corei7-4770k画像引用元:https://www.ark-pc.co.jp/

当ページでは、Core i7-4770Kのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。2023年6月にCore i7-3770Kの後継モデルが発売された。コンシューマー向けのフラグシップモデルだ。Haswell世代は、Intelのチックタック戦略の”タック”に当たる。プロセスは従来モデルの踏襲しつつ省電力性に磨きが掛かりさらにCPU内蔵グラフィックスも強化されている。これらの進化はデスクトップ向けモデルを意識しているというよりは、どちらかというとノートパソコンやタブレットを想定していると言える。

それでもCore i7-3770Kと比べて着実に進化しているのは間違いない。残念ながら飛躍的なパフォーマンス向上が見込めるわけではない。競合がいないこともあって性能を制限しているようにさえ感じてしまう。基本的にはCore i7-3770Kからの買い替えはメリットは薄い。プラットフォームが変わったこともあって換装コストが高いのもデメリットだ。後継モデルは、Devil’s Canyon世代の「Core i7-4790K」だ。より高いクロック周波数を実現していて高いパフォーマンスを発揮する。Core i7-4770Kと同じ価格帯ということもあって注目度が高い。

Core i7-4770Kの概要

スペック比較

Core i7-4770K Core i7-3770K AMD FX-8350
メーカー Intel Intel AMD
コードネーム Haswell Ivy Bridge Vishera
プロセス 22 nm 22 nm 32 nm
トランジスタ数 14億 14億 12億
ダイサイズ 177 mm² 160 mm² 315 mm²
CPUコア数 4 4 8
スレッド数 8 8 8
定格クロック 3.5 GHz 3.5 GHz 4.0 GHz
最大クロック 3.9 GHz 3.9 GHz 4.2 GHz
L3キャッシュ 8MB 8MB 8MB
対応メモリ DDR3-1600 DDR3-1600 DDR3
内蔵グラフィックス Intel HD 4600 Intel HD 4000 非搭載
Execution Units 20基 16基
PCI-Express Gen 3 16 Lanes Gen 3 16 Lanes Gen 2
ソケット Socket 1150 Socket 1155 Socket 1155
TDP 84 W 77 W 125 W
MSRP $350 $313 $199
中古価格 7,980円~ 10,800円~ データなし
発売日 2013/06/02 2012/04/29 2012/10/23
Core i7-4770Kは、Haswell世代のハイパフォーマンスモデルとなっている。Core i7-3770Kと同じ22nmプロセスを採用しつつマイナーチェンジが図られている。トランジスタ数は14億と変わっていない。ダイサイズは11%大きくなり177 m㎡となる。CPUコア数及びスレッド数は4コア8スレッドと共通だ。定格クロックは3.5GHz、最大クロックは3.9GHzと変わっていない。

L3キャッシュ容量は8MBとなる。対応メモリはDDR3-1600だ。内蔵GPUがHD 4000からHD 4600へとアップグレードされている。Execution Unitsが16基から25%増えて20基となる。ソケットはSocket 1155からSocket 1150となる。Socket 1155との互換性はない。TDPは10%アップで84Wだ。PCI-ExpressはGen 3.0 16 Lanesをサポートしている。価格は12%高く$350だ。

競合モデルとなるのはAMD FX-8350だ。性能的にはCore i7-4770Kよりも大きく劣る。プロセスは32nmを採用している。トランジスタ数はCore i7-4770Kよりも14%少なく12億だ。ダイサイズは78%大きく315m㎡となる。CPUコアはCore i7-4770Kの倍の8コアだ。ハイパースレッディングには対応しておらずスレッド数はCore i7-4770Kと同じ8スレッドだ。

定格クロックはFX-8350の方が15%高く、最大クロックもFX-8350の方が8%高い。L3キャッシュは8MBと共通だ。対応メモリはDDR3となる。内蔵GPUは非搭載だ。ソケットはSocket AM3+だ。TDPはCore i7-4770Kよりも43%高く125Wだ。PCI-Expressは一世代前のGen 2をサポートしている。価格は$199とCore i7-4770Kよりも43%安価だ。

マルチコア性能

型番 総合性能
Ryzen 5 3500 9,708
Ryzen 5 1600 9,297
Core i5-8400 7,602
Core i7-7700K 7,467
Core i3-10100 6,652
Core i7-7700 6,494
Core i7-6700K 6,388
Core i7-4790K 6,066
Core i7-6700 5,743
Core i7-4770K 5,526
Core i7-4790 5,454
Core i7-4770 5,401
Core i5-6600K 4,878
Core i7-3770K 4,773
Core i3-8100 4,620
Core i7-3770 4,598
AMD FX-8350 4,190
Core i5-7400 4,167
Core i7-2700K 4,098
Core i5-4590 4,004
Core i7-2600K 3,915
Core i5-3570K 3,854
Core i7-4770Kの性能スコアは5,526となっている。従来モデルのCore i7-3770Kと比べて15%程度パフォーマンスが向上しているが、そもそものスコアが小さいためそれほど参考にはならない。数値的には800増えただけだ。ゲームプレイ時のパフォーマンスもCore i7-3770Kとそれほど変わらない。Core i7-2700Kと比べても35%程度向上しているものの数値で言えば1,500だ。

