Ryzen 9 7950Xの性能レビュー&搭載ゲーミングPCを紹介している。ついに、2022年9月27日にZen 4アーキテクチャを採用したRyzen 7000シリーズが発売された。Ryzen 9 7950Xは、そのRyzen 7000シリーズのフラグシップモデルだ。16コア32スレッドと従来モデルのRyzen 9 5950Xを踏襲しつつ新しいアーキテクチャのおかげでより高い性能を持つ。
Intel第12世代のフラグシップモデルであるCore i9-12900Kを凌駕するパフォーマンスは圧巻だ。新しいAM5ソケットを採用したことで、Ryzen 9 7950Xへのアップグレードを考えている方はプラットフォームの一新が必要だ。従来モデルのRyzen 9 5950XやCore i9-12900Kと比較しながらその性能について見ていこう。Ryzen 9 7950Xを搭載したモデルについては、「Ryzen 9 7950X搭載おすすめゲーミングPC」で紹介している。
Ryzen 9 7950Xの基本情報
コードネーム | Zen 4(Raphael) |
---|---|
プロセス | 5nm |
コア/スレッド数 | 16コア/ 32スレッド |
定格/最大クロック | 4.5 GHz / 5.7 Ghz |
L3キャッシュ | 64MB |
TDP | 170W |
発売日 | 2022年09月27日 |
MSRP | $699 |
国内価格 | 79,800円~ *2024/7時点 |
特徴 | (+)現行最強のメインストリームCPU (+)Core i9-12900Kを超えるゲーム性能を持つ (+)Radeon Graphicsを搭載している (-)消費電力が上昇している (-)ゲームプレイだけを考えるとコスパが悪い (-)プラットフォーム一新のコストが掛かる |
評価 | ・総合評価 10.0 ・ゲーム評価 8.0 |
当ページの目次
Ryzen 9 7950Xの基本情報
スペック
9 7950X | 9 5950X | i9-12900K | |
---|---|---|---|
メーカー | AMD | AMD | Intel |
コードネーム | Zen 4 (Raphael) | Zen 3 (Vermeer) | Alder Lake |
プロセス | 5nm | 7nm | 10nm |
トランジスタ数 | 131.4億 | 83.0億 | - |
ダイサイズ | 2x 70 mm² | 2x 81 mm² | 215 mm² |
トータルコア数 | 16コア | 16コア | 16コア |
トータルスレッド数 | 32スレッド | 32スレッド | 24スレッド |
CPUコア数(P) | 16コア | 16コア | 8コア |
スレッド数(P) | 32スレッド | 32スレッド | 16スレッド |
CPUコア数(E) | - | - | 8コア |
スレッド数(E) | - | - | 8スレッド |
定格クロック(P) | 4.5 GHz | 3.4 GHz | 3.2 GHz |
最大クロック(P) | 5.7 Ghz | 4.9 Ghz | 5.2 Ghz |
定格クロック(E) | - | - | 2.4 GHz |
最大クロック(E) | - | - | 3.9 GHz |
L3キャッシュ | 64MB | 64MB | 30MB |
内蔵GPU | Radeon Graphics | × | UHD Graphics 770 |
CPUクーラー | なし | なし | なし |
PCI-Express | Gen 5, 24 Lanes | Gen 4 | Gen 5, 20 Lanes |
TDP | 170 W | 105W | 125W |
PL2 | 230W | 142W | 241W |
MSRP | $699 | $799 | $599 |
国内価格 | 79,800円 | 54,980円* | 46,980円* |
発売日 | 2022/09/27 | 2020/11/06 | 2021/11/04 |
Ryzen 9 7950Xはクロック周波数が高く、Ryzen 9 5950Xと比べて定格クロックが33%高く最大クロックも17%高い。L3キャッシュ容量は64MBと共通だ。Ryzen 9 7950XではCPU内蔵グラフィックスにRadeon Graphicsが搭載されている。CPUクーラーは非同梱だ。PCI-ExpressはGen 5, 24 Lanesをサポートしている。TDPは65%高く170Wだ。PL2も62%高く230Wとなる。価格は$100安い。国内価格は74,280円と発売当初から30,000円以上安くなっている。
