マウスコンピューターが販売する「NEXTGEAR JG-A7G60」の詳細レビューをまとめている。Ryzen 7 5700X×GeForce RTX 4060搭載のミドルクラスのゲーミングPCだ。標準的な性能で、誰にとっても扱いやすいのが特徴だ。初心者にしても、まずはこのGeForce RTX 4060の性能を基準にするとよいのではないかと思う。
充実した構成は魅力的だが、やや価格が高く感じてしまう。登場したばかりの頃は競合も少なく圧倒的なモデルだったが、時が経ち競合が増えている。コストパフォーマンス的には標準的だ。基本保証が3年間と長くなっているの嬉しいポイントとなる。さらに、24時間365日電話サポートもあり、パソコンに慣れていない方や初心者の方には非常に心強い。マウスコンピューターは業界トップクラスのサポート充実度を誇っている。
当ページの目次
NEXTGEAR JG-A7G60のスペック解説
メーカー | マウスコンピューター |
---|---|
ブランド名 | NEXTGEAR |
製品名 | NEXTGEAR JG-A7G60 |
価格 | 164,800円(税込) |
CPU | Ryzen 7 5700X(レビュー) |
CPUクーラー | 水冷(240mmラジエーター) |
グラボ | GeForce RTX 4060(レビュー) |
メモリ | DDR4-3200 16GB |
ストレージ | SSD 1TB Gen4 NVMe |
電源 | 750W 80PLUS BRONZE |
マザーボード | チップセットB550 |
おすすめ度 | Bランク |
評価 | ・コスパ 6.3 —–内訳—– ・ショップ評価 8.9 |
マウスコンピューターが販売するミドルクラスの一台だ。CPUにはRyzen 7 5700Xを、GPUにはGeForce RTX 4060を搭載している。Ryzen 7 5700Xに水冷CPUクーラーを組み合わせたモデルは希少だ。メモリDDR4-3200 16GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成も平均以上だ。メモリ容量はゲームプレイだけなら問題ない。ストレージも1TBで困る方のほうが少ないように思う。積みゲーがたくさんあって容量が必要だという方は外付けのストレージなどで対応すればオッケーだ。電源は750W BRONZEだ。チップセットはB550を搭載している。おすすめ度はBランクと低い。価格が下がりきらずコストパフォーマンスが低いためだ。競合モデルも多くこれだ!といえる部分が少ない。
カスタマイズについて(おすすめ度)
- CPU ×
- CPUグリス ×
- CPUファン –
- メモリ △
- SSD ×
- 電源 △
カスタマイズについては基本的にはおすすめしていない。マウスコンピューターはカスタマイズ費用が高額で、選ぶと一気に価格が跳ね上がってしまうからだ。CPUはRyzen 7 5700X3Dを選択できるが、費用は20,900円と高価だ。ゲーム性能に優れたCPUといえども、ミドルクラスのGeForce RTX 4060搭載であることを考えれば恩恵は少ない。Ryzen 7 5700Xとの組み合わせの方がバランスがよい。
CPUファンは水冷タイプが標準搭載でカスタマイズはできない。冷却効果は十分で、CPUの発熱量は控えめだ。CPUグリスを選択する理由はないので、安価な選択肢であってもおすすめできない。SSD容量は標準で1TB搭載だ。選択肢には2TBしかなく、容量を余らせてしまうだろう。費用も29,700円と高すぎるのでここもカスタマイズは控えたい。
カスタマイズを行うならメモリか電源がかろうじて候補に挙がる。Ryzen 7 5700XとGeForce RTX 4060の組み合わせなら、メモリ容量を32GBにしてもゲームで恩恵を受けにくい。32GBが必要となる負荷や環境は、GeForce RTX 4060では対応しにくいからだ。ミドルハイクラスやハイエンドクラスのような、高性能帯になると32GBは効果的になる。メモリ消費の激しい作業を想定する場合に限り32GBを選択することは悪くない。