もっとも当時の競合モデルであるAMD FX-8350は全く通用しておらずCore i7-4770Kと比べて25%程度劣る。当サイトが基準としている10,000スコアの半分に留まる。Core i7-4770Kについては残念ながらゲーム目的での使用は推奨しない。次世代モデルのCore i7-4790KやCore i7-6700Kでも少しずつ厳しい状況だ。Core i5-10400やRyzen 5 3500を最低基準に考えたい。

Core i7-4770Kの評価【2025年】

ゲーミングCPUとしての評価は高くない

i7-4770kgamescore
Core i7-4770Kのゲーム性能スコアは18,450だ。20,000を基準とした場合8%程度届かないということになる。ゲーム用途でのおすすめ度はそれほど高くない。それでもGTX 1650やGTX 1050 Tiなど50番台のグラフィックボードと組み合わせるのであればそこまでネックとなることはないだろう。フルHD環境で設定を下げてもよいのであればコストを抑えられるという点でメリットがある。次世代モデルのCore i7-4790Kとの性能差は1%前後とそれほど大きいわけではない。

中古価格は7,980円~とコスパは伸びない

製品名 コア/スレッド ゲーム性能 価格 コスパ 発売日
Core i5-9400F 6/6 19,922 10,980 1.814 2019/02/01
Core i5-8400 6/6 19,739 6,480 3.046 2017/11/02
Core i7-7700K 4/8 19,431 11,480 1.693 2017/01/06
Core i7-6700K 4/8 19,186 10,480 1.831 2015/08/01
Core i3-8100 4/4 18,769 3,980 4.716 2017/10/05
Core i7-6700 4/8 18,695 7,980 2.343 2015/07/01
Core i7-4790 4/8 18,499 4,980 3.715 2014/05/01
Core i7-4770K 4/8 18,450 7,980 2.312 2013/06/02
Core i7-4770 4/8 18,376 4,980 3.690 2013/06/03
Core i5-7400 4/4 18,351 5,480 3.349 2017/01/03

中古価格は7,980円~だ。状態によってはそれよりも安く購入できるモデルもあるが、相場的には8,000円前後と考えておこう。同性能帯のモデルではコストパフォーマンスが高いわけではない。倍率ロックフリーモデルについては高値安定となる傾向にある。Core i7-7700KやCore i7-6700Kの中古価格を見てもわかるだろう。

環境次第でパフォーマンスを引き上げられるのは大きい。ただし、Core i7-47700Kについては4コア8スレッドとスペックが低いのはややネックだ。ロード時などに遅延を感じてしまう可能性もある。ゲームプレイを考えているなら20,000スコアを基準にしたい。できれば6コア6スレッドのCore i5-8400を候補にいれておこう。

Core i7-4770Kのベンチマーク

PCMark 7

pcmark7i7-4770k-pcmark7

PCMark 7でのベンチマークを見ていこう。このソフトウェアでは、CPU性能・グラフィックス性能・ブラウジングなど総合的なパフォーマンスを計測できる。Core i7-3770Kと比べて1%弱スコアが向上している。世代が変わった割にはやや伸びが小さいように感じられる。アーキテクチャに改良が加えられたとはいっても革新的な何かが起きたわけではない。妥当な数値と言えるだろう。

Blender

blenderclassroomi7-4770k-blender

BlenderでもCore i7-3770Kとの性能差はそれほど大きくない。それでもCore i7-3930Kに肉薄している。4コア8スレッドのモデルでもっとも洗練されたCPUだ。Core i7-2700Kと比べると7%程度パフォーマンスが高い。AMD FX-8350との性能差は28%となっている。

Handbrake

handbrakei74770k-handbrake

動画のエンコードに掛かる時間を計測している。Core i7-3770Kと比べて4%程度パフォーマンスが高い。Core i7-2700Kと比べると7%程度高くなっている。Core i7-3930Kとの差は6%程度だ。AMD製CPUと比べると16%もパフォーマンスが高い。

Core i7-4770Kのゲームベンチマーク(HD 4600)

CPU内蔵グラフィックスのパフォーマンスを見ていこう。基本的には低設定の計測だ。高設定でのゲームプレイは歯が立たないと考えてよい。

Hitman:Absolution

hitmani7-4470k-igpu-hitman

Core i7-3770K(UHD Graphics 4000)と比べて720pで22%、1080pで24%フレームレートが向上している。2世代前のCore i7-2700Kと比べると65%-75%もフレームレートが高い。ただし、いくら性能が高くなったとは言っても720pで35.3fpsと厳しいことがわかる。快適なゲームプレイを行いたいと考えている方は素直に外付けのグラフィックボードを選択するべきだろう。

