GTX 1630 Dual画像引用元:https://www.palit.com/ *イメージ

GeForce GTX 1630のスペックレビュー&ベンチマークを検証している。2022年6月下旬にNVIDIAから新しいグラフィックボードがリリースされた。元々2022年5月31日に発売される予定だったが、延期されて6月下旬にずれ込んだ形だ。GeForce GT 1030の後継モデルという立ち位置で考えるのがしっくり来る。GeForce GTX 1630は、GeForce GTX 1650と同じGPUを搭載していてスペックを落としたモデルとなる。

性能的にはGeForce GTX 1050 Tiよりも劣ってしまう。このことからゲーミングPCに搭載するモデルとしてふさわしいとは言えない。それでもどの程度のゲーミング性能を持っているのかは気になるところだろう。特徴やベンチマークについて詳しく見ていこう。BTOメーカーから搭載モデルはリリースされていない。

よくわかる!!GeForce GTX 1630の特徴まとめ

  • (+)GeForce GT 1030よりも性能が高い
  • (+)省電力性に優れている
  • (+)ハードウェアエンコード/デコードに対応
  • (+)PCI-Express 3.0 x16をサポート
  • (-)GeForce GTX 1050 Tiよりも性能が低い
  • (-)性能の割に価格が高くコスパが低い
  • (-)レイトレーシング・DLSSに非対応

GeForce GTX 1630の概要

総合性能

gtx1630gamescore

GeForce GTX 1630の性能は前評判通りGeForce GTX 1050 Tiには及ばない。GeForce GTX 1050 Tiと比べると17%程度性能が低く、GeForce GTX 1650と比べると32%も劣ってしまう。Radeon 6000シリーズのエントリークラスであるRadeon RX 6400と比べても30%以上も性能が低い。やはりGeForce GTX 1630はゲーミングPCに搭載するグラフィックボードとしては考えない方がよさそうだ。

フルHD環境だと標準設定以下でプレイする必要がある。Pascal世代の廉価モデルであるGeForce GT 1030と比べると2倍程度パフォーマンスが向上している。2022年にリリースする必要があったのかは疑問だが、もし販売価格がGeForce GT 1030と同等になるのであれば魅力的なモデルになる可能性がある。今の状況だと中古でGeForce GTX 1650・GeForce GTX 1060 6GB辺りを狙うのが正解だ。

基本スペック

製品名 GTX 1630 GTX 1650 GT 1030
アーキテクチャ Turing Turing Pascal
GPU TU117 TU117 GP108
プロセス 12nm 12nm 14 nm
トランジスタ数 47億 47億 18億
ダイサイズ 200 mm² 200 mm² 74 mm²
SM数 8 14 3
CUDAコア 512 896 384
RTコア
Tensorコア
ベースクロック 1740 MHz 1485 MHz 1228 MHz
ブーストクロック 1785 MHz 1665 MHz 1468 MHz
GPUメモリ GDDR6 4GB GDDR5 4GB GDDR5 2GB
メモリクロック 12 Gbps 8 Gbps 6 Gbps
メモリバス 64 bit 128 bit 64 bit
メモリバス帯域幅 96.0 GB/s 128.1 GB/s 48.06 GB/s
TDP 75W 75W 30W
補助電源 不要 不要 不要
MSRP $79 $149 $79
国内価格 17,980円~ 19,980円~ 10,900円~
発売日 2022/06/28 2019/04/23 2017/05/17

*価格は発売時点

GTX 1630は、GTX 1650と同じTuring世代のグラフィックボードだ。3年も前に発売されたグラフィックボードと同じアーキテクチャを採用したモデルが2022年にリリースされるのは異例だろう。GTX 1630ではGPUにGTX 1650と同じTU117を搭載している。プロセスは12nmだ。トランジスタ数は47億でダイサイズは200m㎡となる。

