サイコムが販売するG-Master Hydro Z890 Extremeのレビューをまとめた。サイコムを語る上でこのデュアル水冷システムを装備したモデルを無視することはできない。GeForce RTX 4090やGeForce RTX 4080 SUPERなどのハイエンドモデルの水冷化は珍しい。最近はCPUクーラーの水冷化は一般的なものとなったが、グラフィックボードの水冷化はまだまだ希少性が高い。
一般的なBTOメーカーでは手に入らないゲーミングPCを購入できるのは素晴らしい。サイコムではCPU・GPU・メモリ・電源ユニット・マザーボードと細かいカスタマイズが可能だ。価格は跳ね上がってしまうが、よりこだわりの一台に仕上げられるのは魅力的なポイントだろう。カスタマイズ画面でポチポチしているだけで時間が経つのを忘れてしまう。
当ページの目次
G-Master Hydro Z890 Extremeのスペック解説
BTOメーカー | サイコム |
---|---|
ブランド名 | G-Master |
製品名 | G-Master Hydro Z790 Extreme/D5 |
価格 | 513,970円(税込) |
CPU | Core Ultra 7 265K |
水冷CPUクーラー | Fractal Design FD-WCU-CELSIUS-S36-BK |
GPU | GeForce RTX 4080 SUPER(水冷) |
メモリ | DDR5-5600 32GB |
ストレージ | SSD 1TB Gen4 NVMe |
電源 | 850W 80PLUS GOLD SilverStone製 |
マザーボード | ASRock Z890 Steel Legend WiFi |
おすすめ度 | Sランク |
評価 | ・コスパ 1.6 —–内訳—– ・ショップ評価 8.1 |
サイコムが誇るハイエンドモデルだ。初期構成での価格は513,970円と高い。CPUにはCore Ultra 7 265Kを搭載している。水冷クーラーは、Fractal Design製の「FD-WCU-CELSIUS-S36-BK」だ。360mmラジエーター装備で高い冷却性能を有している。GPUには水冷化されたGeForce RTX 4080 SUPER搭載だ。
メモリはDDR5-5600 32GB、ストレージはSSD 1TB Gen4 NVMeとなる。電源ユニットはSilverStone製の850W GOLDだ。マザーボードはハイグレードのASRock Z890 Steel Legend WiFiを搭載している。サイコムでは各パーツのメーカーがわかるのがポイントだ。コストパフォーマンス指標は1.6と低い。コスパで選択するべきモデルではないことはわかるだろう。ショップ評価は8.1だ。大手BTOメーカーと比べるとサポート面に弱さはあるものの中小メーカーとして信頼性が高い。
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G-Master Hydro Z890 Extremeのカスタマイズ例
初期構成 | カスタマイズ | 価格差 | |
---|---|---|---|
ブランド | G-Master | G-Master | - |
イメージ | - | ||
製品名 | G-Master Hydro Z890 Extreme | G-Master Hydro Z890 Extreme | - |
CPU | Core Ultra 7 265K | Core Ultra 7 265KF | -5,630円 |
CPUクーラー | Fractal Design FD-WCU-CELSIUS-S36-BK | Fractal Design FD-WCU-CELSIUS-S36-BK | 0 |
CPUグリス | CPUクーラー付属グリス | CPUクーラー付属グリス | 0 |
マザボ | ASRock Z890 Steel Legend WiFi | ASUS TUF GAMING Z890- PLUS WIFI | -6,340円 |
メモリ | 32GB[16GB*2枚] DDR5-5600 | 32GB[16GB*2枚] DDR5-5600 | 0 |
SSD | Crucial T500 CT1000T500SSD8 | Crucial T500 CT1000T500SSD8 | 0 |
増設 HDD / SSD2 | 非搭載 | 非搭載 | 0 |
ビデオカード | サイコムオリジナル水冷仕様 GeForce RTX4080 SUPER 16GB+ Asetek Hybrid GFX 240mm水冷ユニット+ Noctua NF-A12x25 ULN | サイコムオリジナル水冷静音仕様 GeForce RTX4070Ti SUPER 16GB+ Asetek 740GN水冷ユニット+ Fractal Design Dynamic X2 GP-12 | -61,520円 |