Alder Lake世代のCore i9-12900Kは、10nmプロセスを採用したCPUだ。プロセスは10nmとRyzen 9 7950Xよりも一回り大きい。Core i9-12900Kのダイサイズは50%程度大きい。Core i9-12900Kはハイブリッドコアアーキテクチャを採用していて16コア24スレッドというスペックだ。8つのPコアと8つのEコアを持つ。Pコアのみハイパースレッディングに対応している。
Pコアの定格クロックは3.2GHzで、最大クロックは5.2GHzだ。Ryzen 9 7950Xの方がそれぞれ40%・10%高い。L3キャッシュもRyzen 9 7950Xの方が2.1倍多くなっている。Core i9-12900Kに採用されている内蔵GPUはUHD Graphics 770だ。Core i9-12900KもCPUクーラーは非同梱となっている。PCI-ExpressはGen 5, 20 Lanesをサポートしている。TDPはRyzen 9 7950Xの方が36%高いが、PL2はCore i9-12900Kの方が5%高い。価格はCore i9-12900Kの方が$100安くなっている。実売価格でもCore i9-12900Kの方が9,000円程度安価だ。
総合性能
Ryzen 9 7950X | |
Ryzen 9 7900X | |
Core i9-12900KS | |
Core i9-12900K | |
Ryzen 9 5950X | |
Core i7-12700K | |
Core i7-12700 | |
Ryzen 9 5900X | |
Ryzen 7 7700X | |
Core i9-11900K | |
Core i5-12600K | |
Ryzen 7 5800X | |
Ryzen 7 5800X3D | |
Core i5-12400 |
Ryzen 9 7950Xの最新評価【ゲーム性能】
Ryzen 9 7950Xの最新評価を見ていこう。上記テーブルは各CPUのゲーミング性能をまとめたものだ。実はRyzen 9 7950Xはそれほどゲーム性能の高いCPUではない。確かにIntel第12世代のCore i9-12900Kを上回るゲーム性能を持つが、2022年10月に発売されたIntel第13世代Core iシリーズに完敗だ。Intel第13世代のCore i7-13700よりも性能は低いのだ。
AMD製CPUでゲーム性能を重視したいならやはり3D V-Cache搭載のRyzen 7 7800X3Dがおすすめだ。現行のCore i9-14900KSでさえも上回る高いゲーミング性能は魅力だ。Ryzen 9 7950Xはゲームプレイはそこそこにクリエイター作業をメインに行いたいと考えているユーザー向けと言える。
Ryzen 9 7950Xの現在の価格は79,800円と高めでコストパフォーマンスはイマイチだ。クリエイティブ作業も高い水準で行いたいユーザー向けだ。Ryzen 7 7800X3Dなら53,584円と30%以上も安く購入できる。マルチコア性能とゲーム性能のバランスを取るならCore i7-14700F(59,370円)がおすすめだ。20(8P+16E)コア28スレッドとRyzen 9 7950Xと比べても引けを取らない。オーバークロック対応のCore i7-14700KF(62,340円)も候補にはいる。
Ryzen 9 7950Xの特徴&注意点【発売当時】
2022年9月の発売時点で最強のメインストリームCPU
Ryzen 9 7950Xは、Ryzen 7000シリーズのフラグシップモデルで2022年9月の発売時点で最強のCPUだと言える。ゲーム性能だけで言えばRyzen 7 5800X3Dに劣ってしまう場面もあるが、IntelのフラグシップモデルであるCore i9-12900Kと比べても同等以上だ。総合性能で判断すればRyzen 7 5800X3Dと比べて大幅にパフォーマンスが引き上げられている。ついにIntel製CPUを抑えてAMD製CPUが最強の座を奪還した。
ただし、ゲームプレイだけを考えるとRyzen 9 7950Xの性能は宝の持ち腐れとなってしまうので、Ryzen 9 7900XやRyzen 7 7700Xでもよいのではないかと思う。下位モデルでもRyzen 9 7950Xに近いフレームレートを期待できる。Ryzen 9 7950Xは、ゲーム実況・動画編集・画像編集・3D CADなどCPU性能が高い方が有利な用途も快適に行いたいと考えているゲーマーの方におすすめだ。今世代では初めてAVX512命令セットに対応しているのも興味深い。対応アプリケーションが増えてくればより魅力的な存在になるだろう。
2022年10月にIntel第13世代(Raptor Lake)のCPUがリリースされる予定だ。Core i9-13900KやCore i7-13700Kがどのようなパフォーマンスを発揮するのか気になるところだろう。IntelとしてもRyzen 7000シリーズは脅威に感じているはずだ。ハイブリッドコアアーキテクチャの真価を問いたい。
