BTOメーカー大手のサードウェーブ(ドスパラ)が販売する「Magnate MV-Ti」のレビューをまとめた。Core i5-14400F×RTX 4060 Ti搭載のビジネスモデルだ。Magnateシリーズにおける最上位モデルとなっている。ゲーミングブランドのGALLERIAと比べるとケースの見た目は落ちるがグラフィックボードを搭載していてゲームプレイに対応可能だ。
ストレージやチップレットのコストを抑えて価格を下げている。低価格帯で高いコストパフォーマンスを誇り圧倒的な存在感を示している。ケースデザインも一新されてより魅力を増したように思う。よりゲーミングPCらしいモデルを探しているなら比較対象モデルをチェックしてほしい。
当ページの目次
Magnate MV-Tiのスペック解説
メーカー | サードウェーブ(ドスパラ) |
---|---|
ブランド名 | Magnate |
製品名 | Magnate MV-Ti |
価格 | 153,980円(税込) |
CPU | Core i5-14400F |
グラボ | GeForce RTX 4060 Ti |
メモリ | DDR5-4800 16GB |
SSD | NVMe 500GB |
HDD | 非搭載 |
電源 | 650W 80PLUS BRONZE |
マザーボード | チップセットH610 |
おすすめ度 | Aランク |
評価 | ・コスパ 9.2 —–内訳—– ・ショップ評価 9.1 |
コストパフォーマンスの評価は9.2と優秀だ。新ケースになり、価格が改定されたことが要因となる。一般向けのパソコンはコストカットが行いやすく、コストパフォーマンスを伸ばしやすい。価格を意識するのであれば、Magnate MV-Tiは選びやすいモデルと言える。ストレージ容量が500GBと控え目なのはネックとなりそうだ。また、チップセットも廉価なH610となっている。通常運用においてマイナスはないが、拡張性を重視したい方は素直にゲーミングPCを選択しよう。
おすすめカスタマイズ
- CPU ×
- CPUファン ×
- CPUグリス ×
- グラフィック機能 ×
- メモリ ×
- SSD ◯
- 電源 △
カスタマイズ幅は意外と広いが、検討する価値があるのはSSDと電源ぐらいだ。他は恩恵が薄かったりカスタマイズ費用が高かったりとおすすめしにくい。Magnate MV-Tiの価格が抑えられていることから、標準構成か1箇所の変更に留めておきたい。CPUは標準のCore i5-14400Fの他に、CPU内蔵グラフィックボード搭載のCore i5-14400を選択できる。ラフィックボードを搭載しているMagnate MV-Tiでは、グラフィックボードが壊れた時にモニター出力できる保険でしかない。
CPUファン・CPUグリスは、Core i5-14400Fの発熱量から変更するメリットは薄い。CPUファンは+6,600円のJONSBO HX6200D-BKのみ選択できる。選択肢が1つしかなく、価格が高めなことでおすすめはしていない。冷却性能を重視したいならゲーミングPCを選ぶ方がよいだろう。
グラフィック機能は、グラフィックボードを変更できる項目だ。ゲーミングPCではほとんど見られないカスタマイズだ。一般向けのパソコンならではのカスタマイズ項目と言える。+20,000円でGeForce RTX 4060 Ti 16GBへの変更が可能だ。変更してもゲーム性能はほとんど変わらず、ゲーム以外でグラフィックボードを使用するときに恩恵が少しあるくらいで、カスタマイズはしない方がいい。
メモリ容量は32GBでも無駄にならない。カスタマイズの費用が10,000円以下なら検討してもよかった。メモリ32GBへのカスタマイズ費用は13,900円とかなり高めだ。少し前まで12,100円だったことからも、やや割高に感じてしまう。13,900円で受けられる恩恵は小さく、カスタマイズは避ける方が無難だ。必要になれば増設すればいいので、カスタマイズで追加する必要はないだろう。
SSDのカスタマイズはおすすめできる。カスタマイズ費用も7,000円と抑えられているため、価格に対して受けられる恩恵が大きい。500GBと1TBでは利便性に大きな違いがある。単純に2倍ではない。システムや必須のアプリ・ゲームのインストールに150GB使用すれば350GBと850GBだ。その差は2.4倍以上にまで広がる。プレイするタイトルがあるなら、ストレージ容量を増やすことは恩恵を感じやすい部分だ。
電源のカスタマイズは好みだ。Magnate MV-Tiの構成なら標準の650W 80PLUS BRONZEで十分だ。余裕をもたせるにしても、5,000円で選択できる750W 80PLUS GOLDでいい。それ以上の電源は無駄になりやすい。750Wを超える容量が必要な環境に、Magnate MV-Tiは対応できない。高性能なグラフィックボードに交換するにも、内部スペース的にハイエンドクラスは搭載できない。Magnate MV-Tiのケースに収められるグラフィックボードは、750W 80PLUS GOLDで対応できるものだ。余裕を持たせるにしても、性能アップを目指すにしても、750W 80PLUS GOLD以上は不要だ。
