HPが販売するゲーミングPC「OMEN 25L パフォーマンスプラス」についてレビューをまとめた。Core i7-14700F×GeForce RTX 4070 Ti SUPER搭載のハイエンドクラスのゲーミングPCだ。ハイエンドクラスとは思えないほど価格が安く、それこそが最大の特徴となるモデルだ。GeForce RTX 4070 Ti SUPER搭載モデルで、最もおすすめしたいモデルでもあるので要チェックだ。
価格を抑えるために構成を控えめにしているわけではなく、目立った弱点がないのは素晴らしい。ゲーミングPCとしても完成度が高い。カスタマイズができないことで、構成に幅をもたせられないことだけが残念な点だ。それを除けばパーフェクトである。予算が30万円以下であるなら、OMEN 25L パフォーマンスプラスモデルを強くおすすめしたい。
当ページの目次
OMEN 25L パフォーマンスプラスのスペック解説
メーカー | HP |
---|---|
ブランド名 | OMEN |
製品名 | OMEN 25L パフォーマンスプラス |
価格 | 通常時/418,000円 キャンペーン/279,400円 |
CPU | Core i7-14700F(レビュー) |
GPU | GeForce RTX 4070 Ti SUPER(レビュー) |
メモリ | DDR5-5200 16GB |
SSD | NVMe 1TB Gen4 |
電源 | 800W 80PLUS GOLD |
マザーボード | チップセットH770 |
おすすめ度 | Sランク |
評価 | ・コスパ 10.0 —–内訳—– ・ショップ評価 8.2 |
コストパフォーマンスの評価は10.0の最高評価だ。主に抑えられた価格が高評価につながっている。おすすめ度も最高のSランクだ。ハイエンドクラスのモデルとしてはやや構成が控え目だが、それをひっくり返せるほど突き抜けたコストパフォーマンスを誇る。もう少しハイエンドクラスらしい構成や特徴があればというのが本音だ。ハイエンドクラスはコストパフォーマンスよりも、重視するべき箇所が多い。
OMEN 25L パフォーマンスプラスのカスタマイズ(おすすめ度)
- CPU -
- CPUグリス –
- メモリ –
- SSD –
- 電源 –
OMEN 25L パフォーマンスプラスは、構成のカスタマイズには対応しておらず、変更を加えることはできない。既製品に近いもので、BTOパソコンではないという扱いだ。価格が抑えられているモデルは、カスタマイズでさらに化けやすい。カスタマイズができれば、トップモデルになれたかもしれないと思うと少し惜しい。なお、デバイスなどの周辺機器とサポートのカスタマイズには対応している。
各タイトルの対応表
Apex Legends | フォートナイト | パルワールド | マイクラ |
---|---|---|---|
・240Hz ・144Hz | ・240Hz ・144Hz | ・144Hz ・60Hz | ・影Mod ・通常 |
★5つ=最高設定、★4つ=高設定、★3つ=標準設定、★2つ=低設定、★1つ=厳しいということだ。なお、対応表は必要なスペックや環境から評価した個人的な見解となっている。
OMEN 25L パフォーマンスプラスはCore i7-14700FとGeForce RTX 4070 Ti SUPERを搭載したハイエンドクラスのゲーミングPCだ。ゲーム性能に特化しており、最新のゲームに対しても高い対応力を持っている。ハイエンドクラスらしく、負荷の高い環境を得意としているため、高リフレッシュレートでのゲームプレイを前提としているならおすすめだ。
Apex Legendsは、対人要素の強いゲームで、フレームレートの安定が試合を有利に進める。240fpsの張り付きを目指せるOMEN 25L パフォーマンスプラスは、最適なゲーミングPCである。高い負荷のかかる場面でも安定しやすく、本格的にApex Legendsをプレイするならおすすめだ。フォートナイトは、Apex Legendsよりも負荷の軽い同ジャンルのゲームだ。240Hzの上を行く360Hzにも対応できる。アップデートで負荷が高くなりつつあるが、まだまだ余裕を持って対応できる。
