおよそ同等のフレームレートでパフォーマンスの高さが伺える。競合モデルのCore i9-13900Kと比べて平均fpsが23%高く、最小fpsも28%も高い。従来モデルのRyzen 7 5800X3Dと比べて平均fpsが33%高く、最小fpsも29%高い。第2世代の3D V-Cache搭載モデルとしてしっかりと進化を遂げた。
その他アプリケーションのベンチマーク
Cinebench R23
Cinebench R23でRyzen 7 7800X3Dのマルチコア及びシングルコア性能を見ていく。多くのメディアが採用しているベンチマークソフトウェアで参考にしやすい。スペックの近いRyzen 7 7700Xと比べてマルチコア性能が5%程度低く、シングルコア性能も9%程度低い。Ryzen 7 7800X3Dの方がTDPが20%高いもののクロック周波数の差が顕著に現れている形だ。Core i9-13900KどころかCore i-13700Kとの差も大きい。Kシリーズの下位モデルであるCore i5-13600Kと比べてもマルチコア性能が22%低く、シングルコア性能も11%程度低い。それでもRyzen 7 5800X3Dと比べてマルチコア性能が25%高く、シングルコア性能が18%も高くなっている。同じ8コア16スレッドでもアーキテクチャの差がはっきりと現れている。
7-Zip
Zipファイルの解凍及び圧縮速度をまとめた。Ryzen 7 7700Xと比べると解凍速度は6%低く、圧縮速度も4%低い。クロック周波数が抑えられている分だけパフォーマンスも低くなっている形だ。Core i7-13700Kよりも最大25%もパフォーマンスが低い。Core i5-13600Kと比べると解凍速度は1%高いが、圧縮速度についてはCore i5-13600Kの方が9%高い。ゲーム以外の用途では苦戦することが目に見えている。その点デュアルCCD搭載のRyzen 9 7900X3Dになると解凍速度が49%速く、圧縮速度も36%速くなる。
Handbrake
エンコード処理におけるパフォーマンスを見ていく。Ryzen 7 7700Xと比べるとx264で6%低く、x265でも12%低くなっている。クロック周波数が引き下げられている分だけパフォーマンス面で不利だ。この結果からエンコードではL3キャッシュはそれほど重要ではないと推察できる。14コア20スレッドとスペックの高いCore i5-13600Kとの性能差は大きい。x264で14%、x265で24%と完敗だ。クリエイター作業を考えるならより価格の安いCore i5-13600Kは魅力的な選択肢となる。Core i7-13700KになればRyzen 9 7900Xと同等のパフォーマンスを期待できる。Ryzen 7000X3Dシリーズの上位モデルであるRyzen 9 7900X3Dになると最大で33%程度のパフォーマンス向上を見込める。この点はデュアルCCD搭載のRyzen 9シリーズが優勢だ。
Adobe Photoshop
画像出典:https://helpx.adobe.com/
画像編集ソフトのPhotoshopでのパフォーマンスを計測した。Ryzen 7 7800X3Dは苦戦する結果となった。高クロックなRyzen 7 7700Xと比べて13%もパフォーマンスが低下している。Photoshop自体がAMD製CPUと相性のソフトウェアにも関わらずここまでパフォーマンスが伸びないのは痛い。Ryzen 9 7950X3DやRyzen 9 7900X3Dも同様に伸び悩んでいることがわかる。
Adobe Premiere Pro
動画編集ソフトとして定番のAdobe Premiere Proでのパフォーマンスをまとめている。Lightroomと同様にRyzenシリーズと相性のよいソフトウェアだが、3D V-Cache搭載モデルが苦戦する結果となった。Ryzen 7 7800X3Dは、Ryzen 7 7700Xと比べて11%もスコアが低い。Core i5-13600Kよりも3%程度低くなっている。Ryzen 7 5800X3Dと比べると16%スコアが高いのは評価できるが、最新モデルとしてはやはり物足りない。デュアルCCD搭載のRyzen 9 7950X3D/Ryzen 9 7900X3Dは健闘しているように思える。Intel第13世代のフラグシップモデルであるCore i9-13900Kと同等だ。
Ryzen 7 7800X3D搭載おすすめゲーミングPC
LEVEL-M1A6-LCR78D-TKX(パソコン工房)
価格:289,800円+送料2,200円
CPU:Ryzen 7 7800X3D(水冷)
GPU:GeForce RTX 5070
メモリ:DDR5 16GB
ストレージ:SSD 500GB NVMe
電源:850W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中
Ryzen 7 7800X3D×GeForce RTX 5070搭載のハイクラスのゲーミングPCだ。CPUとGPUの組み合わせからすると割安感がある。LEVELΘブランドはコストパフォーマンスが高いモデル揃っている。CPUクーラーは240mmラジエーター搭載の水冷式だ。高い冷却性能を持ち高負荷時でも安定だ。ゲーム性能は高く高解像度・高リフレッシュレートを実現できる。GeForce RTX 3070などAmpere世代より以前のモデルからの買い替えだとメリットが大きい。メモリDDR5 16GB・SSD 500GB NVMeと構成は平均的だ。電源ユニットは850W GOLDと余裕がある。総合的に見て優れたモデルといえるだろう。
G-Master Spear X870A(サイコム)
価格:301,990円+送料2,200円
CPU:Ryzen 7 7800X3D *カスタマイズ
GPU:GeForce RTX 4060 MSI
メモリ:DDR5-5600 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:750W 80PLUS GOLD