ケース | 【黒】Fractal Design Define 7 Black/White TG Clear Tint [ガラスパネル] | 【黒】Fractal Design Define 7 Black/White TG Clear Tint [ガラスパネル] | 0 |
ケースオプション | なし | なし | 0 |
電源 | SilverStone SST-DA850-G [850W/80PLUS Gold] | SilverStone SST-DA850-G [850W/80PLUS Gold] | 0 |
OS | Windows11 Home (64bit) DSP版 | Windows11 Home (64bit) DSP版 | 0 |
価格 | 513,970円 | 440,480円 | -69,490円 |
標準構成ではCore Ultra 7 265KとGeForce RTX 4080 SUPERの組み合わせで513,970円だ。カスタマイズ例はいくつかのダウングレードを行っている。GPUについては性能を落としたが、その他の部分についても価格を抑えられるメリットの方が大きいはずだ。まずは、CPUをCore Ultra 7 265KからCore Ultra 7 265KFへ変更している。これで5,630円安くなる。マザーボードもダウングレードして6,340円浮かした。
キャンペーン中はメモリ容量も多くカスタマイズは不要だろう。SSDについても初期構成で十分な容量を持つ。GPUについてはワンランク落としてGeForce RTX 4070 Ti SUPERとした。DLSSを活用すればGeForce RTX 4070 Ti SUPERでも十分な性能を発揮できる。下げるところはしっかり下げ、上げるところはしっかり上げる。GPU以外の部分でもカスタマイズで11,970円安くなった。自分にとってどこが必要なのか、どこが妥協できるのかということを考えるのがカスタマイズ性の高いモデルの醍醐味だ。
サイコムはダウングレードも可能で、価格もしっかり下がるのでカスタマイズしやすい。実はこれができるBTOショップは非常に少ない。例えば、メモリ半減で1,000円程度しか下がらないなど、ダウングレードに消極的なショップばかりだった。いつしかそういった選択肢もなくなり、基本構成より下げることができなくなりカスタマイズの幅は狭くなる一方だ。
ダウングレードができるサイコムは自由度が高いショップといえる。もっとも、今回のカスタマイズ例はカスタマイズの自由度を証明するためのものだ。この構成をおすすめしているわけではない。デュアル水冷の特徴的に、どうせならハイエンドクラスのGeForce RTX 4090やGeForce RTX 4080 SUPERがいいのかもしれない。ただ、万人受けする構成とは言えずあえてダウングレードした形だ。
G-Master Hydro Z890 Extremeのカスタマイズ詳細解説
G-Master Hydro Z790 Extreme/D5はカスタマイズをしてこそのモデルだ。デュアル水冷を活かした熱を気にしない構成というのは他ショップでは味わえないものだ。価格を抑えるために妥協をするなら、他のモデルを選ぶ方がいい。G-Master Hydro Z790 Extreme/D5にしかない魅力と特徴を活かし、理想的なモデルを組み上げてほしい。
- CPU
- CPUグリス
- マザーボード
- メモリ
- SSD
- 増設 HDD / SSD2
- 増設 HDD / SSD3
- ビデオカード
- 拡張カード
- ケース/ケースオプション
- 電源
- OS
- 延長保証
CPUは、最新のCore Ultra 200Sシリーズから選択できる。同じ型番のCPUならCPU内蔵GPUを削ったFのついたCPUがおすすめだ。実用面を削らずに価格を抑えられる数少ない選択肢となる。Core Ultra 9 285KについてはFモデルの設定がない点は押さえておこう。
CPUクーラーは水冷固定なので、ここで発熱量の少ないCore Ultra 5 245Kを選択するのはナンセンスだ。価格を抑えるために価格と性能の抑えられたCPUを選択するなら、120mmラジエーターが標準のG-Master Hydro Z890を選ぶ方が有効だ。G-Master Hydro Z890 Extremeでは標準で選ばれているのがCore Ultra 7 265Kなので、そのままかCore Ultra 9 285Kを選択したい。
選択肢は標準を合わせて3つだ。高価なCPUグリスを使ったからといって大きく冷却性能が変わるわけではない。CPUクーラー付属グリスなので、ここでは水冷のFractal Design FD-WCU-CELSIUS-S36-BKに付属しているグリスということになる。クーラーに適したグリスが選択されている状態と考えれば、こだわりがない限り汎用グリスを選ばなくてもよいだろう。
選択肢はASUSかASRockのZ890のみだ。ある程度限定されているので選びやすい。おおよそ単体での販売価格通りのカスタマイズ価格が設定されている。すべてのモデルがWi-Fi+Bluetooth搭載だ。初期構成のASRock Z890 Steel Legend WiFiはハイエンドのモデルで、VRMフェーズは18+1+1+1+1となる。
