当記事では、オンラインゲームのチートとは何かについて解説している。チートにはどんな種類があるのか?チートをしたら逮捕されるのか?といったことについても詳しくまとめていく。ゲームをプレイしているとチーターやチートという言葉を聞いたことがある方も多いと思う。
チートをしていない大多数の一般ゲーマーからするとうざいと感じてしまうだろう。ゲーム内の秩序を乱す悪質な行為の一つだと言える。ユーザーへの抑止効果も期待して記事を書いていくとしよう。
当ページの目次
オンラインゲームにおけるチートとは?
チート(Cheat)とは、不正プログラムなど運営側が意図しない方法(チートツール)でゲームを有利にすすめることだ。このチートとは、英語のCheat:騙すが語源となっている。チートツールを使用すれば、プログラミングの知識がなくても通常ではできないような様々な不正プレイが可能になる。
例えば、壁を透明にして敵の位置やアイテムの場所を分かりやすくするウォールハック・無敵・スキルクールタイム無し・ステータス操作など多岐に渡る。他のユーザーよりも有利に立場に立ったり、課金をせずにゲームを進めたりすることを目的にチートを使うユーザーがいる。オンラインゲームに不正やチートはつきもので切っても切れないものとして定着してしまっている。それは不正を行わずにゲームをプレイするユーザー割を食うことになる。
ゲーム側のセキュリティの向上やシステムの変更により、チートの数は減少傾向にある。特に世界的に人気の高いゲーミングプラットフォームである「Steam」ではチート対策がしっかり行われて安心してゲームを楽しめる環境がある。それでも、1日オンラインゲームをプレイしていれば1~2回はチーターと遭遇する。勝敗を決めるようなゲームでは、楽に勝利を手にできるのでチートが完全になくなる日というのはきっと来ないだろう。
チートの種類
ウォールハック・無敵・加速(FPS)
壁を透明化するWH(ウォールハック)、全ての攻撃を無効化する無敵、目にも留まらぬ移動速度の加速といったチートはFPSで代表的なものだ。加速や無敵などのステータスを変更するチートは他のユーザーにとっても分かりやすい。一方で、瞬時に照準を敵に合わせるオートエイム、リロード無しで打ち続けられるリロード無効は初見では気付きにくい。
システムの隙間を狙ったチートはゲーム側から見つけることは難しい。実際に対戦したプレイヤーが運営に報告することで露見する。これらは完全なBAN対象となる不正行為だ。オートエイムは初心者プレイヤーが使用する率が多く、誤魔化し方が下手で不自然な動きになりやすい。
WHも同じであるが、意図せず照準が動くオートエイムと違い、WHは熟練したプレイヤーが使用すると看破し辛い。悪く言えば看破できないチートはチートと判断されない。それでも、BAN対象になるチートであることに変わりはない。このようにFPSでは昔からたくさんのチートがあるのだ。相手がいてより有利な立場に立てるということから手を出すユーザーがいる。
マクロ(MMORPG)
MMORPGにおける主なチートとしては、RMT業者が効率よくゲーム内通貨を集めるために使用する「マクロ(bot)」がある。入力したキーを繰り返し自動入力するチートだ。放置している間に狩りや採集を繰り返すので時間効率がよい。このマクロはオンラインゲーム黎明期から存在している。
以前はこのマクロを使用した業者プレイヤーが大量に集まっていて問題になったことがある。特定のフィールドで延々狩りや採集を行っていたので、そのフィールドだけ負荷が高くなったり、マクロプレイヤーが集まるとクライアントが落ちたりするなどの弊害も多かった。このマクロはゲームバランスの崩壊及び他プレイヤーへの迷惑行為となりBAN対象である。
このマクロ増殖以降、MMORPGはサードパーティツールに非常に厳しくなった。ゲーム自体ではなく、ゲームのプロテクトが様々なツールを弾くようになったのだ。その弾き方は凄まじく、アンチウイルスソフトや動画キャプチャソフトにまで至ることもあったぐらいだ。
マクロは不正行為・チートと認識されていて、そのマクロを組めるゲーミングデバイスも多く存在している。こういったゲーミングデバイスもチートツールの一種なのではないかという声が挙がったことがある。その対策なのか、ゲーム内で全く同じ挙動を繰り返すと不正検知でログアウトされるゲームも存在している。