各タイトルの対応表
Apex Legends | フォートナイト | パルワールド | マイクラ |
---|---|---|---|
・240Hz ・144Hz | ・240Hz ・144Hz | ・144Hz ・60Hz | ・影Mod ・通常 |
★5つ=最高設定、★4つ=高設定、★3つ=標準設定、★2つ=低設定、★1つ=厳しいということだ。なお、対応表は必要なスペックや環境から評価した個人的な見解となっている。
Magnate MV-TiはCore i5-14400FとGeForce RTX 4060 Tiを搭載したミドルハイクラスのモデルだ。ゲーミングPCではなく、一般向けのパソコンである。一般向けのパソコンであっても、中身はゲーミングPCと同等の性能を持つパーツでまとめられている。扱いとしてはゲーミングPCと同じなので安心してほしい。
国内人気の高いApex Legendsは、設定を下げれば200fps程度でのゲームプレイが可能だ。240fpsの張り付きはむずかしい。極端に負荷がかからなければ、240fpsで安定することもある。しかし、ほとんどの場面で200fpsまで下がるのて安定は期待しない方がいいだろう。安定した人気を誇るフォートナイトは、設定で負荷が大きく変わるゲームだ。DirectX 12の環境では、144fpsの安定すらむずかしくなる。Direct X11以下であれば、Apex Legends同様に200fps前後の安定が目指せる。オブジェクトの破壊時に負荷が大きくなりやすいので注意してほしい。
一時話題を集めたパルワールドは、オープンワールドという特性上、今いるフィールドの状況で負荷が変わる。洞窟のような閉鎖的な場所ではフレームレートが安定しやすく、遠くまで見渡せる開けた場所では負荷を感じやすい。標準設定で60fpsの安定を目指す方がいいだろう。長く高い人気を維持するMinecraftは、安定したゲームプレイが可能だ。人気の影Modを導入しても安定させることができる。ただし、表示するチャンクを広げると負荷が増大するので注意が必要だ。許容できる範囲まで調整しなければならない。
Magnate MTの性能まとめ
PC初心者の方がスペックを見てもなかなか性能面をイメージすることができないかもしれない。ここでは具体的に当該ゲーミングPCに搭載されているパーツについて解説していく。
Core i5-14400F(CPU)
Magnate MV-TiではCPUにIntel第14世代のCore i5-14400Fを搭載している。ゲーム性能自体は従来モデルのCore i5-13400と変わらない。同じ低価格帯モデルで注目度の高いRyzen 5 7500Fと同等の性能を有している。Ryzen 5 7600Xと比べるとワンランク落ちる形だ。
10コア16スレッドと従来モデルのCore i5-12400よりも大幅にスペックが引き上げられている。Core i5-12400と比べて25%以上も処理性能が向上している。Core i5-12600Kに近い処理性能を持つ。競合モデルであるRyzen 5 7600Xを上回る性能を発揮する。ゲーミングCPUとしての評価も高く多くの売れ筋モデルでこのCore i5-14400Fが選択されている。
ゲーミング性能が飛躍的に向上しているわけではないが、GeForce RTX 4060 Tiとの組み合わせのバランスはベストマッチだ。ゲーム以外の用途への適性も向上している。一世代前のCore i5-13400FからEコアが追加されたことでマルチスレッド性能が高くなり、動画編集・動画エンコードなどの用途にも通用する。ここは競合のRyzen 5 7600Xと比べて優位なところだ。
GeForce RTX 4060 Ti(GPU)
当該モデルではグラフィックスにAda Lovelace世代の60番台であるRTX 4060 Tiを搭載している。従来モデルのRTX 3060 Tiと比べて16%も処理性能が高く、RTX 3070に近い性能を持つ。フルHD環境で100fps以上を目指すこともできるし、タイトルによってはWQHD環境でのゲームプレイにも対応可能だ。競合モデルであるRX 6700 XTを超える性能を持つ。レイトレーシング性能ではRX 6700 XTを大きく上回る。将来性の高いグラフィックボードだと考えてよい。
CPUとGPUのバランス考察