電源は標準で750W 80PLUS BRONZEを採用している。容量的にハイクラスのグラフィックボードを搭載しても問題がない。性能不足を感じて、CPUやグラフィックボードの交換をするときにもそのまま使える。今後ハイエンドクラスを目指す可能性があるなら850W 80PLUS GOLDは選択してもいい。カスタマイズ費用は11,000円と高めだ。初期構成だけを考えるなら変更するメリットはほとんどない。
各タイトルの対応表
Apex Legends | フォートナイト | パルワールド | マイクラ |
---|---|---|---|
・240Hz ・144Hz | ・240Hz ・144Hz | ・144Hz ・60Hz | ・影Mod ・通常 |
★5つ=最高設定、★4つ=高設定、★3つ=標準設定、★2つ=低設定、★1つ=厳しいということだ。なお、対応表は必要なスペックや環境から評価した個人的な見解となっている。
NEXTGEAR JG-A7G60はRyzen 7 5700XとRTX 4060を搭載したミドルクラスのゲーミングPCだ。標準的な性能は、多くのゲームを快適にプレイできる。4Kのような高解像度や240fpsのような高リフレッシュレートはそこまで得意としていない。ゲームへの対応力はあっても、ゲーム環境の対応力はそこまで高くない。その特性をよく理解して選択したい。
国内のオンラインゲームで人気のApex Legendsでは、240fpsの張り付きを目指す方が多い。そういった本格的な環境を構築するには、少しスペックが足りない。144fpsでの安定を目指す性能だ。同ジャンルのフォートナイトは負荷が小さく、240fpsの張り付きが目指せる。アップデート毎に負荷が増大しているため、今後のアップデート内容次第では、設定を大きく下げる必要が出てくる。設定次第で対応できるとも取れるので、フォートナイトをメインにするなら十分である。
一時期話題となったパルワールドは、最高設定で安定させるのは少しむずかしい。60fpsを切る場面もあり、設定を下げてのゲームプレイを推奨したい。現時点では細かな設定ができず、負荷のコントロールが少しやりにくい。今後のアップデートに期待したい。圧倒的な人気を誇るMinecraftは、かなり快適にプレイできる。人気の影Modを導入すると負荷が大きくなる。影Modを導入してのゲームプレイは、少し設定を下げた方がいい。グラフィックの品質を高めるために、グラフィックの設定を下げることになる。本末転倒に見えて、設定を下げてもグラフィック品質の向上は体感できるので無駄ではない。
NEXTGEAR JG-A7G60の性能まとめ
ゲーミングPCは、CPUやグラフィックボードなどのパーツの集合体だ。ゲーミングPCの性能を決める重要な部分はCPUとグラフィックボードの性能だ。この2つのスペックをより詳しく見ていく。
ゲーミングPCの性能を知るためには、CPUとグラフィックボードの性能を理解する必要がある。数値やグラフで確認することで、パソコンに慣れていない方にとっても直感的にわかりやすいはずだ。
AMD Ryzen 7 5700X(CPU)
Core i7-13700 | |
Core i7-12700K | |
Core i7-12700 | |
Ryzen 7 7700X | |
Core i5-12600K | |
Core i5-13400 | |
Ryzen 7 5800X | |
Core i7-11700K | |
Ryzen 7 5700X | |
Core i5-12400 | |
Ryzen 7 3700X | |
Ryzen 5 5600X | |
Core i7-11700 | |
Ryzen 5 5600 | |
Ryzen 5 3600X | |
Core i5-11400 | |
Ryzen 7 2700X |
NEXTGEAR JG-A7G60で採用されているCPUは旧世代のRyzen 7 5700Xだ。競合モデルよりも価格が安く再評価されている。8コア16スレッドというスペックを持つが、アーキテクチャがZen 3と古くマルチコア性能はそれほど高くない。Intel第13世代のCore i5-13400(10コア16スレッド)と比べて10%程度劣る。ゲーミング性能自体はCore i5-13400と同等だと考えてよい。