CPU内蔵グラフィックスにRadeon Graphicsを搭載
RTX 3050 | |
RX 6400 | |
GTX 1650 | |
GTX 1050 Ti | |
GTX 1630 | |
GTX 1050 | |
GTX 750 Ti | |
GTX 750 | |
RX 550 | |
Radeon Graphics(5 5600G) | |
GT 1030 GDDR5 | |
UHD Graphics 770 | |
UHD Graphics 750 | |
GT 730 | |
UHD Graphics 630 | |
Radeon Graphics(9 7950X) | |
GT 710 |
Ryzen 9 7950XにはCPU内蔵グラフィックスとしてRDNA 2アーキテクチャを採用したRadeon Graphicsが搭載されている。残念ながら性能は高くなく、最低限モニター出力ができるぐらいの性能に留まる。今世代から別途グラフィックボードを用意しなくてもよいということになる。
AMDもゲームプレイには対応できないと言っているぐらいなので性能には期待できない。コンピュートユニットは2基でInfinity Cacheは搭載されていない。グラフを見ると分かる通り、APUであるRyzen 5 5600Gの1/3以下の性能を持つに留まる。Intel UHD Graphics 630と比べても40%以上性能が低い。あくまでもモニター出力を考えている方向けだと言える。
消費電力は上がったがまだまだ省電力性の高さは健在
一般的なアプリケーション使用時の消費電力を見ると、確かにRyzen 9 5950Xと比べると消費電力が上がっていることがわかる。5nmプロセスを採用しているとは言ってもクロック周波数を引き上げたことによる代償だ。27%の性能アップに対して、消費電力は40%高くなった。それでもIntel製CPUと比べると省電力性が高いことは間違いない。Core i9-12900Kと比べて20%以上消費電力が抑えられている。性能が20%高いことを考えるとかなり優秀だ。
Ryzen 9 7950Xのゲームベンチマーク一覧
Far Cry 6
Ryzen 7 5800X3D | |
Ryzen 9 7950X | |
Ryzen 5 7600X | |
Core i9-12900K | |
Core i7-12700K | |
Core i5-12600K | |
Ryzen 9 5950X |
Hitman 3
Ryzen 7 5800X3D | |
Ryzen 9 7950X | |
Core i9-12900K | |
Ryzen 5 7600X | |
Core i7-12700K | |
Core i5-12600K | |
Ryzen 9 5950X |
Horizon Zero Dawn
Ryzen 7 5800X3D | |
Core i9-12900K | |
Ryzen 9 7950X | |
Core i7-12700K | |
Ryzen 5 7600X | |
Ryzen 9 5950X | |
Core i5-12600K |
Red Dead Redemption 2
Ryzen 7 5800X3D | |
Ryzen 9 7950X | |
Ryzen 5 7600X | |
Ryzen 9 5950X | |
Core i9-12900K | |
Core i7-12700K | |
Core i5-12600K |
Watch Dogs: Legion
Ryzen 7 5800X3D | |
Core i9-12900K | |
Ryzen 9 7950X | |
Core i7-12700K | |
Ryzen 5 7600X | |
Core i5-12600K | |
Ryzen 9 5950X |
その他アプリケーションのベンチマーク
Cinebench R23
7-Zip
Handbrake
Adobe Lightroom and Premiere Pro
Ryzen 9 7950X搭載おすすめゲーミングPC
ZEFT R52G(セブン)
CPU:Ryzen 9 7950X
GPU:GeForce RTX 4070 MSI
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe+HDD 4TB
電源:850W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中
