Ryzen 9 3950X画像引用元:https://www.pc-koubou.jp/

当ページでは、Ryzen 9 3950Xのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。第3世代のAMD Ryzenシリーズの頂点に位置するCPUだ。16コア32スレッドと驚異的なスペックを誇る。元々このCPUはゲーミング向けではないことがわかっていたためレビューはしないつもりだった。ところが、2019年12月になって各BTOメーカーから搭載モデルがリリースされ始めたので急遽当サイトでもレビューを行うことにした。

現在後継モデルの「Ryzen 9 5950X」が販売されている。Zen 3アーキテクチャを採用したモデルだ。より洗練されたモデルでゲーム適正も大幅に向上している。後継モデルでもメインとなるのはゲーム以外の作業だ。それだけ異次元のパフォーマンスを持っているということになる。

よくわかる!!Ryzen 9 3950Xの特徴まとめ

コードネームZen 2
プロセス7nm
コア/スレッド数16コア/32スレッド
定格/最大クロック3.5 GHz/ 4.7 Ghz
L3キャッシュ64MB
TDP105W
発売日2019年11月25日
MSRP$749
中古価格34,980円~ *2024/7時点
評価・総合評価
7.0

・ゲーム評価
6.5

Ryzen 9 3950Xの基本情報

スペック

9 3950X9 3900Xi9-9900K
メーカーAMDAMDIntel
プロセス7nm7nm14nm++
ダイサイズ148 mm²148 mm²180 mm²
コードネームZen 2Zen 2Coffee Lake
CPUコア数16128
スレッド数322416
定格クロック3.5 GHz3.8 GHz3.6 GHz
最大クロック4.7 GHz4.6 GHz5.0 GHz
L3キャッシュ64MB64MB16MB
メモリ規格DDR4-3200DDR4-3200DDR4-2666
PCI-ExpressGen 4Gen 4Gen 3
内蔵グラフィックス非搭載非搭載UHD 630
TDP105W105W95W
MSRP$749$499$499
中古価格34,980円~26,980円~38,980円~
発売日2019年11月25日2019年5月27日2018年10月31日
Ryzen 9 3950Xのスペックについて下位モデルであるRyzen 9 3900Xとの比較を中心に見ていこう。まず、プロセス・ダイサイズ及びコードネームは同じだ。大きな違いはやはりCPUコア及びスレッド数だろう。それぞれ12→16、24→32へと50%アップしている。定格クロックは0.3GHzダウン、最大クロックは0.1GHzダウンとなっている。このスペック比較だけでマルチスレッド性能が高いCPUであることがわかる。

L3キャッシュはどちらも64MBと大容量だ。対応メモリはDDR4-3200となる。PCI-ExpressはGen 4をサポートしている。内蔵グラフィックスは非搭載だ。TDPは105Wと変わらない。スペックの高いRyzen 9 3950Xも105Wに収まっているのは評価できる。MSRPでの差は$250とやや大きい。中古価格では12,000円の差がある。中古になって差が縮まっていると言えるだろう。

価格は$749とメインストリームのCPUとしてはやや高めとなっているため、Ryzen 9 3900Xとの価格差に価値を見いだせるかどうかで選ぶとよいだろう。ゲームだけを考えるならRyzen 9 3900Xでも同等のパフォーマンスを得られる。

なお、競合であるIntel Core i9-9900Kは8コア・16スレッドとRyzen 9 3950Xの半分だ。マルチスレッド性能では遠く及ばない。プロセスも14nmと一歩遅れてしまっている。ダイサイズも一回り大きい。定格クロックはCore i9-9900Kの方が0.1GHz高く、最大クロックもCore i9-9900Kの方が0.3GHz高い。最大クロックが5.0GHzに到達したのは素晴らしい。

L3キャッシュ容量は16MBとRyzen 9 3950Xの1/4だ。対応メモリはDDR4-2666となる。PCI-ExpressはGen 3だ。内蔵グラフィックスにIntel UHD Graphics 630を搭載している。TDPは95WとRyzen 9 3950Xよりも10%程度低い。MSPRPは$499とRyzen 9 3950Xよりも$250安くRyzen 9 3900Xと同水準だ。Core i9-9900Kはクロック周波数が高くゲーミング性能に強みがある。価格的にはRyzen 9 3900Xが直接の競合だ。

