Sandy Bridge世代のCore i7-2600Kのスペックとベンチマークを検証していく。2011年1月に発売されたCPUだ。4コア8スレッドの高パフォーマンスモデルとなる。基本的なアーキテクチャは旧世代のNehalemと共通だが、新しいリングバスを採用しGPUを含むすべてのコンポーネントでLLC(L3キャッシュ)が共有されパフォーマンスアップに繋がっている。このリングバスは以降のIntel製CPUで採用され続けている。
CPU内蔵グラフィックスも強化されCore i7-2600Kでは高性能なIntel HD 3000を搭載している。ハードウェアエンコード対応でクリエイターの方にもおすすめしやすい。なお、ソケットがSocket 1155に変更されたため旧世代のCPUとの互換性はない。AMDが2011年中にリリースする予定の「Bulldozer」との競争も気になるところだ。2024年時点でのCore i7-2600Kの中古価格は3,980円と底値で、すでに通用しないCPUであることを証明している。
Core i7-2600Kの基本情報
コードネーム | Sandy Bridge |
---|---|
プロセス | 32nm |
コア/スレッド数 | 4コア/ 8スレッド |
定格/最大クロック | 3.4 GHz / 3.8 GHz |
L3キャッシュ | 8MB |
TDP | 95W |
発売日 | 2011年01月09日 |
価格 | $317 |
中古価格 | 3,980円 |
特徴 | (+)4コア8スレッドの高性能モデル (+)オーバークロックに対応している (+)Quick Syncをサポートしている (-)2024年時点では性能的に厳しい (-)ソケットがSocket 1155に変更された |
評価 | ・総合評価 2.0 ・ゲーム評価 2.5 |
当ページの目次
Core i7-2600Kのスペック
i7-2600K | i7-2700K | i7-875K | |
---|---|---|---|
メーカー | Intel | Intel | Intel |
コードネーム | Sandy Bridge | Sandy Bridge | Lynnfield |
プロセス | 32nm | 32nm | 45nm |
トランジスタ数 | 11.6億 | 11.6億 | 7.74億 |
ダイサイズ | 216 mm² | 216 mm² | 296 mm² |
コア数 | 4 | 4 | 4 |
スレッド数 | 8 | 8 | 8 |
定格クロック | 3.4 GHz | 3.5 GHz | 2.933 GHz |
最大クロック | 3.8 GHz | 3.9 GHz | 3.6 GHz |
オーバークロック | ◯ | ◯ | ◯ |
L3キャッシュ | 8MB | 8MB | 8MB |
内蔵GPU | Intel HD 3000 | Intel HD 3000 | 非搭載 |
CPUクーラー | ◯ | ◯ | × |
対応メモリ | DDR3-1333 | DDR3-1333 | DDR3-1333 |
PCI-Express | Gen 2, 16 Lanes | Gen 2, 16 Lanes | Gen 2, 16 Lanes |
ソケット | Socket 1155 | Socket 1155 | Socket 1156 |
TDP | 95W | 95W | 95W |
MSRP | $317 | $332 | $353 |
国内価格 | 3,980円~ | 4,980円~ | 在庫なし |
発売日 | 2011/01/09 | 2011/10/24 | 2010/05/30 |
Core i7-2600Kは、Sandy Bridge世代のCPUとなる。従来モデルのCore i7-875Kと比べてプロセスが45nm→32nmへと微細化された。トランジスタ数は50%増えているにも関わらず、ダイサイズは27%小さい。コア数及びスレッド数は4コア8スレッドと共通だ。定格クロックは16%高く、最大クロックも6%高い。しっかりとスペックの底上げを行っている。プロセスの微細化によってクロック周波数を引き上げやすくなったと言える。
いずれのモデルもオーバークロック対応となる。L3キャッシュ容量は8MBと共通だ。Core i7-2600KはCPU内蔵グラフィックスにIntel HD 3000を搭載している。対応メモリはDDR3-1333と変わらない。PCI-ExpressもGen 2, 16 Lanesと同じだ。CPUソケットがSocket 1156からSocket 1155へと変更されている。TDPは95Wとなる。価格差は$36安く$317だ。Core i7-2600Kは、Core i7-875Kの発売からおよそ7ヶ月後にリリースされた。
上位モデルのCore i7-2700Kになるとより高いクロック周波数を実現している。定格・最大クロック共に0.1GHzずつ高い。価格差は$15となる。価格差を見れば分かる通りそこまで大きな性能差があるわけではないことは把握しておくとよいだろう。メインストリームの最上位モデルにこだわりたいユーザー向けだ。これぐらいの数値であればCore i7-2600Kでもオーバークロックで到達できる。
Core i7-2600Kの最新評価
Core i7-2600Kの性能スコアは「3,915」となる。2024年時点のゲーム市場を考えるとかなり厳しいと言わざるを得ない。当サイトでは10,000を一つの基準としているが、Core i7-2600Kのスコアはその基準の1/3程度となる。現行のCore i3-13100やAMDのRyzen 5 4500は軽く10,000を超えている。中古価格は3,980円~とかなり安価だ。スコアが6,000を超えるCore i3-10100でさえ10,000円以上の価格がついていることからも性能が高くないことがわかるだろう。
いくらCore i7シリーズとは言っても現行から見て11世代前のモデル(12年前)では時代遅れとなってしまう。従来モデルのCore i7-875Kと比べると35%以上処理性能が向上している点は評価できる。AMD FX-8150と同等のパフォーマンスを誇る。プロセスの微細化もあってより魅力的なモデルへと仕上がっている。高価格帯のCore i7-950と比べても圧倒している。当時としては画期的なCPUだった。
Core i7-2600Kの特徴&注意点
オーバークロック対応で人気を博す
