Ryzen 5 7640HSのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証していく。Ryzen 5 6600Hの後継モデルで次世代のZen 4アーキテクチャを採用したCPUだ。旧世代のRyzen 7 6800Hに近い性能を持ち、Ryzen 5 6600HやRyzen 5 5600Hからの買い替えでも性能差を体感できるだろう。
プロセスの微細化によってクロック周波数の引き上げと省電力性の向上が図られている。Ryzen 5 7640HSは、グラフィックスにエントリークラスのGeForce RTX 4050 Mobileと組み合わせたモデルがメインだ。価格が抑えられていて誰にとっても選びやすいモデルに仕上がっている。フルHD環境でのゲームプレイを考えているゲーマー向けだ。
当ページの目次
Ryzen 5 7640HSの概要
コードネーム | Zen 4(Phoenix) |
---|---|
プロセス | 4nm |
コア/スレッド数 | 6コア / 12スレッド |
コア定格/最大クロック | 4.3 GHz/ 5.0 GHz |
L2キャッシュ | 6MB |
L3キャッシュ | 16MB |
内蔵GPU | Radeon 760M |
PBP | 35W |
MTP | 54W |
発売日 | 2023年01月 |
価格 | – |
特徴 | (+)Zen 4アーキテクチャ採用の高コスパモデル (+)搭載モデルの価格が安い (-)ラインナップが少ない |
評価 | ・総合評価 7.0 ・ゲーム評価 7.0 |
Ryzen 5 7640HSの基本スペック
他のRyzen 7シリーズと比較
Ryzen 5 7640HS | Ryzen 7 7735HS | Ryzen 5 6600H | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Phoenix) | Zen 3+ (Rembrandt) | Zen 3+ (Rembrandt) |
プロセス | 4nm | 6nm | 6nm |
ダイサイズ | 178 mm² | 208 mm² | 208 mm² |
コア | 6 | 8 | 6 |
スレッド数 | 12 | 16 | 12 |
定格クロック | 4.30 GHz | 3.20 GHz | 3.30 GHz |
最大クロック | 5.00 GHz | 4.75 GHz | 4.50 GHz |
L2キャッシュ | 6MB | 4MB | 3MB |
L3キャッシュ | 16MB | 16MB | 16MB |
対応メモリ | DDR5-5600 LPDDR5-7500 | DDR5-4800 LPDDR5-6400 | DDR5-4800 LPDDR5-6400 |
内蔵グラフィックス | Radeon 760M | Radeon 680M | Radeon 660M |
PBP(TDP) | 35W | 35W | 45W |
MTP | 54W | 54W | - |
搭載モデル価格 | 118,720円~ (RTX 3050M) | 129,800円~ (RTX 3050M) | 99,980円~ (GTX 1650M) |
発売日 | 2023/01 | 2023/01/04 | 2022/01 |
Ryzen 5 7640HSは、最新のZen 4アーキテクチャを採用したCPUだ。型番「7640HS」の4がアーキテクチャを、Sが省電力モデルを意味する。Ryzen 5 6600Hの後継モデルでプロセスが6nmから4nmへと微細化された。ダイサイズも14%小さく178m㎡だ。コア・スレッドは6コア12スレッドと共通だ。
定格クロックはRyzen 5 7640HSの方が1.0GHz(30%)高く、最大クロックも0.5GHz(11%)高い。L2キャッシュ容量も倍増の6MBだ。L3キャッシュは16MBと変わらない。対応メモリはDDR5-5600/LPDDR5-7500へと拡充されている。より高クロックなメモリを使用すれば高いパフォーマンスが期待できる。