ASRockのLiveMixerはデザインとUSB接続ポートの数が多い。ゲーム自供などを考えているユーザー向けといえる。デザイン性も高く人気がある。ASRock Z890 Pro RS WiFiは安価な選択肢ながら、まとまった機能を持っている。マザーボード全体で見ると中の中程度で、突出したモデルではない。無難な選択肢の一つだ。
ASUS Z890 AYW GAMING WIFI Wはコンセプト的には前述のASRock Z890 Pro RS WiFiに近い。マザーボード自体の価格もASRock Z890 Pro RS WiFi(47,980円)よりもASUS Z890 AYW GAMING WIFI W(47,980円)と同じだ。ASUS TUF GAMING Z890-PLUS WIFIはミドルクラスのモデルとなる。VRMフェーズは16+1+2+1だ。ASUS ROG STRIX Z890-A GAMING WIFIは、ASUS製マザーボードのハイエンドモデルでVRMフェーズも16+1+2+2と余裕がある。スペックにこだわりたいなら候補に入る。
キャンペーン中は初期構成で32GBと大容量なのでカスタマイズの必然性は低いように思う。選択項目としては16GB・64GB・96GB・128GB・192GBが用意されている。この内96GBと192GBはCrucial Proヒートスプレッダー付き大容量メモリだ。
容量と価格を削るダウングレードが選択できないのは少しマイナス要素だろうか。せめて8GBがあってもよかったように思う。128GBを除き、全てが2枚刺しだ。そのため、ここで16GBを選択しても、後々容量アップがしやすい。
4スロットのうち2スロットが空いてる状態となるということだ。つまり、8GBx2で32GB、16GBx2で48GBのようなメモリ容量への増設が容易だ。この構成は珍しい。注意したいのは4枚刺しすることで性能が落ちたり、不具合が発生したりする可能性があることだ。標準構成から変更すると保証の対象外となる。エラーなどの対応が得意でないなら、ここで理想の容量を選んでおく方が無難である。
SSDは選択できる項目が多い。大きく分けてM.2 or SATAから選択できる。その上で好みのメーカー及びストレージ容量が選択可能だ。キャンペーンで価格が下がることもあるので、タイミングによってはお得な選択肢が登場する。この項目で選んだストレージがプライマリ扱いになりOSがインストールされる形だ。もちろん、OSなしというカスタマイズを選択すればその限りではない。SATA接続のSSDでもそれほど価格が下がらない。システムドライブとするなら、M.2の方がよさそうだ。
この項目ではM.2 SSD・SATA SSD・HDDの3種類から選ぶことができる。高速ストレージを求めるならM.2、コストパフォーマンスを求めるならSATA SSD、容量と価格を求めるならHDDだ。HDDは速度が遅い反面、容量あたりの価格は非常に安い。M.2 SSD 500GBの価格で2TBのHDDを選択できる。
HDDはゲームやアプリのような読み込みの発生するタイプの保存は得意ではない。一方で、読み込みがアクセス時にしか発生しない動画や画像のようなファイルの保存には適している。ゲームプレイのスタイルによってはHDDは非常に有用になる。もっとも、外付けのHDDやSSDがあるので、ここでのカスタマイズは必須というわけではない。あれば便利程度に見ておきたい。
この項目はSATA SSDとHDDの2種類から選ぶことができる。ここではM.2 SSDが選択できないので、M.2は2つまでしか搭載できないということになる。選択肢は上記の項目と同じなので、必要に応じて選びたい。
G-Master Hydro Z890 Extremeのメインとも言える項目だ。初期構成ではGeForce RTX 4080 SUPERが選択されている。カスタマイズでGeForce RTX 4070 Ti SUPERやGeForce RTX 4090が選択できる。デュアル水冷システムの本領発揮となるのはGeForce RTX 4080 SUPER以上だろう。
デュアル水冷を目指すなら恩恵のある高性能なCPU及びGPUを選んでおきたい。GeForce RTX 4090を選択するには電源を1000W以上の大容量電源にカスタマイズする必要がある。予算がある程度決まっているなら少し選びにくい。そういう意味で、G-Master Hydro Z890 Extremeの主役はGeForce RTX 4080 SUPERだろう。電源容量は少し余裕を持たせた1000Wを推奨したい。標準の850Wでも対応できるので、好みや思想が反映される部分だ。
サウンドカードや内蔵無線LANなどが選択できる。内蔵式の拡張カードとなるので、選択したマザーボードによってはサウンドカードや無線LANが選択できない。Wi-Fiに対応したマザーボードの場合はここで無線LANの拡張カードは選択できない。こういった不可能な組み合わせを設定しているので、初心者にも優しい設計だと言える。この項目で必須と言えるものはない。こだわりがあればサウンドカードを増設するくらいだろうか。