Core i7-2600Kはオーバークロックに対応していて自作PCユーザーの心をがっちりと掴んだ。深夜販売に多くの人が並んだことからも注目度の高さが伺える。同時にIntel 6シリーズ(H67・P67)のマザーボードもバク売れだということだ。新しいプラットフォームコストが掛かることもお構いなしに売れている。旧世代のCPUからも順当な進化を遂げている。Core i7-875Kなどからの買い替えでもメリットがある。
省電力性が高い
上記は各システムのトータルの消費電力をまとめたものだ。Core i7-2600Kは非常に省電力性の高いCPUと言える。高負荷時で129.4W、アイドル時でも75.9Wとなる。従来モデルのCore i7-875Kよりも35%以上処理性能が向上しているにも関わらず、消費電力は9%-20%も抑えられている。上位モデルのCore i7-975と比べても10%-25%も消費電力が低い。省電力性が高くなったというのは強みとなる。
ソケットがLGA1155に変更され互換性を失う
Core i7-2600KになってCPUソケットがLGA1155に変更されたため、従来モデルのLGA1156との互換性はなくなっている。現在Core i7-875KやCore i5-750を所有している方が買い替える場合マザーボードを変更する必要がある。プラットフォームコストを考慮して選択しよう。CPUクーラーについては一部互換性があると考えてよい。
Core i7-2700Kのベンチマーク
Cinebench R10
Core i7-2600Kはマルチスレッド・シングルスレッド性能共に向上していることがわかる。従来モデルのCore i7-875Kと比べてマルチスレッド性能が22%高く、シングルスレッド性能が23%高い。MSRPが3倍のCore i7-975と比べてもパフォーマンスは上回っている。また、シングルスレッド性能ではCore i7-980XEよりも上だ。AMD PhenomⅡ X6 1100T BEと比べても20%-45%程度スコアが高い。
Blender
Blenderは動画のエンコード速度を計測するソフトウェアだ。Core i7-2600Kが圧巻のパフォーマンスを見せている。従来モデルのCore i7-875Kと比べて22%程度処理速度が向上している。$1059で6コア12スレッドのCore i7-980X Extremeよりもパフォーマンスが高い。これはアーキテクチャの進化とクロック周波数の高さによるものだろう。
7-Zip
7-Zipでのパフォーマンスを見ていこう。Core i7-2600Kは19,811と、Core i7-980X Extreme・Core i7-975に次ぐスコアとなった。Core i7-875Kとのスコア差は4%程度とそれほど大きくない。もしかしたら新しいCPUに対して最適化が進んでいない可能性がある。下位モデルのCore i5-2500Kは14,439とCore i7-2600Kよりも30%近くも劣ってしまう。スペックさがそこまで大きくないので、これだけの差が開いてしまうのは疑問だ。
x264 HD Benchmark
HD動画のエンコードの性能を計測するソフトウェアだ。1st Passは事前にファイル内容を予測してエンコードを行うためよりスピーディーな処理が可能となる。2nd Passはエンコード前にファイル全体をスキャンしてから処理を行うので、少し時間は掛かるがより質の高いエンコードを行える。1st PassではCore i7-2600Kがトップに躍り出た。2nd PassでもCore i70980X Extremeに次いで高いパフォーマンスを発揮する。従来モデルのCore i7-875Kと比べて20%以上パフォーマンスが向上している。
Core i7-2700Kのゲームベンチマーク
Far Cry 2
Far Cry 2でのフレームレートは81.0fpsでトップだ。下位モデルのCore i5-2500Kとの差は3%程度とそれほど大きくない。従来モデルのCore i7-875Kと比べて12%程度フレームレートが向上している。
Fallout 3
Fallout 3でもCore i7-2600Kがトップでフレームレートは97.5fpsだ。他のモデルはCore 2 Quad Q6600を除いて団子状態だ。グラフィックボードがボトルネックになっている。そのような状況でも頭ひとつ飛び抜けているのはさすがだと言える。
Dragon Age: Origin
Dragon Age: Originでは最適化が進んでいないのか、パフォーマンスは伸び悩んでいる。Core i5-2500Kにも及ばない結果となった。従来モデルのCore i7-875KやCore i7-870よりもフレームレートが低いのは気になるところだ。今後のドライバーのアップデートに期待したい。
Core i7-2700Kのゲームベンチマーク(内蔵GPU)
強化された内蔵グラフィックスのパフォーマンスを見ていく。1024×768で低設定となる。さすがに性能が高くなったとは言っても解像度と設定を下げないと安定したフレームレートを出すことは難しい。
Call of Duty: Modern Warfare 2
従来モデルのHD Graphicsと比べると2.8倍もフレームレートが向上している。フレームレートは49.4fpsと解像度や設定にこだわなければゲームプレイ自体は可能だ。下位モデルのHD 2000との性能差は大きくまったく別物となっている。Sandy Bridgeの内蔵グラフィックスに興味がある方はCore i7-2600KかCore i5-2500Kを選択するべきだ。
World of Warcraft
World of Warcraftでは58.5fpsと十分な数値が出ている。解像度と設定にこだわらないのであればCPU内蔵グラフィックスでのゲームプレイも現実的になってきた。HD Graphicsと比べると2.5倍以上の伸びだ。下位モデルのCore i5-2500Kと比べても15%以上フレームレートが高い。
Dragon Age: Origin
Dragon Age: Originでもフレームレートは高く75.8fpsとなる。Core i5-660搭載のHD Graphicsと比べて2倍以上もフレームレート向上している。Radeon HD 5450と比べても30%以上フレームレートが高い。
参照外部サイト
- よく冷えて、とっても静音!――300人超が集まった“Sandy Bridge”深夜販売(ITmedia PC USER, 2011)
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