Core i5-14400FとGeForce RTX 4060 Tiはベストマッチだ。CPUがボトルネックになることもなく、GeForce RTX 4060 Tiはパフォーマンスを発揮しやすい。コストパフォーマンスの観点から見ても優秀な組み合わせと言える。ゲーム以外の用途にまで視野を広げると、Core i5-14400Fでは物足りないこともある。しかし、ゲームに限って言えば、Core i7-14700Fにも劣らない安定感がある。アンバランスで不安定になるようなことはないので安心してほしい。
Magnate MV-Tiの特徴&強み
リニューアルで選びやすさ向上
Magnate MV-Tiはケースが一新されて以前よりスタイリッシュになり、価格は10,000円ほど安くなっている。また、メモリもDDR4-3200からDDR5-4800へアップグレードされた。結果的に評価を大幅に伸ばしている。コストパフォーマンスを重視した一般向けのパソコンとして、これ以上ないくらいのリニューアルだ。
Magnate MV-Tiにとっては選びやすさが何よりも重視される。一般向けのパソコンはゲーミングPCと違い、ケースや構成にかかるコストが違う。その特性をうまく活かせている。円安の影響による高騰がまだ続く中、しっかり価格を抑えられるMagnate MV-Tiは、有力な選択肢に入ってくるだろう。
理想を言えば15万円台中盤、14万円台突入を目指してほしいモデルだ。Core i5-14400FとGeForce RTX 4060 Tiの組み合わせで153,980円は優秀だが、それはゲーミングPCであればという話だ。一般向けのパソコンは、ゲーミングPCでは届かない価格帯でなければならない。少し物足りなさがあるのは否めない。
それでも、Core i5-14400F搭載モデルの価格が割高になっている今に限れば、十分選択肢に入ってくるはずだ。コストパフォーマンスの評価にも表れているように、現時点に限れば頭一つ抜けた存在だ。コストパフォーマンスを重視しつつ、予算を抑えたい方におすすめしたいモデルだ。Magnateシリーズは、ゲーミングPCに負けないモデルとして人気を博した時期もあった。
ところが、LEVELθやNEXTGEARブランドなど他社から価格を抑えたモデルが登場して徐々にメリットが失われてきた。今回のリニューアルで、一般向けのパソコンらしさを取り戻したように思う。ドスパラでゲームに対応できるモデルは、ゲーミングPCだけではないと存在を確立できるはずだ。コストパフォーマンスを武器にした今後の展開に注目したい。
見た目に納得できればおすすめ
リニューアルで以前より改善されたといっても正直見た目はゲーミングPCと比べると迫力がない。受ける印象も以前よりマシという程度で、一般向けのパソコンの見た目の範疇に収まる。パソコンは見た目ではなく、中身となる性能や構成が重要だと考えるならMagnate MV-Tiは優秀だ。一方で、見た目もそれなりに重要であると考えるなら、Magnate MV-Tiは候補から外れてしまうだろう。
一般向けのパソコンは、自宅の作業用やオフィスでの使用を想定している。それだけに、趣味に特化したゲーミングPCのように、奇抜なデザインに振り切ることができない。よく言えば無難で場所を選ばないデザインだ。ひと目でゲームに対応できるパソコンだとは伝わらず、様々な部分で機能が優先されている。
古いデザインだという印象はどうしても拭えない。伝統的ともいえるパソコンの形状であるため、使いやすくはあっても見栄えはよいものではない。Magnate MV-Ti自体ゲーミングPCとは大きく違うデザインから、あまりゲーマーから選ばれていないように感じる。最近はどこのBTOメーカーもケースデザインに力を入れていて価格だけでは戦いづらいのが本音だ。
ゲーミングPCと同じ性能であっても、ゲーマーにとってはデザインも重要ということだ。ゲーミングデバイスにしても、目に入るもののデザインはモチベーションにつながる。それはパソコンでも同じなのだろう。チップセットがH610であることなど、マイナスに受け取られる要素は数多くある。そのほとんどは、価格の安さで納得できるものだ。
ケースのコストが抑えられているから価格も抑えられている。本来であればそう評価されてもおかしくない。あまり受け入れられないところから見ても、見た目より中身を重視する選び方は一般的ではないようだ。はっきり言ってしまえば、Magnate MV-Tiは見た目が気にならなければ何の問題もないモデルだ。
ミドルハイクラスのゲーミングPCを探している方にとって、有力な選択肢になるのは間違いない。特に、初めてゲームに対応したパソコンを購入するなら、マウスとキーボードが付属しているのは大きい。モニターさえ用意すれば、最低限の環境が整う。エントリークラスとしても優秀なモデルだ。
サードウェーブのゲーミングPCと比較
ブランド名 | Magnate | Magnate-G |
---|---|---|
イメージ | ||
製品名 | Magnate MV-Ti | Magnate-G MV-TiW |
サイズ | ミニ | ミニ |