The Elder Scrolls V: Skyrim

The Elder Scrollsi7-4770k-igpu-The Elder Scrolls V

The Elder Scrolls V: SkyrimでもHitmanと同様の傾向が見られる。720pで見るとCore i7-3770Kよりも37%高く、Core i7-2700Kよりも84%高い。1080pでもCore i7-3770Kよりも22%高く、Core i7-2700Kよりも60%高い。ただし、720pでも31.5fpsと快適な水準である60fpsの半分程度に留まる。これではさすがにゲームをプレイできるとは言えない。

Core i7-4770Kのゲームベンチマーク(dGPU)

Batman: Arkham City

batmanCore i7-4770K-batman

Batman: Arkham Cityでのフレームレートを見ていく。Core i7-3770Kと比べて1%-2%程度フレームレートが高い。1080pになるとグラフィックボードがボトルネックとなりフレームレートが伸びづらい。上位モデルであるCore i7-3960Xとのフレームレートの差は1%未満だ。ただし、AMD FX-8350との差は30%前後とかなり大きくなっている。ゲームプレイを考えるならこの世代のAMD製CPUは選択肢から外してもよいかもしれない。

The Elder Scrolls V: Skyrim

The Elder Scrollscorei7-4770k-The Elder Scrolls V

The Elder Scrolls V: Skyrimでは、Core i7-3770Kと比べて3%-4%程度フレームレートが向上している。2世代前のCore i7-2700Kと比べると8%程度だ。下位モデルのCore i5-2550Kと比べると10%程度とその差が広がる。CPUだけでこれだけフレームレートが向上するのであればCore i7シリーズを選択するメリットはある。Core i7-3770KからCore i7-4770Kへアップグレードする必要はなさそうだ。

World Of Warcraft

worldofwarcraftThe Elder Scrolls V-worldofwarcraft

World Of Warcraftではトップのフレームレートを叩き出した。Core i7-3960Xと比べてわずかながらフレームレートで上回っている。従来モデルのCore i7-3770Kと比べると2%-3%程度フレームレートが高い。高解像度になると差が縮まるのはボトルネックがCPUからGPUに移り変わるからだ。AMD FX-8350は、Intel製CPUと比べて大きく劣る結果となってしまった。

Core i7-4770Kの評価&特徴【2012年】

プラットフォームが一新された

Core i7-4770Kを含むHaswell世代ではついにプラットフォームが一新された。つまり、新しいCPUソケットである「LGA1150」を採用している。Ivy BridgeやSandy BridgeのLGA1155とは互換性がなく、Core i7-4770Kへのアップグレードを考えている場合マザーボードの交換が必要だ。

トータルコストを考えなければいけない。なお、CPUクーラーについては従来のものを流用できる。チップセットは、Intel 8シリーズのZ87・H87・H81・B85の4種類が用意されている。より時代に沿った進化を遂げている。例えば、Z85では6つのUSB 3.0ポートと6つの5Gb/s SATAポートを持つ。より拡張性が高くなったということだ。

CPUの処理性能は従来モデルより15%アップ

Core i7-4770Kは、従来モデルのCore i7-3770Kと比べて処理性能が15%程度向上している。ただし、飛躍的にパフォーマンスが向上したわけではないので、すでにCore i7-3770Kを使用している方が買い替える必要はない。また、ゲーミング性能についてもほとんど変わらない状況だ。AMD製CPUと差を付けたこともあって、Intelはあえてこれぐらいの性能に抑えているとも捉えることができる。

従来モデルと比べて変わったのはAVX2命令をサポートしていることだろう。Sandy Bridge世代で新しく導入されてHaswell世代で改良されている。対応アプリケーションでより高速で処理を行える。また、インテル クイック・シンク・ビデオは健在で効率的に動画のエンコードが可能だ。

CPU内蔵グラフィックスの強化が行われている

すでに見てきたとおりCPU内蔵グラフィックスがHD 4000からHD 4600になり処理性能が向上している。グラフィックス処理性能は20%以上高くなった。Execution Unitsが16基から20基になったのがハイライトだ。解像度及び設定を落とせばゲームをプレイできないこともないが、基本的には厳しいと考えておこう。外付けのグラフィックボードとの差は大きい。

省電力性が高くなっている

i74770k-watt

上記はシステムの消費電力をまとめたものだ。Ivy Bridge世代のCore i7-3770Kよりもわずかに消費電力が高くなっているが、15%程度性能が向上していることを考えると省電力性が上がったと考えてよいだろう。今世代のアーキテクチャはモバイル運用に重きを置いているように感じられる。純粋なCPU性能を引き上げることよりもすでに紹介したCPU内蔵グラフィックスの強化や省電力性の向上を意識しているのだ。

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