総合性能

ryzen93950xmulti

同世代のモデルを比較すると総合性能ではRyzen 9 3950Xが突出する結果となった。現行モデルであるRyzen 9 5950XやRyzen 9 5900Xと比べても遜色ないレベルだ。下位モデルであるRyzen 9 3900Xとの差は5%以上となっている。第3世代Ryzenシリーズから確かな地位を築いている。Zen +からZen 2へと革新的な変化がある。

競合モデルであるCore i9-9900Kとの差は23%程度と大きい。その後継モデルであるCore i9-11900Kと比べてもパフォーマンスが高い。コア数/スレッド数が多いことでマルチスレッド性能が高くなっているというわけだ。動画編集やRAW現像などクリエイター作業を考えるのであれば選択肢に入るCPUと言える。作業効率が上がるためお金を払う価値があるのだ。

なお、2021年にIntel第12世代のCore iシリーズが登場して立場が変わってきている。Core i7-12700は、12コア20スレッドとなりRyzen 9 3950Xを上回るパフォーマンスを発揮するのだ。フラグシップモデルのCore i9-12900Kになると性能差は30%もパフォーマンスが高い。第5世代Ryzenシリーズへ掛かる期待は大きい。

Ryzen 9 3950Xの最新評価【2024年】

スペックほどゲーミング性能は高くない

ryzen93950xgamescore
Ryzen 9 3950Xのゲーム性能スコアは23,614とまずまずだ。ただし、16コア32スレッドというスペックを考えると見劣りしてしまう。ゲームでは8コア16スレッドで十分でコアが多いことが足かせになっていそうだ。Ryzen 9 3950Xは2つのCCXを組み合わせていてCCX間のやり取りでレイテンシが起きてしまうためゲームプレイにおいては不利になる。コアが増えたからといって必ずしもゲームプレイにプラスの影響があるわけではない。

CCXが1基のRyzen 7 3700Xがゲーム性能で上回ることになる。次世代のRyzen 9 5950XになるとアーキテクチャがZen 3に変わりゲーム性能が大きく向上している。IPCが改善してAMD製CPUの弱点がなくなった形だ。ゲーム性能の差は18%以上とかなり大きい。Ryzen 9 3950Xからの買い替えでもメリットがありそうだ。競合のCore i9-9900Kと比べると9%程度パフォーマンスが高い。Core i9-11900KやCore i9-10900Kを上回るゲーム性能は評価できる。

中古価格39,980円~とゲーム目的なら割高

製品名コア/スレッドゲーム性能価格コスパ発売日
Ryzen 9 5950X16/3227,82259,9800.4642020/10/09
Ryzen 9 5900X12/2427,25738,9800.6992020/10/09
Ryzen 7 5700X8/1627,03622,7041.1912022/04/04
Ryzen 5 5600X6/1225,93218,5901.3952020/10/09
Ryzen 9 3950X16/3223,61434,9800.6752019/11/30
Core i3-14100F4/823,60523,8800.9882024/01/08
Core i3-13100F4/823,38117,7801.3152023/01/03
Ryzen 9 3900X12/2422,60926,9800.8382019/07/07
Core i9-9900K8/1621,83538,9800.5602018/11/02
Ryzen 5 36006/1221,4679,4802.2642019/07/07
*Ryzen 7 5700XとRyzen 5 5600Xは新品価格

Ryzen 9 3950Xの中古価格は34,980円とまだまだそれなりの価格が付いている。Ryzen 9 3950Xの価格が残っているのはゲーム性能ではなく、16コア32スレッドというスペックにある。マルチコア性能が高くエンコードなどのクリエイター作業に適している。現行モデルと比べても見劣りしない。ゲーム目的でCPUの購入を考えているならRyzen 7 5700XやRyzen 5 5600Xがおすすめだ。Ryzen 9 3950Xよりも安くかつ新品価格で同等のパフォーマンスを期待できる。

グレードを気にしないならCore i3-14100FやCore i3-13100Fも魅力的なモデルだ。4コア8スレッドとスペックは低いが、ゲーミング性能はRyzen 9 3950Xと同等だ。競合のCore i9-9900Kも38,980円~と価格が残っている。ゲーム性能が高いことと倍率ロックフリーモデルであることがその要因だろう。ゲームプレイ時の安定感ではRyzen 9 3950Xを超える。Ryzen 9 3950Xを選ぶよりもCore i9-9900Kを選ぶ方が満足度が高いだろう。