価格 | 153,980円 | 183,980円 |
送料 | 3,300円 | 3,300円 |
CPU | Core i5-14400F (10コア16スレッド) | Core i5-14400F (10コア16スレッド) |
GPU | RTX 4060 Ti | RTX 4060 Ti |
メモリ | DDR5-4800 16GB | DDR5-4800 16GB |
SSD | 500GB NVMe | 1TB Gen4 NVMe |
電源 | 650W BRONZE | 650W BRONZE |
チップセット | H610 | B760 |
公式 | 公式 | 公式 |
サードウェーブから新しく登場した高コスパゲーミングブランドMagnate-Gシリーズの同性能帯のモデルと比較していく。価格差は30,000円とかなり大きいことがわかる。大きな違いは、ストレージ容量とマザーボードのチップセット、そしてケースデザインだ。確かにゲーミングPCらしい見た目は魅力的だが、30,000円も価格差があると悩ましいように思う。何を重視するのかを考えて選択して欲しい。
他社BTOメーカーのモデルと比較
ブランド名 | Magnate | FRONTIER |
---|---|---|
イメージ | ||
製品名 | Magnate MV-Ti | FRGKB760/T2/NTK |
サイズ | ミニ | ミニ |
価格 | 153,980円 | 164,800円 |
送料 | 3,300円 | 3,300円 |
CPU | Core i5-14400F (10コア16スレッド) | Core i5-14400F (10コア16スレッド) |
GPU | RTX 4060 Ti | RTX 4060 Ti |
メモリ | DDR5-4800 16GB | DDR4-3200 32GB |
SSD | 500GB NVMe | 1TB Gen4 NVMe |
電源 | 650W BRONZE | 600W BRONZE |
チップセット | H610 | B760 |
納期 | 最短翌日出荷 | 7営業日 |
基本保証 (延長保証) | 1年間 (最長5年間) | 1年間 (最長3年間) |
電話サポート | 24時間365日 | 10:00-19:00 (年末年始・指定休日除く) |
公式 | 公式 | 公式 |
レビュー | 当ページ | レビュー |
比較対象はフロンティアの「FRGKB760/T2/NTK」だ。価格差は10,820円でFRGKB760/T2/NTKの方が高い。ただし、高いとは言ってもメモリ倍増(規格はダウン)、ストレージ倍増、チップセット強化と総合的に見れば優秀だ。同じ構成にすれば+20,900円が掛かるので、FRGKB760/T2/NTKの方が優れている。また、ケースデザインやマザーボード的にもゲーミングPCらしさがある。Magnate MV-Tiはカスタマイズでもチップセットのアップグレードができない。ショップの評価を見るとドスパラは最短翌日出荷や24時間365日の電話サポートと魅力的だ。
Magnate MV-Tiのパソコンケースレビュー
本体正面
Magnate MVではミニタワーケースを採用している。新しいモデルで従来ケースよりも35%小型化されている。
左側面
左側にはやや大きめの吸気口がある。ファンの力を借りて多くの空気を取り入れられる。
内部(左側面)
I/Oパネル
本体前面にI/Oパネルが配置されている。USB 2.0×2基、USB 3.0×2基が搭載されている。Type-Cポートは使用できない。Magnate Xシリーズ(B760) でのみ使用できるようだ。
エアフロー
ミニタワーモデルだ。ビジネス向けモデルということもあって落ち着いたデザインとなっている。一般的なエアフローでゲームプレイにも問題はない。フロントパネルにあるスリットと側面の給気孔から冷たい空気を取り入れる。もっとも性能的にも熱を持ちにくく対応しやすい。
管理人による総評(Magnate MV-Ti)
Magnate MV-Tiは、Core i5-14400F×GeForce RTX 4060 Ti搭載のミドルクラスのビジネスモデルだ。ビジネスモデルながらグラフィックスにGeForce RTX 4060 Tiを搭載していてゲームプレイにも対応できる高い性能を持っている。フルHD環境で高リフレッシュレートを目指せるポテンシャルがある。ケースデザインのリニューアルで前よりは受け入れやすくなったが、ゲーミングブランドのケースと比べると見劣りしてしまう。コストパフォーマンス自体は優秀なので何を重視するかで決めてしまって問題ない。
価格 | CPU | グラボ |
---|---|---|
153,980円 | Core i5-14400F | RTX4060Ti |
メモリ | SSD | HDD |
DDR5 16GB | 500GB | 非搭載 |