高性能なGPUに対してバランスが取りにくいため、評価の高いモデルは限られている。その点では、RTX 4060を搭載したNEXTGEAR JG-A7G60とはバランスがよく、価格の安さでしっかり性能をカバーできている。Ryzen 7 5700Xは登場から1年以上経過した旧世代のCPUだ。8コア16スレッドというスペックはIntel第13世代CPUと比べて心許ない。それでも、ゲーム性能はRTX 4060の足を引っ張らない程度にはある。RTX 4060との組み合わせならデメリットはないと考えてよさそうだ。
GeForce RTX 4060(GPU)
RTX 4070 | |
RX 6800 | |
RTX 3070 Ti | |
RTX 3070 | |
RTX 4060 Ti | |
RTX 2080 Ti | |
RX 6700 XT | |
RTX 3060 Ti | |
RX 7600 XT | |
RTX 4060 | |
RX 7600 | |
RX 6650 XT | |
RX 6600 XT | |
RTX 3060 | |
RTX 2060 SUPER | |
RTX 2060 | |
GTX 1660 SUPER |
GeForce RTX 4060は、2023年6月29日に発売されたグラフィックボードだ。非常に扱いやすい標準的なGPUで、歴代のGPUでも60番台が最も選ばれている。前世代のRTX 3060とRTX 3060 Tiの中間のような性能だ。どちらも人気のGPUだったので、双方のいいとこ取りのようなGPUである。
WQHD解像度への対応力が増し、従来よりも幅広い環境を構築できるようになった。さらに、消費電力はRTX 3050と同程度にまで下がっており、ワットパフォーマンスにも優れたGPUだ。RTX 3060並の価格、RTX 3060 Tiに近い性能、RTX 3050と同等の消費電力と、従来のミドルクラス全般のよさを引き継いでいる。
CPUとGPUのバランス考察
Ryzen 7 5700XとGeForce RTX 4060のバランスはよい。GeForce RTX 4060のよさを引き出し、ボトルネックにもなりにくい。ミドルクラスのモデルにはRyzen 7 5700Xが適正だ。Core i5-14400Fよりも価格を抑えやすいだけでなく、バランスも取れるのだからベストマッチと言える。このバランスの評価は、CPUを基準にしてグラフィックボードの性能をどの程度引き出せるかの目安だ。ゲームや用途にもよるため、必ずしもこの表通りになるとは限らない。参考程度に見ておきたい。
NEXTGEAR JG-A7G60の特徴
価格が下がらず相対的に評価を下げた
NEXTGEAR JG-A7G60は長らく価格が変わっておらず評価を落としている。少し前に5,000円の値引きが適用となってから動きがない。これまでの価格推移は149,800円→169,800円→164,800円となる。元々の149,800円という価格を考えればもう少し価格が下がって欲しいところだ。コストパフォーマンスの指標も6.3と平凡だ。
NEXTGEAR JG-A7G60にかかる期待の大きさがこの程度で満足することを許さない。GeForce RTX 4060搭載最高のモデルになれるポテンシャルを秘めているからこその厳しい評価だ。事実、値上げ前はGeForce RTX 4060を搭載したモデルで最もおすすめ度が高かった。セール・キャンペーンモデルにも劣らない強力なモデルだった。多くのモデルが値上げを続けている中で、値下げしたことは素晴らしいと思う。
ただ、ミドルクラスのゲーミングPCに求められる価格帯は150,000円前後だ。14,000円も高い状態では手放しに喜べない。他に優れたモデルが登場していることもあり存在感が薄れてきているように思える。しかもキャンペーンやセール対象モデルではなく通常モデルでも勝てない状況となっている。比較対象モデルに挙げたドスパラの「Magnate MV」やパソコン工房「LEVEL-M1P5-R57X-RLX-WHITE2」がおすすめだ。後者はケースデザインもよく売れ筋モデルになれるポテンシャルがある。期間限定で圧倒的なモデルも登場しているかもしれない。
GeForce RTX 4060搭載モデルを探しているなら、視野を広げてメーカーや製品をチェックしたい。特に、ミドルクラスはゲーミングPCだけでなく、一般向けモデルでも展開されている。価格を重視するなら一般向けモデルが強力だ。もっとも、PCケースも選択する要素となるなら、デザインに優れるゲーミングPCが適している。少しでも安いモデルを重視するなど、価格を重視するのであれば比較の項目を要チェックだ。
