画像引用元:https://www.msi.com/(MSI公式HP)
SLI(Scalable Link Interface)対応グラフィックボードを紹介していく。現行のGeForce RTX 40シリーズはSLIに対応しておらず、SLI環境を構築するならそれより前のモデルが対象となる。コスト的にも運用難易度的にも一般ユーザーにおすすめできるわけではないが、こんなものもあるんだと楽しむことができるのではないかと思う。2016年の記事(定期的に更新)をアーカイブと残している形だ。2024年時点ですでにSLI接続のBTOパソコンは販売されていない。
当ページの目次
SLIって何のこと!?
画像引用元:MSI NVLink GPU Bridge
SLIとは、Scalable Link Interfaceの略で複数枚のグラフィックボード搭載を実現するNVIDIAの技術のことだ。NVLinkブリッジと呼ばれる接続パーツを使用する必要がある。競合のAMDでもCrossFireXという同様の技術がある。SLI=NVIDIA、CrossFireX=AMDと考えておけば間違いない。つまり、ブランドによって呼び方が違うだけで、中身はグラフィックボードの複数枚挿しということを指している。
SLI技術を活用することで高いグラフィックス性能を実現でき、ユーザーによっては大きなメリットを感じることができるだろう。単純に2つのグラフィックボードを搭載すれば性能は2倍となる。例えば、GeForce GTX 1060 6GBを2枚搭載すればフラグシップモデルであるGeForce GTX 1080と同等の性能を発揮できる。当時のGeForce GTX 1060 6GBの最安値は22,000円程度、GeForce GTX 1080は55,000円前後だったのでGeForce GTX 1080を1つ購入するより安く済む。
すでに時代に取り残されたグラフィックボードを搭載している場合、SLI接続を活用するのはメリットだろう。寿命を伸ばすと言えるかは難しいが、現役の期間は延長できるため重宝しているユーザーも多い。ただし、極端に古いモデルだと中古でも探すのが難しく現実的ではないかもしれない。また、リスクを考えれば素直に新しいモデルを選択する方がよいように思う。
SLI対応グラフィックボード一覧
- GeForce RTX 30シリーズ(Ampere)
- GeForce RTX 20シリーズ(Turing)
- GeForce RTX 10シリーズ(Pascal)
- GeForce GTX 900シリーズ(Maxwell)
- GeForce GTX 700シリーズ(Kepler)
- GeForce GTX 600シリーズ(Kepler)
- GeForce GTX 500シリーズ(Fermi)
- GeForce GTX 400シリーズ(Fermi)
RTX 3090 Ti、RTX 3090
RTX 2080 Ti、RTX 2080 SUPER、RTX 2080、RTX 2070 SUPER
TITAN Xp、GTX 1080 Ti、TITAN X、GTX 1080、GTX 1070
TITAN X、GTX 980 Ti、GTX 980、GTX 970、GTX 960、GTX 950
GTX TITAN、GTX 780 Ti、GTX 780、GTX 770、GTX 760 Ti、GTX 760
GTX 690、GTX 680、GTX 670、GTX 660 Ti、GTX 660、GTX 650 Ti boost
GTX 590、GTX 580、GTX 570、GTX 560 Ti、GTX 560、GTX 550 Ti
GTX 480、GTX 470、GTX 465、GTX 460
SLI接続構築における注意点まとめ
それなりのコストが掛かる
SLI接続でネックとなるのはコストだろう。これからSLI環境を構築したいなら要注意だ。単純にグラフィックボードを増やせば終わりというわけではないのだ。初心者の方は避けた方がよいだろう。まずはSLIに対応した高価なマザーボードを用意する必要がある。また、ケースもグラフィックボードを搭載するスペースがあるかどうか確認しておこう。
電源ユニットのアップグレードも必要になる可能性がある。グラフィックボードを2つ搭載すると当然消費電力・発熱量は上がる。場合によってはケースファンの増設なども検討しよう。SLI接続に必須のNVLinkブリッジを購入するとなると30,000円前後掛かる。トータルで見ればそれなりの費用が掛かることがわかるはずだ。
シングルGPUと比べて安定性に欠ける
シングルGPUと比べると安定性に欠ける。思いもしない不具合が生じてしまう可能性もある。ゲームがうまく起動しないこともあるだろう。公式サポートも受けづらく初心者の方だと対応できなくなる。安定性を重視するならシングルGPUで高性能なモデルを選択するのが吉だ。
ゲーム側で最適化されているかわからない
一時は対応タイトルについてNVIDIAが公表していたが、今はSLI自体をほとんど見かけなくなりページは削除されている。つまり、ゲーム側で最適化されているかどうか事前に判断できないということだ。GeForce RTX 30シリーズ以降の性能を考えれば最適化が進んでいないのではないかと思う。いくら高性能になってもゲーム側でSLIに対応していない限り期待値通りのスコアが出るわけではないということを知っておいて欲しい。
SLIの時代は終焉を迎えた
現行のGeForce RTX 40シリーズではSLIに非対応となった。これでSLIの時代は終焉を迎えたと言えるのではないだろうか。グラフィックボードの性能も上がり必要性が薄れているように思う。また、消費電力や発熱量からも2つのグラフィックボードを搭載するのは非現実的だ。数年前までは、プレイ方法によっては要求されるスペックが青天井になるシミュレーター系のゲームではSLIやCrossFireXが当たり前になるのではないかと思っていた。
もちろん現行モデルでは対応していないが、旧世代のグラフィックボードなら利用できる。SLIがゲーマーにとってのロマンであることは変わりない。実用性を度外視したゲーム環境だ。プレイするゲームの用途に合わせて構築するのがベストであると考えれば、SLIにする理由がある時点でそれがユーザーにとって推奨環境なのだろう。基本無料のゲームをメインとしているならばGeForce RTX 4060ですらオーバースペックなのでしっかりと用途確認しておこう。
SLI搭載のおすすめゲーミングPC一覧
2020年頃に発売されていたSLI搭載モデルをまとめている。これが最後のSLI搭載のBTOパソコンではないかと思う。
G-Master SLI-Z490-NVL(サイコム)
価格:393,970円(税込)
CPU:Core i7-10700K
GPU:GeForce RTX 2080 SUPER SLI
メモリ:DDR4-2933 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
電源:CORSAIR 850W GOLD
RTX 2080 SUPERの2枚挿しモデルとなっている。4K解像度でのゲーム適性が高い。税込40万円近い価格はケースや電源ユニットに対する投資だ。CPUにはオーバークロック対応のCore i7-10700Kを搭載している。SLIモデルにはやや物足りなさがある。メモリ16GB、SSD 512GBと構成は平均的だ。2020年の発売当時なら充実の構成だったとも言える。
MASTERPIECE i1730PA3-SP-DL(G-Tune)
価格:849,800円(税込)
CPU:Core i9-9980XE
GPU:GeForce RTX 2080 Ti SLI
メモリ:DDR4 64GB
SSD:NVMe対応M.2 1TB
HDD:3TB
電源:1200W GOLD
G-Tuneが誇る最高峰のゲーミングPCだ。スペック的にはほとんど見たことがないかもしれない。グラフィックボードにはRTX 2080 Tiの二枚挿し(SLI)、CPUにはCore i9-9980XEを搭載している。この性能をどのように活かすかはユーザー次第だ。さらにW水冷モデルとなっているため熱対策もばっちりだ。ハードな使用にも耐えうる高いパフォーマンスを持っている。税込み80万円を超える価格は驚きだが、予算があう方なら検討する価値がある。
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