画像引用元:https://www.amd.com/ *イメージ
当記事では、Radeon RX 6800のスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。最新のRDNA 2アーキテクチャを採用したグラフィックボードだ。Radeon RX 6800は$579という価格設定で、上位モデルのRadeon RX 6800 XT($649)よりも$70安いが、GeForce RTX 3070($499)よりも$80高い。実質競合がいない価格帯に入っている。RTX 3070よりも10%性能が上回るが、価格は16%高い。これをどう捉えるかで評価が変わるだろう。
その後$599のGeForce RTX 3070 Tiがリリースされて競合が生まれている。Radeon RX 6800は、Radeon RX 6800 XTのスペックを落としただけで基本的なアーキテクチャ(メモリ周り含む)は共通だ。性能も高めで意外と狙い目のグラフィックボードだと言えるかもしれない。Radeon RX 6800 XTやRTX 3070と比べてどのぐらいのパフォーマンスを発揮するのかを見ていくとしよう。
実売価格ではRTX 3070と比べてかなり高くおすすめしづらいのが現状だ。GeForce RTX 3070 TiやGeForce RTX 3070の方がコストパフォーマンスに優れている。AMD製グラフィックボードがよいならRadeon RX 6750 XTやRadeon RX 6700 XTの方がコストパフォーマンスが高い。Radeon RX 6800はやや存在感が薄く割高になっているのかもしれない。
世代 | RDNA 2.0 |
---|---|
プロセス | 7nm |
CUDAコア | 3,840 |
ベースクロック | 1700 MHz |
ブーストクロック | 2105 MHz |
TDP | 250W |
MSRP | $579 |
中古価格 | 46,980円~ *2024/7時点 |
発売日 | 2020/11/18 |
- (+)4K解像度に対応できるパフォーマンスを持つ
- (+)RDNA 2アーキテクチャ採用でポテンシャルが高い
- (+)GPUメモリが16GBと多く余裕がある
- (-)レイトレーシング性能はイマイチ
- (-)RTX 3070よりも価格が高い
- (-)搭載モデルがほとんどない
当ページの目次
Radeon RX 6800の基本スペック
RX 6800 | RX 6800 XT | RTX 3070 | |
---|---|---|---|
ブランド | AMD | AMD | NVIDIA |
コードネーム | RDNA 2 | RDNA 2 | Ampere |
GPU | Navi 21 | Navi 21 | GA104 |
プロセス | 7nm | 7nm | 8nm |
ダイサイズ | 519 mm2 | 519 mm2 | 392.5 mm2 |
トランジスタ数 | 268億 | 268億 | 174億 |
RTコア数 | 60 | 72 | 46 |
Tensorコア数 | - | - | 184 |
CUs | 60 | 72 | 46 |
CUDAコア数 | 3,840 | 4,608 | 5,888 |
ゲームクロック | 1,815MHz | 2,015MHz | 1,725MHz |
ブーストクロック | 2,105MHz | 2,250MHz | 1,750 MHz |
Infinity Cache(L3) | ◯ | ◯ | - |
メモリバス | 256-bit | 256-bit | 256-bit |
GPUメモリ | 16GB GDDR6 | 16GB GDDR6 | 8GB GDDR6 |
メモリクロック | 16Gbps | 16Gbps | 14Gbps |
メモリバス帯域幅 | 512GB/s | 512GB/s | 448GB/s |
TDP | 250W | 300W | 220W |
MSRP | $579 | $649 | $499 |
国内価格(発売時) | 99,800円 | 118,778円 | 73,800円 |
搭載PC価格(発売時) | 269,980円 | 254,980円 | 194,800円 |
発売日 | 2020/11/18 | 2020/11/18 | 2020/09/01 |
Radeon RX 6800の基本スペックを見ていく。アーキテクチャーはRDNA 2となる。Radeon RX 5000シリーズがRDNAだったのでその後継モデルということだ。プロセスは7nm、ダイサイズは519mm2となる。ダイサイズは大きめで、その分トランジスタ数が268億と多い。例えば、メモリ周りなどCUs(コンピューターユニット)の個数やそれに付随するもの以外は上位のRadeon RX 6800 XTと同等だ。性能面に期待ができるというわけだ。
RX 6800ではCU(コンピューターユニット)は60個だ。CU 1つ当たり1つのRay Acceleratorsが搭載されている。Radeon RX 6000シリーズからRTコア(Ray Accelerators)を搭載しているのは注目ポイントとなる。NVIDIAに遅れを取っていた機能面をカバーしている。ただし、RTコアが多くてもパフォーマンスはそれほど発揮できていないので、今後の課題だと言える。DLSSがないのもNVIDIA RTX 3070と比べた際の弱みとなる。
