ROG Zephyrus G14 GA401IV画像引用元:https://jp.store.asus.com/

当ページでは、Ryzen 9 4900HSのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。Zen 2アーキテクチャを搭載したRyzen 4000シリーズの中でも注目のCPUだ。省電力モデルでありながら8コア16スレッドで高いパフォーマンスを発揮する。まさにゲーミングノートPC向きのCPUだと言える。

「Ryzen 9 4900H」の省電力モデルという位置付けだ。性能が抑えられている分だけRyzen 7 4800Hに劣ってしまうことがあるためそこは注意しよう。あくまでも省電力性を重視したモデルだ。その性能について詳しく見ていこう。後継モデルは、「Ryzen 9 5900HX」だ。Zen 3アーキテクチャを採用した高パフォーマンスモデルだ。

よくわかる!!Ryzen 9 4900HSの特徴まとめ

コードネーム Zen 2
プロセス 7nm
コア/スレッド数 8コア/16スレッド
定格/最大クロック 3.0 GHz/ 4.3 Ghz
L3キャッシュ 8MB
TDP 35W
発売日 2020年06月01日
価格
コメント 8コア16スレッドの高パフォーマンスCPU
省電力性が高くゲーミングノートPCに最適
評価 ・総合評価
6.5

・ゲーム評価
6.5

Ryzen 9 4900HSの基本情報

基本スペック

Ryzen 9 4900HS Ryzen 9 4900H Ryzen 7 4800H
メーカー AMD AMD AMD
コードネーム Zen 2 Zen 2 Zen 2
プロセス 7nm 7nm 7nm
CPUコア数 8コア 8コア 8コア
スレッド数 16スレッド 16スレッド 16スレッド
定格クロック 3.00 GHz 3.30 GHz 2.90 GHz
最大クロック 4.30 GHz 4.40 GHz 4.20 GHz
L3キャッシュ 8MB 8MB 8MB
内蔵グラフィックス Radeon Graphics 8CUs Radeon Graphics 8CUs Radeon Graphics 7CUs
グラフィックス周波数 1750 MHz 1750 MHz 1600 MHz
TDP 35W 45W 45W
発売日 2020年06月01日 2020年06月01日 2020年06月01日
Ryzen 9 4900HSの基本スペックについて見ていこう。Ryzen 9 4900Hの省電力モデルという位置付けだ。TDPが45W→35Wへと引き下げられているのが特徴となっている。省電力性が高いので薄型のゲーミングノートPCにも搭載することが可能だ。プロセスやコードネーム(アーキテクチャ)は共通している。

コア/スレッド数も同じ8コア16スレッドを搭載していてマルチコア性能が高い。一方でクロック周波数が抑えられていて定格クロックは10%、最大クロックは2%低い。消費電力を下げるために仕方がない部分だと言える。L3キャッシュ、CPU内蔵グラフィックスなどは変わらない。

Ryzen 9 4900HSのスペックは、どちらかというと下位モデルのRyzen 7 4800Hに近いと言える。Ryzen 7 4800Hの定格クロックを4%、最大クロックを3%引き上げられている。L3キャッシュは同じ8MBだ。CPU内蔵グラフィックスはコアは7CUsでクロック周波数は1600 MHzと僅かに低く上位モデルとの差別化が図られている。

Intel製CPUと比較

Ryzen 9 4900HS Core i9-10980HK Core i7-10875H
メーカー AMD Intel Intel
コードネーム Zen 2 Comet Lake Comet Lake
プロセス 7nm 14nm 14nm
CPUコア数 8コア 8コア 8コア
スレッド数 16スレッド 16スレッド 16スレッド
定格クロック 3.00 GHz 2.40 GHz 2.30 GHz
最大クロック 4.30 GHz 5.30 GHz 5.10 GHz
L3キャッシュ 8MB 16MB 16MB
内蔵グラフィックス Radeon Graphics 8CUs UHD Graphics UHD Graphics
グラフィックス周波数 1750 MHz 1250 MHz 1200 MHz
TDP 35W 45W 45W
発売日 2020年06月01日 2020年04月02日 2020年04月02日
競合であるIntel製CPUとスペックを比較していく。直接の競合はCore i9-10980HKだ。第10世代のComet Lake世代でもプロセスはこれまでと同じ14nmとなっている。AMD Zen 2アーキテクチャの7nmプロセスと比べると見劣りしてしまう。モバイル向けCPUはIntelが市場を独占していたが、Ryzen 4000シリーズの登場によって大きく揺らぐことになりそうだ。