推奨環境が高いパルワールドは、最高設定で144Hz環境を安定させられる。ただし、ゲームが進行すると少し不安定になる。推奨環境のメモリ32GBを満たしていないことが影響してくる。ソロプレイでは概ね144fps以上の安定を目指せるが、マルチプレイでは120fps程度に落ちることもある。それを理解して選ぶなら問題ないだろう。Minecraftは、登場して15年以上経つ古いゲームだ。快適にプレイするには十分な性能を有している。影Modを導入したマルチサーバーでも安定したゲームプレイが可能だ。サーバーや場所によってはチャンクを広げすぎると負荷がかかる。描写距離をほどほどにしていれば快適性を維持できる。ソロでは最高設定にしても余裕で対応できるのでおすすめだ。
OMEN 25L パフォーマンスプラスの性能まとめ
パソコンはパーツの集合体だ。様々なパーツにより、一つのパソコンが構成されている。それぞれのパーツは重要な役割を担っており、どれが欠けても動作しない。そのパーツの中でも、CPUとグラフィックボードはゲーミングPCの性能を決定付けている。ゲーミングPCの性能は、この2つのパーツの性能が直結している。パソコンにあまり慣れていない方には、スペックや型番から性能をイメージすることは難しいだろう。性能を数値とグラフで見ることで、それぞれの性能を理解しやすいはずだ。
Core i7-14700F(CPU)
OMEN 25L パフォーマンスプラスでは、CPUにIntel第14世代のCore i7-14700Fが搭載されている。ゲーム性能は優秀で、上位グレードとなるCore i7-14700KやCore i9-14900Kに対しても、スコアでは迫っている。従来のIntel第13世代のCore i7-13700と比べて、性能は2~3%程度の伸びがある。数値で見るとそれほど伸びていないように思える。しかし、従来のIntel第13世代最上位クラスのCore i9-13900Kに匹敵する性能を持っている。スコアの高さから、3%近く伸びれば体感できるほどの差となる。
ただ、いかに差をつけているとは言っても、近いスコアを持つCPUからの買い替えは恩恵が少ない。Core i9-13900KやCore i7-13700Fからの買い替えはおすすめしない。性能が大きく下がるIntel第12世代以前のCPUを使用しているなら交換対象だ。第13世代でも、Core i5からなら性能差を体感できるだろう。Core i5もしくは第12世代以前のCPUからなら違いをしっかり感じ取れるはずだ。現行のCPUの中でも、性能と価格のバランスに優れ、ゲームもそれ以外にも使用しやすい。誰にとっても理想的なCPUになる。
GeForce RTX 4070 Ti SUPER(GPU)
GeForce RTX 4070 Ti SUPERは、2024年1月24日に発売されたグラフィックボードだ。Ada Lovelace世代では後発のモデルで、GeForce RTX 4070 Tiの後を継ぐ重要なポジションを担う存在だ。GeForce RTX 4070 TiとGeForce RTX 4080の中間に近い性能を有し、GeForce RTX 4070 Tiと同じ価格を持っている。当初はGeForce RTX 4070 Ti SUPERの登場で、GeForce RTX 4070 Tiが終売すると言われていた。実際には両者健在だ。登場時期の違いで価格差が生じており、差別化が図れている。
GeForce RTX 4070 Tiは、ハイクラスかハイエンドクラスか悩ましい性能だった。GeForce RTX 4070 Ti SUPERは、はっきりとハイエンドクラスと言える性能がある。このため、GeForce RTX 4070 Ti SUPERは、最も選びやすいハイエンドクラスとなっている。これまで手が出しにくかったハイエンドクラスが身近になり、ゲーマーにもよい影響を与えそうな存在だ。今後のシリーズにも変化をもたらすことを期待している。
OMEN 25L パフォーマンスプラスの特徴&注意点
コストパフォーマンスに優れたハイエンドクラス