コンピュートユニットが14→8へと43%ダウンでCUDAコアも896基(14×64)から512基(8×64)へとスペックダウンとなっている。ベースクロックはGTX 1630の方が17%高く、ブーストクロックもGTX 1630の方が7%高い。CUDAコアが絞られている分クロック周波数を引き上げている形だ。

GPUメモリはGDDR5からGDDR6へとアップグレードされている。GPUメモリ容量は4GBと変わっていない。メモリクロックは50%速く12 Gbpsだ。一方で、メモリバスは半減で64 bitとなっている。メモリバス帯域幅は25%ダウンで96.0 GB/sだ。メモリは下位互換となっている。TDPは75Wと共通だ。補助電源は不要となる。GTX 1630の価格は非公開となっているが、$150前後になるのではないかと言われている。

GT 1030とスペックを比較していこう。GT 1030はPascal世代のグラフィックボードでGPUはGP108だ。プロセスは14nmとなる。トランジスタ数は18nmでダイサイズは74m㎡だ。トランジスタ数はGTX 1630の方が25%以上多くダイサイズも27%大きい。コンピュートユニットは2.6倍だ。GT 1030ではわずか3つでCUDAコアは384(3×128)に留まる。

ベースクロックはGTX 1630の方が41%高く、ブーストクロックもGTX 1650の方が21%高い。GPUメモリはGDDR5 2GBと容量が半減だ。メモリクロックも6 Gbpsとなる。メモリバスはGTX 1630と同じ64 bitだ。メモリバス帯域幅はGTX 1630の半分で48.06 GB/sとなる。TDPはわずか30Wと省電力性の高さが光る。補助電源は不要だ。価格は$79とかなり安い。

GeForce GTX 1630の中古価格【2025年】

製品名 ゲーム性能 VRAM TDP 価格 コスパ 発売日
GTX 1650 9,506 4GB 75W 11,980 0.793 2019/04/23
RX 6400 9,392 4GB 53W 12,800 0.734 2022/04/20
Arc A380 9,358 6GB 75W 15,480 0.605 2022/06/14
GTX 1050 Ti 7,762 2GB 75W 7,980 0.973 2016/10/25
GTX 960 7,405 2GB 120W 4,480 1.653 2015/01/23
GTX 1630 6,394 4GB 75W 12,980 0.493 2022/06/28
GTX 1050 6,300 4GB 75W 5,980 1.054 2016/10/25

GeForce GTX 1630の中古価格は12,980円~だ。コストパフォーマンス指標は0.493と同性能帯で見ても最低クラスとなる。2022年と比較的新しく登場したモデルだが、知名度は低く中古市場にもほとんど流れていない。これなら少し古くてもGeForce GTX 1650やGeForce GTX 1050 Tiを購入する方が満足度が高いはずだ。GeForce GTX 1630の購入を考えている方は避けたほうがよい。Maxwell世代のGeForce 960については価格が安いもののやや古く省電力性の観点からもおすすめしづらい。単純にコストパフォーマンス指標だけで判断するのは避けよう。

GeForce GTX 1630の特徴&強み【発売時点】

性能に対して価格が高めでコスパが低い

GeForce GTX 1630は、とにかくコストパフォーマンスの低いグラフィックボードで評価されることはないだろう。特にゲーミング用途で考えた場合歴代NVIDIAのラインナップにおけるワーストのモデルとなる。2022年に登場したモデルにも関わらず2016年10月にリリースされたGeForce GTX 1050 Tiにも及ばないというのはいただけない。立ち位置がもう少し明確であればよかったのだが…

2022年11月時点の販売価格を見るとGeForce GTX 1630(17,980円)とGeForce GTX 1650(19,980円)の価格は2,000円しか変わらない。中古でもそれは同じでそれぞれ9,980円と11,980円だ。後発モデルであるということを考慮してもGeForce GTX 1650と同等の価格では厳しい。また、中古まで目を向ければGeForce GTX 1050 Tiが魅力的な選択肢となる。価格は6,980円~で割安だ。GeForce GTX 1630がいかにコスパの悪いモデルかということがわかるだろう。