このゲーミングデバイスのマクロ機能は運営の判断次第でBAN対象となる。そのためグレーゾーンでなく黒だ。ただし、マクロ機能が搭載されていても、マクロ機能を使用しなければ問題ない。不正ツールとして販売されているわけではないので、使用の際は自己責任で判断して欲しい。
パラメーターや状態の改ざん(全般)
最後にPC向けタイトルだけではなくスマホアプリでも起こり得るチートについて紹介しておく。まずはパラメーターの改ざんだ。これはキャラクターのステータスを引き上げてゲームを進めることを容易にすることを意味する。ゲームを始めた直後でも最強のキャラクターを作ることができるのだ。
状態の改ざんは、課金をしなくても体力を復活させたりゲームを進めたりすることだ。一定時間が経過して体力が回復するのを待つ必要がなく運営側の意図とは違いどんどんゲームをプレイできてしまう。その他所有アイテムの改ざんということもある。いわゆるガチャをせずにアイテムを手に入れるということだ。
本来であれば有料課金をしなければいけないにも関わらず無料で済ませてしまうことになる。特にスマホアプリでこういったチートが多いようだ。このようなケースではゲーム運営側が損害を受けていることが明確で損害賠償請求をされる可能性もある。
チートに関する検挙事例まとめ
ここではチートに関する検挙事例について簡単に解説していく。チートはれっきとした違法行為で逮捕の可能性もあることを理解しておく必要がある。チートについては刑事対応を中心おした厳しい対応が進められることが予想される(安田, 2015)のだ。
警視庁のホームページ(外部リンク)でもチート行為について言及されている。たかがチートと思ってはいけない。知らないからといって許される問題ではないのだ。軽い気持ちで手を出して検挙されてしまった人もいるだろう。なお、チートツールの使用者だけではなく開発した人も検挙される可能性がある。
コナミ(株) 対 スペックコンピュータ(株)事件
コナミが販売するときめきメモリアルの改変セーブデータを格納したメモリーカードを巡って、販売を行った企業が同一性保持権の侵害によって損害賠償を請求された事件(SOFTIC, 1999)だ。
内容としてはときめきメモリアルのゲームの中にある体調・文系・理系・芸術など9種類のパラメーターを意図的に変更できるというものだ。当時話題になった事件で、20年以上も前からチートは存在していたのだ。
同一性保持権とは、自分の著作物の内容又は題号を自分の意に反して勝手に改変されない権利のこと(CRIC, 公開年不明)だ。この権利を侵害すると同一性保持権の侵害となる。
オンラインゲームで「チート」悪用 少年3人を全国初摘発
2014年に人気FPSだったサドンアタックでチートツールを使用したとして電子計算機損壊等業務妨害罪によって少年が書類送検(カナコロ, 2014)された。壁越しに相手を狙撃できたり、相手の頭部が巨大化して狙いやすくなったりするソフトだったようだ。
彼らは本来存在しない合計37種類のチートツールを開発して販売していた。動画配信サイトにプレイ動画を投稿して収入も得ていたようでかなり悪質であることがわかる。サドンアタックが被った損害は甚大だ。純粋にゲームを楽しんでいるユーザーが不憫だ。
電子計算機損壊等業務妨害罪とは、人の業務に使用する電子計算機・その用に供する電磁的記録を損壊し、もしくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報・不正な指令を与え、またはその他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、または使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害する犯罪(横浜ロード法律事務所, 公開年不明)です。
セーブデータの改造代行、不正競争防止法違反で男性ら初摘発