優れた構成と手厚い保証が強みとなる
NEXTGEAR JG-A7G60の強みは価格だけではなく充実の構成にもある。低価格路線のモデルには珍しく、ストレージにSSD 1TBを採用している。Gen4接続にも対応し、贅沢なストレージ構成となっている。対抗製品のほとんどは500GBであることから、ストレージに1TBを採用していることだけでも強力だ。
加えて、NEXTGEAR JG-A7G60のCPUファンは水冷式が採用されている。冷却効果が高いことは間違いないので、デメリットではなくメリットだ。ただし、ミドルクラス相当の性能であるRyzen 7 5700Xに水冷は恩恵が小さい。通常の空冷式でも十分冷却はできるため、水冷の恩恵は受けにくい。やや宝の持ち腐れといえるかもしれない。それでもNEXTGEAR JG-A7G60はコストパフォーマンスを重視していながらも、妥協のない構成を持っている。これこそがNEXTGEAR JG-A7G60の強みだ。
そして、当該モデルを販売するマウスコンピューターの製品は基本保証が3年だ。ほぼ全てのBTOメーカーは基本保証を1年に定めている中でこれは大きなメリットだ。マウスコンピューターだけが標準で3年間の保証を受けられる。ただし、延長保証の設定はないため、3年を超える保証を選択したい場合は悩ましい。カスタマイズの費用がやや高めなのは、この3年間の保証が影響しているのかもしれない。
他のメーカーにはない充実した構成で価格を抑え、長期間の基本保証を持つ。当然のことながら、パソコンは長く使えば使うほど故障率が高くなる。1年間は壊れにくくても、2年3年と使用すれば故障してしまうこともあるだろう。そんな時に、標準3年保証があれば安心だ。自分で対応できない初心者の方にもおすすめで、初めてのゲーミングPCとして選択する理由にもなるはずだ。
NEXTGEAR JG-A7G60には扱いやすさと選びやすさ、そして保証面の安心感がある。ミドルクラスに求められているものプラスアルファを持った唯一のモデルと言える。モデルとメーカーに特徴があると、胸を張っておすすめできる。ユーザーのことを第一に考えたモデルだ。
競合モデルとの比較
ブランド | NEXTGEAR | Magnate |
---|---|---|
イメージ | ||
製品名 | NEXTGEAR JG-A7G60 | Magnate MV |
ケース | ミニ | ミニ |
価格 | 164,800円 | 133,980円 |
送料 | 無料 | 3,300円 |
CPU | Ryzen 7 5700X (8コア16スレッド) | Core i5-14400F (10コア16スレッド) |
CPUクーラー | 240mm水冷 | 空冷 |
GPU | RTX 4060 | RTX 4060 |
メモリ | DDR4-3200 16GB | DDR5-4800 16GB |
SSD | 1TB Gen4 NVMe | 500GB NVMe |
電源 | 750W BRONZE | 650W BRONZE |
マザボ | B550 | H610 |
納期 | 約6営業日 | 最短翌日 |
基本保証 (延長保証) | 3年間 (-) | 1年間 (最長5年間) |
電話サポート | 24時間365日 | 24時間365日 |
公式 | 公式 | 公式 |
レビュー | 当ページ | レビュー |
また、ゲーミングPCではなく一般向けモデルであるため、ケースデザインや性能でも落ちる。これだけのマイナス要素があっても、Magnate MVは価格の安さという武器で存在感を示している。マウスコンピューターの製品は基本保証が3年間と長い。ドスパラの基本保証は1年間で延長保証に加入すると本体価格の10%相当である13,398円かかる。
実質の価格差は23,540円まで縮まる。やはり価格を武器にしているだけに、Magnate MVはカスタマイズをせず標準構成で選択したい。パソコンに慣れていない方はNEXTGEAR JG-A7G60の方が無難かもしれない。3年の保証が標準は心強い。ケースデザインも満足できるものだろう。