内蔵グラフィックスはRadeon 660MからRadeon 760Mへとマイナーチェンジが行われた。グラフィックボード搭載モデルしか販売されていないため気にしなくてもよいだろう。PBP(TDP)は45Wから35Wへと20%低くなった。Ryzen 5 7640HS搭載モデルの最安値は118,720円~だ。Ryzen 5 6600Hは99,980円~と安価だが、グラフィックスがワンランク落ちるGeForce RTX 3050 Mobileとなる。
上位モデルであるRyzen 7 7735HSと比較していく。Ryzen 7 7735HSはZen 4ではなくZen 3+アーキテクチャ採用のCPUだ。プロセスは6nm、ダイサイズは208m㎡となる。コア・スレッドは8コア16スレッドとRyzen 5 7640HSよりも多い。定格クロックはRyzen 5 7640HSの方が1.1GHz(34%)高く、最大クロックもRyzen 5 7640HSの方が0.25GHz(5%)高い。Zen 4アーキテクチャ採用による恩恵だ。
L2キャッシュはRyzen 5 7640HSの方が50%多く、L3キャッシュ容量は共通だ。対応メモリもRyzen 5 7640HSの方がより高クロックなモデルをサポートしている。Ryzen 7 7735HSの内蔵グラフィックスは旧世代のRadeon 680Mだ。PBP・TDPは共通だ。搭載モデルの価格はRyzen 7 7735HSの方が11,080円高くなっている。スペック差・性能差を考えると妥当だろう。
Intel製CPUと比較
Ryzen 5 7640HS | Core i5-13500H | |
---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Phoenix) | Raptor Lake |
プロセス | 4nm | 10nm |
トータルコア | 6 | 12 |
スレッド数 | 12 | 16 |
Pコア(スレッド) | 6(12) | 4(8) |
Eコア(スレッド) | - | 8(8) |
定格クロック(P) | 4.3 GHz | 2.6 GHz |
最大クロック(P) | 5.0 GHz | 4.7 GHz |
定格クロック(E) | - | 1.9 GHz |
最大クロック(E) | - | 3.5 GHz |
オーバークロック | × | × |
L2キャッシュ | 6MB | 16MB |
L3キャッシュ | 16MB | 18MB |
対応メモリ | DDR5-5600 LPDDR5-7500 | DDR5-5200 DDR4-3200 |
内蔵グラフィックス | Radeon 760M | Iris Xe Graphics |
PBP | 35W | 45W |
MTP | 54W | 95W |
MSRP | - | $342 |
搭載モデル価格 | 118,720円~ (RTX 3050M) | 127,980円~ (RTX 3050M) |
発売日 | 2023/01 | 2023/01/04 |
価格の近いIntel第13世代Core i5-13500Hとスペックを比較していく。Core i5-13500HはRaptor Lake世代の高コスパモデルとなる。10nmプロセスを採用している。Intel第11世代から変わっていない形だ。4nmプロセスを採用しているRyzen 5 7640HSよりもアーキテクチャ自体はやや遅れている。プロセスが小さい方がクロック周波数の引き上げが行いやすくパフォーマンス面で有利だ。省電力性も高くなる傾向にある。
それでもCore i5-13500Hはハイブリッドコアアーキテクチャを採用していて12コア16スレッドとスペックが高い。4つのPコアと8つのEコアを搭載している。Pコアの定格クロックはRyzen 5 7640HSの方が1.7GHz(65%)高く、最大クロックもRyzen 5 7640HSの方が0.3GHz(7%)高い。Core i5-13500HにはEコアがあり、定格クロックは1.9GHz・最大クロックは3.5GHzだ。
キャッシュ回りはCore i5-13500Hが強力だ。L2キャッシュはRyzen 5 7640HSよりも2.6倍多く16MB、L3キャッシュもCore i5-13500Hの方が13%多く18MBとなる。Core i5-13500HはDDR5-5200・DDR4-3200をサポートしている。内蔵グラフィックスはIntel Iris Xe Graphicsだ。PBPは45W・MTPは95Wとなる。Ryzen 5 7640HSよりも消費電力は高い。搭載モデルの価格はCore i5-13500Hの方が9,260円高くなっている。