2019年にポケットモンスターウルトラサン/ウルトラムーン及びMONSTER HUNTER 4Gのセーブデータの改造代行で会社員の男が逮捕(ACCS, 2019)された。ネットオークションなどでセーブデータの改造代行を行ったようだ。
2018年施行の改正不正競争防止法に基づく初の摘発となっている。不正に改造されたソフトを使用したプレイヤーがゲームに参加してしまうとゲームバランスが崩れ悪影響を与えてしまうことになる。運営側としては当然許せない行為だ。
不正競争防止法とは、企業や個人などの事業者間の適正な競争を確保するため、これを阻害する行為を「不正競争行為」として規定し民事措置(差止請求権、損害賠償額の推定等)や刑事罰を定める法律(ACCS, 2018)です。その中の技術的制限手段について改正されてオンラインゲームのデータも対象となった形です。
運営側によるチートへの対策
タイトルごとに許容される範囲が異なっている。チートと一言で言っても受け取り方は様々だ。そのため、いつも普通にしていたことが不正行為とみなされてBANされることもある。どこからがチートなのか、どこまで許容されているのかを考えてみよう。
BANでの対応
ゲーム運営はゲームバランスが崩れるのを防ぐためにチートや不正を繰り返すユーザーを定期的にBANしている。チートが蔓延してしまうと徐々にプレイヤーが減少してゲームが終了してしまうので当然の対応だろう。BANとは英語のban(禁止、破門、追放という意味)から来ている。
垢banという形で使用されることが多く、ゲームアカウントの凍結や利用停止の状態のことを指している。IP BANではなく、アカウント凍結措置が基本だ。だから不正プレイヤーはまた別アカウントで不正を開始するいたちごっこになっている。
また、悪用しなくても不正行為としてBANされることがある。例えば、フィールドは見えない壁で行ける範囲が限定されている。この見えない壁を超えて未実装地域や、本来辿り着けない場所に行くことはBANの可能性がある。運営が想定していないことを実行すると場合によってはBANの対象となるので、探索も深くやりすぎると危険である。
運営はチートや不正行為に対してアカウント停止措置を取る。運営の想定していないことは一定期間、チートを使用すると永久凍結などゲームに与えた影響によってBANの重さも変わってくるようだ。ゲームプラットフォームの「Steam」の場合は一律永久凍結と厳しい処罰を行う。
ゲーム内アイテムのトレードができるゲームでは特にチートが多い。BANされて有料ゲームを買い直すことになっても、その分を賄えるほど不正行為で金銭を賄えるからだ。一時期問題になり、PUBGはゲーム内アイテムのトレードが不可能になってしまった。
プロゲーマーであってもBANされることに変わりはない。2014年11月にはCounterStrike:Global OffensiveのプロチームTitanに所属するKQL氏がBANされている。その他、過去にチートを使用したプロゲーマーも大会出場停止されたことがある。
告訴
すでに一名、チーターでの逮捕者が出たようなので、警察に提出させて頂いた告訴状の一部を公開いたします。
現時点でさらに複数名のチーターに対する告訴を進行しております。
示談には一切応じません。よろしくお願い致します。 pic.twitter.com/qYWw67s7Lq
— ぎんなん@荒野行動開発者 (@ginnan_0) February 16, 2020
上記は荒野行動の開発者の方のツイートで告訴状の一部が公開されている。悪質なものについては告訴される可能性があるのだ。ここで言う悪質とは、ゲーム運営側に金銭的な損害を与えた場合だ。
例えば、チート対策に費用が掛かってしまったり、本来有料課金で売上が上がるはずが上がらなかったりする場合などが該当する。逮捕されるのではないかと不安になるぐらいなら手を出さない方がよい。
その他チートのあれこれ
チートか否かは運営次第
不正行為を続けていてもBANされないユーザーもいれば、不正行為を一切していないにもかかわらずBANされるユーザーもいる。自分は無実であると訴えても運営は基本的に相手にしてくれないだろう。疑わしきは罰せずではなく、疑わしきは罰するという厳しいスタンスだ。
