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当ページでは、Ryzen 7 1700のスペック&性能ベンチマークについて検証している。Ryzen 7 1700は、Intel Core i7-7700Kに対抗するモデルとして登場した。数年間の空白期間を経てついにAMDが本気を出した。Intelに対抗するモデルとしての期待も高く、事実Ryzen自体の販売数もIntelを上回るほどまでになっている。

8コアCPUというのは2023年時点では一般的になったが、2017年時点では画期的だったと言える。その先駆けとなるRyzen 7 1700の実力を見ていこう。なお、後継モデルとして「Ryzen 7 2700」が販売されている。Zen +アーキテクチャへと変わった。当ページは現在Ryzen 7 1700を使っていてどのような性能を持っているのかを知りたい方や中古での購入を考えている方向けのコンテンツだ。

よくわかる!!Ryzen 7 1700の特徴まとめ

コードネームZen
プロセス14nm
コア/スレッド数8コア/16スレッド
定格/最大クロック3.0 GHz/ 3.7 Ghz
L3キャッシュ16MB
TDP65W
発売日2017年3月3日
価格$329
コメント8コア16スレッドと驚異的なスペックを誇る
ゲーミング性能はIntel製CPUに完敗
評価 ・総合評価
2.0

・ゲーム評価
1.5

Ryzen 7 1700は、8コア16スレッドを誇る当時のハイクラスのCPUだ。2017年時点では画期的だった多コアCPUだが、スペック通りのパフォーマンスを発揮することができずRyzen 5 1600Xに劣ることも多かった。競合のIntel Core i7-7700Kとの比較でも苦戦を強いられた。それでも現行の第2、第3世代Ryzenシリーズに繋がるCPUとして魅力的だったと言える。ここからAMDの猛追が始まったのだ。

Ryzen 7 1700の概要

総合性能

ryzen71700benchmark

総合性能では競合であるCore i7-7700Kを圧倒する結果となっている。CPUコア及びスレッドが倍増であることを考えれば納得できる。およそ48%の性能差がある。Ryzen 5 1600Xとの差は30%程度だ。現行モデルのRyzen 7 5800Xになるとさすがに同じ8コア16スレッドでも性能差は大きい。2倍程度の性能になっていると考えてよいだろう。

2023年時点でもゲーミングCPUとして人気の高いRyzen 5 3600とRyzen 5 3500の間の性能を持っているのは心強い。5年前のCPUでもここまで通用するのは素晴らしい。高パフォーマンスCPUならではだ。ただし、Ryzen 7 1700には致命的な欠点がある。それはゲーム用途などではスペック通りのパフォーマンスを発揮できないということだ。Zenアーキテクチャは登場したばかりで安定感に欠ける側面があった。

つまり、この総合性能では競合モデルであるCore i7-7700Kを大きく上回っているもののゲームや実際のPC環境ではこの通りのパフォーマンスにならない。ゲーミングCPUとして考えるなら買い替えを考えてもよい。Ryzen 5 3600やCore i7-9700Kの方が高い性能を発揮する。この性能はあくまでもベンチマークを基準にしたものであるということを理解しておこう。

基本スペック

7 17007 1700X7 27007 3700X
コードネームZenZenZen +Zen 2
プロセス14nm14nm12nm7nm
トランジスタ数48億48億48億38億
ダイサイズ--192 mm²74 mm²
CPUコア数8888
スレッド数16161616
定格クロック3.0GHz3.4GHz3.2GHz3.6GHz
最大クロック3.7GHz3.8GHz4.1GHz4.4GHz
L3キャッシュ16MB16MB16MB32MB
対応メモリDDR4-2666DDR4-2666DDR4-2933DDR4-3200
CPUクーラーWraith SpireWraith MaxWraith SpireWraith PRISM
TDP65W95W65W65W
価格$329$399$300$329
発売日2017/03/032017/03/032018/04/192019/07/07
Ryzen 7 1700のスペックについて上位のRyzen 7 1700X及び第2世代、第3世代Ryzen 7シリーズと比較しながら見ていく。Ryzen 7 1700は、初代Ryzenシリーズのハイクラスモデルだ。プロセスは14nmとなっている。トランジスタ数は48億だ。初めてのZenアーキテクチャを採用したCPUだ。

CPUコアやスレッド数は世代を問わず共通している。このクラスでは8コア16スレッドというわけだ。一つ上のRyzen 7 1700Xになると定格クロックが13%、最大クロックが3%引き上げられている。また、Ryzen 7 1700XにはXFRと呼ばれる自動クロックアップシステムが搭載されているため事実上3.9GHzまで引き上げることが可能だ。

L3キャッシュ容量や対応メモリは共通だ。Ryzen 7 1700Xになるとワンランク上のCPUクーラーが同梱となる。消費電力も95Wと最大限まで高くなっている。ゲーム性能を含めて高いレベルでの作業を追求したいならRyzen 7 1700Xは魅力的な選択肢だったと言える。