Ryzen 9 7950X×GeForce RTX 4070搭載のハイクラスのゲーミングPCだ。ゲーム適性は高くWQHD環境でのゲームプレイにも対応できる。PCケースにはゲーマーに人気の高い「Cooler Master MASTERBOX CM694」を採用している。SSD×8基とHDD×6基が搭載できる拡張性の高さが評価されている。また、大型グラフィックボードを支えるアーム機構が搭載されている。ハイエンドクラスのグラフィックボードにも対応可能だ。メモリDDR5-4800 16GB、SSD 1TB Gen4 NVMe+HDD 4TBと構成も充実している。電源ユニットは850W GOLDを採用している。
GALLERIA UA9R-R47TS 7950X搭載(ドスパラ)
CPU:Ryzen 9 7950X
GPU:GeForce RTX 4070 Ti SUPER
メモリ:DDR5-4800 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe+HDD 2TB
電源:800W 80PLUS TITANIUM
コスパ:調査中
ガレリアブランドの最上位モデルであるGALLERIA Uシリーズのフラグシップモデルだ。Ryzen 9 7950X×GeForce RTX 4070 Ti SUPER搭載のハイエンドクラスで高い性能を持つ。GeForce RTX 4070 Ti SUPERは現行でもトップクラスのグラフィックス処理性能を持ち4K環境でのゲームプレイに適している。Ryzen 9 7950Xの性能があれば十分パフォーマンスを引き出せるはずだ。メモリDDR5-4800 32GB、SSD 1TB Gen4 NVMe、HDD 2TBと構成も抜群だ。電源ユニットは800W TITANIUMを採用していて土台もしっかりしている。
ZEFT R44P(セブン)
CPU:Ryzen 9 7950X
GPU:GeForce RTX 4080 SUPER
メモリ:DDR5-4800 32GB
ストレージ:SSD 2TB Gen4 NVMe+2TB Gen4 NVMe
電源:1200W 80PLUS PLATINUM
コスパ:調査中
Ryzen 9 7950X×GeForce RTX 4080 SUPER搭載のハイエンドクラスのゲーミングPCだ。PCケースにはフルタワーの「ASUS ROG Hyperion GR701」を採用している。耐久性の高い高品質ケースだ。フロントに大型の通気口を設けていてエアフローを考えた作り込みが行われている。4つの140mmファンと金属製のGPUホルダーが標準搭載で惜しむことなくコストが掛けられていると考えてよい。メモリDDR5-4800 32GB、SSD 2TB Gen4 NVMe×2基と圧倒的な構成を誇る。デュアルストレージ採用は魅力的だ。総ストレージ容量は4TBとずば抜けている。電源ユニットは1200W PLATINUMを採用している。税込571,780円と高価だがそれに見合う価値があると言えるだろう。
LEVEL-R6X7-LCR79W-TLX [RGB Build](パソコン工房)
CPU:Ryzen 9 7950X
GPU:GeForce RTX 4070
メモリ:DDR5-4800 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:800W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中
RGB対応のど派手なゲーミングPCとなっている。大手BTOメーカーのラインナップの中では攻めたモデルと言える。360mm LED水冷クーラー搭載で冷却性能も高い。Ryzen 9 7950Xのようなハイエンドモデルにふさわしい。ケースファンは12cm LEDファン上面×3、背面×1だ。水冷クーラーのラジエーターファンを含めると全部で7基のファンがある。魅せる一台に仕上がっている。グラフィックスにはRTX 4070 Mobileを搭載していて高解像度にも対応可能だ。メモリDDR5-4800 32GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成も優れている。電源ユニットは800W GOLDを採用している。
その他あなたにおすすめの記事はこちら!
- おすすめゲーミングPCランキング
- ゲーミングノートPCおすすめランキング
- 当サイト紹介ゲーミングPC一覧表
おすすめのゲーミングPCランキングを紹介している。コストパフォーマンスが高いモデルに人気が集中していると言える。
イチオシのゲーミングノートPCを紹介している。外出先でもゲームを楽しみたいという方はぜひ参考にしてほしい。
当サイトでレビューをしている全てのゲーミングPCを表でまとめている。一覧で見れば、ゲーミングPCの構成や相場感を把握することができる。
あなたにぴったりのゲーミングPCを探す
ゲームPC選び方 | セール情報 | 安いゲームPC |
ゲーム推奨 | BTOショップ比較 | グラボ比較表 |