多くのゲームがRMTを禁止している。相場とはかけ離れた価格でアイテムをトレードするとRMTを行ったとして疑いがかけられることもある。ボイスチャットが普及している今、トレード内容を口頭で伝えていることも多い。プレゼントや借金のような形で大量のゲーム内通貨を渡す行為がRMTと判断される可能性がある。口頭で伝えているため、チャットログはゲーム内に残っておらず、運営は判断することが出来ないのだ。
不正を行っている確たる証拠は無くても、不正を行っていない確たる証拠も無い。そのため、誤BANの多くは泣き寝入るとなってしまう。2021年現在、RMTでBANになることは少なくなっている気がする。上記の通り、判断が難しいのだろう。だからと言ってRMTを推奨したりはしない。不正は行うだけでリスクである。
現金で様々なことを解決するのはゲームの本筋ではない。チートや不正はゲームをつまらなくしてしまうだろう。また、疑いの目を向けられる行為は長くゲームを続ける上でマイナスでしかない。ルールに則ったゲームプレイを推奨したい。
サードパーティツールの扱い
チートツールを使用していなくてもゲーム側が不正ツールを検出してゲームが強制終了されることがある。例えば、正規のアンチウイルスソフトなどの常駐ソフトも誤検知されるケースがあるのだ。この場合はBAN対象になることは少ない。基本的には最新の状態にアップグレードしておくのがよいだろう。
一切不正を行っていないプレイヤーがアカウント凍結される「誤BAN」も問題になった。誤BANが行われても不正を行ったか否かの判断ができないことから、取り消されることは基本的にないと考えておこう。現在はアンチウイルスソフトなど不正目的でないツールが検知されることは少なくなっている。
最後に
チートとは不正プログラムを使ってゲームを有利に進めることだ。チートを販売して金銭の授受が行われたり、チートツールを購入したユーザーが使用してゲームバランスを崩したりと問題になっている。チートを使用するユーザーとオンラインゲームの運営は、昔から続く長い戦いを繰り広げているのだ。
現在、国内のオンラインゲームでのチート使用は減少傾向にある。特に基本無料系のMMORPGではチートを使用するユーザーは極稀にしか見かけない。今チートが蔓延っているのは勝敗のある対人メインのゲームだろう。PUBGやCSGO、フォートナイトもそれに該当する。人気の高いゲームにはチート使用者がすぐに集まってくる。必至に勝とうとプレイしているユーザーを嘲笑するためだろうか。
苦労も無く勝利をもぎ取り、優越感に浸っているのだろう。ゲームをプレイする上で、チートは非常に腹ただしい。一気にモチベーションが下がる。過去何百、何千とチートに遭遇してきた。その度にストレスを抱えていたものだ。不正ツール使用者に鉄槌を下せるその日を夢見つつ、平和で安全なゲームプレイをしていきたい。
チートを見かけたら迷わず運営に通報だ。そうすることでゲーム内での秩序は保たれていく。ただし、負けた腹いせにチート使用者だと通報するのは当然NGだ。全世界で行われているハラス行為である。わざと誤通報を繰り返し過ぎると迷惑行為に該当してBAN対象となることもある。
参照外部サイト一覧
- オンラインゲーム上のチート行為への法的対応(安田, 2015)
- コナミ(株) 対 スペックコンピュータ(株)事件 第二審(SOFTIC, 1999)
- 著作者にはどんな権利がある? | 著作権って何? | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRIC(CRIC, 公開年不明)
- オンラインゲームで「チート」悪用 少年3人を全国初摘発(カナコロ, 2014)
- セーブデータの改造代行、不正競争防止法違反で男性ら初摘発(ACCS, 2019)
- 電子計算機損壊等業務妨害罪|横浜の弁護士による無料相談|横浜ロード法律事務所(横浜ロード法律事務所, 公開年不明)
- セーブデータの改造代行、不正競争防止法違反で男性ら初摘発(ACCS, 2019)
- 不正競争防止法の改正について(ACCS, 2018)
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