CU自体上位のRadeon RX 6800 XTよりも17%少なく、CUDAコア数も同様に17%少ない3,840となる。クロック周波数はゲームクロックが1815MHzでブーストクロックは2105MHzと2000の壁を超えてきた。Radeon RX 6800 XTになるとさらに7%-11%高くなる。クロック周波数をこれだけ高くできたのは、アーキテクチャの改善と後述するInfinity Casheによる効率化が要因だ。
Radeon RX 6800では新しいコンセプトとしてInfinity Cacheを採用している。このInfinity Casheは、CPUで言うL3キャッシュのような役割を果たし、より効率的にGPUグラフィックスデータのやり取りが可能となる。NVIDIA製グラフィックボードとの大きな違いだ。このInfinity Cacheがあるおかげで、メモリレイテンシの最適化及び有効帯域幅の改善が実現した。より安価で省電力性の高い256-bitメモリバスでも十分なメモリバス帯域幅が担保できるということだ。
GPUメモリは16GBとRTX 3070と比べて倍の容量を持つ。メモリクロックも16Gbpsと早くRadeon RX 6000シリーズのメモリ周りは強みだ。4K解像度など高負荷な環境においてメリットとなるだろう。より将来を見据えたグラフィックボードと言えるかもしれない。消費電力は250Wとスペックを考慮するとうまく抑えられているように思える。価格は$579とRadeon RX 6800 XTよりも$70安くなっている。
国内の販売価格を見ると99,800円とかなり高価だ。搭載PC価格は269,980円となる。性能の近いRTX 3070の単体価格は73,800円とRX 6800よりも25%以上安価だ。搭載PCの価格も25%以上安く購入できる。RX 6800のコストパフォーマンスはかなり悪いと言わざるを得ない。基本的にはRTX 3070あるいはその上位モデルであるRTX 3070 Tiを候補に入れるべきだろう。
Radeon RX 6800の最新評価【2024年】
WQHDでのゲームプレイに対応できる性能がある
Radeon RX 6800は、ライバルのGeForce RTX 3070よりも高いゲーミング性能を持っている。これは価格差を考えると当然超えてきて欲しい水準だ。ハイクラスはブルー軍(NVIDIA)の独壇場だったがついにAMD率いるレッド軍がその牙城を崩しに来ている。クロック周波数の引き上げやメモリ周りの強化が与えるインパクトは大きい。
Turing世代のフラグシップモデルだったGeForce RTX 2080 Tiよりも性能は高くWQHD環境あるいは4K解像度でのゲームプレイを想定しているユーザー向けだ。RDNAアーキテクチャのRadeon RX 5700 XTとは全く別物のグラフィックボードであることがわかる。Radeon RX 5700 XTがFULL HD環境向けだったと考えると、最新モデルではワンランクもツーランクもパフォーマンスが引き上げられている。
その後RTX 3070の上位モデルとしてGeForce RTX 3070 Tiがリリースされた。Radeon RX 6800よりも$20高いもののおおよそ同等のゲーミング性能を持っている。レイトレーシングやDLSSなどの機能を考慮するとRadeon RX 6800の立場が危うくなってしまう。ただし、供給不足なのかRTX 3070 Ti搭載BTOパソコンはほとんど見かけなくなってしまった。もっともRadeon RX 6800の供給も安定しているとは言えないが…
性能帯でのコストパフォーマンスは上々だ
製品名 | ゲーム性能 | VRAM | 価格 | コスパ | 発売日 |
---|---|---|---|---|---|
RX 6900 XT | 34,955 | 16GB | 69,980 | 0.499 | 2020/12/08 |
RX 7800 XT | 33,128 | 16GB | 73,800 | 0.449 | 2023/09/06 |
RTX 4070 | 32,514 | 12GB | 85,980 | 0.378 | 2023/04/13 |
RX 6800 XT | 32,220 | 16GB | 59,980 | 0.537 | 2020/11/18 |
RTX 3080 10GB | 31,982 | 10GB | 54,980 | 0.582 | 2020/09/17 |
RX 6800 | 30,179 | 16GB | 46,980 | 0.642 | 2020/11/18 |
RX 7700 XT | 29,998 | 12GB | 65,800 | 0.456 | 2023/09/06 |
RTX 3070 Ti | 29,957 | 8GB | 46,980 | 0.638 | 2021/06/10 |
RTX 3070 | 28,194 | 8GB | 37,980 | 0.742 | 2020/10/29 |
RTX 4060 Ti | 28,036 | 8GB | 57,800 | 0.485 | 2023/05/24 |