ケースの選択肢は外観が黒、中身が白でガラスサイドパネルを採用した標準のケース、中身も黒でガラスサイドパネル非採用のケース、外観と中身が白のガラスサイドパネル採用ケース、外観と中身が白のガラスサイドパネル非採用ケースの4種類だ。
ケースオプションでARGB発光システムを選択する際はガラスサイドパネル搭載が必須となる。ARGB発光システムはLEDストリップが2本付属している。完全な電飾で、これ自体に何かあるわけではない。ガラスサイドパネルのデザイン性を活かしつつ、華やかな中身を映し出せるのは魅力的だ。ケースとケースオプションは好みなので、それぞれ好みのものを選んでほしい。
電源は850W GOLDが最低のハイエンド仕様の選択肢だ。搭載するグラフィックボードによって推奨容量が異なる。もちろん、CPUの電力制限解除やオーバークロックを想定しているなら、少し余裕を持たせた方がいい。GeForce RTX 4070 Ti SUPERなら850Wあれば十分だ。GeForce RTX 4080 SUPERなら1000W、RTX 4090は1000W以上がおすすめだ。電源は少し余裕を持たせるくらいがいい。GeForce RTX 4080 SUPERは850Wでも十分かもしれないが、CPUの電力制限解除やオーバークロックの可能性がある。考えられる最大限の消費電力に対して余裕を持たせたい。
OSは、Windows 11 Home・Windows 11 Proの2種類から選択できる。標準でWindows 11 Home搭載だ。WindowsのProはビジネス用途に適した機能を持つOSだ。ゲームなど個人利用での使用なら選択するメリットはほとんどない。OSを流用するならOSなしの選択肢がある。
OSのタイプによって購入時に付属したハードウェアと一緒に使用することで、OSが認められるタイプがある。その場合、新たにOSを移すと規約違反になる可能性があるので注意しよう。使用できれば問題ないと判断して、一度試してみるくらいの方がいい。
サイコムの保証を2年延長して、3年間受けられるようになる延長保証だ。保証限度額は購入価格100%、保証期間中は修理階数無制限、延長保証料金以外の自己負担なしが標準の1年から3年になる。送料は自己負担なのでそれだけは注意しよう。
また、加入に掛かる費用はPC本体のみの価格が8万円以下なら4,000円、8万円を超える場合は本体のみの価格の5%となる。高価なモデルとなるのが絶対のG-Master Hydro Z890 Extremeでは最低でも2万円を超える保証費用になる。保証としては高価ながら、それだけのメリットは多い。特にデュアル水冷だと対応しにくいことも多い。余裕があるなら加入しておいて損はない。
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G-Master Hydro Z890 Extremeの性能まとめ
ゲーミングPCとは、グラフィックボードやCPUなどのPCパーツの集合体だ。ここでは特に重要なグラフィックボードとCPUについて分解して細かく見ていく。PC初心者の方がスペックを見て性能をイメージすることは難しいだろう。一体として見るよりも一つずつのパーツを見ていくと理解がしやすいと考えている。カスタマイズで選択できるモデルについては緑色の装飾をしている。
Intel Core Ultra 7 265K(CPU)
G-Master Hydro Z890 Extremeの初期構成では、Core Ultra 7 265Kが選択されている。現在筆者もベンチマークを計測中だが、正直ゲーム性能はそこまで高くない。従来モデルのCore i7-14700Kと比べて13%程度低い。2世代前のCore i9-12900Kと同程度に留まる。Core Ultra 9 285Kでもそこまでゲーム性能が高いわけではない。Core Ultra 200Sシリーズでは、アーキテクチャが大きく代わりソフトウェア側でうまく対応できていない可能性もある。
今後の動きに注目したいところだ。急ぎでないのであればもう少し待ってもよいだろう。スペックは20コア20スレッドとなる。ハイパースレッディングは非対応だ。IPCの改善などもあってマルチコア性能は大きく向上している。動画編集・画像編集などの作業には余裕を持って対応可能だ。オーバークロックにも対応していてより高みを目指せるのは倍率ロックフリーモデルの魅力だ。
GeForce RTX 4080 SUPER(GPU)
当該モデルの初期構成ではGeForce RTX 4080 SUPERが選択されている。サイコムオリジナル水冷静音仕様で冷却性能が高いモデルだ。従来モデルのフラグシップモデルであるGefor RTX 3090と比べて20%程度グラフィックス処理性能が向上している。4K環境でのゲームプレイにも対応できるポテンシャルを持つ。競合モデルのRadeon RX 7900 XTXと比べても見劣りしない。水冷モデルであることを考えるとやはりGeForce RTX 4080 SUPERやGeForce RTX 4090を選択したいところだ。ハイエンドモデルになってこそ水冷が活きる。もっともGeForce RTX 4070 Ti SUPERでも性能は高く水冷化のメリットはある。