Ryzen 9 3950Xの特徴詳細

高いマルチスレッド性能を持つフラグシップモデル

AMDラインナップコア数価格帯コア数Intelラインナップ
$900-18/36Core i9-10980XE ($979)
$800-$899
Ryzen 9 3950X ($749)16/32$700-$79914/28Core i9-10940X ($784)
$600-$69912/24Core i9-10920X ($689)
$500-$59910/20
8/16
Core i9-10900X ($590)
Core i9-9900KS ($513)
Ryzen 9 3900X ($499)12/24$400-$4998/16Core i9-9900K/F ($488)
Ryzen 7 3800X ($399)8/16$350-$3998/8Core i7-9700K/F ($374)
Ryzen 7 3700X ($329)8/16$300-$349
$250-$2996/6Core i5-9600K ($262)
Ryzen 5 3600X ($249)6/12$200-$249
Ryzen 5 3600 ($199)6/12-$2004/4Core i3-9350K ($173)

Ryzen 9 3950Xは、AMD製CPUのメインストリームにおいてフラグシップモデルとなっている。価格だけで見るとIntel Core i9-10940Xが比較対象だ。下位モデルのRyzen 9 3900Xとの価格差は大きく$250となっている。一方、Intelはうまくその差を埋めてきていると言えるだろう。

2016年時点でメインストリームCPU(一般ユーザー向け)では4コアがトップだったが、今やトップは16コア(AMDの場合)ということだ。Ryzen 9 3950XもメインストリームCPUとは言え性能が高く多くのユーザーにとってオーバースペックとなる。本当に必要なのかどうか考えてみる必要がある。

新規格のPCIe 4.0に対応している

第3世代Ryzenシリーズでは新規格のPCIe 4.0に対応しているのが特徴だ。チップセットX570のマザーボードを搭載すれば最新のPCle 4.0接続が可能となる。従来のGen.3よりも高速でのデータ通信ができるのがメリットとなっている。

例えば、グラフィックボードやSSDなどの接続で恩恵を受けられる。特にSSDの読み書き速度は格段に向上する。NVMe対応SSD採用で50%程度速度が上がるということだ。快適なゲーミングPC環境構築に嬉しい存在だ。

ゲーミングPC搭載CPUとしてはコスパが悪い

各BTOメーカーからRyzen 9 3950Xを搭載したゲーミングPCが販売されている。しかしながら、ゲームだけのことを考えるのであれば積極的におすすめできるCPUではない。その理由は単純で価格に見合うゲーミングパフォーマンスを持っていないからだ。つまり、下位モデルと比較して高いフレームレートを出すことは難しい。

ゲーミングPCとして最適なCPUは、Ryzen 7 3700XやRyzen 7 3800Xだと言える。これらのCPUはRyzen 9 3950Xのおおよそ半額で購入できるが、ゲーミング性能はほとんど差がない。Ryzen 9 3950Xは、ゲームプレイではなくクリエイター作業向けのCPUだと言える。動画編集、RAW現像などマルチスレッド性能を活かせる環境でこそ輝く一台となっているのだ。

Ryzen 9 3950Xのゲームベンチマーク一覧

Farcry 5

farcry5

Core i9-9900K134.8
96.5
Core i7-9700K130.9
90.0
Ryzen 7 3700X117.4
92.0
Ryzen 9 3900X117.0
91.3
Ryzen 9 3950X112.9
88.3
平均最小
Farcry 5ではRyzen 9 3950Xが苦戦する結果となっている。Intel製CPUのパフォーマンスの高さが際立つ。ただ、コア数の多さが仇になっているというよりもAMD側の最適化がうまくいっていないということだろう。今後ドライバの更新などで最適化が進めばある程度スコアは改善していくと予想される。

Ashes of the Singularity: Escalation

ashesofthesingu

Ryzen 9 3950X50.7
44.3
Ryzen 7 3700X49.0
42.3
Ryzen 9 3900X48.4
42.2
Core i9-9900K46.7
40.3
Core i7-9700K42.5
35.3
平均最小
Ashes of the Singularityでは、AMD製CPUがIntel製CPUを圧倒している。Ryzen 9 3950Xが最も高いスコアを出している。ゲーミング性能の高いCore i7-9700KやCore i9-9900Kを超えているのはさすがだ。また、Ryzen 7 3700Xが健闘している。Ryzen 9 3900よりも高いスコアを叩き出している。

