当ページでは、Core i7-11370Hの性能レビュー及び搭載ゲーミングノートPCを紹介している。Core i7-11370Hは今までのIntel製モバイル向けCPUとしては異例のモデルだ。省電力モデルと高パフォーマンスモデルであるH45(Core i7-11800H etc.)の間を埋める存在でTiger Lake世代で初めての試みとなっている。4コア8スレッドのハイパフォーマンスモデルだが、H45シリーズに比べるとどうしても見劣りしてしまう。やや存在感のないCPUでH45のCore i7-11800Hの方が圧倒的にラインナップが多かった。
省電力モデルのTiger Lake UP3と同じシリコンを使っているもののクロック周波数を引き上げることでパフォーマンスが向上している。Core i7-11370HのTDPは28W~35Wの間に収まる。Core i7-11800Hに比べるとパフォーマンスは劣る。海外メーカーを中心に搭載モデルも少しだけ登場している。気になる性能など詳しく見ていくとしよう。搭載モデルは、「Core i7-11370H搭載のゲーミングノートPC一覧」でまとめている。
当ページの目次
よくわかる!!Core i7-11370Hの特徴まとめ
コードネーム | Comet Lake |
---|---|
プロセス | 10nm SuperFin |
コア/スレッド数 | 4コア/8スレッド |
定格/最大クロック | 3.3 GHz/ 4.8 Ghz |
L3キャッシュ | 12MB |
TDP | 28W-35W |
発売日 | 2021年04月13日 |
価格 | $426 |
コメント | (+)高いシングルスレッド性能を持つ (+)Iris Xe Graphicsを搭載している (-)マルチスレッド性能はそれほど高くない (-)搭載モデルが極端に少ない |
評価 | ・総合評価 4.0 ・ゲーム評価 4.0 |
Core i7-11370HのCinebench R20スコア
Core i7-11370Hの強みはシングルスレッド性能の高さにある。このラインナップの中でトップのシングルスレッド性能を誇る。コア/スレッドが抑えられている分クロック周波数が高くなるということだ。Core i7-1185G7を超えているのはさすがだ。このシングルスレッド性能の高さをしっかり活かせるのかどうかがポイントとなる。
Core i7-11370Hの基本スペック
Core i7-11370H | Core i7-10870H | Core i7-1185G7 | |
---|---|---|---|
メーカー | Intel | Intel | Intel |
プロセス | 10mm | 14nm | 10mm |
コードネーム | Tiger Lake | Comet Lake | Tiger Lake |
CPUコア数 | 4コア | 8コア | 4コア |
スレッド数 | 8スレッド | 16スレッド | 8スレッド |
定格クロック | 3.30 GHz | 2.20 GHz | 3.00 GHz |
最大クロック | 4.80 GHz | 5.00 GHz | 4.80 GHz |
L3キャッシュ | 12MB | 16MB | 12MB |
対応メモリ | DDR4-3200 | DDR4-2933 | DDR4-3200 |
内蔵グラフィックス | Iris Xe Graphics | UHD Graphics | Iris Xe Graphics |
TDP | 28W-35W | 45W | 12W-28W |
価格 | $426 | $417 | $426 |
発売日 | Q1'21 | Q3'20 | Q3'20 |
UP3のi7-1185G7よりもTDPが大きい
省電力モデルのCore i7-1185G7よりもTDPが大きく28W-35Wとなっている。定格クロックが10%引き上げられたことでTDPが引き上げられている形だ。当然パフォーマンス面でも有利に働く。TDP的にもパフォーマンス的にもCore i7-1185G7とCore i7-10870Hと間に収まるCPUだと言える。考え方によってはやや中途半端だと考えられるかもしれない。
i7-10870Hよりもコア/スレッドが半減
Comet Lake世代のCore i7-10870Hと比べてコア/スレッドがそれぞれ半減となっている。これは最新のTiger Lake世代のCore i7-11800Hと比べても同じだ。ハイパフォーマンスモデルながら4コア8スレッドに制限されているのはデメリットとなりそうだ。今はゲーミングノートPCでも8コア16スレッドが一般的になってきている。やはり4コアでは限界が近づいていそうだ。ゲーム目的での購入はおすすめしづらい。
Iris Xe Graphicsを搭載している
CPU内蔵グラフィックスにはIris Xe Graphicsを搭載している。従来モデルのUHD 630 Graphicsと比べて50%程度処理性能が向上しているが、ゲーミングノートPCの場合iGPUを搭載しているため強みとして挙げるにはやや弱いと言える。ビジネスPCとして考えるなら魅力的だろう。もっとも搭載モデルの多くはグラフィックボードを搭載している。
Core i7-11370H搭載ゲーミングノートの特徴
Core i7-11800Hよりも安く購入できる
ブランド | ASUS | ASUS |
---|---|---|
画像 | ||
製品名 | TUF Dash F15 FX516PE | TUF Gaming F15 FX506HE |
インチ | 15.6インチ | 15.6インチ |
リフレッシュレート | 144Hz | 144Hz |
本体重量 | 約2.1kg | 約2.3kg |
価格 | 149,800円(税込) | 169,800円(税込) |
CPU | Core i7-11370H | Core i7-11800H |
GPU | RTX 3050 Ti | RTX 3050 Ti |
メモリ | 16GB | 16GB |
SSD | 512GB NVMe | 512GB NVMe |
HDD | 非搭載 | 非搭載 |
バッテリー駆動時間 | 約14.3時間 | 約5.6時間 |
内部的には異なるが、構成的にはほぼ同等の2機種を比較している。Core i7-11800HがCore i7-11370Hになるだけで2万円も安くなるのが最大の魅力だ。本体重量は10%減だ。さらに、バッテリー駆動時間が2.5倍の約14.3時間に到達している。実用面ではかなり有利だと言える。