コスパ:5.8
初期構成ではCPUにRyzen 7 9700Xを搭載している。カスタマイズでRyzen 7 7800X3Dを選択すれば6,180円高くなる。少し前まではRyzen 7 7800X3Dの方が7,000円ほど安くカスタマイズできていたが、供給不足もあり価格差が逆転となった。ゲーム性能はRyzen 7 7800X3Dの方が上だ。グラフィックスはGeForce RTX 4060とミドルクラス止まりなので、Ryzen 7 7800X3DにカスタマイズするならGeForce RTX 4070 SUPER以上のグラフィックボードへカスタマイズしたいところだ。GeForce RTX 4080 SUPER以上のモデルを選択する場合は電源ユニットのアップグレードが必須となる。メモリDDR5-5600 32GB、SSD 1TB Gen4 NVMeという構成だ。電源ユニットはSilverStone製の750SW GOLDを採用している。PCケースは「CoolerMaster CM694」だ。強化ガラスサイドパネルを選択することもできる。初期構成では光学ドライブが標準搭載となっている。不要な場合は外すことで3,370円の割引を受けられる。
GALLERIA XA7R-R57 7800X3D搭載(ドスパラ)
価格:329,980円+送料3,300円
CPU:Ryzen 7 7800X3D
GPU:GeForce RTX 5070
メモリ:DDR5-4800 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:750W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中
ガレリアブランドのミドルタワーケースだ。デザイン性の高さから人気がある。グラフィックスにはハイクラスのGeForce RTX 5070を搭載していて高いゲーミング性能を発揮する。GeForce RTX 4070 Tiに近い性能を持っていてWQHD環境にも対応可能だ。WQHDで高リフレッシュレートも実現しやすい。高解像度モニターでのレースゲームなどの用途にも適している。メモリDDR5-4800 32GB、SSD 1TB NVMeと構成も十分だろう。電源ユニットは750W GOLDを採用している。納期は3日程度と短縮されてきている。
FRGHLMB650/WS309(フロンティア)
価格:344,800円+送料3,300円
CPU:Ryzen 7 7800X3D
GPU:Radeon RX 9070 XT
メモリ:DDR5-5600 32GB
ストレージ:SSD 2TB Gen4 NVMe
電源:850W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中
Ryzen 7 7800X3D×Radeon RX 9070 XT搭載のハイエンドクラスの一台だ。GeForce RTX 5070 Tiを上回る高い性能を持つ。Ryzen 7 7800X3Dの性能を考えればこれぐらいあってもよいだろう。メモリDDR5-5600 32GBと大容量だ。ゲーム以外の用途にも対応しやすい。ストレージもSSD 2TB Gen4 NVMeとずば抜けている。これだけの構成があればカスタマイズは不要だろう。重量級タイトルの保存もしやすい。電源ユニットは850W GOLD搭載だ。
GALLERIA XA7R-R58 7800X3D搭載(ドスパラ)
価格:449,980円+送料3,300円
CPU:Ryzen 7 7800X3D
GPU:GeForce RTX 5080
メモリ:DDR5-4800 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:1000W 80PLUS PLATINUM
コスパ:調査中
Ryzen 7 7800X3D×GeForce RTX 5080搭載のハイエンドモデルだ。GeForce RTX 5080は現行のBlackwell世代のフラグシップモデルで高いゲーム性能を持つ。Ryzen 7 7800X3Dとの相性もばっちりだ。4K環境でのゲームプレイをメインに考えている方や少しでも長く使い続けたいゲーマーの方におすすめだ。メモリDDR5-4800 32GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと価格帯・性能帯から見ても十分な水準にある。これ以上の構成を求める方はカスタマイズで対応しよう。電源ユニットは1000W PLATINUMを採用している。
参照外部サイト
- 価格.com – AMD Ryzen 7 7800X3D BOX 価格推移グラフ(価格.com, 2024)
- 3D V-Cache搭載「Ryzen 7 7800X3D」はコア数控えめだが最高のゲーミングPC向けCPUだった!?(ASCII, 2023)
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プロでもない限り画像編集も動画編集も所詮はお遊び程度。
苦戦たって別にそれで困るほど遅いわけでもない、数秒の差だ。
もっと世代落ちCPUでやってる人が大多数である。
逆にゲーム性能はこの値段で上位CPUを食うのだから言うことなし。
またintelのLGA1700は将来性がもう無いわけですから対応マザボ所有者以外は
LGA1851を待つか、AM5のAMDで作るのが良いでしょう。
今からLGA1700でゼロから組むのはちょっと違うと感じる・・・。
そういった諸々(次期ソケット問題や購入コストetc)の事情を考慮しますと
尖った構成のCPUながら不思議にも「奇跡的に」バランスが取れたCPUです。
特にゲームメインの人が今ゼロから組むならもうこれでいいでしょ?って思います。
逆にゲームやらないならたいして存在価値がない割高ぼったくりCPUですね。