当ページでは、Ryzen 5 3550Hのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。2019年1月にRyzen 5 2600Hの後継モデルが登場した。モバイル向けのRyzenシリーズも人気が出始めてきた。デスクトップ向けのモデルと比べるとまだまだ存在感は薄いが、第3世代Ryzenシリーズのリリースも控えていて注目度は高い。コスパの高いゲーミングノートPCを探している方は必見だ。
上位モデルとしてRyzen 7 3750Hがラインナップにある。性能差がそれほど大きくないことからRyzen 7 3750Hの評価は低い。比較対象は「Core i5-9300H」となる。後継モデルはZen 2アーキテクチャ採用の「Ryzen 5 4600H」だ。4コア8スレッドから6コア12スレッドへとスペックが強化されてより高いパフォーマンスを持つ。ゲーミングノート向けCPUとしての地位を確率したのはこのRyzen 4000シリーズからだ。
Ryzen 5 3550Hの型番は3000シリーズを表しているが、第2世代であることに注意して欲しい。デスクトップ向けのRyzen 5 3600Xは、第3世代Ryzenとなっている。アーキテクチャ的には一つ前のものを採用しているためデスクトップ向けと同程度のパフォーマンスを求めるのは酷だ。
当ページの目次
Ryzen 5 3550Hの概要
基本スペック
5 3550H | 7 3750H | 5 2600H | |
---|---|---|---|
メーカー | AMD | AMD | AMD |
アーキテクチャ | Zen + | Zen + | Zen |
プロセス | 12nm | 12nm | 14nm |
CPUコア数 | 4 | 4 | 4 |
スレッド数 | 8 | 8 | 8 |
定格クロック | 2.1 GHz | 2.3 GHz | 3.2 GHz |
最大クロック | 3.7 GHz | 4.0 GHz | 3.6 GHz |
L3キャッシュ | 4MB | 4MB | 4MB |
GPU | RX Vega 8 Graphics | RX Vega 10 Graphics | RX Vega 8 Graphics |
GPUコア | 8 | 10 | 8 |
GPU周波数 | 1200 MHz | 1400 MHz | 1100 MHz |
TDP | 35W | 35W | 45W |
発売日 | 2019年1月6日 | 2019年1月6日 | 2018年5月30日 |
注目すべきは定格クロックは3.2 GHzから2.1 GHzへと33%引き下げられていることだ。一方で、最大クロックは0.1 GHz引き上げられた。アーキテクチャの進化でIPCも向上しパフォーマンスは向上している。クロック周波数を引き下げたことも合わさって消費電力は45W→35Wへと省電力が進む。なお、CPU内蔵グラフィックスについては同じRX Vega 8 Graphicsを搭載しているが、周波数を引き上げたため性能はわずかに高い。
上位のRyzen 7 3750Hと比較すると実はそれほど大きな違いがないことがわかる。コア数及びスレッド数は同じだ。Intelの上位モデルが6コア12スレッドであることを考えると劣っている。定格及び最大クロックが10%高くなっているぐらいでその差は大きくない。内蔵グラフィックスについては強化されているが、グラフィックボード搭載モデルを選択することが多いためメリットは大きくない。Ryzen 7 3750Hを選ぶのであればRyzen 5 3550Hで十分だというのが一般的な評価だろう。
総合性能
次世代のRyzen 5 4600Hになると6コア12スレッドとスペックが強化された。CPU性能は85%もパフォーマンスが向上している。何よりもゲーム適性が大きく向上して第3世代Ryzenシリーズから本領発揮となった。一気に搭載モデルのラインナップも増えたことからもそれはわかるはずだ。もちろん上位モデルであるRyzen 7 4800Hとの差別化もしっかりと図られている。8コア16スレッドとスペックが引き上げられてRyzen 5 4600Hよりもワンランク高い性能を発揮する。
2023年時点だとやや厳しい評価となる。現行のRyzen 5 5600Hになると性能差は2倍以上と大きいい。10,000スコアを一つの基準として考えると、最低でもRyzen 5 4600Hを選択する必要がある。ゲームプレイwメインに考えるならCore i7-10875H/Core i7-10870H・Core i5-11400H当たりのモデルが必要だ。
AMD Ryzen 5 3550Hの最新評価【2024年】
Ryzen 5 3550HのCPU性能スコアは6,072だ。発売当時から性能の低さからそこまで評価は高くなかったように思う。次世代のRyzen 5 4600Hよりも50%以上パフォーマンスで劣る。ゲーム適正においてはそれ以上の差が出ることもある。この時代のモバイル向けRyzenシリーズは発展途上にあったといえる。スペックも4コア8スレッドと控えめで次世代モデルの6コア12スレッドと差が大きい。AMDの真価が発揮されるのはZen 2のRyzen 5 4600Hからだろう。