コア/スレッドは8コア16スレッドで共通している。Ryzen 9 4900HSの方が定格クロックが25%高く、最大クロックは25%低い。L3キャッシュについてもCore i9が倍増となっている。TDPはRyzen 7 4800HSの方が低く優れている。Core i7-10875Hは、Core i9-10980HKのクロック周波数を引き下げたモデルだと考えて間違いない。ゲーミング性能ではIntel製モデルが優勢だ。

Ryzen 9 4900HSの最新評価【2025年】

ryzen94900hscpuscore
Ryzen 9 4900HSの性能スコアは15,022だ。省電力モデルながら8コア16スレッドと高いスペックを持ち数値はそれなりといえる。次世代のRyzen 7 5800Hと同等の性能だ。競合のCore i7-10875Hと比べても30%弱性能が高くなっている。もっともゲーム適正ではCore i9シリーズ/Core i7シリーズに劣ることもある。安定感を見ればIntel製CPUが優勢だ。

2024年8月時点で中古ゲーミングノートPCを入手することも難しい。新品での取り扱いが少なかったこともあり市場での絶対数が少なそうだ。中古で探しているならCore i7-10875HやCore i7-10750Hがおすすめだ。選択肢も多くゲーム性能も安定している。そこまで古いモデルでもないので状態がよいモデルが多いように思う。

Ryzen 9 4900HSの特徴【2020年】

Zen +よりもゲーム適正が大きく向上している

Zen 2アーキテクチャを採用しているZen 2は、モバイル向け第2世代Ryzenシリーズ(Zen +)よりも大幅にゲーミング性能が高くなっている。Zen +アーキテクチャと比べてIPCの向上、レイテンシ(遅延)の軽減による影響が大きい。前世代のRyzen 7 3750Hよりも大幅にパフォーマンスが向上している。正直Ryzen 7 3750Hはゲーム適性が低く各BTOメーカーでもほとんど採用されていなかった。

このRyzen 9 4900HSは、AMDの集大成とも言えるCPUで各BTOメーカーからのラインナップに拡充に期待が持てる。Ryzen 9 4900HSは、ゲーム以外にも負荷の高い作業を得意としている。例えば、ビデオのエンコード、3Dレンダリング、ファイル圧縮などが該当する。一方で、エクセルでのマクロ、Photoshopでの高解像データなどはIntelが得意とする分野だ。どのような用途での使用を考えているのかでCPU選ぶをするとよいだろう。

省電力性が高くノート本体を小さくできる

Ryzen 9 4900HSの魅力の一つが省電力性の高さだ。消費電力が抑えられることでノートパソコンのデザインの自由度が上がるからだ。また、バッテリー駆動時間も長くなり実用性も大幅に向上する。Ryzen 9 4900HやRyzen 7 4800Hなどのハイパフォーマンスの45Wに対して、”HS”シリーズは35Wに抑えられている。

ノートパソコンでこの10Wは大きい。通常ゲーミングノートPCでは消費電力が上がることによって発生する熱がネックとなる。パフォーマンスを上げるためにはより高性能なパーツを搭載する必要があり熱が発生しやすくなる。特にRyzen 9シリーズやCore i9シリーズなどのハイエンドモデルになるとその傾向が強い。