Radeon RX 6800はコストパフォーマンスの高いグラフィックボードだ。AMDのラインナップの中ではトップに位置する。GPUメモリ容量が16GBと大容量なのは強みだ。Radeon RX 6800の上位モデルであるRadeon RX 6800 XTと比べても割安感がある。メーカーや状態などによっては価格が逆転する可能性もある。安く購入できるならRadeon RX 6800 XTを選択する方がよいだろう。
また、競合のGeForce RTX 3070の方がコストパフォーマンスが高い点は押さえておこう。Radeon RX 6800はまだ価格が下がる余地があるように思う。レイトレーシング・DLSS性能も高くGeForce RTX 3070などよりもある程度安くないと手を出せない。定期的に価格チェックをしておくとよいだろう。
Radeon RX 6800の特徴&強みまとめ
RTX 3070よりも高いゲーム性能を持つ
Radeon RX 6800は、競合であるRTX 3070よりも10%以上高いゲーミング性能を持つ。つまり、WQHD環境や4K環境でのゲーム適正が高い。最新のタイトルにも対応しやすく長く使い続けられるのは魅力だ。Radeon RX 5000シリーズとは明らかに違うグラフィックボードとなっている。
一方で、Radeon RX 6000シリーズで初めて機能が追加されたレイトレーシングはそれほど得意とは言えない。DLSSを含めてNVIDIA製グラフィックボードよりも一世代遅れている形だ。DLSSは機械学習によってGPUへの負荷を抑えつつよりキレイな描写ができるNVIDIAの機能だ。この辺りは今後に期待したい。
現時点では競合のいない性能・価格帯
Radeon RX 6800は、$579という価格で販売されているが、この価格帯ではNVIDIA製のグラフィックボードは販売されていない。RTX 3070($499)とRTX 3080($699)の性能差・価格差は大きめだ。上位のRadeon RX 6800 XTが、価格的にも性能的にもRTX 3080と競合していることを考えると興味深いところを攻めてきたと言える。
このモデルの登場でNVIDIAがRTX 3070 TiなどRX 6800とRTX 3070の間を埋めるモデルをリリースするのではないかと考えている。そうしないとNVIDIAの立場がないからだ。仮にRTX 3070 Tiが登場すればRadeon RX 6800の価格が引き下げられてよりユーザーの選択肢が増えることになる。
2021年6月にこの隙間を埋めるためにNVIDIAがRTX 3070 Tiを投入した。意外と価格が抑えられていて高い評価を得ていたが供給が安定していないのかBTOメーカーでの取り扱いはほとんどなくなってしまった。Radeon RX 6800の供給も安定しているとは言えず相変わらずゲーミングPC市場は厳しそうだ。
RX 6800 XTよりはラインナップは増えるか!?
競合となるグラフィックボードがないという点で搭載ゲーミングPCのラインナップが増えるのではないかと期待している。Radeon RX 6800 XTの場合GeForce RTX 3080と比べて性能が劣ってしまうため取り扱いづらさがあるかもしれない。発売をしたばかりということもあって価格設定も高めだ。
Radeon RX 6800ならRTX 3070よりも価格は高いものの性能も高く差別化が行いやすい。BTOメーカーからしても性能帯あるいは価格帯の隙間を埋められる存在になるはずだ。年末年始の繁忙期に掛けて各メーカーが力を入れてくれることを期待したい。その後やはり搭載モデルが増えずついに消滅してしまった。Radeon RX 6800 XT・Radeon RX 6750 XTなどを候補に入れるとよいだろう。
Radeon RX 6800のフレームレート一覧
Radeon RX 6800でのゲームプレイ時のフレームレートを計測している。非常に性能の高いグラフィックボードということもあってWQHD及び4K解像度でのゲームプレイを参考とした。注目すべきポイントは、上位のRadeon RX 6800 XTや競合のRTX 3070との性能差だ。参考までに前世代のRX 5700 XTと比べてどのぐらい性能が伸びているのかを見てみるとおもしろいかもしれない。
Wolfenstein: Youngblood
RTX 3080 | |
RX 6800 XT | |
RX 6800 | |
RTX 3070 | |
RTX 2080 Ti | |
RadeonⅦ | |
RX 5700 XT | |
RX Vega 64 |
Metro Exodus
RX 6800 XT | |
RTX 3080 | |
RX 6800 | |
RTX 2080 Ti | |
RTX 3070 | |
RadeonⅦ | |
RX 5700 XT | |
RX Vega 64 |
Shadow Of The Tomb Raider
RTX 3080 | |
RX 6800 XT | |
RX 6800 | |
RTX 2080 Ti | |
RTX 3070 | |
RadeonⅦ | |
RX 5700 XT | |
RX Vega 64 |
Microsoft Flight Simulator 2020
