miniandmiddle
ミニタワーあるいはミドルタワーのどちらを選ぶべきかについて考え方をまとめている。ゲーミングPCにはいくつかの種類のパソコンケースがあるのはご存知だろう。各BTOショップがメインとして取り扱っているものを大きく分けると、ミニタワーとミドルタワーという2種類のパソコンケースが挙げられる。各BTOメーカーのラインナップを見ると、ほとんど(90%以上)がいずれかに分類されると考えて間違いない。一時は各BTOメーカーがこぞって販売していたスリム型キューブ型のケースを採用したモデルは激減中だ。時代は回帰したと言えるだろう。

ミニタワーおよびミドルタワーケースについて違いを知りたいという方や、どちらのケースを購入しようか悩んでいる方は是非参考にして欲しい。それぞれの特徴やメリット・デメリットについて見ていこう。ここではゲーミングPCにおけるケースを中心に解説しているが、特徴などは同じなのでビジネスモデルを探している一般ユーザーも参考になるのではないかと思う。ゲーミングPCにはどんな種類があるのか知りたい方は「ケースの種類ごとにおすすめのゲーミングPCを紹介」を読んでいただければと思う。

ミニタワーとミドルタワーの特徴を比較

ミニタワーミドルタワー
イメージgalleriarseriesgalleriaxseries
強み+ 価格が割安
+ 省スペース
+ デザイン性が高い
+ 選択肢が豊富
+ 拡張性が高い
+ 排熱効率が良い
弱み- 拡張性が低い
- 排熱性能が低い
- 場所を取る
- 価格が少し高い
マザーボード規格
(例)
microATX
Mini-DTX
Mini-ITX
ATX
microATX
Mini-ITX
画像はドスパラのRシリーズ(ミニタワー)とXシリーズ(ミドルタワー)だ。ミニタワーは、割安で省スペースなのが最大の特徴だ。価格を抑えたいならミニタワーがよい。ミニタワーケースは各BTOメーカーの売れ筋であることが多く選択肢も豊富だ。人気の秘密はやはりコスパが高いからだと言える。当サイトの「ゲーミングPCおすすめランキング」でも多くのミニタワーモデルがランクイン中だ。

より高性能なCPUやグラフィックボードを搭載したいなら排熱性能に優れたミドルタワーの方がよい。もっともGeForce RTX 4070 TiやGeForce RTX 4080などのハイエンドクラスのゲーミングPCでミニタワーケースを採用したモデルはほとんどない。ミドルタワーの方が拡張性も優れている。より拡張性の高いATX規格のマザーボードを搭載できるからだ。具体的にはメモリスロットの数や拡張スロット数が多い。

最近はATXを搭載できるミニタワーケースも出ていて差は縮まっているように思う。ミニタワーでもそこそこサイズ感が大きいケースもあるぐらいだ。ガレリアのXシリーズはミドルタワーケースの中でも売れ筋モデルとなっている。基本的にミドルタワーケースは拡張性も高くオールラウンドに対応できる。大型の水冷CPUクーラーや空冷クーラーも搭載しやすい。ハイエンドのグラフィックボードを選びたいなら必須だ。本体が大きいため選ぶ場所は考えておく必要がある。想像以上の大きさに驚いている方も多いかもしれない。

主力BTOメーカーのケースサイズを比較

ミニタワーミドルタワー
GALLERIA幅220mm×奥行き440mm×高さ425mm幅220mm×奥行き440mm×高さ480mm
ドスパラ幅190mm×奥行き420mm×高さ360mm幅190mm×奥行き475mm×高さ415mm
raytrek幅190mm×奥行き420mm×高さ360mm幅207mm×奥行き509mm×高さ440mm
G-Tune幅189mm×奥行き396mm×高さ390mm幅210mm×奥行き521mm×高さ426mm
パソコン工房幅190mm×奥行き410mm×高さ356mm幅220mm×奥行き493mm×高さ465mm
TSUKUMO幅210mm×奥行き415mm×高さ400mm幅190mm×奥行き475mm×高さ435mm
フロンティア幅190mm×奥行き356mm×高さ421mm幅200mm×奥行き423mm×高さ485mm
全体幅189mm~220mm
奥行き356mm~440mm
高さ356mm~425mm
幅190mm~220mm
奥行き423mm~521mm
高さ426mm~485mm
国内のBTOメーカーが販売しているケースサイズをまとめている。ミニタワーのサイズは、幅189mm~220mm・奥行き356mm~440mm・高さ356mm~425mmとなる。ミドルタワーのサイズは、幅190mm~220mm・奥行き423mm~521mm・高さ426mm~485mmとなる。実は幅についてはミニタワーでもミドルタワーでも大きな違いがあるわけではない。