およそ1年後にリリースされたRyzen 7 2700になるとアーキテクチャがZen +へと強化された。Ryzenシリーズの課題だったゲーム適性が引き上げられている。Ryzenの怒涛の攻めはすでに始まっているのだ。定格クロック及び最大クロックが7%-10%引き上げられているが、それ以上にアーキテクチャの進化の方がパフォーマンスに与えた影響は大きい。

これは第3世代Ryzenシリーズにも当てはまる。Ryzen 7 3700XではL3キャッシュ容量が一気に増えて32MBとなった。また、DDR4-3200に対応していてメモリ周りも強化されている。Ryzenシリーズの登場でCPU業界が盛り上がっている。その先駆けがこのRyzen 7 1700を含めた第1世代Ryzenシリーズなのである。世代を重ねるごとに洗練されていることは間違いない。

Intel製CPUと比較

7 1700i7-7700i7-7700K
コードネームZenKaby LakeKaby Lake
プロセス14nm14nm14nm
CPUコア数844
スレッド数1688
定格クロック3.0GHz3.6GHz4.2GHz
最大クロック3.7GHz4.2GHz4.5GHz
L3キャッシュ16MB8MB8MB
TDP65W65W91W
価格$329$303$339
発売日2017/03/032017/01/062017/01/06
ライバルのIntel Core i7-7700と上位のCore i7-7700Kと比較しながらスペックを見ていこう。Ryzen 7 1700のコードネームはZenで8コア/16スレッドと驚異的なスペックを誇る。2017年時点でこのスペックは驚きだ。スペックだけなら2021年に出ても見劣りしない仕上がりとなっている。

同じ価格帯のCore i7-7700と比べてコア/スレッドともに倍増だ。ただし、Core i7-7700よりも定格クロックは約17%、最大クロックは約13%程度低い。コア数が多くてもクロック周波数を抑えていることもあってTDPはCore i7-7700と同じ65Wで省電力だ。L3キャッシュはCore i7-7700の倍の16MBと驚くべきスペックとなっている。

価格の近いCore i7-7700KはCore i7-7700と同じ4コア8スレッドのCPUだ。Core i7-7700よりもクロック周波数が最大17%も高い。L3キャッシュ容量は8MBと変わらない。TDPは91Wと倍率ロックフリーモデルらしく高めだ。当然オーバークロックにも対応している。

Ryzen 7 1700の弱点はスペック通りのパフォーマンスを発揮できないことが多い点が挙げられる。比較的素直にパフォーマンスに出るIntel製CPUとは対照的となっている。当然ソフトウェア側の相性もその要因だと言えるかもしれない。この点については後述のベンチマークを参考にして欲しい。

Ryzen 7 1700の評価【2023年時点】

スペック通りのパフォーマンスを発揮できない

ryzen71700gamescore
Ryzen 7 1700は、初めてZenアーキテクチャを採用したCPUで今思うとまだまだ未完成の状態だ。Ryzenのアーキテクチャにおけるレイテンシ(遅延)がパフォーマンスに悪影響を与えてしまう。ゲーミング性能はCore i5-7600Kよりも低く旧世代のCore i5-4670Kと同程度に留まる。現時点では通用しないCPUだと考えてよさそうだ。

確かにRyzen 7 1700の8コア16スレッドというスペックは素晴らしい。当時としては画期的で2023年でも同等のスペックを持つCPUが発売されていることからもその凄さがわかる。Zenコアアーキテクチャの弱点は2基のCCX(Core Complexと呼ばれるCPUモジュールのこと)を搭載していることだ。負荷の掛かる作業を行う場合この2つのCCX間でのやり取りが発生して遅延が発生してしまうというものだ。

IntelはCCXが1基のみとなっているので、遅延が発生しにくい仕組みとなっている。Intelがスペック通りのパフォーマンスを発揮できるのはこの要因も大きい。なお、AMDのこの問題は現行の第3世代Ryzenシリーズでは解消済みだ。結果的に第1世代Ryzenのスペックと似ていても第3世代になると大きくパフォーマンスが向上している。また、ゲームなどアプリケーション側でもRyzenシリーズへの最適化を進めていることも大きい。それは現行の第4世代Ryzenシリーズになるとより洗練されたものになっている。

中古での購入はおすすめしない

ryzen71700chuko
現在の中古での中古相場は4,980円と格安だ。価格が安いということは性能も低く故障リスクも高いということになる。Ryzen 7 1700はゲーム適性がそれほど高くないためゲーム用途での使用は推奨しない。いくら中古価格が落ちていたとしても現行のRyzen 5 3500以上のモデルを選択した方が満足度が高いはずだ。ZenアーキテクチャとZen 2アーキテクチャでは全く別物だ。Zenアーキテクチャの弱点を克服してゲーム適性が向上している。

省電力性の観点からもできる限り新しいモデルを選択するほうが経済的だ。少しでも長く使いたいと考えているなら現行モデルが無難だろう。特にRyzenシリーズは第1世代から第2世代(Zen +)、第3世代(Zen 2)とより魅力的なCPUとなっている。Intel製CPU以上に世代ごとの性能差が大きい傾向にある。あえて古いモデルを選ぶ理由がない。