OMEN 25L パフォーマンスプラスは、高いコストパフォーマンスを有するゲーミングPCだ。Core i7-14700FとGeForce RTX 4070 Ti SUPERの組み合わせで27万円台は驚異的だ。2ランク下のGeForce RTX 4070 SUPER搭載モデルの相場である。構成を削り切っているわけでもなく、最安値クラスを実現している。
ハイエンドクラスは、コストパフォーマンスよりも性能や構成を重視したモデルが多い。それでも、価格を抑えやすいコストパフォーマンス特化モデルの方が選びやすい。そのため、いかにハイエンドクラスといえども、価格を抑えたOMEN 25L パフォーマンスプラスのようなゲーミングPCは人気になるはずだ。他の高コスパモデルと比べても圧倒している。
GeForce RTX 4070 Ti SUPER搭載モデルを候補に入れるなら、間違いなくOMEN 25L パフォーマンスプラスモデルは頭一つ抜けた存在だ。いや、むしろ他に選択肢があるのか疑問だ。同じ価格帯に競合する製品がない以上、OMEN 25L パフォーマンスプラスモデル一強と言ってもよいかもしれない。
ハイエンドクラスには、性能特化・構成特化・価格特化・バランスの4パターンがある。性能特化と構成特化は価格帯が大きく異なる。バランスはほどほどの価格に抑えられるが、これといった特徴を持たないモデルになりやすい。価格特化は価格が安いだけで、様々な構成が犠牲になっている。驚くべきことに、OMEN 25L パフォーマンスプラスモデルは価格特化というよりも、バランス寄りのモデルだ。
基本的に弱点がなく、強力な特徴を多く持っている。死角のないモデルなだけに、GeForce RTX 4070 Ti SUPER搭載モデルは競争が終了したと言えるのではないか。後述する唯一の弱点がなければ、GeForce RTX 4070 Ti SUPER搭載モデルはOMEN 25L パフォーマンスプラス以外に選択肢はなかっただろう。その弱点があっても、立場が揺らぐほどではない。気にする方は気になる程度のものだ。ここまでおすすめしたいモデルはそう多くない。
カスタマイズができないことが弱みとなる
OMEN 25L パフォーマンスプラスの弱点はカスタマイズに対応していないことだ。デバイスやサポートについてはカスタマイズあるいはアップグレードができるが、ゲーミングPC本体の構成変更はできない。ハイエンドクラスは、価格よりも性能や構成を重視する方が多いはずだ。最上位の性能帯なのだからそれも当然だ。やや構成がオーソドックスなOMEN 25L パフォーマンスプラスではデメリットとなる。
せめてメモリぐらいはカスタマイズができるとよかった。最近のゲーム事情を考えれば、ハイエンドクラスならメモリ容量32GBはほしい。推奨環境に16GBが求められるゲームが増えており、パルワールドでは32GBが推奨されている。今後登場してくるゲームのことを想定すれば、32GBある方がハイエンドクラスの性能を活かしやすい。
標準で16GBのOMEN 25L パフォーマンスプラスは、カスタマイズで32GBにできないというのがデメリットだ。また、標準で搭載されているメモリ規格がDDR5-5200と高規格である。DDR5は2枚のメモリを挿入していれば問題なく認識するが、4枚の挿入になるとDDR5-4000/DDR5-3600に認識される規格が下がる。これを避けるためには、16GBのメモリ2枚を別途購入して交換することになる。
この手間やコストがOMEN 25L パフォーマンスプラスにとっての弱みと言える。規格をあまり気にしなければ4枚挿入してしまっても問題はない。ハイエンドクラスに対して、性能の妥協が求められることに不満があるかどうかだ。実際に体感できるほどの差があるかはわからない。微差であることは間違いないので、価格の安さを考慮すれば飲み込めるマイアンス要素だと考えている。
実際にメモリ容量32GBが必要になるかは、プレイするゲームやプレイスタイルによるところが大きい。必要になったら増設するくらいに考えておく方が気楽なはずだ。重大な問題ではなく、強いて挙げれば弱点になるくらいのことでもある。あまり深く感がなくてもいい。ただ、こういった弱点があることを認識しておく方が、対応しやすいという話だ。
似ているゲーミングPCとの比較