奥行きについては全体的に見ればミニタワーの方が小さいものの、ミドルタワーでもミニタワー並に小さいものもある。高さについてはやはりミドルタワーの方が一回り大きい。ドスパラのケースはミニタワーとミドルタワーで幅および奥行きは同じで、高さが違うだけだ。その他メーカーを見ると幅は同等だが、奥行きは大きく異なる。当然高さ違う。

参考
minitowerichiran

同じミニタワーというカテゴリーでもBTOメーカーごとにサイズは異なる。上記画像は左からサードウェーブMagnate(Lightning)シリーズ、LEVEL∞ Mシリーズ、G-Tuneミニタワー、GALLEIRA Rシリーズだ。GALLERIAの存在感が凄い。より小さなケースを求めるならLEVEL∞やG-Tuneのケースは魅力的だろう。

ミニタワー(GALLERIA Rシリーズなど)の概要

ミニタワーは拡張をしない初心者向け!

ミニタワーは初心者向けのケースだと言える。購入後パーツの交換や増設を考えない初心者の方であれば、拡張性や排熱性能の低さというデメリットがなくなる。価格が安いというメリットだけを享受できる。コストパフォーマンス重視でゲーミングPCを探しているならミニタワーモデルは魅力的に映るはずだ。

ミニタワーの弱点はマザーボードやケースがコンパクトになることで拡張性が乏しくなる点である。拡張性が乏しいということはSSDやHDDなどのストレージの数・メモリの最大容量・その他拡張スロットに差が出る。一番重要なストレージについては2018年頃から価格が下落傾向にあり、大容量SSD/HDDを選択しやすくなった。ストレージの増設を考えなくてもよくストレージ拡張のデメリット自体は解消しつつある。

ミニタワーの特徴&弱み

ケース画像特徴
galleriarseries+ 価格が割安
+ 省スペース
+ デザイン性が高い

- 拡張性が低い
- 排熱性能が低い

省スペース

ミニタワーは省スペース性が魅力のケースだ。置き場所を限定されず部屋が広くないユーザーの方でも扱いやすい。一人暮らしの方でも扱いやすい。リビングに設置しても違和感はないように思う。デスクの上に置くことも容易だ。

これまでゲーミングPCを購入したことがない方だと、自宅にダンボールが届いてケースの大きさに驚くはずだ。これはミニタワーでも同じだが、ミドルタワーになると一回り大きく設置場所が限られてしまうことになる。最低限の拡張性を持ちかつコンパクトということでミニタワーは扱いやすい。

価格が安い

ミニタワーは、ミドルタワーと比べてリーズナブルなのが特徴とだ。同じ構成のミドルタワーに比べて5,000円~10,000円安く設定されていることがほとんどである。コストパフォーマンスを重視する当サイトのおすすめランキングでも上位に入りやすい。当然性能は搭載するグラフィックボードなどのパーツに依存する形になるので、ケースの大きさが性能に直結することはない。

少しでも安いゲーミングPCが欲しいのであればミニタワーケースを第一に考えるとよい。価格が安い理由としては、ケース本体のコストが安く採用するパーツのコストが抑えられるためだ。当然本体が小さい方が安価に生産できる。また、MicroATX規格のマザーボードを搭載していると価格を抑えやすい。MicroATXは一般的なマザーボードよりも小さく機能および拡張性が削られている分販売価格が安いためだ。

拡張性・排熱性能に劣る

ケースが小さいことによるデメリットとしては拡張性及び排熱性能の低さが挙げられる。当然ケース内部の余裕が少なくなる分拡張性は低くなってしまう。ケースによってはグラフィックボードなどパーツの交換が物理的に困難なことがある。とくにハイエンドクラスのグラフィックボードは本体が大きいため事前に確認しておこう。水冷CPUクーラーのラジエーターも360mmなど大型のモデルだとやっかいだ。大掛かりなパーツの交換や増設はやや苦手だ。

また、マザーボードのフォームファクターがMicroATXだと、メモリスロットは2つ(ATXなら4つ)しかないことも理解しておこう。たとえば、8GB(4GB×2)から16GBにメモリ容量を増設するためには、別途8GBのメモリを2つ用意しなくてはいけない。標準搭載されていた4GBx2のメモリはそのまま保管するしかなく、使いみちのないパーツになる。メモリ容量を増やすにも一苦労だ。さまざまな不都合が生じてしまうことになる。

排熱性能についても同様だ。本体内部の空間が小さいことで排熱効率が下がってしまう。それでも最近はエアフローの改善によってある程度改善されている。高性能なCPUクーラーやケースファンを導入するなど熱対策を行う必要がある。ミドルクラスまでのグラフィックボードやCPUなら省電力性も高く、ミニタワーのデメリットの多くは解消される。

ミニタワーの人気モデル一覧

ミドルタワー(GALLERIA Xシリーズなど)の概要

ミドルタワーは万人におすすめできる!