Final Fantasy XV

ff15

Ryzen 9 3900X169.7
121.7
Core i7-9700K168.3
127.9
Core i9-9900K167.3
105.6
Ryzen 9 3950X166.6
117.9
Ryzen 7 3700X164.4
119.1
平均最小
Ryzen 9 3950Xはやや苦戦していると言える。それでも最小スコアは高めでゲームプレイでは安定していると言える。Core i9-9900Kよりも安定感があるのは素晴らしい。Ryzen 9 3900Xが最も高いということはクロック周波数が高いほうが有利に働くのかもしれないが、あくまでもAMD製CPUに限った話だ。

その他アプリケーションのベンチマーク

Cinebench R20

cinebenchcinebenchr20-ryzen93950x

CPUのレンダリング性能を測れる定番のベンチマークソフトだ。スペックが忠実に反映されるベンチマークで信頼性は高い。ただし、絶対値としてではなく他のCPUとの相対的な数値で判断すると良い。マルチスレッド性能においてRyzen 9 3950Xは、Ryzen 9 3900Xよりも27%高いスコアとなっている。Core i9-9900Kよりも84%高く16コアの本領発揮と言える。

Handbrake

handbrakehandbrake-ryzen93950x

動画のエンコードに掛かる時間を計測している。Ryzen 9 3950Xがやはり強い。コアの多さを活かせるアプリケーションではRyzenシリーズがIntelを圧倒している。Ryzen 9 3900Xよりも16%高性能だ。Core i9-9900Kよりも40%高くマルチスレッド性能の高さを見せつけている。

7 Zip

7zip-Ryzen 9 3950X

Zipファイルの解凍及び圧縮速度を計測している。Ryzen 9 3950Xが他のCPUを圧倒している。解凍速度が特に顕著でRyzen 9 3900Xよりも30%高く、Core i9-9900Kよりも115%高い。ゲーム以外のパフォーマンスはやはりAMD製CPUが優勢だ。

Ryzen 9 3950X搭載おすすめゲーミングPC

G-Tune HP-A-O(G-Tune)

masterpiececase価格:279,800円
CPU:Ryzen 9 3950X
GPU:GeForce RTX 2070 Super
メモリ:DDR4 32GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:4TB
電源:800W TITANIUM

RTX 2070 Superを搭載したハイクラスゲーミングPCだ。水冷CPUクーラーを搭載しているためCPUの発熱量を抑えることができる。ただし、CPU性能が高過ぎてグラフィックボードとのバランスはいまいちとなっている。もちろんだからといってゲームプレイにおいて大きなデメリットができるわけではない。FULL HD環境で高リフレッシュレートを出すことが可能だ。それでもカスタマイズでRTX 2080 Superへアップグレードできるので、検討するのも良いだろう。メモリ32GB、SSD 1TB Gen4、HDD 4TBと構成も充実している。

FRGBX570/95C(フロンティア)

価格:269,800円
CPU:Ryzen 9 3950X
GPU:GeForce RTX 2070 Super
メモリ:DDR4 32GB
SSD:1TB M.2
HDD:2TB
電源:1000W GOLD

Ryzen 9 3950X搭載モデルの最安値ゲーミングPCとなっている。グラフィックボードにはハイクラスのRTX 2070 Superを搭載している。CPU性能を考えるとややバランスが悪いかもしれない。それでもゲームを中心に考えるのではなく3Dアプリケーションの使用を第一に考える方なら選択肢に入る。この価格でメモリ32GB、SSD 1TB、HDD 2TBと構成が素晴らしいからだ。電源ユニットも1000W GOLDと万全だ。

G-GEAR neo GX9A-D194/XT(TSUKUMO)

G-GEAR neo GX7J-D190ZT価格:299,800円
CPU:Ryzen 9 3950X
GPU:GeForce RTX 2080 Super
メモリ:DDR4 16GB
SSD:500GB M.2
HDD:2TB
電源:750W GOLD

グラフィックボードにRTX 2080 Superを搭載したハイエンドのゲーミングPCだ。4K解像度や高フレームレートを出せるポテンシャルを持っている。メモリ16GB、SSD 500GB、HDD 2TBと十分な構成だ。CPU性能を重視したゲーミングPC選びをしたい方向けだと言える。動画編集やゲーム配信に最適だ。

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ベンチマークテスト環境

desktoppc

GPUGeForce RTX 2080 Ti FE
メモリ2x8GB G.Skill TridentZ RGB DDR4-3200
ストレージSamsung 970 Evo Plus 1TB
Samsung 860 Evo 4TB
電源ユニットCorsair HX850 Platinum
マザーボードMSI MEG Z390 Godlike