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G-Master Hydro Z890 Extremeの特徴
サイコム自慢のCPU・GPUのデュアル水冷採用モデル
G-Master Hydro Z890 Extremeは、CPUとGPUの冷却に水冷式を採用したデュアル水冷モデルだ。CPUクーラーは、360mmラジエーター搭載のFractal Design製「FD-WCU-CELSIUS-S36-BK」だ。高い冷却性能を持ち、電力制限の解除やオーバークロックにも対応可能だ。高負荷時でも安定した動作を実現できる。
高性能なCPUに水冷式クーラーを採用するモデルは多いが、グラフィックボードの冷却に水冷式を採用したモデルはほとんど見かけない。一昔前にマウスコンピューターのゲーミングブランド「G-Tune」でW水冷モデルが展開されていたくらいだろうか。
サイコムはBTOメーカーとしては初めてGeForce RTX 4090やGeForce RTX 4080 SUPERの水冷を取り扱っているのが最大の特徴だ。コストパフォーマンスの評価が低いのは、特殊なモデルであることから指標が対応しきれていないことが要因だ。カスタマイズで化けるモデルであることも付け加えておく。
G-Master Hydro Z890 Extremeは評価通りにいかない特別なモデルだ。その性質上コストパフォーマンスはさほど重要ではないといえるだろう。予算を多く持つユーザー向けであり、初心者にはあまりおすすめできない。標準構成ではハイエンドのGeForce RTX 4080 SUPERを搭載している。高解像度や高設定・高リフレッシュレートにこだわりたい方なら後悔はしないだろう。高性能なGPUでこそ恩恵があるため、ハイエンドを目指すユーザーに強くおすすめできるモデルだ。
CPUクーラーは大型水冷タイプで固定されている
当該モデルでは大型のCPU水冷クーラーが固定でカスタマイズの選択肢がほとんどないことは理解しておこう。360mmラジエーター搭載の高性能クーラーにこだわったモデルだ。Core Ultra 200Sシリーズは、プロセスの微細化などで省電力性が向上してここまでの水冷クーラーが必要かどうかは疑問がある。フラグシップモデルであるCore Ultra 9 285Kでも同様だ。
大型CPUクーラーを搭載している分だけコストが高くなっているのはマイナス要素となる。Core Ultra 7 265K及びCore Ultra 5 245Kでは内蔵GPU非搭載のFシリーズを選択できるのでコストを抑えることが可能だ。グラフィックボード搭載が前提のゲーミングPCなら大きなデメリットはないはずだ。もう少しCPUクーラーの選択肢があればよかったように思う。
もっとも電力制限の解除やオーバークロックを想定しているなら大型ラジエーター搭載の水冷クーラーは魅力的だろう。製品名にExtremeと付くだけあって、最上位モデルとなっているのだ。これほどこだわりが感じられるモデルはないと思えるほどだ。予算的には50万円以上と相場よりもかなり高価なので、誰にでも選べるモデルとは言えない。選ばれたユーザーに選ばれるモデルと言っても過言ではない。
もう少し水冷クーラーのランクを落としたいなら「G-Master Hydro Z890」がおすすめだ。初期構成では120mmラジエーター搭載の水冷式クーラーを搭載していて価格が抑えられている。CPUクーラーの選択肢も増えるが、360mmラジエーター搭載クーラーは選択不可だ。
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競合モデルとの比較
ブランド | G-Master | G-Master |
---|---|---|
イメージ | ||
製品名 | G-Master Hydro Z890 Extreme | G-Master Hydro Z890 |
価格 | 513,970円 | 501,170円 |
OS | Windows11 Home (64bit) DSP版 | Windows11 Home (64bit) DSP版 |
CPU | Core Ultra 7 265K | Core Ultra 7 265K |
CPUグリス | CPUクーラー付属グリス | CPUクーラー付属グリス |
CPUクーラー | Fractal Design FD-WCU-CELSIUS-S36-BK | サイコムオリジナル Asetek 650LS RGBポンプ仕様 + Noctua NF-F12 PWM [120mm水冷ユニット] |
マザボ | ASRock Z890 Steel Legend WiFi | ASRock Z890 Steel Legend WiFi |