ミドルタワーは、ゲーミングPCの基本となるケースだ。ミドルタワーかミニタワーのどちらがいいのか悩んだらミドルタワーを基準に考えるとよいだろう。ドスパラなど一部のBTOメーカーではこのミドルタワーが売れ筋モデルとなっている。ミドルタワーはミニタワーよりも一回りサイズが大きく拡張性・排熱性能に強みがある。特にハイクラス以上の性能を持つモデルなら排熱の観点からもミドルタワーをおすすめしたい。

具体的に言うとGeForce RTX 4070以上はミドルタワーの恩恵をしっかり受けられるようになる。ゲームをプレイするためのゲーミングPCにとって、排熱性能と拡張性の高さは必要不可欠だ。排熱性能が高ければ高性能なCPUやグラフィックボードを搭載しても不都合は生じない。空気の通りもよく熱によるパフォーマンス低下を心配する必要はない。また、拡張性が高ければストレージの増設・グラフィックボードの換装・CPUクーラーの交換などにも対応しやすい。

ミドルタワーとミニタワー双方にデメリットがある中で、どちらをおすすめするかと言われると間違いなくミドルタワーである。価格や大きさというデメリットさえ理解できればメリットでカバーできると思うからだ。拡張性・排熱性能は用途によっては致命的な問題となってしまうが、価格の高さやケースの大きさが致命的になる可能性はないと言えるだろう。

ミドルタワーの特徴&弱み

ケース画像特徴
galleriaxseries+ 選択肢が豊富
+ 拡張性が高い
+ 排熱効率が良い

- 場所を取る
- 価格が少し高い

選択肢が豊富で売れ筋モデルが揃う

galleriaranking
ミドルタワーはどのBTOメーカーでも主力で豊富なラインナップが特徴だ。ドスパラのランキングを見るとわかるとおり上位3つがミドルタワーで人気であることがわかる。その他の特徴と合わせてもまず第一の候補として挙げてよいだろう。ただし、ショップによってはミドルタワーに力を入れていないこともある。マウスコンピューターやパソコン工房ではミドルタワーになると一気に価格が高くなり選びづらくなる。これらのメーカーでの売れ筋モデルはミニタワーだ。

ミドルタワーは、エントリークラスからハイエンドクラスまですべての性能帯でラインナップが用意されている。一方で、ミニタワーではハイエンドクラスはないことが普通だ。排熱の問題もあって高性能なモデルは扱いづらい。せいぜいGeForce RTX 4070までだ。ミドルタワーは選択肢が豊富でユーザーに合うモデルを探しやすくなる。

拡張性・排熱性能が高い

ミドルタワーは拡張性に優れ、スペースに余裕があるので空気の通りが良く排熱性能も高いことがメリットである。ミドルタワーは、拡張性の高さから長く使用しやすいと言えるだろう。性能が足りなくなればパーツを入れ替えやすいからだ。パソコンの製品寿命は長くなる傾向にある。内部スペースに余裕があることと拡張スロットがMicroATXよりも多いことが拡張性の高さに繋がっっている。

ここ数年はCPUもグラフィックボードも飛躍的に性能が向上してその分消費電力/発熱量も増えている。パーツの性能を最大限に引き出すためにも排熱性能の高さは重要なポイントだ。エアフローの観点からもミドルタワーの方が有利となる。RTX 4080以上のグラフィックボードを選ぶならミドルタワー以上のケースを選びたいところだ。

本体が大きく設置場所を選ぶ

ミドルタワーはサイズが大きくどこでも気軽に設置できるわけではない。拡張性の高さおよび排熱性能の高さを実現していることの代償だ。ミドルタワーケースの存在感は大きく、机の上に置くことが難しいサイズ感だ。どうしても足元に設置する必要がありそれなりのスペースが必要となる。一人暮らしの方などそれほど部屋にスペースがない場合は避けた方がよいかもしれない。想像しているよりも圧迫感がある。

設置場所と合わせて音にも注意しておこう。ミドルタワーになるとケースファンの数が増えるため、負荷が掛かるとファンの音が目立つ。排熱効率を高めるためのものである程度は我慢が必要だ。もっとも足元に置いておけばそれほど気にしなくてもよい。

ミドルタワーの人気モデル一覧

各BTOショップごとの主力製品

ドスパラ GALLERIA Xシリーズ

galleriax
ドスパラの主力製品はGALLERIA Xシリーズでミドルタワー採用のゲーミングPCだ。高い性能と充実した構成はミニタワーでは再現しにくく、ミドルタワーならではの構成のモデルが多い。ミニタワーは低価格を強く出し、メリットを伸ばしている。GALLERIAのミニタワーはケースファンをカスタマイズで追加できるので、排熱効率の悪さをある程度解消できる。