Ryzen 5 7640HS搭載モデルの特徴
Ryzen 7 6800Hに匹敵する高い性能を持つ
Ryzen 5 7640HSの性能スコアは20,364で旧世代の上位モデルであるRyzen 7 6800Hと同等だ。アーキテクチャが変わって大きく性能を伸ばしている。従来モデルのRyzen 5 6600Hとの性能差は30%以上とかなり大きい。一つ上のRyzen 5 7535HS(Zen 3+)と比べて4%程度劣る。アーキテクチャが異なるとは言え上位モデルのRyzen 7シリーズに近付いたのは評価できる。
なお、競合のCore i5-13500Hと比べると10%近く劣るが、スペックの差を考えると納得できるだろう。テーブルを見て分かる通りミドルクラスのRyzen 5シリーズでも数世代前のRyzen 9シリーズやCore i9シリーズに匹敵するほどの高い性能を有している。世代を重ねるごとに着時に性能の底上げが行われた結果だ。
グラフィックス処理性能が高くなりより高いCPU性能が求められる。ボトルネックを解消できれば理論上はフレームレートも高く維持できる。ゲーム以外の用途でもCPU性能が高いことはメリットだ。動画編集・画像編集などのクリエイター作業にもある程度対応できる。
搭載モデルはGeForce RTX 4050 Mobileが大半
Ryzen 5 7640HSとの組み合わせでもっとも多いグラフィックボードはGeForce RTX 4050 Mobileだ。次いでGeForce RTX 3050 Mobileとなる。50番台のエントリークラスのモデルが中心だ。50番台とは言ってもGeForce RTX 4050 Mobileは、Ampere世代のGeForce RTX 3060 Mobileに近い性能を持つ。そういう意味ではCPUの底上げは急務だ。
昨今モバイル向けCPUのラインナップが増えている。結果的に搭載CPUが分散される形だ。Ryzen 5 7640HS搭載モデルの購入を考えている方は、Ryzen 7 7735HS・Core i5-13500H・Core i5-13500HXなどについてもチェックしておこう。視野を広げることでより最適なモデルが見つけられるだろう。「CPU比較表」を参考に各モデルの立ち位置を確認していただければと思う。
Ryzen 5 7640HSのベンチマーク一覧
Cinebench R23
Cinebench R23でRyzen 5 7640HSのスコアを見ていこう。マルチコア性能は11,994、シングルコア性能は1,662だ。ミドルクラスとしては十分なパフォーマンスを持っている。従来モデルのRyzen 5 6600Hと比べてマルチコア性能が16%高く、シングルコア性能も21%高い。下位モデルであるRyzen 5 7535HSとの性能差は11%-13%とやや大きい。Zen 3+とZen 4アーキテクチャの違いは大きいと考えてよい。Core i5-13500Hと比べるとマルチコア性能が8%低く、シングルコア性能も6%低い。ハイブリッドコアアーキテクチャ採用のCore i5-13500Hには及ばない。
Handbrake
動画のエンコードソフトであるHandbrakeでの処理に掛かる時間をまとめた。Ryzen 5 7640HSは、従来モデルのRyzen 5 6600Hと比べて14%もパフォーマンスが向上している。下位モデルのRyzen 5 7535HSと比べても9%程度上回っている。上位モデルであるRyzen 7 7735HSとの性能差は5%前後だ。競合のCore i5-13500Hと比べると11%劣る。ハイブリッドコアアーキテクチャが有利に働くソフトだと言える。それでもミドルクラスとしては十分なパフォーマンスが出ている。
7-Zip(圧縮)
Zipファイルの圧縮速度をまとめた。従来モデルのRyzen 5 6600Hと比べて35%もパフォーマンスが高い。Ryzen 5 6600Hと同じZen 3+アーキテクチャ採用のRyzen 5 7535HSと比べても20%以上もパフォーマンスが高い。Ryzen 7 6800Hとの性能差は4%と近付いている。Core i5-13500Hと比べると14%劣る結果となった。