ブランド | OMEN | GALLERIA |
---|---|---|
イメージ | ||
製品名 | OMEN 25L パフォーマンスプラスモデル | GALLERIA RM7C-R47S |
ケース | ミニ | ミニ |
価格 | 279,400円 | 287,980円 |
送料 | 無料 | 3,300円 |
CPU | Core i7-14700F | Core i7-14700F |
GPU | RTX 4070 Ti SUPER | RTX 4070 SUPER |
メモリ | DDR5-5200 16GB | DDR4-3200 16GB |
SSD | 1TB Gen4 NVMe | 500GB Gen4 NVMe |
電源 | 800W GOLD | 750W GOLD |
マザボ | H770 | B760 |
納期 | 最短翌日出荷 | 最短翌日出荷 |
保証 | 1年間 (最大3年間) | 1年間 (最大5年間) |
電話サポート | Café de OMEN (平日9:00-21:00 土9:00-17:00) | 24時間365日 |
公式 | 公式 | 公式 |
レビュー | 当ページ | レビュー |
GALLERIA RM7C-R47Sを販売するドスパラは、保証とサポートに優れている。国内大手BTOメーカーというのは強みだ。最大5年間の延長保証、24時間365日対応の電話サポートはありがたい。一方でOMEN 25L パフォーマンスプラスの電話サポートはかなり限定的だ。有料オプションで期間限定ながら24時間365日対応の電話サポートに変更は可能だ。
価格が安いので、サポートを変更するのはありだろう。しかし、24時間365日のオプションは最大で1年だ。やはりサポート面はドスパラに軍配が挙がる。トータルで見てOMEN 25L パフォーマンスプラスを避ける理由にはならない。
パソコンケースレビュー
正面右
シンプルなケースデザインを採用している。サイズは約165 mm × 396 mm × 448 mmとゲーミングPCとしてはかなり小さい。やや高さがあるもののスリムタワーケースに近い。
正面左
本体左側はクリアガラスパネルを採用している。本体前面にはOMENのロゴが刻印されている。
本体上部
本体上部にはインターフェースがまとめられている。USB Type-A×2、ヘッドフォン出力/マイク入力端子×1、電源端子が配置されている。
本体背面
本体背面にもインターフェイスがある。本体下部には電源スイッチが配置されている。各所メッシュ加工が施されていてしっかりと排気してくれる。
本体左内部
本体内部にはある程度余裕がある。拡張性もまずまずだ。
管理人による総評(OMEN 25L パフォーマンスプラス)
OMEN 25L パフォーマンスプラスは、Core i7-14700F×GeForce RTX 4070 Ti SUPER搭載のハイエンドクラスのゲーミングPCだ。ゲーマーにとって憧れとも言えるハイエンドクラスは、なかなか手が届かないモデルだ。これまでも、これからもそういった存在になりそうだった。OMEN 25L パフォーマンスプラスの登場で、ハイエンドクラスは身近な存在になりそうだ。性能的にゲームが遊びやすく、価格的に選びやすい。ハイエンドクラスとは思えない理想的なモデルが登場した。
コストパフォーマンスの評価は10.0と高く、お得なモデルであることは間違いない。性能を重視する方でも、価格を重視する方でも候補に入ってくるだろう。予算が30万円以下であるなら、誰にでもおすすめできるモデルだ。これまで、価格を意識したハイエンドクラスはいくつも登場してきた。しかし、OMEN 25L パフォーマンスプラスほど優れたモデルはなかったのではないだろうか。性能・構成・価格で圧倒し、他の製品では追いつけない領域にまで到達している。これからゲームを始める初心者の方、コアなゲーマーの方まで幅広いユーザーに選んでほしいゲーミングPCだ。
価格 | CPU | グラボ |
---|---|---|
279,400円 | i7-14700F | RTX4070TiS |
メモリ | SSD | HDD |
DDR5 16GB | 1TB | 非搭載 |