Ryzen 7 1700のゲーミング性能

Ryzen 7 1700は、ゲーミング性能が高くない。それを前提とした上で下位モデルであるRyzen 5 1600Xとの差やIntel Core i7-7700Kとの差に注目して欲しい。現在求められている性能を満たせていないのが現実だ。

Far Cry 5

farcry5

Core i5-7600K134.7
99.7
Core i7-7700K133.0
97.5
Ryzen 5 1600X109.0
79.2
Ryzen 7 1700102.0
73.8
Core i5-4670K101.2
72.6
平均fps最小fps
Ryzen 5 1600Xよりも4%程度スコアが落ちている。この世代のRyzenはコアを増やすよりもクロック周波数を引き上げられる方がメリットとなる。ただ、Ryzen 5 1600Xでもスペック通りの性能を出せているわけではない。実際Core i5-7600Kとの差は大きい。競合であるはずのCore i7-7700Kと比較すると30%以上の差が付いてしまっているのだ。これではゲーム目的に使用するのは難しい。

Rise of the Tomb Raider

Rise Of The Tomb Raider

Core i7-7700K128.5
103.4
Core i5-7600K125.1
91.3
Ryzen 5 1600X122.2
87.9
Ryzen 7 1700120.9
87.0
Core i5-4670K105.1
67.2
平均fps最小fps
Rise of the Tomb RaiderでもRyzen 5 1600Xを下回る。その差はわずか1%だが、上位モデルが下位モデルに負けてしまうのはいただけない。Core i7-7700KやCore i5-7600KなどIntel製CPUとの差を見せつけられている。Core i7-7700Kとの差は平均フレームレートで6%だが、最小fpsでは20%と差が大きくなる。これは安定感がないということを意味する。かろうじてCore i5-4670Kを上回ったのは救いか。

PUBG

pubg

Core i7-7700K140.0
92.1
Core i5-7600K137.9
89.0
Core i5-4670K121.7
77.6
Ryzen 5 1600X115.5
73.3
Ryzen 7 1700108.7
60.8
平均fps最小fps
PUBGではなんとRyzen 7 1700が最下位になってしまっている。Core i7-7700Kとの差は32%と大きい。Core i5-7600Kも同等で遠く及ばない。Ryzenシリーズが苦戦するタイトルも多いことは理解しておかなければいけない。

その他アプリケーションのベンチマーク

Cinebench R15

cinebenchryzen51600x-cinebenchr15

CPUにレンダリングをさせて性能をスコア化できるベンチマークソフトだ。Cinebench R15ではスペック通りのスコアが出ていると言える。Ryzen 7 1700は、Core i7-7700Kよりも45%程度マルチスレッド性能が高い。一方でシングルスレッド性能は25%劣る。このデータから判断すると、当時のCPUではやはりシングルスレッド性能が高い方がゲーム適性が上がるようだ。もちろんレイテンシの問題などアーキテクチャの影響もある。

Handbrake

handbrakeryzen51600x-handbrake

Handbrakeでもマルチスレッド性能の高さを活かせているようだ。Core i7-7700Kよりも35%高い数値だ。H.265でも同等の数値を出せている。Ryzen 5 1600Xとの差は15%と大きく上回っている。ゲーム以外の用途ではパフォーマンスを発揮しやすい環境がある。

7 Zip

zipryzen51600-7zip

Zipファイルの解凍ではIntel製CPUが優勢だ。Core i7-7700KとRyzen 7 1700との差は47%と大きく開いている。一方、圧縮ではRyzen 7 1700が5%上回る結果となった。用途によっては十分戦えるCPUだということがわかる。ただ、安定感も勘案すればIntel Core i7-7700Kが優秀だ。

>>Ryzen 7 1700を確認(じゃんぱら)<<

Ryzen 7 1700のリリース当時の評価

今でもRyzen 7 1700が発売されたときのことを忘れない。これまでIntelの一強だったCPU市場にAMDという強力なライバルが現れたからだ。そしてこのRyzen 7 1700は、$329と手頃な価格ながら8コア16スレッドと驚異的なスペックを誇る。

これはIntelの$1,000クラスに相当する。1/3の価格で手に入るということで多くのユーザー購入した。今はいわゆる第2世代のRyzenが登場してさらにIntelとよい勝負をしていると言える。その前進となったモデルなので思い入れも強い。第1世代がなければその後は続かなかったのだ。

ただし、スペック通りのパフォーマンスを発揮できなったというのも正直なところだ。動画のエンコードなどではうまくマルチスレッド性能を活かすことができたが、ゲームに関してはまだまだIntelと戦えるレベルではなかった。それでもAMD派のユーザーからしたら嬉しかっただろう。ゲーミングPC市場が一層の盛り上がりを見せたのは事実だ。

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参照元:AMD RYZEN 5 2600X REVIEW (PCGAMER)