ドスパラ GALLERIA Rシリーズ

galleriar
ドスパラではミドルタワーの方が人気なためミニタワーは二番手となる。ミドルタワーと比べて少し低いぐらいで、ミニタワーとしては本体自体は大きめだ。ミドルタワーとは差別化が図られていてグラフィックボードはGeForce RTX 4070までとなる。CPUもCore i5-13400あるいはRyzen 5 4500のみ選択できる。ラインナップが限定されている結果ミドルタワーに人気が集中している。

ドスパラ raytrekシリーズ

raytrek
ゲーミングブランドではなくクリエイターブランドのraytrekシリーズも人気だ。ガレリアブランドと比べて、価格が安めに設定されていることもあってコストパフォーマンスの高いモデルが揃っている。サイズ的にはGALLERIA Xシリーズよりも一回り小さいが分類的にはミドルタワーとなる。

マウスコンピューター G-Tuneブランド

gtunemini
G-Tuneの主力製品は旧名称のNEXTGEAR-MICROである。昔からG-Tuneのミニタワーケースは、ミニタワーとは思えない高い排熱効率を持っていた。価格も抑えられていて選びやすい。ミドルタワーやフルタワーもラインナップに並んでいるものの、G-Tune製品はまずミニタワーを確認して欲しい。デメリットの解消よりもメリットを伸ばし、ミニタワーならではの価格を設定できている。

マウスコンピューター NEXTGEARブランド

NEXTGEAR-syoumen
マウスコンピューターが販売するEC限定のゲーミングブランドNEXTGEARのゲーミングPCだ。ミニタワーケースを採用している。デザイン性が高く人気がある。カラーはブラックとホワイトを選択できる。正面から見えるケースファンがいいアクセントになっているように思う。

パソコン工房 LEVEL∞ Mシリーズ

level-m
パソコン工房のLEVELシリーズは数多くの製品があり、最も充実したラインナップを持っている。主力製品はミニタワーで、ミドルタワーよりも少し安く購入できる。探せばいろいろ出てくるショップなので、ミニタワーより安いミドルタワーが存在していることも珍しくない。ミニタワーが売れ筋ランキングに入っていることも多い。

パソコン工房 LEVELθブランド

LEVEL-M1P5-R45-RLX-WHITEsyoumen
パソコン工房の新しいゲーミングブランドLEVELθではミニタワーケースが採用されている。ブラックとホワイトから好きなカラーを選択できる。サイドパネルが観音開きでメンテナンス性に優れている。

FRONTIER GXシリーズ

FRONTIER GX
フロンティア自慢のミニタワーケースだ。フロントにはHexagon Blockパターンデザインを採用していてデザインが高くなっている。エアフローもしっかりと考えられた作りだ。吸気はパネル前面および両側面から行い、排気は後方からとなる。効率よく吸気が行えるように配置にこだわりが見られる。最近はコスパの高いモデルが多く注目されている。

最後に

メリットデメリット
ミニタワー
galleriarseries
価格が少し安い
省スペース
デザイン性が高い
拡張性が低い
熱がこもりやすい
ミドルタワー
galleriaxseries
選択肢が豊富
拡張性が高い
排熱効率が良い
場所を取る
価格が少し高い
ミニタワーは価格が安く、省スペース性が高いため初心者から上級者まで人気が高い。ミニタワーはミドルタワーに比べて長期的な運用面でデメリットが多く、製品寿命を考えるとやや見劣りしてしまう。ミドルクラス以下のゲーミングPCならそこまで大きく影響を受けることはないので安心して欲しい。ケースのサイズと性能を合わせることも重要だ。ミドルタワーはパソコンを長く使用するために必要な要素を持つ。デメリットは少しの妥協で十分カバーできるものである。デザイン的にもゲーミングPCらしさがあるのはミドルタワーケースかもしれない。

ミニタワーは価格と省スペース性を重視するケース、ミドルタワーは誰にでもおすすめできるケースと判断してよい。それぞれのメリットは甲乙付け難い。注意点として、何となく小さいほうがよい程度でミニタワーを選ぼうとしているのなら少し待って欲しい。コンパクトとは言えどもタワー型でありサイズは一般的なパソコンよりも大きめだ。

ミドルタワーと比べても幅3~5cm、奥行き5~10cm、高さは5~8cmほどの差でしかなくミニタワーなら設置できるのにミドルタワーでは設置できないという可能性は低い。スペースに困っていないならミドルタワーを基準にしよう。スペースに余裕があるにもかかわらずミニタワーを選択してしまうと、省スペース性の魅力は薄れ、拡張性の低さと排熱効率の悪さが残ってしまうことになる。

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