Radeon RX 6400も20,000円~購入できるためGTX 1630の購入を考えている方は他のモデルを候補に入れるべきだ。例えば、GTX 1650・GTX 1050 Ti・RX 6400などが候補に入る。また、中古ならGTX 1650 SUPER・GTX 1060 6GB・RX 570などがお得だ。GTX 1630が輝くとすればGT 1030と同じ12,000円前後になったときだ。もっともそれでもゲーム目的では推奨しない。

省電力性に優れている

GTX 1630watt

省電力性の高さは評価できるポイントだ。GTX 1050 Tiと比べて17%程度消費電力が抑えられている。GTX 1650と比べても11%程度低いことがわかる。ただし、その分性能が低い点は理解しておく必要がある。ワットパフォーマンスが高いというわけではなく、あくまでも性能と引き換えに消費電力を抑えている形だ。

GTX 1050 Tiと比べると17%消費電力が低いが、性能も17%低い。ワットパフォーマンスで言えばGTX 1650の方が優れている。それでもできる限り消費電力を抑えたいと考えているユーザーもいるはずだ。メディアクリエイターの方などであれば選択するメリットがあるかもしれない。

ハードウェアエンコード/デコードに対応している

GTX 1630は、H.264及びH.265の動画のエンコード・デコードのハードウェアビデオアクセラレーションに対応しているのが強みだ。グラフィックボードを活かすことでCPUだけよりも高いパフォーマンスを発揮することができる。

GT 1030やRadeon RX 6400は対応していないのでメディアを取り扱う予定のある方におすすめしやすい。ただし、次世代ビデオコーデックであるAV1サポートには対応していない。将来性を考えると見劣りしてしまうかもしれないが、今でもH.264/H.265をメインに取り扱っている方であれば問題ないはずだ。

PCI-Express 3.0 x16をサポートしている

PCI-Express 3.0×16をサポートしているのも特徴の一つだ。つまり、PCIe 3.0しかサポートしていない古いパソコンを所有している方がグラフィックボードの換装を考えた場合にGTX 1630が候補に入るということだ。競合モデルであるRadeon RX 6400がPCIe 4.0×4だけをサポートしていることを考えると強みだと考えてよいだろう。性能的にはRX 6400には及ばないためその点は注意しよう。GT 1030の代替モデルとして考えよう。

GeForce GTX 1630のフレームレート一覧

Borderlands 3

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Borderlands 3ではGTX 1050 Tiと比べて標準設定で17%低く、最高設定では20%低い。GTX 1650と比べると最大35%も劣ってしる。ゲームプレイでの選択は到底おすすめできない。これなら中古でGTX 1650 SUPERやGTX 1060 6GBを購入する方が満足できそうだ。

Far Cry 6

farcry6GTX 1630-farcry6

Far Cry 6でもGTX 1050 Tiには及ばない。GTX 1050 Tiと比べて標準設定では25%低く、最高設定では11%低い。GTX 1650と比べると標準設定で50%以上低く、最高設定では45%低くなっている。スペックダウンの影響は深刻だ。ゲーム目的での購入は推奨できない。

Horizon Zero Dawn

horizon zero dawnGTX 1630-horizonzerodawn

Horizon Zero Dawnでもはやり通用していない。GTX 1050 Tiと比べて最大28%もパフォーマンスが低い。さすがに6年前のグラフィックボードよりも性能が低いという状況は厳しい。Radeon RX 6400やGTX 1650でさえも60fpsを維持するのが厳しいので、GTX 1630では全く歯が立たない。

GeForce GTX 1630搭載おすすめゲーミングPC

まだ搭載モデルはリリースされていない。BTOメーカーでの取り扱いが開始され次第追加していく予定だ。

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