その熱対策を行うために本体を大きくしてより優れた冷却システムを搭載する必要がある。つまり、消費電力が高い高性能なパーツを搭載しているとデザインの自由度が奪われてしまうのだ。どうしても本体が重くなってしまい日常的に使うのが難しくなってしまう。

ASUSから販売されている「ROG Zephyrus G14 GA401IV」はハイエンドクラスのRyzen 9 4900HSを搭載していながらコンパクトな本体を実現している。14.0インチで本体重量は約1.65kgだ。ゲーミングノートPCとして見るとかなり軽量化されていることがわかる。これがHSシリーズの強みだと言えるだろう。

CPU内蔵グラフィックスの性能が高い

Ryzen 9 4900HSではCPU内蔵グラフィックスにRadeon Vega 8が搭載されている。もちろん外付けのグラフィックボードと比べるとパフォーマンスは落ちるが、従来のRadeon Vega 8(Ryzen 5 3500Uなどに採用)よりも性能は高くなっている。クロック周波数が1750 MHzに引き上げられ対応メモリもDDR4-3200へとアップグレードされた結果だ。

万が一グラフィックボードレスモデルが販売されても問題ない。簡単な3Dグラフィックス処理なら十分にこなせると考えてよいだろう。その後もやはり外付けのグラフィックボード非搭載モデルは登場しなかった。CPU内蔵グラフィックスをなくしてもう少し価格を抑えるという選択肢もあるのではないだろうか。IntelのFシリーズのようなイメージだ。

Ryzen 9 4900HSのベンチマーク一覧

Cinebench R20

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Ryzen 9 4900HSはマルチスレッド性能及びシングルスレッド性能共に高いスコアを出している。TDPの高いRyzen 7 4800Hには劣ってしまっているもののこれは妥協できる範囲だろう。その差はマルチスレッド性能で2%程度に留まりシングルスレッド性能では2%上回っている。

Ryzen 9 4900HSの価値は省電力性の高さにある。つまり消費電力が抑えられているにもかかわらずRyzen 7 4800Hと同等のスコアとなっているのは何よりの魅力だ。競合であるCore i7-10875Hを軽く超える性能を持っている。前世代のRyzen 7 3750Hと比べると2.5倍程度伸びていることになる。

Handbrake

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動画のエンコードに掛かる時間を計測している。Cinebench R20と同様にRyzen 7 4800Hの方がパフォーマンスが高い。Ryzen 9 4900HSは0.6低くなっている。Core i7-108750Hよりも20%程度高性能で、Ryzen 7 3750Hと比べると2.9倍程度パフォーマンスが向上している。Zen 2コアになってレイテンシが減少してよりスペックに忠実な性能を発揮できるようになったと考えて良いだろう。

7-Zip

zipryzen74800h-7zip

Zipファイルの圧縮及び解凍速度を計測している。Ryzen 9 4900HSは、Ryzen 7 4800Hとほぼ同等の速度を出している。Core i7-108750Hよりも35%程度パフォーマンスが高い。Ryzen 7 3750Hとは比べるまでもない。Zenアーキテクチャから明らかに進化している。

Ryzen 9 4900HS搭載のゲーミングノートPC一覧

ROG Zephyrus G14 GA401IV(ASUS)

ROG Zephyrus G14 GA401IV1価格:195,273円
液晶:14.0インチ 60Hz
重量:約1.65kg
駆動時間:約9.4時間
CPU:Ryzen 9 4900HS
GPU:GeForce RTX 2060 MAX-Q
メモリ:DDR4 16GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:非搭載

現時点ではASUSからのみ搭載モデルが販売されている。天板にLEDドットでイラストを表示させられる珍しいモデルだ。グラフィックスにはGeForce RTX 2060 MAX-Qを搭載していてゲーミング性能は高い。FULL HD環境でのゲームプレイに対応することが可能だ。メモリ16GB、SSD 1TBと構成も充実している。CPUもグラフィックスも省電力性の高さが特徴でバッテリー駆動時間も約9.4時間と長くなっている。もちろんクリエイターの方にもおすすめできるモデルだ。

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