RX 6800 XT | |
RTX 3080 | |
RX 6800 | |
RTX 2080 Ti | |
RTX 3070 | |
RX 5700 XT | |
RadeonⅦ | |
RX Vega 64 |
その他ベンチマーク一覧
レイトレーシング
消費電力
温度
Radeon RX 6800搭載おすすめゲーミングPC
2022年8月時点で搭載モデルはなくなってしまった。一時はドスパラ・パソコン工房・パソコンショップセブンなどから販売されていた。Radeon RX 6800 XT・Radeon RX 6750 XT・Radeon RX 6700 XTなどを候補に入れるとよいだろう。
GALLERIA ZA7R-68 5800X搭載(ドスパラ)
CPU:Ryzen 7 5800X
GPU:Radeon RX 6800
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:750W GOLD
Radeon RX 6800搭載モデルの最安値クラスだ。ドスパラのガレリアブランドはゲーミングPC市場で圧倒的な地位を築いている。PCケースのデザイン性も高く多くのユーザーに支持されている。CPUには第4世代Ryzen 7 5800Xを搭載している。8コア16スレッドとスペックも高くゲームプレイにも最適だ。メモリ16GB、SSD 1TBという構成だ。
LEVEL-R969-LC127K-DWX(パソコン工房)
CPU:Core i7-12700K
GPU:Radeon RX 6800
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:700W BRONZE
CPUにIntel第12世代のCore i7-12700Kを搭載している。12コア20スレッドとマルチスレッド性能が高くゲームプレイ以外の用途にも対応可能だ。ゲーム実況・動画編集などの用途を考えている方はチェックして欲しい。メモリ16GB、SSD 1TBと構成も充実している。電源ユニットは700W BRONZEだ。性能を考えると電源ユニットをアップグレードしてもよいかもしれない。
ZEFT RR07U(セブン)
CPU:Ryzen 7 5800X
GPU:Radeon RX 6800
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:500GB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:750W GOLD
Ryzen 7 5800X×RX 6800搭載のゲーミングPCだ。CPUにはハイパフォーマンスのRyzen 7 5800Xを搭載している。AMD製のグラフィックボードに、AMD製のCPUを合わせた一台となっている。Ryzen 7 5800Xは、8コア16スレッドとマルチスレッド性能高いCPUだ。クロック周波数も高く幅広い用途に対応することができる。ゲーム実況や動画編集などクリエイター作業にもおすすめだ。メモリ32GB、SSD 1TBと充実の構成が嬉しい。電源ユニットにはSilverStone製の750W GOLDを採用していて万全だ。Wi-Fi 6対応の無線LANやDVDスーパーマルチドライブ標準搭載で実用性が高い。
LEVEL-R9X5-LCR59W-DWX(パソコン工房)
CPU:Ryzen 9 5950X
GPU:Radeon RX 6800
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:700W BRONZE
Ryzen 9 5950X搭載のハイクラスのゲーミングPCだ。16コア32スレッドと驚異的なスペックを誇る。Intel第12世代Core iシリーズの登場でやや見劣りしてしまうが、コア/スレッドの数は上回る。メモリ32GB、SSD 1TBと抜群の構成を持つ。電源ユニットは700W BRONZEとやや控えめでできればアップグレードを検討したいところだ。700W GOLD(+6,000円)や800W GOLD(+10,000円)が候補に入る。
ZEFT RR09H(セブン)
CPU:Ryzen 9 5950X
GPU:Radeon RX 6800
メモリ:DDR4-3200 32GB
SSD:500GB NVMe Gen.4対応
HDD:2TB
電源:750W GOLD
CPUにはAMD RyzenシリーズのフラグシップモデルであるRyzen 9 5950Xを搭載している。16コア32スレッドの怪物CPUだ。ゲームプレイだけでは100%オーバースペックとなる。ゲーム配信・動画編集などのクリエイター作業を考えている方におすすめだ。メモリ32GB、SSD 500GB NVMe Gen.4対応、HDD 2TBと構成もずば抜けている。電源ユニットは750W GOLDと他のパーツを見るとやや控え目だ。必要に応じてカスタマイズでアップグレードするとよいだろう。
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ベンチマークテスト環境
CPU | Ryzen 9 3950X |
---|---|
マザーボード | – |
メモリ | DDR4-3200 32GB |
電源ユニット | – |