パソコンケースレビュー
「NEXTGEAR JG-A5G1D」のレビューで撮影したケース画像だ。基本的な中身は同じだ。カスタマイズで赤色LEDケースファンを選択している。
梱包
非常にシンプルだ。説明書と電源ケーブルがついている。
かなりきれいに梱包されている。
正面
NEXTGEARを表したピンクのNGというデザインロゴが黒いケースに映える。2世代前のNEXTGEAR-Microを彷彿とさせる強力なフロントファンが、エアフローの強さを感じさせる。確認しづらいが、フロントファンは3連ファンとなっており、吸気性能は非常に高いことがわかる。右下には小さくNEXTGEARのロゴも見える。シンプルでありながら、ゲーミングPCとしての存在感のある重厚でスタイリッシュなデザインに仕上がっている。
ライトアップ
カスタマイズで変更可能な赤色LEDファンをライトアップ。カスタマイズなしはLEDファン非搭載なので注意。ゲーミングPCらしい派手なライトアップはガラスサイドパネル採用ケースには映える。従来のケースと異なり、サイドパネルを変更した上でLEDファンへ変更ではない。標準でガラスサイドパネル採用のケースである。単にLEDファンに変更するだけなので、コストも抑えられており、デザインを意識した選択がしやすくなっている。
I/Oパネル
I/Oパネルは最近のゲーミングPCに多い天板に搭載されている。USB 3.0が2つにイヤホン・マイクの入出力端子が1つのオーソドックスなものだ。一般的にUSBの接続端子が黒色はUSB 2.0を指すが、NEXTGEARのケースでは黒色でも3.0となっている。背面の黒色は2.0、青色は3.0となっているので少しややこしく感じる。天板部に黒色のUSB 3.0を採用したのはデザインを重視してのことだろう。
イヤホンマイクの入力端子にしても、I/Oパネルがケース全体の雰囲気を損なわない工夫だ。電源スイッチが黒く四角いタイプであることもケースデザインやカラーの基調に合わせたものだ。小さなところかもしれないが、こういった工夫がゲーミングPCのデザインと言える。
また、天板部には取り外し可能な防塵フィルターが装着されている。天板にも2基のファンがあり、吸気の強さを感じさせる。その分だけ埃の吸入も多くなるので、防塵フィルターの存在はありがたいものだ。パソコン内部に埃がたまりにくくなれば、それだけ長く使い続けることができる。本当によく考えられたケースであり、NEXTGEAR-Microの正当な後継機と言えそうだ。
右側
NEXTGEARのケースの右側はエアホールのないカバーのみとなっている。左側がガラスサイドパネルであることを考えると、空気の出入りは左右から行われない構造である。吸気が強いことで、空気が横に流れずに正しいエアフローを構築するような形だ。フロント3基、天板2基のファンのよさを損なわないカバーである。
右側内部
右側パネルの中は背面通しが可能なケーブルマネジメント機構となっている。ボトムカバーと合わせて、ケーブルを見せずにすっきりさせる形状となっている。また、2つの2.5インチシャドウベイも右側パネルの中にある。SATA SSDを搭載する際は、ここに固定することで表からはSATAケーブルのみ見える形になる。すっきりするだけでなく、接続しにくい電源ケーブルに近いことでセットアップが容易になる。
搭載されているファンが多いことで、少しケーブルがごちゃごちゃして見えるかもしれない。しかし、表からは見えないようにすっきりさせるというポイントはしっかり抑えられている。意外とこういった形状は管理がしやすく、ケーブルの破損も少ないので合理的なものだ。
左側内部
ガラスサイドパネルを外しての撮影だ。これだけすっきりしていると、ガラスサイドパネルを外さなくてもパソコン内部を確認できる。できるだけケーブルを見せないことで、各パーツの視認性が上がり、取り外しも非常に容易になる。3.5インチベイを採用しないことで、フロント部の余分なスペースを上手く利用できている。ファンを搭載し、3.5インチベイや2.5インチベイにエアフローを阻害されることがない。