そこからRyzen 5 5600H→Ryzen 5 6600Hとミドルクラスのモデルも性能の底上げが行われている。発売当時のラインナップはそれほど多くなく、GeForce GTX 1650搭載モデルやグラフィックレスモデルが海外メーカーから少し販売されていたぐらいだ。2024年8月時点で中古で見つけることも難しい。国内の主要メーカーを見ても在庫はない。仮に在庫があったとしても性能的におすすめできない。より新しいモデルを選択するべきだ。
AMD Ryzen 5 3550Hの特徴まとめ【2019年】
ゲーミングノート搭載で考えるとボーダーラインの性能
Ryzen 5 3550Hは、ゲーミングノートPC搭載のCPUとして考えるとボーダーラインとなっている。性能自体は決して低くはないが、極端に高いわけではない。第二世代Ryzenは、デスクトップ向けのRyzenとアーキテクチャが違うこともあって性能は大きく伸びていない。競合となるIntel Core i5-9300Hと比較するとやや性能面で不安が残る。
現行のゲーミング向けのハイクラスモデルの中では最下位となっている。将来性などを考えるとIntel製CPUを選択する方が無難かもしれない。ただし、消費電力が低く押さえられているなどメリットがないわけではない。
Ryzen 7 3750Hとの性能差が近くコスパが高い
Ryzen 7 3750Hとの性能差が数%であることはすでに述べた。クロック周波数では10%程度の差があるものの十分活かせていない。これ以上ゲーミングパフォーマンスを伸ばすためには、クロック周波数を伸ばすよりもコアやスレッド数を増やす方が手っ取り早いのだろう。
性能差と価格を考えるとRyzen 5 3550Hのコスパの高さが光る。Ryzen 7 3750Hを選択するのであれば、搭載モデルで20,000円安く購入できるRyzen 5 3550Hを選択した方が満足度が高いかもしれない。いずれにしても搭載モデル自体数が少ないため慎重に検討して欲しい。
第3世代Ryzenシリーズの登場を控え買い時は過ぎた
2020年1月8日開催のCES 2020(PC Watch, 2020)でモバイル向けの第3代Ryzenシリーズの発売が発表された。Ryzen 5 3550Hの後継モデルということになる。急いでいないのであれば第三世代Ryzenのリリースを待った方がよいかもしれない。アーキテクチャも変わりパフォーマンスの向上が見込めるからだ。Zen +アーキテクチャだとまだまだIntel製CPUと比べて見劣りしてしまう。
コア数も最上位モデルで8コア/16スレッドとなる。Ryzen 5 3550Hの後継モデルである「Ryzen 5 4600H」でも6コア12スレッドとマルチスレッド性能の高さに期待が持てるからだ。当然ゲーミング性能も高くなるだろう。もっともそれだけ高い性能を持つCPUであってもゲーミングノートPC全体でのパフォーマンスを見る必要がある。発熱などの対策ができないと、性能を十分に引き出せない可能性もあるからだ。
ベンチマーク(レンダリングやエンコード etc.)
Cinebench R20
Handbrake
Radeon RX Vega 8
Ryzen 5 3550H搭載おすすめゲーミングノートPC
ASUS TUF Gaming FX505DT(ASUS)
価格:82,800円
CPU:Ryzen 5 3550H
GPU:GeForce GTX 1650
メモリ:DDR4 8GB
SSD:512GB
HDD:非搭載
Ryzen 5 3550H搭載の最安値クラスのゲーミングノートPCだ。グラフィックボードにはエントリークラスのGTX 1650を採用している。メモリ8GB、SSD 512GBと十分な構成を持っている。価格を抑えたいユーザーは必見だ。キーボードの「WASD」のカラーを変えているためFPS初心者の方にもおすすめしたい。
Pavilion Gaming 15 スタンダードプラスモデル(HP)
価格:114,800円 90,900円
CPU:Ryzen 5 3550H
GPU:GeForce GTX 1650
メモリ:DDR4 8GB
SSD:128GB
HDD:1TB
現在23,900円オフで購入することができる。Ryzen 5 3550Hを搭載した高コスパモデルだ。グラフィックボードにはGTX 1650を採用。FULL HD環境でのゲームプレイに対応できるタイトルによっては設定調整が必要であることは理解しておく必要がある。メモリ8GBと控え目だが、ライトユーザーなら問題ないだろう。SSD 128GB×HDD 1TBのダブルストレージ採用で使い勝手が良い。
IdeaPad S540(Lenovo)
価格:86,486円
CPU:Ryzen 5 3550H
GPU:Radeon Vega 8グラフィックス
メモリ:DDR4 8GB
SSD:256GB
HDD:非搭載
当該モデルについてはゲーミングノートPCとは言えない。それでもRyzen 5 3550H搭載モデルが少ないことと内蔵グラフィックスに強みがあることからピックアップしている。HD(768p)環境で低設定にすればタイトル次第で対応できることもある。しかし、あくまでもビジネスモデル+αで考えるべきだろう。メモリ8GB、SSD 256GBと最低限の構成にしている。
参照外部サイト
- AMD、Zen 2 CPUと改良版Vega GPU採用のモバイル向けRyzen 4000(PC Watch, 2020)
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