7-Zip(解凍)
Zipファイルの解凍速度を見ていく。従来モデルのRyzen 5 6600Hや下位モデルのRyzen 5 7535HSと比べて30%以上もパフォーマンスが向上している。Ryzen 7 6800Hを上回る性能は圧巻だ。Core i5-13500Hと比べても12%もパフォーマンスが高い。
Adobe Photoshop
Photoshopでのパフォーマンスを見ていく。従来モデルのRyzen 5 6600Hよりも25%もパフォーマンスが高く、Ryzen 7 6800Hよりも4%高い。Core i5-13500Hと同等だと考えてよいだろう。
Ryzen 5 7640HS搭載ゲーミングノートPC一覧
G15 ゲーミングノートパソコン(Dell)
液晶:15.6インチFHD 120Hz
本体重量:約2.81kg
CPU:Ryzen 5 7640HS
GPU:GeForce RTX 3050 Mobile
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 512GB NVMe
電源:240W ACアダプター
コスパ:調査中
Ryzen 5 7640HS搭載の最安値クラスの一台だ。税込119,980円で購入できる。本体重量は約2.81kgとかなり重い。ゲーミングブランドAlienwareを参考に高度な熱設計と改良型冷却ファンを搭載している。本体が大きいのはこの冷却システムのためでもある。組み合わせ的にはややオーバースペックとなってしまう。この構成なら本体を軽くする方が需要がありそうだ。フルHD環境で設定を調整すれば60fpsを基準にすれば十分対応できる。グラフィックスをGeForce RTX 4050 MobileあるいはGeForce RTX 4060 MobileへアップグレードするとCPUがRyzen 7 7840HSに変わる仕様だ。メモリDDR5-4800 16GB・SSD 512GB NVMeと構成は平均的だ。電源は240W ACアダプターと容量が多めだ。コストパフォーマンス重視の方はチェックしておいて損はない。
Victus 16(AMD) アドバンスモデル(HP)
175,780円 150,700円(送料込)
液晶:16.1インチFHD 144Hz
本体重量:約2.30kg
CPU:Ryzen 5 7640HS
GPU:GeForce RTX 4050 Mobile
メモリ:DDR5-5600 16GB
ストレージ:SSD 512GB Gen4 NVMe
電源:230W ACアダプター
コスパ:調査中
Ryzen 5 7640HS×GeForce RTX 4050 Mobile搭載のエントリークラスのゲーミングノートPCだ。16.1インチFHDディスプレイを搭載している。144Hz対応で滑らかなゲームプレイが可能だ。本体重量は約2.30kgと平均的だ。メモリDDR5-5600 16GBと高クロックなモデルが採用されている。ストレージはSSD 512GB Gen4 NVMeと平均的だ。セール期間中は47,684円OFFで購入できる。ゲーミングサポートに特化したCafe de OMENが提供されている。ゲームの設定などについてもアドバイスがもらえる。
Legion Slim 5 Gen 8 (LENOVO)
液晶:16.0インチWQXGA 165Hz
重量:約2.40kg
CPU:Ryzen 5 7640HS
GPU:GeForce RTX 4050 Mobile
メモリ:DDR5-5600 16GB
ストレージ:SSD 512GB NVMe
コスパ:調査中
LenovoからもRyzen 5 7640HS搭載モデルがリリースされている。16.0インチWQXGAディスプレイ(165Hz)を搭載している。本体重量は約2.40kgとやや重い。グラフィックスはAda Lovelace世代のミドルクラスであるGeForce RTX 4050 Mobileだ。性能的にWQXGAでのゲームプレイはやや難しい。フルHD環境でのゲームプレイを基準しておくとよい。メモリDDR5-5600 16GB・SSD 512GB NVMeと構成は平均以上だ。高クロックなメモリを搭載しているのはポイントが高い。
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