メモリ | 32GB[16GB*2枚] DDR5-5600 | 32GB[16GB*2枚] DDR5-5600 |
SSD | Crucial T500 CT1000T500SSD8 | Crucial T500 CT1000T500SSD8 |
増設 HDD / SSD2 | 非搭載 | 非搭載 |
ビデオカード | サイコムオリジナル水冷仕様 GeForce RTX4080 SUPER 16GB+ Asetek Hybrid GFX 240mm水冷ユニット+ Noctua NF-A12x25 ULN | サイコムオリジナル水冷仕様 GeForce RTX4080 SUPER 16GB+ Asetek Hybrid GFX 240mm水冷ユニット+ Noctua NF-A12x25 ULN |
ケース | 【黒】Fractal Design Define 7 Black/White TG Clear Tint [ガラスパネル] | 【黒】Fractal Design Define 7 Black/White TG Clear Tint [ガラスパネル] |
ケースオプション | なし | なし |
電源 | SilverStone SST-DA850-G [850W/80PLUS Gold] | SilverStone SST-DA850-G [850W/80PLUS Gold] |
公式 | 公式 | 公式 |
比較対象は同じサイコムのデュアル水冷モデルG-Master Hydro Z890だ。G-Master Hydro Z890 Extremeとの違いはCPUクーラーでG-Master Hydro Z890では120mmラジエーター搭載の水冷式CPUクーラーがが採用されている。カスタマイズで240mmラジエーター搭載クーラーが選択可能だ。一方で、G-Master Hydro Z790 Extremeではより大型の360mmラジエーター搭載水冷式CPUクーラーを採用しているので冷却性能が異なる。
G-Master Hydro Z890なら12,800円安く購入できる。理想の構成を組み上げた際に、少しだけどうやっても予算オーバーしてしまうなら有力な選択肢となる。構成を決める前はわずか12,800円と感じるかもしれない。しかし、実際に構成を組むと削れない価格というのが出てくる。予算が決まっているなら、この12,800円を削れるというのはメリットになるはずだ。
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パソコンケースレビュー
画像はGeForce RTX 4090搭載モデルとなっている。初期構成のGeForec RTX 4080 SUPERでは中身が異なる点は注意しよう。
左斜め前
採用されているPCケースは「【黒】Fractal Design Define 7 Black/White TG Clear Tint [ガラスパネル]」だ。カラーがBlack/White(ガラスパネル)・Black Solid・White(ガラスパネル)・White Solidから選択できる。ガラスパネルが人気だ。ケースオプションでARGB発光システムを選択できる。
左斜め後ろ
シンプルながら実用性の高いケースであることがわかる。配線の取り回しもしやすそうだ。
背面
背面はオーソドックスなものだ。選択するグラフィックボードやマザーボードで仕様が変わる。電源ユニットは下部に配置される。
左側面内部
本体の前面にはFractal Design社製の水冷CPUクーラーの3連ファン(360mmラジエーター)が見える。グラフィックボードの水冷システムはASETEK社製ビデオカード水冷ユニットHybrid GFX 240mm LCSを改良したものだ。上に2機のファンが見える。
ビデオカードステイ
GeForce RTX 4080あるいはGeForce RTX 4090を選択するとビデオカードステイが追加される。本体の重量を支えるための重要なパーツだ。時期によってステイのデザインが変更されることがある。
管理人による総評(G-Master Hydro Z890 Extreme)
G-Master Hydro Z890 Extremeは、市場でも珍しいデュアル水冷システムを装備したゲーミングPCだ。Core Ultra 7 265K×GeForce RTX 4080 SUPERとの組み合わせで税込50万円を超える価格は手頃とは言えない。それでも最近はCPUもGPUも発熱量が増えて熱対策の重要性が増している。特にGeForce RTX 4090やGeForce RTX 4080 SUPERを選択するなら水冷システムは魅力的なはずだ。夏場の過酷な時期でも安定稼働を約束してくれる。これをベースに好みの仕様に仕上げよう。
価格 | CPU | グラボ |
---|---|---|
513,970円 | Core Ultra 7 265K | RTX4080S |
メモリ | SSD | チップセット |
DDR5 32GB | 1TB | Z890 |