ボトムカバーを採用しており、電源周辺のケーブルもうまく見えなくしている。また、デザインの重さを下部に集中させ、3.5インチベイや2.5インチベイを廃止したことで、上部まで広くすっきりして見える。スペースを広く確保しつつ、ボトムカバーで底上げをすることで、ケーブルに光が吸収されにくく、しっかりとLEDが反射しやすくなる。単にLEDファンを設定できるだけではない。LEDファンを搭載することを前提としているからこそできたケース内部だ。最近のデザイン偏重のケースにも負けないスタイリッシュな内部だ。水冷クーラーのラジエーターも設置できることから、実用性の高さもうかがい知れる。
背面
背面ははっきり言ってデザインを台無しにしやすい。ケース全体が黒なのに背面は銀色というのはよくある。ケースのしっかり合わせたカラーと形状をしており、評価を高めている。剛堅さを感じさせるフォルムに、使い勝手のよさを思わせる構造がある。
気になったのは背面ファンの取り付け位置だ。可変式の固定具があり、位置やサイズをあまり気にせず取り付けられそうだ。天板にファンを搭載しているケースにはよくあることだが、14cmファンなどの大きなタイプは干渉して取り付けられないことがある。それを考えてか、取り付け位置を上下に調整できるようになっている。これは天板のファンを交換することがあると恩恵を受けられる。大型、特殊なファンや機構を天板に取り付けると、設置できる背面ファンが限定されてしまいがちだ。それを防ぎ、幅を広げられている。デザインや機能を活かす機構が備わっているのは素晴らしい。
もう一つの注目点はPCIEカバーの留め具というのだろうか。スロットカバーを固定する箇所だ。内部にネジで固定するのではなく、外部の留め具に固定することで取り外しがしやすくなる。その留め具部分がしっかりケースと一体化しているのに驚く。実用的にもデザイン的にも軽視されやすい箇所を、しっかりとデザインの一部にしている。こほど完成度の高い背面は見たことがない。間違いなくNEXTGEARのケースは歴代のマウスコンピューター製品で最高峰の傑作である。
底
底面はマウスコンピューターの得意分野であると言える。おなじみのマグネット付きの防塵フィルターで、埃の吸引を抑えている。底面に関して少しても衝撃はあった。それは、底面の吸気箇所が完全に電源に集約されていることだ。G-Tuneのミニタワーは底面全体にエアホールがあり、全体を覆う防塵フィルターを採用していた。それをNEXTGEARでは実用性に完全に割り振っている。フロント3基、天板2基の吸気ファンは底面にも影響を与えていたのだ。
電源部分にのみ吸気口を用意しており、防塵フィルターもその部分だけにしている。これは完全に電源のためのスペースとして準備されている。電源の冷却と防塵のみを考えており、電源のパフォーマンスを安定させる構造だと言える。それはケース底面四隅の足を見てもわかる。一般的なパソコンやゲーミングPCはあまり高くないゴム足が採用されている。
そのため、底面はメンテナンスがしにくく、埃もたまりやすい環境になる。当然埃の吸入も多くなり、電源へのダメージは大きい。これだけの高さのあるNEXTGEARなら、電源は安定した吸気が可能となる。さらに、防塵フィルターの存在で電源へのダメージは軽微になるはずだ。ただ、防塵フィルターは定期的に水洗いして乾かすなどのメンテナンスが必要になる。
管理人による総評(NEXTGEAR JG-A7G60)
NEXTGEAR JG-A7G60は、Ryzen 7 5700X×RTX 4060搭載のミドルクラスのゲーミングPCである。GeForce RTX 4060搭載モデルの中で高い評価を得ていたが、競合モデルからより優れたモデルが登場して評価を落としている。充実の構成が仇となった形だ。もう数万円安くして欲しいところだ。この性能帯で水冷CPUクーラーを搭載しているのは驚きだ。オーバークロックへの適性が上がる。ストレージを見ても見劣りしない。
ケースデザインもゲーミングPCらしさがあり高い評価を得ている。さらに、マウスコンピューターは基本保証3年間かつ送料無料とサービス面が手厚い。24時間365日の電話サポートも頼もしい。ショップの評価まで見れば選択肢として悪くないかもしれない。比較対象モデルと合わせて確認しておくとよいだろう。
価格 | CPU | グラボ |
---|---|---|
164,800円 | 7 5700X | RTX4060 |
メモリ | SSD | HDD |
DDR4 16GB | 1TB | 非搭載 |