残念なところは本体重量がH45シリーズと同等だということだ。本来TDPが抑えられているCore i7-11370Hは薄いゲーミングノートPCへの搭載を想定していたのではないかと思う。しかし、蓋を開けてみるとどのモデルも2kgを超えていて到底軽量化されているとは言えない。
ハイクラスになるとCPUがボトルネックになる
ハイクラスのグラフィックボードに合わせるとCPU性能がボトルネックとなる。ゲームプレイ時のフレームレートを見るとわかるがCore i7-10870HやCore i7-11800Hなど8コア16スレッドのCPUとの差が大きい。Intel第12世代のCore i7-12700Hが登場したことでさらに差が開いた。いくらグラフィックボード性能を引き上げてもCPUが足かせとなるということだ。アーキテクチャの変更だけではカバーできない。
Core i7-11370Hは、RTX 3060やRTX 3050 Tiなどのローエンド~ミドルクラスのグラフィックボードとの組み合わせがベストだろう。それ以上のグラフィックボードを選択するならCPUをCore i7-11800Hにしておきたい。特にゲーミングノートPCの場合CPU性能がボトルネックとなりやすいため性能は高いに越したことはないはずだ。
ラインナップが極端に少ない
Core i7-11370Hを搭載した”ゲーミングノートPC”のラインナップはほとんどないと考えてよい。ラインナップを持っているのはASUSとAcerぐらいだ。RTX 3050・RTX 3050 Ti・RTX 3070との組み合わせから選択できる。国内BTOメーカーからは販売されていないし今後も販売される可能性は低いのではないかと思う。
Core i7-11800HやCore i5-11300Hで十分代用できるからだ。CPUの種類を増やすよりも特定のCPUをバルクで仕入れる方が価格に反映できるだろう。VAIOやDellではCore i7-11370Hを搭載したモデルが販売されているが、外付けのグラフィックボードは搭載されておらずゲーミングノートPCではない。
Core i7-11370Hのベンチマーク一覧
Handbrake
Blender 2.91
7-Zip
Core i7-11370Hのゲーミング性能
Metro: Exodus
7 5800H×RTX 3060 | |
i7-10870H×RTX 3070 | |
i7-11370H×RTX 3070 | |
i7-10875H×RTX 2070S MAX-Q | |
i7-10750H×RTX 2060 | |
i7-7700HQ×GTX 1060 |
Resident Evil 2
7 5800H×RTX 3060 | |
i7-10870H×RTX 3070 | |
i7-10750H×RTX 2070S MAX-Q | |
i7-10750H×RTX 2060 | |
i7-11370H×RTX 3070 | |
i7-7700HQ×GTX 1060 |
Death Stranding
i7-10870H×RTX 3070 | |
i7-10870H×RTX 3060 | |
7 5800H×RTX 3060 | |
i7-10875H×RTX 2070S MAX-Q | |
i7-11370H×RTX 3070 | |
i7-7700HQ×GTX 1060 |
Core i7-11370H搭載のゲーミングノートPC一覧
ASUS Vivobook Pro 15 OLED K3500PC(ASUS)
価格:149,800円(税込)
液晶:15.6インチ 60Hz
CPU:Core i7-11370H
GPU:GeForce RTX 3050 Mobile
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:非搭載
税込み15万円以下とリーズナブルな価格設定が魅力のゲーミングノートPCだ。米国軍用MIL規格準拠となっている。グラフィックスにはRTX 3050 Tiを搭載していてフルHD環境でのゲーム適性が高い。Core i7-113700Hとの相性も良好だ。この性能帯のグラフィックボードと合わせたい。メモリ16GB、SSD 512GBと標準的な構成を採用している。バッテリー駆動時間が最大14.3時間と長いのが特徴だ。
Nitro 5 AN515-56-H76Y5(Acer)
価格:159,800円(税込)
液晶:15.6インチ 144Hz
CPU:Core i7-11370H
GPU:GeForce GTX 1650
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:非搭載
AcerからのCore i7-11370H搭載モデルが販売されている。グラフィックスにはTuring世代のエントリークラスであるGTX 1650を搭載している。設定調整を行えば最低限のゲームプレイを行うことが可能だ。メモリ16GB、SSD 512GBと十分な構成を持っている。NitroSense専用キーを搭載していてすぐにファン速度やサウンドプリセットなどシステム設定を操作できる。
ASUS TUF Dash F15 FX516PR(ASUS)
価格:199,800円(税込)
液晶:15.6インチ 144Hz
CPU:Core i7-11370H
GPU:GeForce RTX 3070 Mobile
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:非搭載
RTX 3070 Mobile搭載のハイエンドモデルとなっている。高リフレッシュレートでのゲームプレイにも対応しやすい。メモリ16GB、SSD 512GB NVMeと必要十分な構成だ。セルフクリーニング冷却システム採用でメンテナンスが楽になる。ハイパフォーマンスモデルに嬉しい装備だと言える。
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ベンチマークテスト環境
モデル | new Aero 15 OLED |
---|---|
GPU | Nvidia GeForce RTX 3070 |
メモリ | 16GB DDR4-3200(32GBからダウングレード) |
ストレージ | 1TB SSD |